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PM(プロジェクトマネージャー)の外部委託と社員採用の違い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 外部のPMには計画づくりや進捗・課題の管理を任せ、目的・予算・優先順位の決定と承認は社内に残します。
- PMはいるが手が回らないならPMO支援、PMがいない期間を埋めるなら外部のPM、続けて率いる人が要るなら社員採用が合います。
- 費用は稼働の量・期間・範囲で決まるため、条件をそろえて見積もりを比べ、引き継ぎの方法まで契約の前に決めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
新しいシステムの開発が決まったのに、プロジェクトを率いる人が社内にいない。社員で採るには時間がかかるので、まずは外部委託で経験のある人に入ってもらえないか——。こうした相談はよく聞かれます。PM(プロジェクトマネージャー)とは、システム開発のプロジェクトで計画から完了までを取り仕切る役割の人です。
外部のPMに頼むと決めても、どこまで任せるか、PMO支援と何が違うか、費用は何で決まるかで迷いがちです。本記事では、その分け方と比べ方、契約前に決める点を、IPA(情報処理推進機構)の資料と国のガイドラインをもとに整理します。
目次
外部のPMに任せる仕事と社内に残す判断
IPAはプロジェクトマネージャ試験の「業務と役割」として、プロジェクト計画の作成、チームの編成、問題やリスクへの対応、関係者とのコミュニケーション、計画と実績の分析・評価を挙げています。*1 これらはプロジェクトを前に進める仕事で、外部のPMに任せやすい部分です。

一方で、頼む側の会社が自分で決めることもあります。IPAの「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」は、システム開発を頼む側(発注者)の行動規範として、次の3つを挙げています。*2 開発会社に頼む場面の資料ですが、外部のPMを迎えるときにも手がかりになります。
- 「発注者は、情報システム構築の目的を明確にする。」(原理原則[8])
- 「発注者は、システムのライフサイクルにわたって投資対効果(ROI)を算定する。」(原理原則[7])
- 「発注者は、要件の優先順位付けをする。」(原理原則[16])
外部のPMに当てはめた分け方は次のとおりです。
| 仕事 | 外部のPMに任せる | 社内に残す |
|---|---|---|
| 目的と方針 | 関係者に方針を伝える資料づくり | 何のためのプロジェクトかを決める |
| 予算 | 予定と実績の管理、超過の見込みの報告 | 予算の額と増額を決める |
| 優先順位 | 要望を一覧にして、先に作る順番の案を出す | どの機能を先に作るかを決める |
| 計画と進行 | 計画の作成、進捗・課題・リスクの管理 | 計画を承認する |
| 体制 | 役割分担の案づくり、開発会社とのやり取り | 契約の相手を決める、社員を評価する |
同じ資料の原理原則[2]は、誰が承認するか、どのように承認するかを明確にし、承認の証跡を残すことを求めています。*2 外部のPMが加わったら、最初に「決める事項と承認する人の一覧」を一緒に作っておくと、外部のPMが自分で進めてよい範囲がはっきりします。
社員採用・PMO支援・外部PMの違い
PMの不足を埋める方法は、外部委託だけではありません。社員として採る方法と、PMO支援の会社に頼む方法もあります。PMOとは、PMの下で進捗の集計や資料づくり、課題の取りまとめを受け持ち、プロジェクトの運営を支える役割です。選ぶときに使う軸で3つを並べます。
| 観点 | 社員で採る | PMO支援の会社に頼む | 外部のPMに業務委託する |
|---|---|---|---|
| 担う役割 | PMとして率いる | 社内のPMを支える | PMとして率いる |
| 契約 | 雇用契約 | 会社との業務委託契約 | 個人などとの業務委託契約 |
| 費用の払い方 | 給与と賞与、社会保険料などの会社負担 | 担当者の人数と稼働に応じた委託料 | 稼働の量と期間に応じた報酬 |
| 期間 | 期間を定めず続けて働く前提 | 契約期間を決め、更新を見直す | プロジェクトの期間に合わせて決める |
| 仕事の指示 | 上司として日々の業務を指示できる | 担当者への指示は受託した会社が行う | 範囲と報告の方法を契約で決める |
| 社内に残るもの | 判断の経緯と社内の人脈 | 管理の型や資料のひな形 | 記録を残す約束が無いと抜けやすい |
| 向いている場面 | プロジェクトが続けて立ち上がる | PMはいるが管理の手が回らない | PMのいない期間を区切って埋めたい |
仕事の指示には注意が要ります。国のフリーランスガイドラインは、業務の内容や進め方への具体的な指揮命令を、働く人が労働者にあたるかを見る要素の1つに挙げています。*3 仕様書などによる通常の注文者が行う程度の指示なら、その要素にならないとしています。*3 個別の判断は契約書と専門家に確かめてください。
どれが合うかは、社内にPMがいるかどうかと、率いる仕事が続くかどうかで分かれます。
社員で採る場合の要件と経験の確かめ方は「PM(プロジェクトマネージャ)中途採用の要件と経験の見極め方」、PMOを置く場合は「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)採用の進め方と要件」と「PMO支援を外注する費用と進め方」で扱っています。
外部PMの費用の決まり方
外部のPMの報酬は頼む条件で大きく変わるため、本記事では金額の目安ではなく決まり方と比べ方を整理します。主な条件は次の5つです。
- 稼働の量:週に何日、月に何時間関わってもらうか
- 期間:立ち上げの数か月だけか、完了まで通して頼むか
- 範囲:計画づくりから頼むか、進行の管理だけを頼むか
- 働く場所:リモート中心か、決まった日に出社してもらうか
- 求める経験:プロジェクトの規模や業界、関わる開発会社の数
払い方は、月ごとに決まった額を払う形と、関わった時間で精算する形が考えられます。稼働が予定を超えたときの扱いも先に決めておきます。
見積もりは条件をそろえて比べます。IPAの原理原則17ヶ条は、原理原則[6]で「システム化実現の費用はソフトウェア開発だけではない」とし、行動規範に「発注者は、依頼する範囲、内容を漏れなく洗い出し、提示する。」を挙げています。*2 範囲・稼働・期間を書き出してから複数の候補に同じ条件で見積もってもらい、外部のPMの費用も開発の費用とあわせて、プロジェクト全体の予算の中で比べます。
外部PMの選び方と面談で聞くこと
外部のPMは社内の事情を知らずに加わるため、外部の立場で決められないことをどう扱ってきたかが大事です。面談では次のことを1つのプロジェクトに沿って聞きます。

- 外部の立場でPMを務めたとき、誰に報告し、何を自分で決められたか
- 自分で決められない事項が出たとき、誰にどう上げて承認を得たか
- 業務システムの作り替えや新サービスの立ち上げなど、今回と同じ種類のプロジェクトの経験
- 複数の開発会社が関わる体制で、やり取りをどうまとめたか
- 議事録・決定事項・課題の一覧を、どこにどう残してきたか
- 週に何日関われるか、ほかの仕事と掛け持ちしているか
面談は、頼む側が任せる範囲を伝える場でもあります。原理原則17ヶ条は、行動規範に「発注者は受注者との役割分担を明確にし、プロジェクトに積極的に参画する。」を挙げています。*2 最初の節の分け方の表を見せ、社内に残す判断を伝えて相手の受け止め方を確かめておくと、加わったあとのずれを減らせます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
外部のPMを探す前に、次の5つを社内で書き出しておくと、そのまま相談の材料になります。
- 範囲:計画づくり・進行の管理・開発会社とのやり取りのうち何を頼むか。予算と優先順位を決める社内の責任者は誰か
- 期間:最初の契約期間と、更新するかを見直す時期
- 体制:週の稼働日数、出てもらう会議、社内の窓口、報告の頻度
- 費用の決まり方:月額で決めるか稼働時間で精算するか。稼働が予定を超えたときの扱い
- 引き継ぎ:決定事項と課題の一覧をどこに残すか。契約を終えるとき、誰に何を渡してもらうか
フリーランスの個人と契約する場合は、法律で決まった手続きもあります。業務を委託したら、直ちに給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面やメールなどで示します。*4 従業員を雇う会社などが頼む場合、報酬の支払期日は、給付を受け取った日から60日以内で定めます。*4
引き継ぎの方法は始めるときに合意しておきます。外部のPMの手元にしか記録が無いまま契約を終えると、次の担当者が経緯を追えなくなります。外部のPMで回しながら社内のPM候補を育てる進め方は、らしくコラムの「ITプロジェクトマネージャー(PM)不足を外部委託で補う」でも扱っています。
まとめ:PMを外部委託するときの3つの点
PMを外部委託するときに確かめたい点は3つです。第一に、計画づくりや進捗・課題の管理は外部のPMに任せ、目的・予算・優先順位の決定と承認は社内に残すこと。第二に、社内にPMがいるか、率いる仕事が続くかを見て、PMO支援・外部のPM・社員採用のどれが合うかを選ぶこと。第三に、範囲・稼働・期間をそろえて見積もりを比べ、引き継ぎの方法まで契約の前に決めておくことです。
よくある質問
外部のPMに予算の管理まで任せてもよいですか
予定と実績の管理や、超過の見込みの報告は任せやすい仕事です。予算の額や増額を決めることは、社内の責任者に残すのが基本です。IPAの原理原則17ヶ条も、投資対効果の算定を発注者の行動規範に挙げています。*2
PMO支援の会社に頼めば、PMがいなくても回りますか
PMOは、PMの下で進捗の集計や資料づくりを受け持ち、運営を支える役割です。率いる人がいないままでは、決めるべきことが決まらずに止まりやすくなります。PMがいない場合は、外部のPMか社員のPMを先に置くことを考えます。
外部のPMにはどのくらいの期間入ってもらえばよいですか
決まった目安はありません。立ち上げの計画づくりだけを頼むのか、完了まで通して頼むのかで変わります。まず短めの期間で始め、更新のときに範囲と日数を見直す進め方もあります。
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出典
- *1 参考:IPA「プロジェクトマネージャ試験」(https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」。2.業務と役割(プロジェクト計画の作成、チームの編成、問題・リスクへの対応、ステークホルダとのコミュニケーション、計画と実績の分析・評価)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *2 参考:IPA-SEC「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」(『実務に活かすIT化の原理原則17ヶ条』所収・PDF)(https://www.ipa.go.jp/archive/publish/qv6pgp0000000zef-att/000005141.pdf)。出典:独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」(第1条・第2条・第6条・第7条・第8条・第16条の行動規範と基本的な考え方)。本記事では順序を入れ替え、一部の条のみを参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *3 参考:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」(令和3年3月26日策定・令和8年1月1日改定・PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001318001.pdf)。出典:労働基準法における「労働者性」の判断基準のうち、業務遂行上の指揮監督の有無と、仕様書等による通常の注文者が行う程度の指示は肯定する要素とならない例を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:第3条第1項(給付の内容・報酬の額・支払期日等の明示)、第4条第1項(給付を受領した日から60日以内の支払期日)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)