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業務委託の自動更新条項の文例|止め方と6か月の数え方の9つの疑問
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 自動更新条項には最初と更新後の期間、申出の期限と方法を書き、申出の期限は満了の30日より前に置いておきます。
- 自動更新も契約の更新として期間を通算し、通算6か月以上の契約を発注側から止めるときは満了の30日前までに予告します。
- 印紙は、継続取引の基本契約なら3か月以内でも更新の定めで第7号文書になり、月額の請負契約は更新前の期間で金額を計算します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
業務委託で開発に加わっているエンジニアとの契約に「申出がなければ同じ条件で更新する」と書いておけば、満了のたびに契約書を作り直さずに済みます。ところが、いざ止めようとすると、いつまでに伝えればよいのか、何回も更新した期間はどう数えるのか、印紙は変わるのかといった疑問が出てきます。
本記事では、業務委託の自動更新条項について発注側が迷いやすい点を、9つの問いに分けてQ&Aの形で整理します。答えは、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の条文と国の考え方・Q&A、国税庁の資料で言えることに限っています。
目次
業務委託の自動更新で迷う点
業務委託の契約に自動更新の条項を入れると、満了のたびに契約書を作り直す手間は省けます。その代わり、止めたいときの期限、続けた期間の数え方、印紙の扱いといった点で迷いが出やすくなります。
次の表で、自社の疑問がどの問いに当たるかを確かめてから、該当するQ&Aを読んでください。
| 問いの種類 | 主な疑問 | 答えの決め手 | Q&A |
|---|---|---|---|
| 条項の書き方 | 文言の例、入れておく項目、更新のたびに条件を示し直すか | 契約書の定めとフリーランス法第3条 | Q1〜Q3 |
| 止め方 | 発注側から止める期限、予告を忘れたとき、条件を変えて続けるとき | フリーランス法第16条と国の考え方 | Q4〜Q6 |
| 期間の数え方 | 自動更新でいつ通算6か月以上になるか、空きや発注元の切り替え | 施行令第3条と同法のQ&A | Q7・Q8 |
| 印紙 | 自動更新の定めで印紙税の扱いが変わるか | 印紙税法の別表第一と基本通達 | Q9 |
本記事は、個人のエンジニアや一人で営む会社と業務委託契約を結ぶ発注側の対応に絞ります。満了の前に続けるかを判断する時期と伝え方は業務委託の契約更新の判断ポイントで、契約書に入れる項目の全体は業務委託エンジニアの契約書に入れる7つの項目で扱っています。
自動更新条項の文言のQ&A
最初に、条項そのものの書き方を押さえます。自動更新は法令で形が決まっているものではなく、当事者が契約書で定めるものです。

Q1. 業務委託の自動更新条項はどう書きますか
- 答えの要点:法令に決まった文言はありません。よく使われるのは「本契約の期間は〇年〇月〇日から〇か月とする。期間満了の〇日前までにいずれの当事者からも書面による申出がないときは、同じ条件でさらに〇か月更新し、以後も同様とする。」という形です(本記事の例)。
- 判断の根拠:国税庁の印紙税法基本通達は、「契約期間は1年とするが、当事者異議なきときは更に1年延長する」と書いた契約書を、契約期間の更新の定めがあるものの例に挙げています。*8
Q2. 自動更新条項には何を入れておきますか
- 答えの要点:最初の期間、更新後の期間、止めたいときの申出の期限と方法、条件を見直す時期の4つです。申出の方法は、書面かメールのように記録が残る形にそろえておきます。
- 判断の根拠:フリーランス法の予告は、書面の交付、ファクシミリ、電子メールなどの送信(相手が出力して書面にできるもの)のいずれかで行うと定められています。*3
- 更新の回数に上限を置くかどうかも、ここで決めておきます。
Q3. 自動更新のたびに取引条件を示し直す必要はありますか
- 答えの要点:国のQ&Aは、法の施行日前からの契約が施行後に更新される場面について、更新(自動更新を含む)は新たな業務委託が行われたものと考えるとしています。そのうえで、元の契約書に明示すべき事項がすべて書かれ、更新で変わらなければ、新たな明示は要らないとしています。
- 判断の根拠:フリーランス法第3条*1、同法Q&A 問34*5
- トラブル防止のため、契約書のどの条項がどの明示事項に当たるかを分かるようにしておくことが求められています。条件を変えて更新するときは、変わった事項を書面かメールで示します。
自動更新を止めるときのQ&A
自動更新の契約を止めるときは、契約書の申出の期限と、フリーランス法の予告の期限の両方を見ます。ここでは、相手が従業員を使わない個人や一人で営む会社で、フリーランス法の対象になる場合を中心に整理します。

Q4. 発注側から自動更新を止めるにはいつまでに伝えますか
- 答えの要点:通算6か月以上続く業務委託(継続的業務委託)では、満了後に更新しないことも契約の解除に含まれ、少なくとも30日前までに予告が要ります。予告の日から満了日の前日までに30日を確保するので、8月31日に満了するなら8月1日までに予告します。
- 判断の根拠:フリーランス法第16条第1項*1、同法施行令第3条、同法Q&A 問107*5
- 契約書の申出の期限が30日より短くても、法の予告の期限は変わりません。申出の期限を満了の30日より前に置くと、2つの期限がそろいます(本記事の整理)。
Q5. 予告を忘れて30日を切ったら更新を止められませんか
- 答えの要点:国のQ&Aは、予告をしなかった場合の解除や不更新の効力はフリーランス法に基づいて判断されるものではなく、民事上の争いとして司法の判断などで解決されるとしています。一方、予告の義務に違反すると、厚生労働大臣の勧告の対象になります。
- 判断の根拠:同法Q&A 問108*5、フリーランス法第18条・第19条
- 勧告に従わないと命令、命令を受けるとその旨の公表の対象になり得ます。気づいた時点で相手に事情を伝え、満了日の扱いを話し合います。
Q6. 条件を変えて続けたいときも更新しない扱いになりますか
- 答えの要点:国の考え方は、更新しないことを「契約が満了する日から起算して1か月以内に次の契約を締結しないこと」としています。条件を見直した次の契約を、満了日から1か月以内に結ぶなら、この形には当たりません。
- 判断の根拠:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」第3部4*4
- 相手からの一方的な申出による終了は、発注側の予告の対象に含まれないとされています。新しい条件は、フリーランス法第3条に沿って書面かメールで示します。
6か月の数え方と印紙のQ&A
自動更新は、続けた期間を数えるときにも効いてきます。フリーランス法は、期間の長さで発注側の義務を分けており、更新で続いた期間も通算します。次の図は、3か月の契約を1回自動更新した場合の仮の例です。
Q7. 3か月の契約を自動更新するといつ6か月以上になりますか
- 答えの要点:期間は初日を算入して数え、更新で続いた期間は前後の契約の間の空白期間も含めて通算します。4月1日から3か月の契約が7月1日に自動更新されると、4月1日から9月30日までで通算6か月です。9月30日の満了で止めるなら、8月31日までに予告が要ります(本記事の仮の例)。
- 判断の根拠:フリーランス法第13条第1項・第16条第1項、同法施行令第3条*2、同法Q&A 問60・問72*5
- 1回目の満了の時点では通算3か月です。更新を重ねて通算6か月に届いた後は、予告の期限を毎回の満了日から逆算して管理します。
Q8. 間が空いたり発注元をグループ会社に替えたりしたら通算されますか
- 答えの要点:更新で続いているといえるのは、契約の当事者が同じで仕事の内容に一定程度の同一性があり、前の契約の終了日の翌日から次の契約の締結日の前日までの空白期間が1か月未満の場合です。グループ会社でも別の法人なら当事者は同じといえず、通算されません。
- 判断の根拠:同法Q&A 問64・問65・問66*5
- 仕事の内容が同じかどうかは、原則として日本標準産業分類の小分類(3桁分類)で前後の仕事が同じ分類に入るかで判断されます。
Q9. 自動更新の定めがあると印紙の扱いは変わりますか
- 答えの要点:変わる点が2つあります。継続的な取引の基本契約は第7号文書で4,000円ですが、契約期間が3か月以内でも更新の定めがあれば除かれません。月額で報酬を決めた請負の契約書は、更新前の期間だけで記載金額を計算し、更新後の期間は含めません。
- 判断の根拠:印紙税法 別表第一 第7号*6、国税庁 タックスアンサーNo.7104*7、印紙税法基本通達 第29条*8
- 通達の例では、月10万円で期間1年・異議がなければ1年延長とした請負の契約書は、10万円×12か月の120万円が記載金額の第2号文書です。準委任の作業の提供だけを定めた契約書の扱いは業務委託契約書の印紙のよくある質問で扱っています。
ここまでの答えは、条文と国の考え方・Q&A、国税庁の資料から言えることに限っています。個別の契約にどう当てはまるかは、弁護士や税理士などの専門家に確かめてください。
外部人材に頼むときに確認しておきたい点
自動更新の扱いは、契約を結ぶ前に決めておくほど満了のたびに迷わずに済みます。業務委託の人材に頼む前に、次の点を書き出しておくと話が早く進みます。
- 範囲:最初の期間で任せる仕事と、更新後も続けて任せたい仕事
- 期間:最初の期間と更新の単位、通算6か月に届く時期と予告の期限
- 体制:更新するかを判断する人と、申出や予告を送る窓口
- 費用の決まり方:月額か時間単価か、条件を見直す時期
- 引き継ぎ:止める場合に残してもらう資料と、最後の受け渡しの日
仲介会社を通す場合は、エンジニアと契約している当事者がどこかを確かめ、更新や終了の連絡を誰がいつまでに伝えるかを決めておきます。自動更新にせず覚書で期間を延ばす場合は、その覚書が印紙税の課税文書に当たるかも別に確かめます。
まとめ:業務委託の自動更新で確かめる点
業務委託の自動更新で確かめたい点は3つです。第一に、条項には最初と更新後の期間、申出の期限と方法を書き、申出の期限は満了の30日より前に置くこと。条件を変えて更新するときは、変わった事項を書面かメールで示します。第二に、自動更新も契約の更新として期間を通算し、通算6か月以上の契約を発注側から止めるときは、予告の日から満了日の前日までに30日を確保すること。第三に、印紙は、継続取引の基本契約なら3か月以内でも更新の定めがあれば第7号文書になり、月額で決めた請負の契約書は更新前の期間だけで記載金額を計算することです。
よくある質問
自動更新の回数に上限を設けたほうがよいですか
フリーランス法に更新の回数を制限する定めはありません。上限を置かない場合も、条件を見直す時期を条項に入れておくと、仕事の中身が変わったまま古い条件で続くことを避けやすくなります。
自動更新の契約を期間の途中で解約するときも予告は要りますか
通算6か月以上の業務委託を発注側から解除するときは、満了前の解約でも少なくとも30日前までの予告が要ります。災害などで予告が難しい場合など、予告が要らない場合も省令で定められています。
社員のいる会社と結ぶ業務委託契約にも30日前の予告は当てはまりますか
フリーランス法の対象は、従業員を使わない個人や、代表者のほかに役員がなく従業員もいない法人です。従業員を使う会社との契約には、この予告の義務はかかりません。契約書で定めた申出の期限は守ります。
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出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:デジタル庁 e-Gov。第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第13条(継続的業務委託の定義)、第16条(解除等の予告)、第18条(勧告)、第19条(命令等)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(令和6年政令第200号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:デジタル庁 e-Gov。第3条(法第13条第1項の政令で定める期間は6月)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60000100094)。出典:デジタル庁 e-Gov。第3条(予告の方法)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *4 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:厚生労働省(令和6年5月31日、令和8年10月1日改正)。第3部4(解除等の予告)の契約の解除と不更新の意味を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *5 参考:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)Q&A」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001358289.pdf)。出典:問34(施行日前の契約の更新と3条通知)、問60(期間の始期と終期)、問64〜問66(契約の更新により継続して行うこととなる業務委託)、問72(空白期間)、問107(30日前の数え方)、問108(予告をしなかった場合の効力)を参照(令和8年10月23日時点版・確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *6 参考:e-Gov法令検索「印紙税法」(昭和42年法律第23号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)。出典:デジタル庁 e-Gov。別表第一 第7号(継続的取引の基本となる契約書)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *7 参考:国税庁 タックスアンサーNo.7104「継続的取引の基本となる契約書」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7104.htm)。出典:国税庁。第7号文書の範囲と税額4,000円、契約期間が3か月以内で更新の定めのないものを除くことを参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *8 参考:国税庁「印紙税法基本通達」第2章第5節 記載金額(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/inshi01/05.htm)。出典:国税庁。第29条(月単位等で契約金額を定めている契約書の記載金額)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)