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副業エンジニアの単価の決め方|時給制と月額制の選び方と注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 副業エンジニアの単価は、時給制・月額制・成果物ごとの固定額のどれで払うかを、仕事の形に合わせて先に決めます。
- 月額は週の稼働時間から出し、本業で時間が揺れることを見込んで、月の時間を上限と下限の幅で決めておきます。
- 見積もりは同じ月の時間にそろえ、社員の時間あたりの給与と含まれる費用の違いを踏まえて比べます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
副業のエンジニアに開発を手伝ってもらいたいが、時給で払うか月額で払うか決めきれない。見積もりが届いても、その額が高いのか安いのか比べる物差しがない——。副業人材を初めて受け入れる開発の現場では、こうした迷いが起こりがちです。副業エンジニアの単価とは、本業を持つエンジニアに業務委託で仕事を頼むとき、1時間・1か月・成果物1つといった単位で決める報酬の額を指します。
単価は、払い方と週の稼働時間を組み合わせて決めると、月の費用が読みやすくなります。ただし万能ではなく、副業は本業の都合で時間が揺れるため、決めた時間どおりに進まない月も出ます。本記事では、副業エンジニアに仕事を頼む企業の担当者に向けて、払い方の違い、週の稼働時間との組み合わせ方、社員の時間単価を使った見積もりの比べ方、そして外部に頼むときに確認しておきたい点を整理します。
目次
副業エンジニアの単価とは
単価を決めるとき、まず分けておきたいのは「何に対して払うか」です。副業エンジニアの場合は、時間に払う、1か月の稼働に払う、物に払う、の3つが基本です。同じ仕事でも、どれを選ぶかで月の支払額の決まり方が変わります。
- 時間に払う(時給制):作業時間の記録に単価を掛ける
- 1か月に払う(月額制):月の稼働時間の目安を決め、決まった額を払う
- 物に払う(成果物ごとの固定額):画面1つ・機能1つなど、受け取る物ごとに額を決める
エンジニアに限った副業の単価は、公的な調査では公表されていません。そこで本記事では、単価が何で決まり、見積もりをどう比べるかで答えます。単価を左右するのは、主に次の点です。
- 任せる仕事の難しさと、その技術を持つ人の少なさ
- 打ち合わせへの出席やコードの確認など、作業以外に頼むこと
- 連絡がつく時間帯の条件(平日の日中を求めるかどうか)
- 契約の期間と、月の稼働時間の幅
なお、副業の人を雇用で受け入れると、払う額は報酬ではなく賃金です。厚生労働省のガイドラインは、労働時間規制が適用される労働者は本業と副業の労働時間が通算され、フリーランスなどは通算されないとしています。*6 雇用では割増賃金が要ることがあり、費用の前提が変わります。詳しくは副業人材の受け入れ、後から契約する側の違いにまとめました。
時給制と月額制と成果物ごとの違い
3つの払い方は、どれが得かではなく、仕事の形に合うかで選びます。月の費用が先に読めるか、仕事の量の増減に合わせられるか、社内の確認の手間がどこにかかるかが違います。

| 払い方 | 月の費用 | 向いている仕事 | 社内の手間 |
|---|---|---|---|
| 時給制 | 稼働時間で毎月変わる | 量が読めない調査、不具合の修正、相談への回答 | 作業時間の記録を毎月確かめる |
| 月額制(時間の幅つき) | 幅の中なら一定 | 毎週続く開発、保守、コードの確認 | 幅を超えた月と下回った月の扱いを決めておく |
| 成果物ごとの固定額 | 受け取る物ごとに決まる | 範囲がはっきりした画面や機能の追加 | 完成の条件と、受け取った後の直しの範囲を決める |
場面で分けると、仕事の量が読めない最初の1〜2か月は時給制で始め、量が見えてから月額制に切り替える進め方があります。継続して開発に加わってもらうなら、月額制のほうが双方とも予定を立てやすくなります。作る物がはっきりしているなら、成果物ごとの固定額が向いています。
週の稼働時間と月額の組み合わせ方
月額を決めるときは、先に週の稼働時間を決め、そこから月の時間を出します。労働政策研究・研修機構の2022年の調査では、すべての副業を合わせた1週間あたりの実労働時間は「5時間以上10時間未満」が27.6%で最も多く、「10時間以上20時間未満」が26.7%、「5時間未満」が22.3%と続きました。平均は14.3時間、中央値は10時間です。*1
- 副業の頻度は「週の1~2日程度」が31.4%で最も多い*1
- 週の1~2日程度の人の実労働時間は「5時間以上10時間未満」が34.2%で最も多い*1
職種を問わない数字ですが、副業で頼める時間は週10時間前後が一つの目安です。月額は、時給に週の時間と月の週数を掛けた額をもとに決めます。本業の都合で時間は揺れるので、月の時間は上限と下限の幅で決めておくと精算でもめにくくなります。
- 上限:本業と合わせても無理のない時間にする
- 下限:これを下回ったら時給で差し引くか、翌月に回すかを決める
- 幅を超える作業:事前に承認した分だけ時給で払う
週の時間の決め方は副業エンジニアの稼働時間、依頼の前に決める3つのこと、上限の置き方は副業エンジニアの稼働時間、稼働上限を本業との合計から決めるで詳しく扱っています。
社員の時間単価と見積もりの比べ方
見積もりが妥当かを見るときは、社員の時間あたりの給与と並べると話し合いの材料になります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年6月分の賃金)では、10人以上の企業で働く一般労働者のうち、ソフトウェア作成者の所定内給与額は月35万6,800円、所定内実労働時間は月159時間でした。*2 所定内給与額は、残業代などの超過労働給与額を除いた額です。*3

| 職種 | 所定内給与額(月) | 所定内実労働時間(月) | 1時間あたり | 年間賞与を含めた1時間あたり |
|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア作成者 | 35万6,800円 | 159時間 | 約2,240円 | 約2,820円 |
| システムコンサルタント・設計者 | 50万6,800円 | 173時間 | 約2,930円 | 約4,080円 |
この額は社員に払う給与だけで、社会保険料の会社負担、有給休暇、パソコンなどの機器、採用にかかる費用は入っていません。業務委託ではこうした費用を本人が自分で賄うので、社員の時間単価と同じ額で比べることはできません。見積もりを並べるときは、次の点をそろえます。
- 同じ月の時間に直す(時給なら月の時間を掛けて月額にする)
- 打ち合わせやコードの確認の時間を稼働に含めるか
- 交通費やソフトウェアの利用料などの経費を単価に含めるか
- 消費税を含む額か
外部に頼むときに確認しておきたい点
副業の人を直接探す場合も、人材サービスを通して探す場合も、次の点を先に書き出しておくと見積もりを同じ条件で比べられ、相談もそのまま進みます。
- 範囲:任せる作業と、任せない作業
- 期間:始める日と、最初に条件を見直す時期
- 体制:週の稼働時間の幅、連絡がつく時間帯、社内の窓口
- 費用の決まり方:時給制・月額制・成果物ごとのどれで払うか、幅を超えた月の扱い
- 引き継ぎ:契約が終わるときに渡してもらう資料とコード
額が決まったら書面に残します。フリーランス・事業者間取引適正化等法は、個人に業務委託をしたときは直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメールなどで示すよう定めています。*4 従業員のいる会社が頼む場合、支払期日は給付を受け取った日から60日以内の、できる限り短い期間で決めます。*4 1か月以上続く委託では、通常支払われる対価に比べて著しく低い報酬の額を不当に定めることも禁じられています。*4*5
契約書に書く項目は副業エンジニアと契約する前に本人と確かめる5つのことで整理しています。
まとめ:副業エンジニアの単価で確かめておきたい3つの点
副業エンジニアの単価を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、払い方を仕事の形に合わせて選ぶこと。第二に、週の稼働時間から月の時間を出し、上限と下限の幅で決めておくこと。第三に、見積もりを同じ月の時間にそろえて比べることです。この3点を踏まえておけば、「月額で頼んだのに、思ったほど作業が進まなかった」という事態を避けやすくなります。条件に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
副業エンジニアの時給の相場はいくらですか
公的な調査では公表されていません。物差しとしては社員の給与があり、厚生労働省の統計から計算すると、ソフトウェア作成者の所定内給与額は1時間あたり約2,240円です。*2 業務委託では社会保険料や機器の費用を本人が賄うので、この額と同じにはなりません。
月額制で稼働が少なかった月も同じ額を払うのですか
契約での決め方しだいです。月の時間に幅を設け、下限を下回った月は時給で差し引く、上限を超えた分は事前に承認した分だけ時給で払う、のように決めておく方法があります。どちらも契約の前に書面で決めておき、受け取った後に理由なく額を減らすことは避けます。
副業の人に払う報酬はいつまでに支払えばよいですか
従業員のいる会社が個人に業務委託をした場合、支払期日は給付を受け取った日から60日以内の、できる限り短い期間で決めます。*4 締め日と支払日は契約に書いておきます。
払い方が決まったら相談
任せる作業と週の稼働時間の目安が分かっていれば、そのままご相談いただけます。時給制と月額制のどちらにするか決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」JILPT調査シリーズNo.245(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/documents/0245.pdf)。出典:労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」(2024年7月)。調査実施期間は2022年10月3日〜10月13日、副業者1万1,358人。第2部第4章2(1)(2)、図表2-4-13〜2-4-15(副業の頻度、副業での1週間あたりの実労働時間)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4)。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」。男女計・企業規模計(10人以上)のソフトウェア作成者とシステムコンサルタント・設計者の所定内実労働時間数、所定内給与額、年間賞与その他特別給与額を参照。1時間あたりの額は所定内給与額を所定内実労働時間数で割り、年間賞与を含めた額は(所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額)÷(所定内実労働時間数×12)で計算(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)。出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」調査の概要・主な用語の定義。調査の時期(令和7年6月分の賃金等)、所定内給与額の定義を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *4 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第4条(報酬の支払期日等)、第5条第1項第4号(特定業務委託事業者の遵守事項)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *5 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200号)第1条(法第5条第1項の政令で定める期間を1月とする)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *6 参考:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf)。出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和4年7月改定)3(2)ア(労働時間の通算が必要となる場合)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)