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2026.10.21 らしくコラム

Box移行の5ステップ|ファイルサーバーからの移し方と注意点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

機器室で担当者がファイルサーバーにLANケーブルを差し込み確認表のクリップボードを持つ手元

この記事の結論

  • Box移行は、管理コンソールのBox Shuttleで所有者や権限ごとファイルサーバーから移せます。
  • 棚卸し・分析・対応付け・試しの移行・差分の移行という5つのステップで、小分けにして進めます。
  • 上のフォルダの権限が下に及ぶBoxの仕組みに合わせて、権限の扱いを移行の前に決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

ファイルサーバーの入れ替え時期が近く、Boxへ移すことは決まった。けれども、どのフォルダをどの順に移し、アクセス権をどう引き継ぐのかが決まらない——。ファイルサーバーからクラウドへ移す現場では、こうした段取りの迷いが起こりがちです。Box移行とは、社内のファイルサーバーやほかのクラウドストレージにあるファイルとフォルダを、持ち主やアクセス権の情報も含めてBoxへ移す作業を指します。

移す方法はいくつかありますが、どれも万能ではなく、権限の仕組みの違いやフォルダの件数の目安など、移す前に決めておくことがあります。本記事では、情報システムの担当者に向けて、移行方法の違い、Box移行の5つのステップ、つまずきやすい点、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Box移行とは

Boxの公式ヘルプは、まとまった量のファイルを移す方法として、管理コンソールに組み込まれた移行ツール「Box Shuttle」を案内しています。*1 Box Shuttleは管理者が自分で操作する移行ツールで、社内のファイルサーバーやほかのクラウドストレージなど、10種類を超える移行元からBoxへファイルを移せます。*2

  • 移行元の分析、移行の設定、試しの移行(シミュレーション)、本番の移行、結果のレポートまでを1つの画面で進めます
  • ファイルの持ち主(所有者)、過去の版の履歴、アクセス権もあわせて移せます
  • 標準のツールによる移行は、Boxの法人向けプランなら10TBまで、Enterprise Plusなら20TBまで無料です*1
  • 使うには、移行元のシステムの全体管理者の権限が必要です

機器室の作業机でキーボードのEnterキーを押す手元と奥のサーバーのランプ

ファイルサーバー(社内ネットワーク上の共有フォルダ)から移す場合は、データのあるサーバーか、その共有フォルダをドライブとしてつないだWindowsのPCに、Box Shuttle Windows Agentという常駐ソフトを入れて使います。*6 移行元のデータがBox Shuttleに書き換えられることはありません。

移行方法の違い

Boxへファイルを移す方法は、量と、所有者や権限を引き継ぐかどうかで選びます。公式ヘルプは、少ない量ならドラッグ&ドロップか、フォルダのアップロード(一度に500ファイルまで)を案内しています。所有者を引き継いで移せるのはBox Shuttleだけです。*1

Boxへファイルを移す方法の違い
方法 向いている量・移行元 所有者・権限 進める人
ドラッグ&ドロップ 数個のフォルダやファイル 引き継がない 利用者本人
フォルダのアップロード 一度に500ファイルまで 引き継がない 利用者本人
Box Shuttle(標準のツール) ファイルサーバー、OneDrive for Business、SharePoint Online、Dropbox for Business、Google Drive 引き継げる 社内の管理者
Box Shuttle(拡張のツール) 10TBを超える移行、SharePoint ServerやAmazon S3など標準のツールが対応していない移行元 引き継げる Boxの営業窓口に申し込んで使う
Boxの移行支援サービス 計画づくりから利用者への研修まで任せたいとき 引き継げる Box Consultingの専門家と進める

公式の説明では、標準のツールが合うのは、移行元が対応している、権限の付け方を見直す必要がない、フォルダの構成を変えない、自社で決めた管理項目(メタデータ)が無い、社内に移行を進められる人がいる、という場合です。*3 権限やフォルダ構成をこの機会に作り直したいときは、ツールの操作とは別に、新しい構成を決める作業が要ります。

Box移行の5ステップ

Box移行は、中身を調べてから小分けにして移すのが基本です。公式のガイドに沿うと、次の5つのステップに整理できます。

  • ステップ1:移す範囲を棚卸しする。部署ごとの容量とファイル数を調べ、使用中か保管用か、部署のものか個人のものかで分けます
  • ステップ2:分析のジョブで中身を調べる。ファイルの数と容量、作成日と更新日、持ち主ごとの分布をレポートで確かめます
  • ステップ3:権限と所有者を対応付ける。移行元のアカウントとBoxのユーザーを、メールアドレスをもとに結び付けます
  • ステップ4:試しの移行で結果を見る。データを動かさずに、かかる時間の見込みや、移せないファイルを確かめます
  • ステップ5:差分を移して切り替える。最初にまとめて移した後、新しいファイルや更新分を繰り返し移してからBoxへ切り替えます

Box移行の5つのステップを左から順に並べた流れ図。STEP1 移す範囲を棚卸しする、STEP2 分析のジョブで中身を調べる、STEP3 権限と所有者を対応付ける、STEP4 試しの移行で結果を見る、STEP5 差分を移して切り替える。

ステップ5の差分の移行は、公式が強く勧めているやり方です。Box Shuttleは、移した後にBox側で更新されたファイルを上書きしません。そのため利用者は、切り替えの直前まで元のファイルサーバーで作業を続けられます。*2 移行元のファイルを消すのは、Boxにすべて移ったことを確かめてからにします。

つまずきやすい点

Box移行でつまずきやすいのは、アクセス権の仕組みの違いです。Boxでは上のフォルダの権限が下のフォルダにも及ぶ「ウォーターフォール型」です。ファイルサーバーで下のフォルダごとに細かく分けた権限は、この仕組みとぶつかります。Box Shuttleは、ぶつかったときの扱いを次の3つから選ばせます。*3

フォルダ階層図の下の枝を赤ペンで囲み上の四角を指で指して確かめる2人の手元

  • 権限を広げる:上のフォルダの権限を持つ人に、下のフォルダも見せます。機密のデータが少ないときの選択肢です
  • 権限を絞る:下のフォルダの権限を持たない人を、上のフォルダから外します。機密のデータを含むときの選択肢です
  • ぶつかるファイルを後回しにする:移行元で整理し直してから、後の差分の移行で移します

件数と容量にも、公式の目安があります。*4

  • 1つのフォルダの直下は10万件まで。Box Driveで使うなら1万5,000件まで
  • 1つのジョブは100万件以下に分ける
  • 上限を超える大きさのファイルは移せないため、事前に圧縮か分割をしておく
  • メールの保存ファイル(PST)やデータベースのファイルは、Boxではなく従来のバックアップの仕組みに残す

このほか、移す前に移行先のフォルダから共同作業者を外しておくと、通知メールが大量に送られるのを防げます。権限は最後の差分の移行で付けるか、移行が終わってから付け直します。また、Windows Agentはふつうのアプリとして動くため、入れた人がサインアウトすると転送が止まります。長い移行では、Windowsのサービスとして動かす設定にしておきます。*6

外部に頼むときに確認しておきたい点

Box Shuttleの標準のツールは、社内の管理者が操作する前提の仕組みです。ただ、権限の作り直しまで社内で抱えると負担が大きくなります。Box自身も移行の支援を用意しており、計画づくり、権限の対応付けやフォルダ構成の設計、社内への周知と利用者向けの研修を挙げています。*3 外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

  • 範囲:棚卸し、分析、権限の設計、移行の実行、利用者への説明のうち、どこまでを任せるか
  • 期間:どの部署から順に移すか。差分の移行を何回行い、いつBoxへ切り替えるか
  • 体制:移行元のシステムの管理者と、フォルダごとに移すかどうかを判断できる持ち主が、打ち合わせに出られるか
  • 費用の決まり方:移す容量とファイル数、権限を作り直すかどうか、拡張のツールが要るかで、作業量がどう変わるか
  • 引き継ぎ:移行のレポートをどこに残すか。権限の付け方のルールと、移行後の問い合わせ窓口を誰が持つか

Boxの移行計画の支援では、始める前に、移すデータがどこにあるか、どのくらいの量か、どう移すつもりか、何人が使っているかを尋ねるとしています。*7 この4つに社内で答えられるようにしておくと、外部の見積もりも比べやすくなります。データ移行全般の進め方はシステム移行・データ移行を外注する進め方で扱っています。

まとめ:Box移行で確かめておきたい3つの点

ファイルサーバーからBoxへ移すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、移す範囲を棚卸しし、古いファイルや保管用のファイルを分けてから移すこと。第二に、下のフォルダごとに分けた権限を、Boxのウォーターフォール型の仕組みに合わせて広げるか絞るかを決めること。第三に、試しの移行と差分の移行を重ね、Boxにすべて移ったことを確かめてから元のファイルを消すことです。この3点を踏まえておけば、「切り替えた翌日から、フォルダが開けないという問い合わせが続いた」という事態を避けやすくなります。段取りに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Box移行では、Box Shuttle Windows Agentを移行元のファイルサーバーの近くに置き、Windowsのサービスとして常駐させて長時間の転送を止めない構成にします。設計の段階では、ファイルサーバーのNTFSのアクセス権とActive Directoryのグループを洗い出し、Boxのグループとウォーターフォール型の権限にどう写すか、広げるか絞るかをフォルダごとに決めます。移行では、分析のレポートからフォルダあたりの件数やパスの長さ、ロック中のファイルを確かめ、ジョブを部署ごとに分けて試しの移行で件数と容量を照らし合わせます。切り替え後は、移行のレポートを保管し、権限の付け方のルールを文書にしてお渡しします。

よくある質問

Box移行にはどのくらいの期間がかかりますか

移す量とファイル数、回線の速さで大きく変わります。Box Shuttleの試しの移行では、データの量と回線の帯域をもとに、かかる時間の見込みが時・分・秒で示されます。*2

移したファイルの作成日や更新日は残りますか

残ります。Box Shuttleは、ファイルの作成日や最終更新日といった標準の情報を自動で移します。*3 ただし、保存期限や契約の種類のように自社で付けた管理項目は移らないため、Boxの移行支援サービスへの相談が必要です。

管理者以外の担当者でもBox Shuttleを使えますか

Boxの共同管理者でも、管理コンソールで「Manage Shuttle」の権限を与えられていれば使えます。*8 担当者の役割を共同管理者にしたうえで、この権限を有効にします。

Box移行の段取りと権限設計のご相談

ファイルサーバーの棚卸しからBox Shuttleによる移行、権限の設計、切り替え後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Box Support「Migrate Content」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/360044194113-Migrate-Content)。出典:Box Shuttleでの一括移行(所有者・版の履歴・権限)、全体管理者の権限が必要なこと、標準のツールで10TB(Enterprise Plusは20TB)まで無料、ドラッグ&ドロップ、500ファイルまでのフォルダのアップロードの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Box Support「Introducing Box Shuttle」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/4408651058067-Introducing-Box-Shuttle)。出典:10種類を超える移行元、分析・設定・シミュレーション・移行・レポート、所要時間の見込み、差分の移行の推奨とBox側の更新を上書きしないこと、移行元を消す前の確認の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Box Support「Box Shuttle Standard and Advanced Tooling」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/4408651103379-Box-Shuttle-Standard-and-Advanced-Tooling)。出典:標準のツールが合う条件、拡張のツール(10TB超・対応外の移行元)、対応する移行元、ウォーターフォール型の権限と3つの選択肢、メールアドレスでの所有者の対応付け、ファイル単位の標準メタデータ、移行支援サービスの内容を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Box Support「Preparing Content for Migration」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/360043693654-Preparing-Content-for-Migration)。出典:移す範囲の棚卸しと分類、PSTやデータベースは従来のバックアップに残すこと、共同作業者を外して通知を抑えること、フォルダ10万件(Box Driveは1万5,000件)・ジョブ100万件の目安、大きなファイルの扱いを参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Box Support「Migrating Content from File Servers to Box」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/4407874043283-Migrating-Content-from-File-Servers-to-Box)。出典:Windowsとネットワーク共有フォルダからの移行手順、移行元のデータを書き換えないこと、分析ジョブとシミュレーションの説明を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Box Support「Box Shuttle Windows Agent」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/16335444117139-Box-Shuttle-Windows-Agent)。出典:Windows Agentを入れる場所、アプリとして動く場合にサインアウトで転送が止まること、サービスとして動かす設定の記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Box Support「Content migration planning」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/4401806305299-Content-migration-planning)。出典:事前に尋ねる4つの質問(データの場所・量・移し方・利用者数)と、打ち合わせに参加する関係者(データの持ち主・移行元の管理者)を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Box Support「Accessing Box Shuttle」(https://support.box.com/hc/en-us/articles/16442341518483-Accessing-Box-Shuttle)。出典:管理コンソールのContentのShuttleタブ、共同管理者へのManage Shuttle権限の付与を参照(2026年10月確認)




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