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業務委託エンジニアとの定例会議の進め方|議題と議事録の決め方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 定例会議の頻度に決まった回数はなく、モデル契約は個別契約で定める頻度で開き、必要なときは随時開くとしています。
- 議題は進捗報告の項目に沿って決め、議事録には決定事項と継続検討事項、その検討の予定と当事者を残します。
- 作業の細かい指示や本人の評価は受託側の責任者が行い、発注側は区切りの回で契約の実施状況をすり合わせます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
業務委託で加わった外部のエンジニアと定例会議を開きたい。けれども頻度や議題、会議でどこまで話してよいか、評価の話はいつするかと、決めることは多くあります。
本記事では、IPAのモデル契約にある連絡協議会の条項と、厚生労働省の37号告示の資料をもとに、業務委託の定例会議を5つの手順で整理します。資料に直接の答えがない点は「本記事の整理」と書き分けています。
目次
定例会議の頻度と出席者の決め方
業務委託の定例会議は、IPAの「情報システム・モデル取引・契約書」でいう連絡協議会にあたります。モデル契約は、進捗状況、リスクの管理と報告、双方の作業の実施状況、問題点の協議と解決などを話し合うために、連絡協議会を開くと定めています。*1
定例会議を決めてから回すまでは、次の5つの手順で進めます(本記事の整理)。
手順1は、頻度と出席者を契約で決めることです。モデル契約は、連絡協議会を原則として個別契約で定める頻度で定期的に開き、必要なときは随時開くとしています。*1 回数の目安は示されておらず、解説も開催頻度は個別契約に基づくとするだけです。*2 週に何回が正しいという答えはないので、次の点から決めます。
| 決め手 | 確かめる中身 |
|---|---|
| 工程の区切り | 仕様を詰める時期に、定例とは別に検討会を開くか |
| 進捗報告の対象期間 | 報告をどの長さで区切ると、遅れが早く見えるか |
| 発注側が答える課題の量 | 受託側から出た質問を、次の会議まで待たせてよいか |
| 随時開催の決め方 | 定例の間に起きた問題で、誰が臨時の会議を呼ぶか |
仕様を詰める時期の検討会も、モデル契約は「必要と認められる頻度」で開くとしています。出席者は、双方の責任者と主任担当者、責任者が適当と認める者です。*1
議題と議事録のテンプレート
手順2は議題を決めることです。モデル契約では、受託側が取り決めた様式の進捗管理報告を出し、それをもとに遅れの有無と理由・対応策、体制の変更の要否、セキュリティ対策の履行状況、契約の変更が要る事由の有無などを協議します。*1 解説の参考文書には、報告の対象期間・概況・課題・今後の予定といった報告の中身の例が載っています。*2

この2つを合わせて、定例会議の議題のひな形にすると次のとおりです。
| 議題 | 話す中身 | 用意する側 |
|---|---|---|
| 1. 対象期間と概況 | 前回からの期間と全体の進み具合 | 受託側 |
| 2. 作業の状況 | 担当ごとの作業の状況と予定との差 | 受託側 |
| 3. 遅れと対応策 | 遅れの有無と、ある場合の理由と対応策 | 受託側 |
| 4. 課題 | 発注側から出た課題への報告と、受託側から出た質問への発注側の回答 | 双方 |
| 5. 体制と契約 | 人員の交代や増減の要否、契約の変更が要る事由の有無 | 双方 |
| 6. セキュリティ | セキュリティ対策の履行状況 | 受託側 |
| 7. 次回までの予定 | 双方がやる作業と打ち合わせの予定 | 双方 |
手順4は議事録を残すことです。モデル契約では受託側が議事録を作り、発注側の承認を得てから双方の責任者が記名押印します。原案は開催日から〇日以内に出し、発注側は〇日以内に点検し、その間に理由を示して異議を述べなければ承認したものとみなします。*1 日数は空欄で、契約で決めます。
議事録には少なくとも、決定事項、継続検討とされた事項、その検討スケジュールと検討を行う当事者を書きます。*1
| 項目 | 書く中身 | 記入の例 |
|---|---|---|
| 会議名と回 | 定例会議の名前と回の番号 | 〇〇システム開発 定例会議 第〇回 |
| 日時と出席者 | 双方の出席者と役割 | 〇月〇日 発注側と受託側の責任者・主任担当者 |
| 報告の対象期間 | 進捗管理報告が扱う期間 | 〇月〇日〜〇月〇日 |
| 決定事項 | 決まったことと、もとにした報告 | 〇〇画面の確認は〇月〇日までに発注側が行う |
| 継続検討事項 | 決まらずに持ち越したこと | 〇〇の仕様は次回に持ち越す |
| 検討の予定と当事者 | いつまでに誰が検討するか | 〇月〇日までに受託側の主任担当者が案を出す |
| 次回の予定 | 次の会議の日と、それまでの作業 | 第〇回 〇月〇日 |
| 承認の期限 | 原案の提出と点検の期限 | 原案は〇日以内・点検は〇日以内 |
指揮命令にならない進め方
手順3は、会議の場での話し方です。受託会社を通して契約しているとき、労働者派遣か請負かは37号告示に基づいて実態で判断されます。準委任契約でも、実態として発注者と受注者側の労働者の間に指揮命令関係があれば、労働者派遣事業に当たります。*5
厚生労働省のガイドは、発注者との打ち合わせ会議に、管理責任者自身の判断で働く人が同席しても、それのみで直ちに労働者派遣事業とは判断されないとしています。ただし、作業の順序や割り振りの細かい指示が行われたり、作業方針の変更が日常的に指示されたりすると、労働者派遣事業と判断されます。*4
| 場面 | 進め方の例 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 進捗の確認 | 進捗管理報告をもとに予定との差を確かめる | 本人に作業の順序や割り振りを直接指示する |
| 遅れへの対応 | 受託側の責任者に対応策を出してもらう | 本人に残業や休日の作業を直接求める |
| 仕様の説明 | 開発の前提になる要件を説明する | 説明の形で作業の進め方まで細かく決める |
| 方針の変更 | 契約の変更の手続きに回す | 会議の場で作業の方針を毎回のように変える |
アジャイル開発の疑義応答集も、双方の全員が出る会議でも、対等に情報を共有し受注者側の担当者が自律的に進めていれば偽装請負ではないとしています。遅れが出て仕事の割り付けや順序を指示するときは、受注者が自ら指揮命令を行います。*5
会議で決まったことには双方が従いますが、契約の内容の変更は別の手続きによります。*1 作業の範囲を広げる話が出たら、契約の変更として扱います。個人と直接契約する場合や自社の進め方の判断は、弁護士や都道府県労働局など専門家・窓口に確かめてください。
評価をすり合わせる回の置き方
手順5は、評価の話をする回の置き方です。37号告示は、受託会社が自ら行うことの1つに、働く人の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を挙げています。*3 ガイドは、技術的な指導や出来高査定などを受託会社が自ら行うかどうかで判断するとし、管理責任者を通じた定期的な聞き取りや打ち合わせの機会を使って、受託会社が評価を行う例を示しています。*4

発注側が見るのは、人ではなく契約の実施状況です。経済産業省のシステム管理基準も、外部委託の管理活動の例に、外部委託契約の実施状況を評価し、契約どおりに外部委託が行われるよう維持することを挙げています。*6 そこで、評価をすり合わせる回は次のように置きます(本記事の整理)。
- 時期:毎週の定例とは別の回にし、契約の更新の前や工程の終わりなど区切りの時期に置く
- 出席者:発注側の責任者と受託側の責任者。本人を同席させるかは受託側が決める
- 話す中身:成果物の出来、予定との差、議事録に残った継続検討事項の片付き具合
- 伝え方:発注側の受け止めは受託側の責任者に伝え、本人の評価とその伝え方は受託側が行う
- 記録:定例と同じ議事録の形で、決定事項と次の区切りまでの検討事項を残す
成果物の確かめ方は業務委託エンジニアの参画後の評価で、振り返りで聞く点は業務委託エンジニアの離任の予兆で整理しています。偽装請負そのものの見分け方はシステム開発の偽装請負リスクと回避策で扱っています。
外部人材に頼むときに確認しておきたい点
定例会議の形は、外部のエンジニアにどこまでの作業を任せるかで変わります。相談の前に次の点を書き出しておくと、受託側と頻度や議題を決める話が早く進みます。
- 範囲:定例会議で報告してもらう作業の範囲と、進捗管理報告の様式
- 期間:契約の期間と、評価をすり合わせる区切りの時期
- 体制:受託側の責任者と主任担当者、発注側の窓口になる人
- 費用の決まり方:定例会議や議事録の作成にかかる時間を、作業の時間に含めるか
- 引き継ぎ:契約の終わりに議事録と継続検討事項をどう引き継ぐか
業務委託の人材とリモートで働く社員のどちらにするかを比べている段階でも構いません。
まとめ:業務委託の定例会議で決めておく点
業務委託のエンジニアとの定例会議は5つの手順で決めます。頻度と出席者は契約で決め、議題は進捗管理報告の項目に沿わせ、議事録には決定事項と継続検討事項を残します。会議では本人に作業の順序や割り振りを直接指示しません。評価は受託側が行うので、発注側は区切りの回で契約の実施状況をすり合わせます。
よくある質問
議事録は発注側が書いてもよいですか
モデル契約は受託側が議事録を作る形ですが、個別契約で本契約と異なる事項を定めることもできるとしています。どちらが書くかと承認の期限を、契約で決めておきます。
定例会議には毎回エンジニア本人が出る必要がありますか
モデル契約の出席者は双方の責任者と主任担当者、責任者が適当と認める者です。本人が出るかどうかは受託側の責任者が決める形にしておくと、指示の流れが分かりやすくなります(本記事の整理)。
定例会議はオンラインで開いてもよいですか
モデル契約に開き方の定めはなく、運営に関する事項は個別契約で決めるとしています。オンラインで開くなら、議事録の承認の方法もあわせて決めておきます(本記事の整理)。
定例会議で進み具合を共有できる専門人材を探す
任せたい開発の範囲と、定例会議で共有したいことが決まっていれば、そのままご相談いただけます。業務委託とリモートで働く社員のどちらにするかを決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構「情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)〈第二版〉」ひな型(https://www.ipa.go.jp/digital/model/model20201222.html)。出典:IPA。ソフトウェア開発委託基本モデル契約書 第3条(適用範囲)第2項、第4条(個別契約)、第10条(主任担当者)第3項、第12条(連絡協議会の設置)、第21条(外部設計検討会)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構「情報システム・モデル取引・契約書〈第二版〉」(解説付き・2025年4月8日更新)(Word)(https://www.ipa.go.jp/digital/model/ug65p90000001ljh-att/000087884.docx)。出典:IPA。第12条(連絡協議会の設置)の解説と【参考文書4】(進捗管理報告)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:厚生労働省。第2条第1号イ(業務の遂行に関する指示その他の管理)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *4 参考:厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704200.pdf)。出典:厚生労働省。区分基準の具体的判断基準(業務の遂行に関する評価等)、Q&A第2集 Q9(打ち合わせへの請負労働者の同席等)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *5 参考:厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集(第3集)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704257.pdf)。出典:厚生労働省。Q1(準委任契約の場合)、Q3(管理責任者の選任)、Q6(会議や打ち合わせ等への参加)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *6 参考:経済産業省「システム管理基準」(令和5年4月26日)(PDF)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/sys-kanri-2023.pdf)。出典:経済産業省。Ⅱ.2.6(外部委託管理)の管理活動の例を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)