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OpenStackとVMwareの違い|仕組みと構築の進め方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- OpenStackは計算・ストレージ・ネットワークをAPIで割り当てる、オープンソースのクラウド基盤のソフトです。
- VMware vSphereが仮想マシンを動かす製品なのに対し、OpenStackはその上で資源を貸し出す層にあたります。
- 構築は検証環境から始め、半年ごとの新しい版に合わせた更新の計画を最初に決めておくことが大切です。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
VMwareの契約更新を前に、ほかの基盤も調べておくよう言われた。候補にOpenStackが挙がったが、VMwareと何が違うのか説明できない——。仮想化基盤の見直しを任された情報システム部門では、こうした戸惑いが起こりがちです。OpenStack(オープンスタック)は、データセンターのサーバー・ストレージ・ネットワークをまとめて管理し、利用者に割り当てるためのオープンソースのソフトウェアです。
利用部門が自分で仮想マシンを作れる社内クラウドを持ちたいときに候補になります。ただし万能ではなく、組み合わせるサービスが多いぶん構築と更新に手間がかかります。本記事では、VMwareからの移行先を調べている担当者に向けて、OpenStackの仕組み、VMware vSphereとの違い、向いている場面、構築の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
OpenStackとは
OpenStackの公式サイトは、OpenStackを「クラウドのOS」と説明しています。データセンターの計算・ストレージ・ネットワークの資源をまとめて扱い、共通の認証の仕組みを持つAPI(ほかのソフトから操作するための窓口)で管理し、割り当てる、という位置づけです。*1 利用者はWebの画面(ダッシュボード)からも資源を用意できます。
- ライセンスはApache 2.0(商用での利用も認められたオープンソースのライセンス)です
- 開発はコミュニティーが担い、OpenInfra Foundationという団体が支えています
- 1つのソフトではなく、認証・計算・ネットワークなど役割ごとのサービスを組み合わせて動かします*2
- 新しい版は半年ごとに公開されます*4
米国国立標準技術研究所(NIST)は、利用者が計算・ストレージ・ネットワークなどの資源を自分で用意してOSやアプリケーションを動かせるサービスをIaaS、1つの組織が専用で使うクラウドをプライベートクラウドと定義しています。*5 OpenStackを社内に入れることは、この「自社専用のIaaS」を持つことにあたります。
VMware vSphereとの違い
VMwareのサーバー仮想化の中心にあるvSphereは、ESXiというハイパーバイザー(仮想マシンを動かすソフト)と、多数のESXiを1か所で管理するvCenter Serverなどで構成されます。*6 一方のOpenStackは、仮想マシンを動かす部分を自前では持ちません。Nova(計算資源を受け持つサービス)が、下にあるハイパーバイザーを操作する作りです。*3

| 項目 | VMware vSphere | OpenStack |
|---|---|---|
| 位置づけ | サーバー仮想化のソフト一式 | 資源をAPIで割り当てるクラウド基盤のソフト |
| 仮想マシンを動かす部分 | ESXi | KVMなど、対応するハイパーバイザーから選ぶ |
| 全体の管理 | vCenter Serverがホストと仮想マシンを集中して管理する | 認証・イメージ・計算・ネットワークなどのサービスが連携する |
| 操作の窓口 | vSphere Client | ダッシュボードとAPI |
| 提供の形 | Broadcom社の製品。ライセンスを集中して管理する仕組みがある*7 | Apache 2.0のオープンソース |
両者の差は優劣ではなく、作りの考え方の違いです。OpenStackは、仮想マシンを動かす層の上で「誰が・どれだけ資源を使うか」をAPIで扱う層にあたります。Novaは複数のハイパーバイザーに対応しますが、多くの導入では1種類だけを使います。*3 なお、KVMとLinuxコンテナを1つの画面で管理するProxmox VEはサーバー仮想化の基盤にあたり、*9 その構築はProxmox VEで仮想化基盤を外注構築で扱っています。
向いている場面・向いていない場面
OpenStackは入れるだけで管理が楽になる仕組みではありません。いまの使い方と、これから変えたい使い方を比べて判断します。
- 向いている:開発チームや利用部門が、自分で仮想マシンやネットワークを用意できる社内クラウドを作りたい
- 向いている:仮想マシンの作成や削除を、ほかのシステムからAPIで自動化したい
- 向いている:特定の製品の契約条件に左右されない基盤を、自社の手で持ち続けたい
- 向いていない:少人数の管理者が数十台ほどの仮想マシンを作って配るだけの使い方
- 向いていない:半年ごとの新しい版に合わせた更新に、担当者の時間を割けない
VMwareの契約見直しをきっかけに移行先を探す場合、いまの使い方が「管理者が仮想マシンを作って配る」形なら、仮想化の製品どうしで比べ、「利用者が自分で作る」形に変えたいならOpenStackを候補に加えます。ライセンス改定の影響と移行の判断はVMwareライセンス改定後の移行判断と外注活用にまとめています。
構築の進め方
OpenStackの構築は、どのサービスをどのサーバーに置くかを決める作業が中心です。次の4つの段階で進めると、本番で構成を作り直さずに済みます。
- ステップ1:いまの仮想マシンの台数と使い方、利用者が自分で作る範囲を洗い出す
- ステップ2:必要なサービスと、サーバー・ネットワークの構成を設計する
- ステップ3:検証環境を組み、既存の仮想マシンを動かして確かめる
- ステップ4:本番環境を構築し、版の更新とバックアップの計画を決める
公式の導入手順は、最低限のサービスとして認証(Keystone)・イメージ(Glance)・配置(Placement)・計算(Nova)・ネットワーク(Neutron)をこの順に入れ、画面(Horizon)とブロックストレージ(Cinder)の追加も勧めています。*2 手順書の構成例は2台のサーバーによる最小の形で、学習用であり本番向けではないと明記されています。*8 本番は台数と役割を分けて設計し直します。
外部に頼むときに確認しておきたい点
OpenStackの設計・構築や移行を外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:設計、構築、既存の仮想マシンの移行、操作の説明、運用のうち、どれを任せるか
- 検証の方法:本番の前に検証環境を用意し、主な業務システムを実際に動かして確かめるか
- 更新の計画:半年ごとの新しい版に、どの間隔で追従するか。更新前の確かめ方を文書にするか
- 体制:認証・ネットワーク・ストレージのそれぞれに詳しい担当者がいるか
- 運用後の見直し:利用者の使い方を見て、割り当ての上限や構成を直す場を設けるか
特に更新の計画は、決めないまま運用に入りやすい点です。以前は隣り合う版の間でしか更新を保証していませんでしたが、いまは1つおきの版を「SLURP」と呼び、その版どうしなら1年ごとに更新できます。*4 どちらにするかで必要な人手が変わります。
まとめ:OpenStackで確かめておきたい3つの点
OpenStackを移行先として考えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、いまの使い方が「管理者が配る」形か、「利用者が自分で作る」形に変えたいのかを見極めること。第二に、最小の構成で検証し、本番は台数と役割を分けて設計し直すこと。第三に、半年ごとの新しい版にどの間隔で追従するかを、導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、更新が止まったまま古い版を使い続けている」という事態を避けやすくなります。設計や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
OpenStackは無料で使えますか
ソフトウェアはApache 2.0のオープンソースで、利用料はかかりません。*1 ただし、サーバーやネットワーク機器の費用と、構築・更新・監視の人手は別にかかります。
VMwareの仮想マシンをそのまま移せますか
OpenStackが対応するKVMは、ディスクの形式としてVMwareの形式も扱えると公式の文書に書かれています。*3 ただし、読み込めることと業務システムが問題なく動くことは別です。ドライバーやネットワークの設定を含め、検証環境で1台ずつ起動して確かめてから切り替えます。
1つの版はどのくらいの期間使えますか
公式のリリース一覧では、版ごとに保守の段階と終了の予定日が示されています。*4 たとえば2025年10月に公開された版は、2027年4月に保守を終える予定とされています。導入前に予定日を確かめ、更新の時期を計画に入れます。
OpenStackによる社内クラウド構築のご相談
OpenStackの設計・構築から、VMware環境からの移行、版の更新を含む運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:OpenInfra Foundation「OpenStack」公式サイト(Software Overview・トップページ)(https://www.openstack.org/software/)。出典:OpenStackを計算・ストレージ・ネットワークの資源をAPIで管理するクラウドのOSとする説明、ダッシュボード、Apache 2.0ライセンスの記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:OpenStack Installation Guide「Install OpenStack services」(https://docs.openstack.org/install-guide/openstack-services.html)。出典:最小構成で入れるサービス(keystone・glance・placement・nova・neutron)の順序と、追加を勧めるhorizon・cinderの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:OpenStack Compute (nova)「Hypervisors」(https://docs.openstack.org/nova/latest/admin/configuration/hypervisors.html)。出典:対応するハイパーバイザーの一覧、多くの導入では1種類のみを使うこと、KVMが扱うディスク形式(raw・qcow2・VMware形式)の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:OpenStack「Releases」・Technical Committee「Release cadence adjustment」(https://releases.openstack.org/)。出典:半年ごとのリリース、SLURP(1つおきの版どうしの更新)、各版の公開日と保守段階の予定日を参照(決議文 https://governance.openstack.org/tc/resolutions/20220210-release-cadence-adjustment.html)(2026年10月確認)
- *5 参考:NIST Special Publication 800-145「The NIST Definition of Cloud Computing」(https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/Legacy/SP/nistspecialpublication800-145.pdf)。出典:IaaS(Infrastructure as a Service)とプライベートクラウドの定義を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:Broadcom TechDocs「vSphere Software Components」(VMware vSphere 8.0)(https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vsphere/vsphere/8-0/vcenter-and-host-management/vsphere-concepts-and-features-host-management/vsphere-software-components-host-management.html)。出典:ESXi(ハイパーバイザー)とvCenter Server(ESXiホストを集中管理するサービス)の説明を参照(2026年10月確認)
- *7 参考:Broadcom TechDocs「vSphere License Management」(VMware vSphere 8.0)(https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vsphere/vsphere/8-0/vcenter-and-host-management/license-management-host-management.html)。出典:ESXiホストやvCenter Serverなどのライセンスを集中管理する仕組みの記述を参照(2026年10月確認)
- *8 参考:OpenStack Installation Guide「Overview」(https://docs.openstack.org/install-guide/overview.html)。出典:構成例が最低2台のノードで仮想マシンを起動する最小の構成であり、本番向けではなく学習のための構成であるとの記述を参照(2026年10月確認)
- *9 参考:Proxmox Server Solutions「Proxmox Virtual Environment」公式サイト(https://www.proxmox.com/en/products/proxmox-virtual-environment/overview)。出典:KVMハイパーバイザーとLinuxコンテナ(LXC)を1つの基盤で扱い、Webの画面で管理するサーバー仮想化の基盤とする説明を参照(2026年10月確認)