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PDF編集を外注する費用は何で決まるか
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- PDF編集の外注の費用は、月の件数・作業の種類・やり直しの範囲で決まります。
- 件数・作業の種類・文書を社外へ持ち出せるかで、外注と社内の道具のどちらが安いかが決まります。
- 月の件数と作業の種類を表に書き出し、外注の見積もりと道具の年額を並べて上長に出します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
PDF編集を外注する費用を比べるときに押さえるのは、月の件数、作業の種類、社外へ持ち出せる文書かどうかの3点です。外注の見積もりを取る前、上長に提案する前にこの3点を表にまとめ、外注の見積もりと有料の道具の年額を同じ期間で並べると、どちらが安いかを比べられます。
本記事では、毎月のPDFの差し替えや墨消しを抱える担当者が、外注した場合と社内の道具で行う場合の費用を比べ、上長に示すまでの手順を整理します。前半で費用を決める要素と比べる基準を、後半で費用の内訳、道具の版、補助金、文書を委託先に預ける前の確認点を示します。
目次
PDFの手直しが、毎月の残業になっている
取引先から届いたPDFの一部のページを差し替える、契約書の個人名を墨消しする、複数の書類を1つにまとめる。どれも1件なら短い作業ですが、手作業で続けると作業時間に加えて、差し替えの漏れや墨消しの漏れの手直しが積み上がります。
| 悩み | 読む章 |
|---|---|
| 外注の見積もりが妥当か分からない | PDF編集の外注の費用の内訳 |
| 墨消しを外注してよいか不安 | 文書を委託先に預ける前の確認点 |
| 上長に費用をどう説明すればよいか | 上長に示す費用対効果 |
費用を比べる前に、作業の種類ごとに1件の手順を書き出し、かかった時間を自社で測って書き込みます。外注の見積もりも社内の道具の年額も、この数字がないと比べられません。
- 作業の種類は「差し替え」「墨消し」「結合・分割」「形式の変換」のように分けて数える
- 1件の時間には、作業の後の見直しと、誤りに気づいて直した時間も含める
- 月の件数は、多い月と少ない月の両方を書く(月末だけ増えるなら、その波も費用に響く)
費用を押し上げるのは作業の量より「やり直し」
完成の見本や墨消しの対象があいまいなまま依頼すると、戻しと確認が増えます。社内で行っても外注しても、やり直しの分だけ時間と費用がふくらみます。外注の場合は、見積もりの範囲を超えたやり直しが追加の料金になることもあります。
次の3つに答えられるかを確かめてください。答えられない項目があれば、見積もりを取る前に決めておくと、外注した後の戻しを減らせます。
- 作業ごとに完成の見本があるか(差し替えた後の版、墨消しの後の見本など)
- 墨消しの対象を誰が決めているか(決める人がいないと、依頼のたびに確認が往復する)
- 社外へ持ち出せる文書の区分があるか(区分が無いと、外注できる作業の範囲を決められない)
後半では、外注の費用の内訳、社内で使う道具の版と年額、上長に示す比べ方、補助金の対象、文書を委託先に預ける前の確認点を順に確かめます。件数と作業の種類を書き出したところで、作業の切り分けから一緒に整理したい場合は、次の窓口をご利用ください。
外注と社内の道具を比べる4つの基準
外注と社内の道具のどちらが合うかは、次の4つの基準で決まります。1つの基準だけで決めず、4つを同じ表に並べて見るのがおすすめです。
| 基準 | 目安 |
|---|---|
| 件数とページ数 | 月の件数が少なく、月ごとの波が大きいほど、作業ごとの外注が合いやすい |
| 作業の種類 | 墨消しや2つの版の比較が要るかで、必要な道具の版と外注の単価が変わる |
| 情報の扱い | 社外へ持ち出せない文書が多いなら、社内で行う前提で比べる |
| やり直しの取り決め | 見積もりに、やり直しの回数と範囲が入っているかを見る |
件数が少なくても、墨消しのように情報の扱いが厳しい作業が多ければ、社内で行う前提で道具の費用を比べます。反対に、件数が多くても定型の変換や結合が中心で、社外へ持ち出せる文書なら、作業ごとの外注で見積もりを取って比べる価値があります。
月末に墨消しが重なったときの分け方
月末に契約書のPDFの墨消しが重なった場面を例に、一人の担当者がどの順で判断し、社内で行う文書と外注する文書を分けるかを示します。先に分けておくと、外注の見積もりを定型の作業だけで取れます。

| 判断の順 | 確かめること | 分け方 |
|---|---|---|
| 1. 文書を区分する | 社内規程で社外へ持ち出してよい文書か | 持ち出せない文書は社内の道具で行う |
| 2. 作業の種類を見る | 墨消しか、定型の変換・結合か | 持ち出せる文書の定型の変換・結合を外注の候補にする |
| 3. 見本をそろえる | 墨消しの対象と仕上がりの見本があるか | 見本が無い作業は、先に社内で1件仕上げて見本にする |
| 4. 依頼をまとめる | 件数と納期 | 外注する分は件数と納期をまとめて見積もりを取る |
この流れで分けると、外注する作業は見本のある定型の作業に限られるため、やり直しの範囲を見積もりの段階で決めやすくなります。
PDF編集の外注の費用の内訳
PDF編集の外注の費用は、作業の種類と量、納期、やり直しの範囲で組み立てられるため、同じ条件で見積もりを取って並べます。条件が委託先ごとに違うと、金額だけを見ても比べられません。
| 費用の要素 | 見積もりで確かめること |
|---|---|
| 作業の種類 | 差し替え・墨消し・結合・変換のどれを頼むか。1件で数えるか、1ページで数えるか |
| 量 | 月の件数とページ数。最低の料金や最低の件数があるか |
| 納期 | 通常の納期と、急ぎの依頼で料金が変わるか |
| やり直しの範囲 | 料金の内で直す回数と範囲。範囲を超えたときの料金 |
| データの扱い | 受け渡しの方法と、作業の後のデータの消去の方法 |
見積もりを頼むときは、前半で書き出した作業の種類と月の件数を1枚の表にして、どの委託先にも同じ表を渡します。月ごとの波が大きい場合は、多い月と少ない月の両方の件数を書いておくと、最低の料金がかかる月を見落としません。
金額が安く見えても、やり直しが含まれていない見積もりは、戻しが出た月に費用が増えます。比べるときは、やり直しを含めた1か月の金額にそろえてから、同じ期間の合計で並べます。
外注と内製の費用を比べる考え方は、システム開発の場面を扱った内製化と外注のコスト比較でも整理しています。
社内で行う場合の道具の版と年額
社内で行う場合は、墨消しや比較が要るかで必要な版が変わるため、提供元の公式の比較表で機能と料金を確かめます。ある提供元の手順書では、墨消しの機能を上位の版でのみ使えると案内しています。*3
道具を選ぶときに確かめる項目は次のとおりです。製品の名前より先に、自社の作業に要る機能を決めておくと、版を選び間違えません。
- 墨消しの機能があるか、どの版から使えるか
- 2つの版のPDFを比べて違いを示す機能があるか
- 料金が月払いか年払いか、使う人数ごとにかかるか
- 作業する担当者の人数分の利用の権利が要るか
年額は、使う人数と契約の期間をそろえて計算します。外注の費用と比べるときは、どちらも同じ12か月の合計にします。月払いの道具を繁忙の月だけ使う場合は、その月数で計算した金額も並べておくと比べやすくなります。
上長に示す費用対効果
上長には、外注費と道具の年額に担当者の作業時間を足し、同じ期間で比べた表を示します。外注しても依頼・受け取り・確認に時間がかかり、社内で行えば作業そのものに時間がかかるため、どちらも担当者の時間を費用に含めます。

| 項目 | 外注する場合 | 社内の道具で行う場合 |
|---|---|---|
| 支払う費用 | 見積もりの金額の12か月分 | 道具の年額(人数分) |
| 担当者の時間 | 依頼・受け取り・確認の時間 | 作業と見直しの時間 |
| やり直し | 範囲を超えたときの料金 | 手直しにかかった時間 |
| 情報の扱い | 委託先との契約で決める | 社内規程の範囲で行う |
| 合計 | 上の3行の金額の合計 | 上の3行の金額の合計 |
表の数字は、前半で測った件数と時間で埋めます。合計の行を一番下に置き、どちらの合計が小さいかと、情報の扱いの条件を1行で添えると、上長が判断しやすくなります。
比べた結果、どちらも負担が大きい場合は、作業そのものを減らす見方もあります。たとえば次のような方法です。
- 元のWordや表計算のファイルで直してから、必要なときだけPDFに変える
- PDFの読み取りや差し替えの下準備をAIに任せ、担当者は確かめる役に回る
- PDFを直す作業が要る業務の流れそのものを見直す
こうした方法を部署で同じやり方として続けるには、手順と確かめ方を共有する仕組みが要ります。社内で回せる形をつくりたい場合は、業務の流れの見直しから相談するのも一つの手です。
補助金の対象になるかの判断の材料
道具の利用料や導入の費用が補助金の対象になるかは公募の要件で決まるため、事務局の制度の概要で確かめます。中小企業・小規模事業者等向けのデジタル化・AI導入補助金の制度概要では、次の点が示されています。*2
- 対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は、事前に事務局の審査を受け、補助金のホームページに公開(登録)されているもの*2
- 相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれる(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)*2
- 申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで行う*2
使いたい道具が登録されているか、申請の時期に間に合うかを、検討の早い段階で調べておきます。補助金を使える場合と使えない場合の両方の金額を、前の章の表に並べておくと、上長に説明しやすくなります。
文書を委託先に預ける前の確認点
文書を委託先に預ける前は、秘密保持・再委託・データの消去を契約で確かめ、社内で墨消しする場合はマーク・適用・保存の順を守ります。
個人データを含む文書の編集を委託する場合について、個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先に対する必要かつ適切な措置として次の3つを挙げています。*1
- 適切な委託先の選定*1
- 委託契約の締結*1
- 委託先における個人データ取扱状況の把握*1
同じガイドラインは、委託先が再委託を行おうとする場合に、再委託する相手方や業務内容などについて委託先から事前報告を受け又は承認を行うことなどが望ましいとしています。*1これらを踏まえ、契約では次の項目を確かめます。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 秘密保持 | 預けた文書の中身を作業の目的の外で使わないこと |
| 再委託 | 別の会社に作業を回すか。回す場合の事前の報告や承認の方法 |
| データの消去 | 作業の後に預けたデータをいつ・どう消すか。消したことの報告の方法 |
| 受け渡しの方法 | メールの添付か、共有の場所か。誰が受け取るか |
社内で墨消しを行う場合は、手順を飛ばさないことが大切です。ある提供元の手順書は、最初に項目を削除対象としてマークしてから墨消しを適用し、確定すると新しいファイルに保存されるという順を示しています。*3
- 墨消しする箇所をマークする(ページ全体を対象にすることもできる)
- マークした箇所に墨消しを適用する
- 新しいファイルとして保存し、元のファイルと取り違えないようにする
- 保存したファイルで、墨消しした箇所の文字を選べないかを見る
墨消しの機能を使わずに図形で黒く覆っただけの場合、下の文字が消えているとは限りません。見た目で判断せず、保存した後のファイルで確かめます。
まとめ:外注と社内の費用を同じ期間で比べる
PDF編集を外注する費用は、月の件数・作業の種類・やり直しの範囲で決まります。社内の道具で行う場合は、墨消しや比較の機能が使える版の年額に、担当者の作業時間を足して比べます。墨消しが要る文書は、預ける前に契約の中身と社内規程の区分を確かめます。今日からできるのは、月の件数と作業の種類を確認表に書き込み、見積もりを依頼する条件を決めることです。
よくある質問
件数が少なくても外注できますか
最低の料金や件数があるかを、見積もりの前に確かめます。月の件数が少ないと、最低の料金のほうが作業の料金より高くなることがあります。多い月と少ない月の件数を書き添えて見積もりを頼むと、比べやすくなります。
外注と道具の購入はどちらが安いですか
月の件数と作業の種類で変わるため、同じ期間の年額で比べます。外注の見積もりの12か月分と道具の年額に、それぞれ担当者の作業時間を足して並べます。
黒く塗れば墨消しになりますか
墨消しの機能で適用と保存まで行わないと情報が残ることがあるため、手順を確かめます。マーク・適用・保存の順で進め、保存したファイルで文字を選べないかを見ます。
補助金は使えますか
対象になるかは公募の要件で決まるため、事務局の制度の概要で確かめます。使いたい道具が事務局に登録されているかと、申請の時期を早めに調べておきます。
見積もりで何を聞けばよいですか
作業の範囲、やり直しの回数、納期、データの消去の方法を聞きます。どの委託先にも同じ条件の表を渡すと、金額を並べて比べられます。
文書の業務の見直しの相談
月の件数と作業の種類の一覧、社外へ持ち出せる文書の区分と社内規程をお手元にご用意いただければ、話を具体的に進められます。
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出典
- *1 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:3-4-4(委託先の監督)を参照(確認日2026年10月30日)(2026年10月確認)
- *2 参考:デジタル化・AI導入補助金事務局(独立行政法人中小企業基盤整備機構の採択事業)「デジタル化・AI導入補助金制度概要」(https://it-shien.smrj.go.jp/about/)。出典:「デジタル化・AI導入補助金のしくみ」を参照(確認日2026年10月30日)(2026年10月確認)
- *3 参考:アドビ株式会社「機密情報を削除」(チュートリアル)(https://experienceleague.adobe.com/ja/docs/document-cloud-learn/acrobat-learning/advanced-tasks/redact)。出典:墨消しを使える版の注記と、マーク・適用・保存の手順を参照(確認日2026年10月30日)(2026年10月確認)