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Magentoの保守会社の選び方|版ごとのサポート期限と確認点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Magentoには無償のMagento Open Sourceと有償のAdobe Commerceがあり、Adobeから届く修正の範囲が違います。
- Adobe Commerceは公開から3年が標準のサポート期間で、2.4.7の標準サポートは2027年5月31日に終わります。
- 保守会社には修正版の当て方と版上げの計画、PHPなどまわりのソフトウェアの管理まで確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
Magentoで作ったネットショップを、作った会社がもう保守できないと言ってきた。いまの版がいつまで修正を受けられるのか、社内の誰も答えられない——。開発から年数の経ったネットショップでは、こうした事態が起こりがちです。Magentoは、ネットショップを作るためのソフトウェアで、無償のMagento Open Sourceと、Adobeが有償で提供するAdobe Commerceの2つがあります。
保守会社には、拡張機能や改修の中身を理解して修正版を当て続ける力が求められます。ただし、Magento Open Sourceには延長サポートの修正が届かないため、版上げを先送りできる期間には限りがあります。本記事では、Magentoの保守を外部に頼みたい情報システムの担当者に向けて、2つの製品の違い、版ごとのサポート期限、保守で頼む作業、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
Magentoとは
Magento(マジェント)という名前は、いまは2つの製品を指します。無償で公開されているMagento Open Sourceと、Adobeが有償で提供するAdobe Commerceです。GitHubの説明では、Magento Open Sourceはネットショップを一から作るための基本的な機能を備えたソフトウェアとされ、より多くの機能が要る場合にはAdobe Commerceを勧めています。*5
- Magento Open Sourceのソースコードは、OSL 3.0(改変した部分も公開する条件つきのライセンス)で公開されています*5
- Adobe Commerceは、Adobeとの契約に基づいて使う有償の製品で、契約の条件がOSL 3.0に優先します*5
- どちらも2.4.8のような同じ版番号で出ていて、版ごとのリリースノートが公開されています*6
- サーバー側はPHPと、MariaDBなどのデータベース、OpenSearch(商品検索の仕組み)などを組み合わせて動きます*4
保守会社を探す前に、自社のサイトがどちらの製品の、どの版で動いているかを確かめておきます。製品によって、Adobeから届く修正の範囲が違うからです。
Adobe Commerceとの違い
2つの製品は、使う条件と含まれるもの、そして修正版がいつまで届くかが違います。保守会社に頼む作業の量を左右するのは、特に最後の点です。主な違いを表にまとめます。
| 項目 | Magento Open Source | Adobe Commerce |
|---|---|---|
| 使う条件 | OSL 3.0で無償で使える | Adobeと契約して費用を払う |
| 含まれるもの | ネットショップを作る基本的な機能 | クラウドの基盤とホスティング、AIを使った商品の見せ方や分析も含む |
| 延長サポートの修正 | 提供されない | 版によっては標準の期間の後も届く |
Adobeは、延長サポートの期間に出すセキュリティの修正はAdobe Commerceの利用者だけに提供し、Magento Open Sourceには提供しないと明記しています。*3 Magento Open Sourceのサイトでは、修正が届く間に版上げを済ませる計画を、保守会社と一緒に持っておく必要があります。
版ごとのサポート期限
Adobe Commerceは、各版の一般公開の日から3年間を標準のサポート期間とし、その間に不具合の修正とセキュリティの修正を出すと定めています。*1 2.4.6と2.4.7には、標準の期間の後に1年の延長サポートが追加の費用なしで付きます。*1 2026年10月時点の公式サイトに載っている期限は次のとおりです。

| 版 | 標準サポートの終了 | 延長サポートの終了 |
|---|---|---|
| 2.4.9 | 2029年5月31日 | 未定 |
| 2.4.8 | 2028年5月31日 | 未定 |
| 2.4.7 | 2027年5月31日 | 2028年5月31日 |
| 2.4.6 | 2026年8月11日に終了 | 2027年8月31日 |
| 2.4.5 | 2025年8月12日に終了 | 2026年8月11日に終了 |
| 2.4.4 | 2025年4月12日に終了 | 2026年4月14日に終了 |
2.4.4から2.4.6には、延長サポートの後にセキュリティの修正だけが届く一度きりの移行期間が設けられ、2.4.4と2.4.5は2027年5月31日、2.4.6は2028年5月31日に終わります。*12.4.3以前と2.3系は、2022年に通常のサポートが終わっています。*2
Adobeのクラウドで動かしている場合は、さらに期限があります。2027年6月1日からは、サポートの切れた版のクラウド環境をAdobeが保守しなくなり、通信を止めることもあるとされています。*1
Magentoの保守で頼む作業
Magentoの保守は、修正版を当て続けることが中心になります。セキュリティの修正版は2.4.7-p10のように末尾に「-p」と番号が付いた形で出て、前の版の修正もまとめて含みます。*3 修正版を当てるまでの流れは、次の4つの段階です。
- 修正版の公開を知る:Adobeのセキュリティ情報を見て、自社の版が対象かを確かめる
- 影響を調べる:追加した拡張機能(機能を足す部品)や自社向けの改修が動くかを確かめる
- 検証環境で確かめる:本番と同じ構成の環境で、注文や決済が最後まで通るかを試す
- 本番に当てる:止める時間を決めて当て、戻す手順とバックアップを用意しておく
忘れやすいのが、まわりのソフトウェアのEOL(修正の提供の終了)です。Adobeは、PHPやデータベースなど他社のソフトウェアの修正は出さず、サポートの続く版に保つのは利用者の責任だと明記しています。*1 これらの版の管理も保守に含めるかを決めておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
Magentoの保守を外部に頼むときは、費用を比べる前に次の点を確かめます。保守会社を選ぶときの一般的な確認点はシステム保守会社の選び方で扱っています。

- 修正版の当て方:Adobeの修正版が出てから、検証と本番への適用までをどの手順で進めるか
- 版上げの計画:いまの版の期限を見て、次の版へ上げる時期と費用を保守と分けて出せるか
- 拡張機能の管理:入っている拡張機能の一覧を作り、版上げのたびに動作を確かめられるか
- まわりのソフトウェア:PHPやデータベースなどの版を、期限が来る前に上げる計画を持てるか
- 障害時の連絡:注文や決済が止まったときの連絡先と、復旧までの手順を決めているか
特に版上げの計画は、毎月の保守に含めたつもりで抜けやすい点です。ネットショップの運用全体の外部委託についてはECサイト運用保守の外注にまとめています。
まとめ:Magento保守で確かめたい3つの点
Magentoの保守会社を選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社のサイトがMagento Open SourceとAdobe Commerceのどちらで、どの版かを確かめること。第二に、その版の標準サポートと延長サポートの期限を公式サイトで確かめ、版上げの時期を決めること。第三に、修正版の当て方と、PHPなどまわりのソフトウェアの管理まで保守に含めるかを決めることです。この3点を踏まえておけば、「保守会社は替えたが、気づけば修正の届かない版で動いていた」という事態を避けやすくなります。版上げや引き継ぎの進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
PHPの版も保守会社に見てもらう必要がありますか
見てもらうことを勧めます。Adobeの公式サイトでは、PHP 8.2の修正の提供が2026年12月31日に終わり、2.4.6でPHP 8.2を使っている場合はカード業界の安全基準であるPCIへの適合が危うくなると説明しています。*1 適合の判断は事業者の責任とされているため、版上げの時期は審査を担う機関とも相談します。
Adobeのクラウドで使っていても保守会社は要りますか
使い方によって変わります。Adobeが提供するAdobe Commerce as a Cloud Serviceでは、基盤と修正版の適用、版上げをAdobeが自動で行うとされています。*1 それ以外のクラウド環境では版上げは利用者が進めるため、拡張機能の確認や版上げの作業を保守会社に頼む形が考えられます。
保守会社を替えるとき、何を渡せばよいですか
ソースコードと変更の履歴、サーバーと管理画面に入るための権限の一覧、入っている拡張機能の一覧、決済などつないでいる外部のサービスの契約者を渡します。残っている不具合の一覧もあると、新しい保守会社が状態を早くつかめます。
Magentoの保守と版上げのご相談
Magentoの修正版の適用から、拡張機能の確認、次の版への版上げまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Adobe Experience League「Adobe Commerce lifecycle policy」(https://experienceleague.adobe.com/en/docs/commerce-operations/release/planning/lifecycle-policy)。出典:3年間の標準サポート、2.4.6と2.4.7の延長サポート、版ごとの期限の表、セキュリティの修正だけの移行期間、クラウド環境の扱い、他社ソフトウェアの責任、PHPの期限とPCIへの適合、Adobe Commerce as a Cloud Serviceの記述を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)
- *2 参考:Adobe Experience League「Released versions」(https://experienceleague.adobe.com/en/docs/commerce-operations/release/versions)。出典:版ごとの公開日と通常のサポートの終了日(2.4.0〜2.4.3、2.3系)を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)
- *3 参考:Adobe Experience League「Security patch release notes」(https://experienceleague.adobe.com/en/docs/commerce-operations/release/notes/security-patches/overview)。出典:セキュリティの修正版の番号の付け方と内容、延長サポートの修正がMagento Open Sourceに提供されないことの記述を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)
- *4 参考:Adobe Experience League「System requirements」(https://experienceleague.adobe.com/en/docs/commerce-operations/installation-guide/system-requirements)。出典:PHP・MariaDB・OpenSearch・Valkey・RabbitMQ・Composerなどの組み合わせの記述を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)
- *5 参考:magento/magento2(GitHub)(https://github.com/magento/magento2)。出典:READMEのMagento Open SourceとAdobe Commerceの説明、ライセンス(OSL 3.0と契約の条件)の記述を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)
- *6 参考:Adobe Experience League「Magento Open Source 2.4.8 release notes」(https://experienceleague.adobe.com/en/docs/commerce-operations/release/notes/magento-open-source/2-4-8)。出典:Magento Open Sourceの版ごとのリリースノートの記述を参照(2026年10月22日確認)(2026年10月確認)