LASSIC Media らしくメディア
FAQシステムの選び方|顧客向けと社内向けの公開と更新の仕組み
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- FAQシステムは、よくある質問と回答を登録し、顧客や社員が自分で探せる形で公開して更新まで管理する仕組みです。
- 問い合わせをツールで受けているなら、そのツールのFAQ機能から始めると返信とFAQを別々に直す手間が減ります。
- 選ぶときは公開範囲・更新の流れ・窓口との連携・探しやすさの4点を確かめ、更新の担当を先に決めておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
同じ質問への回答を、窓口の担当者が毎回書き直している。Webサイトの「よくある質問」が、何年も前の内容のまま残っている——。問い合わせを受ける部署では、こうした食い違いが起こりがちです。FAQシステムは、よくある質問と回答を登録し、顧客や社員が自分で探せる形で公開して、更新まで管理するための仕組みです。
問い合わせの件数を減らす手段として使われますが、ただし万能ではなく、入れたあとに誰が回答を直すのかが決まっていないと、古い回答が残り続けます。本記事では、FAQの公開と更新を任された法人の担当者に向けて、FAQシステムの形の違い、公開と更新の仕組み、選ぶときに見る点、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
FAQシステムとは
行政のWebサイトにも同じ考え方があります。デジタル庁のウェブコンテンツガイドラインは、各府省に対して「重要な提供情報や頻度の高い質問等に対しては、各府省の考え方、対応等について説明する欄を設ける」ことを求めています。*1 企業のFAQシステムは、こうした回答集を、登録から公開、更新まで1つの画面で扱えるようにした仕組みです。
- 質問と回答を1件ずつ登録し、分類(カテゴリ)ごとにまとめます
- 読む相手を、顧客向け(社外に公開)と社内向け(担当者だけが読む)に分けます
- 読む人がキーワードで検索し、自分で答えを探せるようにします
- 下書き・公開・非公開の状態を管理し、古くなった回答を直します
社内の手順書や設計資料まで広く蓄えて検索で使い回す仕組みは、ナレッジベースと呼ばれます。FAQシステムと重なる部分もありますが、社内の知識をためる仕組みづくりは社内ナレッジベースシステムの外注の進め方で扱っています。本記事では、問い合わせに答える「よくある質問」を公開し、更新していく仕組みに絞って説明します。
FAQシステムの3つの形
FAQシステムと呼ばれるものには、大きく3つの形があります。どれが合うかは、問い合わせをいまどこで受けているか、FAQをどのくらいの頻度で直すかによって変わります。

| 形 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 問い合わせ管理ツールのFAQ機能 | 問い合わせの管理とFAQが同じ仕組みの中にあり、返信を書くときにFAQを使える | 問い合わせ窓口をすでにツールで管理しているとき |
| FAQ専用のシステム | FAQの登録・公開・検索に絞った仕組み。問い合わせ窓口とは別に動く | 窓口の仕組みは変えずに、FAQだけを先に整えたいとき |
| Webサイトの固定ページ | Webサイトの更新システム(CMS)で、質問と回答を1ページにまとめる | 質問の数が少なく、更新もまれなとき |
選ぶ順番としては、まず問い合わせの受け方を確かめます。ZammadやosTicketのような問い合わせ管理ツールで窓口を運用しているなら、そのツールのFAQ機能から始めると、返信の文面とFAQを別々に直す手間が減ります。ツールそのものの仕組みはZammadとは、2つの違いはosTicketとZammadの違いで扱っています。
公開と更新の仕組み
FAQシステムでいちばん差が出るのが、公開と更新の仕組みです。問い合わせ管理ツールのFAQ機能を例に見てみます。
- Zammad:回答ごとに、誰でも読める「公開」、担当者と編集者だけが読める「社内」、編集者だけが見る「下書き」を選びます。公開する日を指定して予約することもできます*2
- Zammad:初期設定ではFAQを書けるのは管理者だけで、担当者に書かせるには役割(ロール)ごとに編集の権限を付けます*3
- osTicket:FAQごとに公開か非公開(社内向け)を選びます。顧客の画面に出すには、FAQとそれが入る分類の両方を公開にする必要があります*4
- osTicket:FAQは顧客向けの窓口画面の最初のページに載せることも、ログインした人だけが読める形にすることもできます*5
仕組みがあっても、更新の段取りが決まっていなければ回答は古くなります。先のガイドラインも、各府省がWebサイトの掲載情報について「最新の状態を維持管理するよう努める」としています。*1 FAQでは、図のように問い合わせの記録から質問を拾い、下書きを書いて確認し、公開したあとも新しい問い合わせを見て回答を直す、という流れを最初に決めておきます。
選ぶときに見る4つの点
FAQシステムを比べるときは、機能の数ではなく、自社のFAQを誰に向けて公開し、誰が直すのかに合うかで見ます。次の4つの点を確かめておくと、入れたあとで仕組みを選び直さずに済みます。
- 公開範囲:顧客向けと社内向けを1つの仕組みで分けられるか。分類ごとに読める人を変えられるか
- 更新の流れ:下書きと公開を分けられるか。公開日を予約できるか。書く人と確認する人を分けられるか
- 窓口との連携:問い合わせへの返信でFAQを使えるか。問い合わせの種類とFAQを結びつけられるか
- 探しやすさ:全文検索(本文まで含めた検索)や分類から、読む人が答えにたどり着けるか
窓口との連携は、製品によって形が違います。Zammadでは、問い合わせへの返信を書く画面からFAQの回答を検索し、本文に差し込めます。*2 osTicketでは、FAQを問い合わせの種類(ヘルプトピック)に結びつけておくと、顧客が種類を選んだときに関係するFAQだけを表示できます。*4
ツールの設定で4つの点を満たせないときは、開発も選択肢になります。会員の契約内容ごとに見せるFAQを変えたい、自社の業務システムの画面の中にFAQを出したい、といった要件がその例です。入れるか作るかは、4つの点のうちどこが設定だけでは足りないかを書き出してから判断すると、迷いが少なくなります。
外部に頼むときに確認しておきたい点
FAQシステムの導入や構築を外部に頼むときは、ツールの設定だけでなく、FAQの中身と更新の体制まで話し合っておくと、公開後に回答が古くなるのを防げます。見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:ツールの設定、既存FAQの移行、分類の設計、担当者への操作説明のうち、どれを任せるか
- 既存FAQの移行:Webサイトや共有フォルダにある回答を誰が整理し、古い回答をどう見分けるか
- 権限の設計:誰が書き、誰が確認して公開するか。社内向けの回答が顧客に見えない設定になっているか
- 窓口との連携:問い合わせ管理ツールとつなぐか。つなぐなら返信での利用や問い合わせの種類との結びつけをどう設定するか
- 運用後の見直し:問い合わせの記録を見て、FAQを追加・修正する場を誰がいつ持つか
特に権限の設計は、公開後に気づくと影響が大きい点です。Zammadの説明書も、公開の回答はいつでも誰でも読めること、社内向けの回答を読む権限を付けた人には社内の回答が見えることに注意を促しています。*2 公開範囲の設定は、画面を見ながら委託先と一緒に確かめておきます。
まとめ:FAQシステムで確かめておきたい3つの点
FAQシステムを選んで運用するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、問い合わせをどこで受けているかを確かめ、窓口のツールのFAQ機能・FAQ専用のシステム・Webサイトの固定ページのどれで始めるかを決めること。第二に、顧客向けと社内向けの公開範囲と、書く人・確認する人を分けておくこと。第三に、問い合わせの記録からFAQを直す見直しの場を、公開の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「FAQを公開したのに、古い回答のせいで同じ問い合わせが減らない」という事態を避けやすくなります。仕組みの選び方や既存FAQの移行に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
FAQは何件くらい用意してから公開すればよいですか
決まった件数はありません。まずは問い合わせの記録を見て、繰り返し届いている質問から登録し、少ない件数でも公開して始める方法があります。公開したあとに新しい問い合わせを見て足していくほうが、読む人が本当に知りたい質問に近づきます。
顧客向けと社内向けで別々のシステムが必要ですか
必ずしも必要ではありません。ZammadやosTicketのように、回答ごとに公開と社内向けを選べる仕組みもあります。*2*4 ただし設定を誤ると社内向けの回答が顧客に見えてしまうため、公開範囲の確認は公開の前に行います。
英語など複数の言語でFAQを公開できますか
製品によってはできます。Zammadでは公開する言語を選べ、読む人の言語の設定に合わせて表示が切り替わります。*3 まだ訳していない回答はその言語では表示されないため、訳す担当と順番も決めておきます。
FAQシステムの導入と運用のご相談
ZammadやosTicketなどのFAQ機能の設定から、既存FAQの移行、公開と更新の運用づくりまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:デジタル庁「DS-680.2 ウェブコンテンツガイドライン」(2025年9月30日 デジタル社会推進会議幹事会決定)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/a02f877e/20250930_web_content_guidelines.pdf)。出典:5.2「回答集の提供」と16.2「最新性の確保」の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Zammad User Documentation「Knowledge Base」(https://user-docs.zammad.org/en/latest/extras/knowledge-base.html)。出典:回答の公開範囲(公開・社内・下書き・予約)、問い合わせの返信への回答の差し込み、権限の注意書きの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Zammad Admin Documentation「Knowledge Base」(https://admin-docs.zammad.org/en/latest/manage/knowledge-base.html)。出典:初期設定の編集権限、多言語対応、独自URL、全文検索、予約公開の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:osTicket Docs「Agent Panel > Knowledgebase」(https://docs.osticket.com/en/latest/Agent/Knowledgebase/Knowledgebase.html)。出典:FAQの公開・非公開、分類とFAQの両方を公開にする条件、ヘルプトピックとの対応づけの記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:osTicket Docs「User Portal > Knowledgebase」(https://docs.osticket.com/en/latest/User/Knowledgebase/Knowledgebase.html)。出典:顧客向け画面でのFAQの掲載とログインの要否の記述を参照(2026年10月確認)