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LimeSurveyでアンケートを自社運用する5つのポイント
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- LimeSurveyは自社のサーバーに置いて使えるオープンソースのアンケートシステムです。
- 開発元のクラウド版もあり、データの置き場所と運用の手間を比べて選べます。
- 自社で運用するなら、個人情報の扱いと版の更新の担当を配布の前に決めておくことが大切です。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社員満足度調査をフォームのサービスで集めているが、回答を社外のサーバーに置いてよいのか確かめきれない。顧客アンケートの結果を社内のシステムに取り込みたいのに、毎回手作業で書き出している——。社内外のアンケートを受け持つ情報システムの現場では、こうした食い違いが起こりがちです。LimeSurvey(ライムサーベイ)は、自社のサーバーに置いて使える、オープンソースのアンケートシステムです。
質問の出し分けや多言語のアンケートに対応し、回答データを自社の管理下に置けるのが特長です。ただし万能ではなく、自社で運用する場合は、サーバーの更新や回答データの守りまで自社で受け持つことになります。本記事では、社内・顧客アンケートの仕組みを検討している情報システムの担当者に向けて、LimeSurveyの概要、クラウド版との違い、自社運用の進め方とポイント、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
LimeSurveyとは
LimeSurveyは、Webサーバー上で動くアンケートのソフトウェアで、ソースコードはGitHubで公開されています。開発のとりまとめと有料サービスは、ドイツのLimeSurvey GmbHが担っています。*2 ライセンスはGPL(GNU一般公衆利用許諾書)の第2版以降で、商用・私用・教育用を問わず利用や改変ができます。ただし、名称とロゴは登録商標です。*1
- 30種類以上の質問形式と、回答に応じて次の質問を出し分ける分岐(スキップロジック)
- 80以上の言語でアンケートを作れる多言語対応
- 公開リンクで広く配る方法と、招待した人だけが答えられる限定公開の両方
- 回答の集計画面、管理者の2段階認証、LDAPやSAML(社内の認証の仕組み)との連携
社員満足度調査のように答える人を絞るアンケートにも、顧客に広く配るアンケートにも使えます。画面や社内システムとの連携を細かく作り込みたい場合は、追加の開発が要ることもあります。
クラウド版と自社運用の違い
LimeSurveyには、開発元が運用するクラウド版(LimeSurvey Cloud)と、自社のサーバーに入れて使うコミュニティ版(LimeSurvey CE)があります。*2 これに、既製のソフトを使わずアンケートの仕組みを一から作る方法を加えると、選択肢は大きく3つです。

| 方法 | データの置き場所と費用 | 運用の手間 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| クラウド版 | 開発元のサーバー。保存先の国を選べる。無料プランから有料プランへ切り替えられる | サーバーの設定と更新は開発元が受け持つ | 早く始めたい。サーバーを持ちたくない |
| 自社運用(CE) | 自社か、自社が選んだ事業者のサーバー。ソフトは無料 | 更新・バックアップ・監視を自社で受け持つ | 回答データを自社の管理下に置きたい |
| 一から開発 | 自社の環境 | 設計から保守まで自社か委託先が受け持つ | 業務システムと深くつなぐ。自社専用の画面が要る |
クラウド版は、回答数や管理者の数、保存できるファイルの容量がプランで決まります。自社運用にはこうした上限がなく、サーバーの能力の範囲で使えます。*2 一から開発する場合の考え方はアンケートシステム・Webフォーム開発を外注で扱っています。
自社運用の進め方
自社運用の準備は、ソフトを入れる作業よりも、その前の決めごとが大半を占めます。次の4つの段階で進めると、配布の直前になって設定をやり直さずに済みます。
- ステップ1:目的と対象者を決める(社内向けか顧客向けか、回答者を名前で特定するか)
- ステップ2:置き場所を決める(自社のサーバーか、自社が選んだホスティング事業者か)
- ステップ3:サーバーを用意して入れる(PHPが動くWebサーバーと、MySQL・MariaDB・PostgreSQL・SQL Serverのいずれかのデータベースが要ります)
- ステップ4:運用ルールを決める(版の更新、バックアップ、回答データの保存期間と削除の担当)
ステップ3では、最低でも500MBの空き容量が求められ、そのうえに回答データやアップロードされたファイルの分を見込みます。*3 Webサーバーやデータベースの設定に慣れていない場合は、この段階だけ外部の手を借りる進め方もあります。
自社運用で押さえる5つのポイント
自社で運用すると、回答データの置き場所を自社で決められる反面、そのデータを守る責任も自社が負います。個人情報保護委員会のガイドラインは、アンケートに記載された個人情報を本人から直接取得する場合を、あらかじめ利用目的を明示しなければならない事例に挙げています。*6 これを踏まえ、配布の前に次の5点を決めておきます。
- ポイント1:利用目的の明示。アンケートの最初の画面に、個人情報の扱いを示す文と、同意のチェック欄を出す機能があります*5
- ポイント2:匿名にするかどうか。匿名の設定にすると、管理者でも回答と回答者を結び付けられなくなります*4
- ポイント3:答えられる人を絞るかどうか。招待した人だけに個別のリンクを送る限定公開と、公開リンクを使い分けます
- ポイント4:管理画面の守り。2段階認証や社内の認証の仕組みとの連携で、管理者のログインを固めます
- ポイント5:版の更新とバックアップ。開発元は、常に最新の版へ更新することを勧めています*7
個人情報保護法は、取り扱う個人データの漏えいなどを防ぐために、必要かつ適切な措置を講じることを求めています(第23条)。*6 どこまでの措置が要るかは、扱うデータの性質や量によって変わります。具体的な線引きは社内の担当部署や専門家に確かめながら決めてください。社内での個人情報の扱い全般については個人情報保護法対応で押さえる要点にまとめています。
外部に頼むときに確認しておきたい点
構築や運用を外部に頼む場合、委託先も回答データに触れることになります。個人情報保護委員会のガイドラインは、個人データの取扱いを委託するとき、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先での取扱状況の把握を求めています。*6 これを踏まえ、見積もりを取る前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:サーバーの用意、LimeSurveyの導入、アンケートの作成の手伝い、導入後の運用のうち、どれを任せるか
- 回答データに触れる範囲:委託先が本番の回答を見る必要があるか。作業は匿名のデータで済ませられるか
- 更新とバックアップ:版の更新を誰がいつ行うか。バックアップの保存先と頻度、復元を試す時期をどうするか
- 再委託の有無:作業の一部をさらに別の会社に回すか。回すなら事前に報告を受けるか
特に更新の担当は、決めないまま運用に入りやすい点です。古い版を使い続けると、見つかった弱点を放置することになります。アンケートは年に数回しか使わない会社もあるため、使わない時期にも更新を止めない段取りを、契約の段階で決めておきます。
まとめ:LimeSurveyで確かめておきたい3つの点
LimeSurveyでアンケートの仕組みを用意するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、クラウド版と自社運用のどちらにするかを、回答データの置き場所と運用の手間から決めること。第二に、利用目的の明示や匿名の設定など、個人情報の扱いを配布の前に決めること。第三に、版の更新とバックアップを誰が受け持つかを、導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「無料だから入れてみたものの、古い版のまま回答を集めていた」という事態を避けやすくなります。構築や運用の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
クラウド版の回答データはどこの国に保存されますか
クラウド版では、ドイツ・フィンランド・スウェーデン・英国・米国・カナダ・オーストラリアから保存先を選べ、ほかの場所も相談に応じるとされています。*2 社内の規程で保存先の国に決まりがある場合は、選ぶ前に規程と照らし合わせておきます。自社運用なら、データは自社か自社が選んだ事業者のサーバーに残ります。
回答データを社内のほかのシステムとつなげますか
RemoteControlという外部からの操作の口(API)があり、ほかのシステムから回答データを取り出す仕組みを作れます。*1 どのデータを、どの頻度で、どのシステムへ渡すかを先に決めておくと、連携の作り込みの範囲を見積もりやすくなります。
自社で運用する場合も開発元のサポートは受けられますか
自社運用の版は、基本的に利用者どうしのフォーラムで助け合う形です。開発元は、ワンクリックでの更新などを加える有料の拡張機能(ComfortUpdate)を用意していますが、その技術支援は拡張機能の不具合が対象で、サーバーや導入の問題は含まれません。*2 導入や運用の支援が要る場合は、別に体制を用意します。
アンケートシステムの構築と運用のご相談
LimeSurveyによる社内・顧客アンケートの基盤づくりから、個人情報に配慮した設定、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:LimeSurvey/LimeSurvey(GitHub)README・LICENSE(https://github.com/LimeSurvey/LimeSurvey)。出典:主な機能(質問形式、分岐、多言語、限定公開、2段階認証、LDAP・SAML連携、RemoteControl API)とライセンス(GPL第2版以降・名称とロゴは登録商標)の記述を参照(2026年11月確認)
- *2 参考:LimeSurvey Manual「LimeSurvey Cloud vs LimeSurvey CE」(https://www.limesurvey.org/manual/LimeSurvey_Cloud_vs_LimeSurvey_CE)。出典:LimeSurveyとLimeSurvey GmbHの関係、GPLでの利用範囲、クラウド版と自社運用版の違い(プラン、上限、保存先、ComfortUpdate、サポート)の記述を参照(2026年11月確認)
- *3 参考:LimeSurvey Manual「Installation – LimeSurvey CE」(https://www.limesurvey.org/manual/Installation_-_LimeSurvey_CE)。出典:最低限の要件(ディスク容量、対応するデータベース、PHP)の記述を参照(2026年11月確認)
- *4 参考:LimeSurvey Manual「Participant settings」(https://www.limesurvey.org/manual/Participant_settings)。出典:Anonymized responses(回答の匿名化)の記述を参照(2026年11月確認)
- *5 参考:LimeSurvey Manual「Data policy settings」(https://www.limesurvey.org/manual/Data_policy_settings)。出典:アンケートの最初の画面にポリシーの文と同意のチェック欄を表示する設定の記述を参照(2026年11月確認)
- *6 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:3-3-4 直接書面等による取得(法第21条第2項・アンケートの事例)、3-4-2 安全管理措置(法第23条)、3-4-4 委託先の監督(法第25条)の記述を参照(2026年11月確認)
- *7 参考:LimeSurvey「Downloads」(https://community.limesurvey.org/downloads/)。出典:常に最新の版へ更新することを勧める記述を参照(2026年11月確認)