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ITSSのレベルを採用要件に使う方法|求人票と面接での確かめ方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- ITSSのレベルは職種と専門分野を決めて初めて意味を持つので、求人票ではレベルの数字と職種をセットで書きます。
- 採用で大事なのはレベル3と4の線で、チームの一員として独力で進めたのか、リーダーとして成功させたのかを分けて要件にします。
- 面接では資格の有無より、立場・担当した範囲・チームの人数・難しさを聞き、達成度指標の言葉に当てはめて確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
「求人票に『ITSSレベル3相当』と書いたものの、応募者が本当にその水準なのか分からない」「レベル3と4の違いを面接でどう聞けばよいのか」——。エンジニア採用の現場では、こうした迷いが起こりがちです。ITSS(ITスキル標準)は、経済産業省とIPAがまとめた指標で、IT関連の仕事に必要な実務能力を職種とレベルで整理しています。
レベルを採用要件に使えば、面接官や候補者と同じ物差しで話せます。ただし万能ではなく、数字だけではどの職種でどんな経験を求めるのかが伝わりません。本記事では、エンジニア採用の担当者や開発マネージャーに向けて、レベル1〜7の意味、職種ごとの違い、採用要件への書き方、面接での確かめ方、そして外部人材に頼むときの確認点を整理します。
ITSSのレベルとは
ITSSは、ITサービスの仕事を「コンサルタント」「プロジェクトマネジメント」「ITスペシャリスト」など11の職種に分け、全部で35の専門分野を設け、専門分野ごとに本人の能力や実績にもとづく7段階のレベルを決めています。*2 いま公開されている版は、2012年3月に公開された「ITスキル標準V3 2011」です。*6
| レベル | 概要編での説明 | 対応する試験 |
|---|---|---|
| 1 | 情報技術に携わる者に最低限必要な基礎知識を有する | ― |
| 2 | 上位者の指導の下に、要求された作業を担当する | 基本情報技術者試験 |
| 3 | 要求された作業を全て独力で遂行する | 応用情報技術者試験 |
| 4 | 独力で業務上の課題の発見と解決をリードする | 高度試験と、経験・実績の評価 |
| 5 | 企業内のハイエンドプレーヤとして認められる | ― |
| 6 | 国内のハイエンドプレーヤとして認められる | ― |
| 7 | 世界で通用するプレーヤとして認められる | ― |
採用で特に大事なのは、レベル3と4の間の線です。概要編は、レベル1〜3では「チームメンバとしてプロジェクトに参画した経験」を、レベル4以上では「チームリーダとして成功裡に達成した経験」を求めるとし、両者の間には求められる能力に大きな格差があると書いています。*1
職種ごとのレベルの範囲
ITSSのレベルは、職種と専門分野を決めて初めて意味を持ちます。職種や専門分野によっては、下位や上位のレベルが空白になっています。*2 また、レベル1と2は職種を分けず、全職種に共通の指標にまとめられています。*2*5 開発の仕事に近い職種を例に見ると、次のとおりです。
| 職種 | 主な仕事 | レベル |
|---|---|---|
| ITスペシャリスト | システム基盤の設計、構築、導入(ネットワーク、データベース、セキュリティなど) | 3〜6 |
| アプリケーションスペシャリスト | 業務システムや業務パッケージの設計、開発、テスト、保守 | 3〜6 |
| レベル1、2共通 | 上位者の指示や作業標準に従って、要求された作業を行う | 1〜2 |
表の2つの職種には、レベル7の指標がありません。*3*4 「レベル7相当のアプリケーション開発者」と書いても、ITSSの上では当てはまる段階が無いことになります。
もう1つ注意したいのは、レベルが役職とは別物だという点です。IPAは、ITSSのレベルが人事制度における役職のレベルを表すものではないと説明しています。*2 「レベル4は課長クラス」のように社内の等級と機械的に結び付けないほうが、候補者とのずれが起きにくくなります。
採用要件への書き方
職種ごとの「達成度指標」は、各レベルに入るための経験と実績を、責任性、複雑性、サイズ(規模)などの観点で書いています。*3 アプリケーションスペシャリスト(業務システム)のレベル3と4を比べると、違いがはっきりします。

| 観点 | レベル3 | レベル4 |
|---|---|---|
| 立場 | 開発チームメンバとして、担当する成果物の実施責任を持つ | 開発チームリーダとして、担当するアプリケーションの成果物に責任を持つ |
| 回数 | プロジェクトに1回以上参画 | プロジェクトを2回以上成功裡に達成 |
| 規模 | サイズを問わない | 開発チームのピーク時要員数3人以上 |
| 人への貢献 | 求めていない | 後進を指導している |
求人票に「ITSSレベル3相当」とだけ書くと、読み手によって受け取り方が変わります。レベルの数字には、職種と、立場・規模の言葉を添えるのがおすすめです。書き方の例は次のとおりです。
- 仕事:業務システムの設計から保守まで(ITSSのアプリケーションスペシャリストに近い仕事)
- 必須:開発チームの一員として、担当部分の設計からテストまでを独力で進めた経験(ITSSレベル3相当)
- 歓迎:3人以上の開発チームのリーダーとして、担当範囲の成果物に責任を持った経験(ITSSレベル4相当)
- 資格:応用情報技術者試験の合格は歓迎条件にとどめ、必須にはしない
試験ごとの対象者像を要件文に使う方法は「情報処理技術者試験の対象者像とレベル」で扱っています。
面接での確かめ方
概要編は、各レベルに対応する試験の合格を、そのレベルの入り口に立ったとみなすものと位置づけ、レベル4は高度試験の結果と達成度指標で測る業績の双方から評価する必要があるとしています。試験に合格していない人も、達成度指標で評価できます。*1 面接で聞くのは、資格の有無よりも経験の中身です。
- 立場:そのプロジェクトではメンバーとリーダーのどちらで、誰の指示で動いていたか
- 範囲:担当した成果物はどこからどこまでで、どこを一人で進めたか
- 規模:チームはいちばん多いときで何人だったか
- 難しさ:業務の要件や使った技術で、難しかった点は何か
- 人への貢献:後輩の指導や社内の勉強会など、人に教えた経験はあるか
難しさの観点では、達成度指標が「ミッションクリティカルなシステムであり高品質を要求」「24時間365日の連続稼動が要求され」といった条件を例に挙げています。*3 レベル3と4では、こうした条件の2つ以上に当たるプロジェクトの経験を求めています。*3 候補者の話がいくつの条件に当たるかを数えると、面接官ごとの判定の差が小さくなります。評価項目と合格の水準の決め方は「技術面接の評価項目と合格ライン」も参考になります。
外部人材に頼むときの確認点
概要編は、ITSSの使い道として、人材を求める企業と提供する企業が同じ人材のイメージを共有することを挙げています。従来の「SEの初級、中級、上級を何人」といった要求ではなく、具体的な職種とレベルを明確にした要求の参照モデルとして使えるとしています。*1 業務委託で専門人材を探すときも、この物差しが役に立ちます。

- 任せる作業が、どの職種と専門分野に近いか
- メンバーとして作業を任せたいのか(レベル3相当)、チームを率いてほしいのか(レベル4相当)
- 候補者の過去の案件で、立場、チームの人数、担当した範囲が分かるか
- 社員の採用要件と同じ言葉で、候補者どうしを比べられるか
- 契約の期間と、終わったときの引き継ぎの方法
外部エンジニアのスキルシートの読み方は「スキルシートの読み方」にまとめています。
まとめ:ITSSのレベルで確かめておきたい3つの点
ITSSのレベルを採用要件に使ううえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、レベルの数字は職種と専門分野とセットで書き、社内の役職と機械的に結び付けないこと。第二に、レベル3とレベル4の間にある「チームの一員として独力で進める」と「リーダーとして成功させる」の違いを、必須と歓迎に分けて書くこと。第三に、面接では資格の有無より、立場・範囲・規模・難しさを聞いて確かめることです。この3点を踏まえておけば、「レベル4相当の人を採ったつもりが、リーダーの経験が無かった」という事態を避けやすくなります。求める水準の人が社内の採用だけでは見つからないときは、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
ITSSは古い基準ではありませんか
いま公開されている版は2012年のV3 2011で、IPAはその後、新しい領域向けのITSS+やデジタルスキル標準も公開しています。それでも、開発や運用のエンジニアの経験を、立場と規模の言葉で表すには今も使いやすい物差しです。DXを進める役割を募集するときは、デジタルスキル標準も合わせて見ておくと役割を決めやすくなります。
社内の等級制度とITSSのレベルをそろえる必要はありますか
そろえる必要はありません。ITSSのレベルは役職を表すものではないため、採用要件では「どんな経験があるか」を伝える言葉として使い、給与や等級は自社の制度で決めます。
レベル4相当を必須にすると応募が減りませんか
レベル4はリーダーとして成功させた経験を求めるため、当てはまる人は限られます。入社後すぐにチームを率いてほしいのかを見直し、メンバーとして加わってほしいならレベル3相当を必須、レベル4相当を歓迎に置く方法があります。
ITSSのレベルで求める人を探したいとき
任せたい仕事と、求めるレベルの目安が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員を採るか、業務委託で始めるかを決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:IPA「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024840.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編」(2018年8月27日改訂・PDF)。2.6 ビジネス活動(企業間における人材の共通認識)、4.6 レベルの評価(各レベルの説明、レベル3までとレベル4以上の格差、情報処理技術者試験の位置づけ、表2 情報処理技術者試験との対応関係)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *2 参考:IPA「ITスキル標準とは キャリアフレームワーク」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/career-framework.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「6.ITスキル標準とは -キャリアフレームワーク」。11職種・35専門分野・7段階のレベル、空白のレベル、役職のレベルではないこと、レベル1・2の共通化を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *3 参考:IPA「職種の概要と達成度指標(アプリケーションスペシャリスト)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024960.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 職種の概要と達成度指標(7)アプリケーションスペシャリスト」(PDF)。業務システムのレベル3〜6の達成度指標(責任性・複雑性・サイズ・プロフェッショナル貢献)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *4 参考:IPA「職種の概要と達成度指標(ITスペシャリスト)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024949.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 職種の概要と達成度指標(6)ITスペシャリスト」(PDF)。職種の説明と、各専門分野のレベル3〜6の達成度指標を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *5 参考:IPA「職種の概要と達成度指標(レベル1、2共通)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000025035.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 職種の概要と達成度指標(12)レベル1、2共通」(2018年8月27日改訂・PDF)。職種の説明とレベル1・2の達成度指標を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *6 参考:IPA「ITスキル標準V3 2011 ダウンロード」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/download_v3_2011.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 ダウンロード」(公開日2012年3月26日、最終更新日2025年7月1日)(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)