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2026.10.17 採用支援コラム

組み込みエンジニアの採用|ハードとの境界と実機経験の確かめ方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

開発室の作業台で候補者が試作の基板にプローブを当て、奥の測定器に波形が映り、面接担当が横で見ている

この記事の結論

  • 組み込みエンジニアの採用では、回路や機械の担当とどこで仕事を分けるかを先に決め、求人票に書きます。
  • 有効求人倍率は4.26と高く、入社後に一人で働けるまで1年を超えるとした人が6割を占めます。
  • 面接では試作機で何を確かめたかを聞き、実機が要る工程は社員、要らない工程は外部人材と分けます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

「機器に入るソフトを書ける人を社員で採りたい」「応募は来るが、実機を触ってきた人かどうかが書類では分からない」——。製品にマイコンを積むメーカーや、機器とつながるサービスを始めた企業で、組み込みエンジニアの採用を任された開発マネージャや人事担当者が迷いやすい点です。組み込みエンジニアは、家電や産業機器などに組み込まれた小型のコンピュータ(マイコン)で動くソフトウェアを開発する技術者です。*1

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、中途採用では学部学科よりも、どのような開発をしてきたかという経験が重視されると説明しています。*1 ただし同じ「組み込みの経験」でも、回路まで設計してきた人とプログラムだけを書いてきた人では、任せられる範囲が違います。本記事では、ハードとの境界の決め方、市場の数字、実機での経験の確かめ方、社員と外部人材の分け方を整理します。

組み込みエンジニアとは

job tagは、この職業の仕事を2つに分けています。製品や装置を動かすためのソフトウェアを作る「組込み開発」と、製品や装置を含めたシステム全体を作る「システム開発」です。*1

  • 組込み開発:エアコンや洗濯機などの制御。限られた処理時間やメモリの中でプログラムを作る
  • システム開発:センサーで集めた情報をサーバーに送り、その結果で機器を動かす仕組みを、機器やセンサーの選定からサーバー側まで作る

組込み開発はさらに、部品を選んで基板を作るハードウェア開発と、マイコンの上で動くプログラム(ファームウェア)の開発に分かれます。機器がインターネットにつながるIoTが広がり、組込み開発とシステム開発の仕事は似てきているとされます。*1

家電の新しい機種の制御を任せたいのか、工場の装置のデータをサーバーへ送る仕組みを任せたいのかで、組み込みエンジニアに求める経験は変わります。募集の前に、自社の製品がどちらに近いかを決めておきます。

ハードとの境界の決め方

job tagは、組み込みエンジニアが基板の担当者や、機器の機械的な部分の担当者と共同で開発にあたることが多いと説明しています。*1 採用の前に、新しく入る人にどこまでを任せるのかを決めておきます。

窓際の作業台でふたを外した白い試作機の基板をドライバーで示す回路担当と、ふたを持ってのぞくソフト担当

機器の層と、採用する人に求める範囲の例(本記事の整理)
層 主な仕事 採用する人に求めるか
機械の部分 モーターや送風などの動きの設計 機械の担当者がいれば、動きの仕組みを理解できる程度
基板と回路 部品選び、基板の設計 回路の担当者がいれば、回路図を読める程度
マイコンのプログラム 機器を制御するプログラム 中心の要件
通信 機器とサーバーのやり取り 製品がネットにつながるなら要件に入れる
サーバーと操作画面 データの処理、スマートフォンの画面 別の職種で採る方法もある

IPAの「組込みスキル標準(ETSS)」は、開発の工程の1つに「ハードウェアとソフトウェア等の機能および性能分担の決定」を置いています。*2 どの処理を回路で、どの処理をプログラムで行うかを決める工程で、ここを任せるなら回路とプログラムの両方の経験が要ります。

同じ標準は、ハードウェアに関するスキルでも「作れるスキル」と「使えるスキル」は峻別すべきだとしています。*2 求人票でも、「回路を設計できる」と「回路図を読んでプログラムに反映できる」を分けて書くと、応募者が自分に当てはまるかを判断しやすくなります。

機器の層と組み込みの2つの仕事の範囲を示した図。上から、サーバーと操作画面、通信、マイコンのプログラム(ファームウェア)、基板と回路、機械の部分の5つの層が並ぶ。システム開発は機器やセンサーの選定からサーバー側までを作り、サーバーと操作画面からマイコンのプログラムまでにかかる。組込み開発はファームウェア開発とハードウェア開発で、マイコンのプログラムと基板と回路にかかる。機械の部分は機械の担当者と共同で開発する。厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)の説明をもとに作成。

求人倍率と一人前までの期間

job tagに載る統計では、この職業が属する分類の有効求人倍率は、令和7年度の全国で4.26でした。*1 ハローワークの求人に限った数字ですが、求職者1人に4件を超える求人がある計算です。

job tagに載る組み込みエンジニアの数字(抜粋)
項目 値
有効求人倍率(ハローワーク・令和7年度・全国) 4.26
正規の職員・従業員として働く人 84.9%
自営・フリーランスとして働く人 7.5%
入職後、一人で働けるまでに1年を超える期間が要るとした人 合わせて60.0%

job tagは、この分野のエンジニアは他社に移ることが比較的少なく、会社の情報保護が重視されるようになったためにフリーランスはほとんど見られないと説明しています。*1

転職の市場に出てくる経験者が少なく、入社後に一人で仕事を回せるまでにも時間がかかります。組み込みエンジニアの採用計画では、採れるまでと育つまでの両方の期間を見込んでおきます。

実機と評価環境での経験の確かめ方

組み込みの経験は、職務経歴書に並んだ言語やマイコンの名前だけでは測れません。job tagのタスクの一覧でも、実機で確かめる仕事を多くの人が担っています。*1

西日の入る評価室で技術者が検査用の治具に試作の基板を合わせ、透明なふたのレバーを下ろしている

  • テストを行う:実施率88.7%
  • 熱暴走などの問題をチェック・監視する:83.0%
  • 各種規格への準拠を確認する:83.0%

ETSSは、プログラムを組み合わせて確かめる工程で使う道具として、オシロスコープ(電気信号を波形で見る測定器)などを挙げています。*2 面接では、こうした道具や試作機で本人が何を確かめたかを聞きます。

面接で聞くことと確かめる点(本記事の整理)
聞くこと 確かめる点
最後に担当した機器と、自分で書いた部分 制御の中心を書いたのか、周辺の一部か
試作機が思うように動かなかったときの調べ方 プログラムの不具合か回路の問題かを、測定器などで見分けたか
メモリや処理時間が足りないときの工夫 限られた資源の中で作った経験があるか
評価に使う試作機や基板を誰が用意したか 評価の環境づくりから担ったか、用意された環境で作業したか
規格への適合の確認への関わり方 試験の計画か、実施か、結果の確認か

ETSSは技術ごとの力を、レベル1の「支援のもとに作業を遂行できる」からレベル4の「新たな技術を開発できる」までの4段階で表します。*2 答えを、支援を受けながらの作業か、自分で進めたかで聞き分けると、任せられる範囲が見えてきます。ただし同じ標準は評価や処遇への適用に留意を求めているため、合否を機械的に決める表ではなく、質問を考える手がかりとして使います。面接全体の組み立てはエンジニア採用の技術面接とスキルの見方で扱っています。

社員か外部かの分け方

job tagは、実際の製品や装置、ネットワークやサーバーが必要なため在宅での仕事は難しく、機密情報を扱う場合は職場で仕事をすると説明しています。*1 一方で、仕事の一部を在宅で行ったり、打合せをリモートで行ったりすることも多くなったとしています。工程ごとに、実機が要るかどうかで確保の方法を分けられます。

工程ごとに向いている確保の方法(本記事の整理)
工程 実機が要るか 向いている方法
試作機での動作の確認、評価の環境づくり 要る 出社できる社員の採用
機器を制御するプログラムの設計と開発 一部で要る 社員の採用。評価用の基板を手元に置けるなら業務委託も
要件の整理、設計書や試験の計画の見直し 要らないことが多い リモートで加わる業務委託の専門人材
サーバー側やスマートフォンの画面の開発 要らないことが多い 業務委託か、リモートワークの社員の採用

外部の人材に一部を頼むときは、契約の前に次の点を決めておきます。

  • 試作機や評価用の基板を社外へ持ち出してよいか、持ち出すならどの範囲か
  • 回路図や仕様書などの資料を、どこで、誰が見られるか
  • 実機での確認は社員が行い、結果を外部の人材に返す流れにするか
  • 契約が終わったときの、資料と機材の返し方

関連する記事:製造業のエンジニア採用で業界経験を問う範囲/業務委託エンジニアの権限管理/組み込みエンジニア不足を受託で補う進め方。契約の細かい扱いは、契約書と専門家に確かめてください。

まとめ:組み込みエンジニア採用で確かめたい3つの点

組み込みエンジニアの採用で確かめておきたい点は3つです。第一に、回路や機械の担当とどこで仕事を分けるかを決め、「作れる」と「使える」を分けて求人票に書くこと。第二に、採れるまでと育つまでの両方の期間を計画に入れること。第三に、試作機や測定器で本人が何を確かめたかを面接で聞き、実機が要る工程は社員、要らない工程は外部人材と分けることです。

LASSICに相談するメリット

任せたい範囲がマイコンのプログラムまでか、通信やサーバー側まで含むかが決まれば、確保の方法を選ぶ段階です。実機を扱う工程は社員の採用で、要件の整理やサーバー側の開発のようにリモートでできる工程は業務委託の専門人材で、という分け方でご相談いただけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

組み込みの経験が無いソフトウェアエンジニアを採用してもよいですか

採用はできますが、限られたメモリや処理時間の中で作る経験は入社後に積むことになります。経験者と組ませる体制と、育つまでの期間を計画に入れておきます。

資格を必須の要件にしたほうがよいですか

job tagは、この職業に入るにあたって特に学歴や資格は必要とされないとしています。*1 資格は歓迎の要件にとどめ、面接で試作機や測定器を使って何を確かめたかを聞くほうが、実務の深さを確かめやすくなります。

英語の力は要件に入れるべきですか

job tagは、海外メーカーの部品やソフトウェアを使うことが多く、それらの資料を不自由なく読める英語力が必要になると説明しています。*1 話す力か資料を読む力かを決めて、求人票に書いておきます。

組み込みの開発を担う人材を相談

任せたい機器と、実機が要る工程が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員で採るか業務委託で頼むか、決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(組込み、IoT)」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/315)。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。どんな仕事?、タスクの実施率、就業するには、入職後の訓練期間、労働条件の特徴、一般的な就業形態、有効求人倍率(ハローワーク求人統計データ・令和7年度・全国)を参照。就業形態・期間・タスクは厚生労働省が2023年度に実施した委託調査結果に基づく掲載(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「組込みスキル標準(ETSS Series)」(https://www.ipa.go.jp/archive/digital/iot-en-ci/etss.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「組込みスキル標準 スキル基準 Version1.2」(2007年7月・PDF)。スキル基準で期待される効果、スキルレベルの定義、開発技術スキルカテゴリ(システム方式設計・ソフトウェア結合など)、ハードウェア開発への適用を参照。本事業は2005〜2009年度に実施(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)




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