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2026.10.27 らしくコラム

Camundaの導入の進め方|ワークフローエンジンの基本と注意点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

画面で申請と承認のワークフローの図を組み立て、分かれ道を考える開発者

この記事の結論

  • Camundaは、業務の流れをBPMNの図に描き、その図どおりに人とシステムの作業を進めるワークフローエンジンの製品です。
  • Camunda 8は開発と本番以外の利用は無料ですが、本番で使うには開発元との契約が必要です。
  • 導入は1つの業務に絞り、例外の流れまで図に描いてから、既存システムとのつなぎ方を決めて広げます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

申請がいまどこで止まっているのか、担当者に聞かないと分からない。受注から出荷までの処理が複数のシステムにまたがり、途中で失敗しても誰も気づかない——。業務の流れが部署やシステムをまたぐ会社では、こうした食い違いが起こりがちです。Camunda(カムンダ)は、業務の流れを図に描き、その図どおりに人とシステムの作業を順に動かすワークフローエンジンを中心にした製品です。

処理がどこで止まっているかを画面で追えるようになります。ただし万能ではなく、社内の申請と承認を電子化したいだけなら、専用の製品のほうが早く済むこともあります。本記事では、業務システムを担当する情報システム部門の方に向けて、Camundaでできること、申請承認システムやRPA(画面操作の自動化)との違い、版とライセンスの確かめ方、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Camundaとは

Camundaの公式ドキュメントは、この製品を、人・システム・機器・AIエージェントにまたがる複雑な業務プロセスを組み立てて自動化するためのものだと説明しています。*2 業務の流れは、BPMN(業務プロセスを図で表すための標準の書き方)で描きます。BPMNは標準化団体のOMGが定めた表記で、フローチャートに似た分かりやすい見た目でありながら、図をソフトウェアの部品に置き換えられる正確さを持つことを目指しています。*1

  • Zeebe(ジービー):図に沿って処理を順に進めるワークフローエンジン本体
  • Operate:動いている処理の様子を見て、止まった箇所を調べる画面
  • Tasklist:人が受け持つ作業(ユーザータスク)を割り当て、完了させる画面
  • Connectors:外部のシステムやデータとつなぐための部品
  • Modeler:BPMNの図を描く道具(パソコンで使う版とブラウザで使う版があります)

図の中の自動処理は、それを受け持つプログラム(ジョブワーカー)が仕事を受け取って実行し、結果を返す形で進みます。開発元も、いま使っているシステムを置き換えずに、その上で流れ全体をまとめる使い方を示しています。*4

申請承認システムやRPAとの違い

「ワークフロー」という言葉は、社内の申請と承認を電子化する仕組みを指すことも多く、Camundaと混同されがちです。申請承認システムは書類の回覧を、RPAは決まった画面操作の自動化を受け持つのに対し、Camundaは複数のシステムと人の作業をまたいだ流れ全体を受け持ちます。

サーバー室でラックの機器を指しながら台車のノートPCに手を添える担当者

業務の自動化で比べられる3つの選択肢
選択肢 主に動かすもの 向いている場面
申請承認のワークフロー製品 申請書の回覧と承認 稟議や経費精算を紙から電子に移したいとき
RPA 人が行っていた画面の操作 決まった手順の転記や入力を自動にしたいとき
Camunda 複数のシステムと人の作業をまたぐ流れ全体 受注や審査のように、部署やシステムをまたいで処理が進むとき

3つは取り合うものではなく、組み合わせて使うこともできます。Camundaの公式ドキュメントにも、手作業の繰り返しをRPAで自動化する機能が案内されています。*2 稟議や経費精算の電子化が目的なら、ワークフロー(申請承認)システムの開発を外注する費用と進め方で扱っている進め方のほうが近道です。

版とライセンスの確かめ方

Camundaの利用条件は、版と使い方によって変わります。公式の情報をもとに整理すると、次のとおりです。

Camundaの版と使い方ごとの条件
版・使い方 条件
Camunda 8を自社の環境に置く(Self-Managed) 開発と本番以外の利用は無料。本番で使うにはEnterpriseの契約が必要*4
Camunda 8を開発元の環境で使う(SaaS) 30日間の無料試用があり、本番で動かし続けるには契約が必要*4
Camunda 7 7.24が最後の機能追加の版。開発元は新しい案件をCamunda 8で作ることを勧めている*5
Desktop Modeler(図を描く道具) MITライセンスで公開*3

Camunda 8.6以降は、エンジンなどの中核部品のソースコードがCamunda License v1というライセンスで公開され、本番での利用にはEnterprise版の購入が必要と案内されています。*3 ソースコードはGitHubでも公開されていますが、*6 見られることと本番で無料で使えることは別の話です。見積もりの前に、本番の環境をどの契約で動かすかを開発元に確かめておきます。

Camundaの導入の進め方

Camundaの導入は、製品を入れる作業よりも、どの業務の流れを図にするかを決める作業のほうが大切です。次の4つの段階で進めます。

  • ステップ1:対象にする業務を1つ選び、いまの流れを担当者に聞いて書き出す
  • ステップ2:BPMNで流れを図にし、人が行う作業と自動にする作業を分ける
  • ステップ3:既存のシステムとのつなぎ方(用意された部品か、専用のプログラムか)を決める
  • ステップ4:テスト環境で動かし、止まった箇所をOperateで確かめてから本番へ移す

Camundaの導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 業務を1つ選び流れを書き出す、STEP2 BPMNで図にする、STEP3 つなぎ方を決める、STEP4 テストで確かめる。

つまずきやすいのはステップ2です。差し戻し・期限切れ・相手のシステムの停止といった例外の流れを図に入れないまま動かすと、想定していないところで処理が止まります。開発元も、価値の大きい1つのプロセスから始めて段階的に広げる進め方を示しています。*4 最初は対象を1つの業務に絞り、例外の扱いまで図に描いてから広げていくと、手戻りを抑えられます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Camundaの構築を外部に頼む場合、製品の設定だけでなく、業務の流れの整理とつなぎ込みのプログラムまで含めるかどうかで、作業の量が大きく変わります。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

会議室でノートPCの流れ図を指す技術者とメモを取る発注側の手元

  • どこまで頼むか:業務の聞き取りと図の作成、つなぎ込みのプログラム、環境の構築、操作の説明のうち、どれを任せるか
  • 契約と置き場所:SaaSと自社の環境のどちらで動かすか。本番で使う契約を誰が結ぶか
  • つなぎ込みの範囲:つなぐ既存システムの数と、相手が止まったときのやり直しや知らせ方
  • 監視と運用:止まった処理を見つけたとき、誰がどう直して再開させるか
  • 運用後の見直し:処理にかかった時間や止まった箇所をもとに、図を直す場を設けるか

特に契約と置き場所は、導入の後で変えにくい点です。自社の環境に置くなら、サーバーの保守と版の更新も自社で持つことになります。業務の図よりも、分散した処理を止めずに動かし続けることに重きを置く場合の考え方は、Temporalでワークフロー基盤を外注構築にまとめています。

まとめ:Camundaで確かめておきたい3つの点

Camundaで業務の流れの自動化を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、動かしたいのが申請の回覧なのか、システムと人をまたぐ流れ全体なのかを見極めること。第二に、本番の環境をSaaSと自社の環境のどちらで動かし、どの契約で使うかを先に決めること。第三に、対象を1つの業務に絞り、例外の流れまで図に描いてから広げることです。この3点を踏まえておけば、「図は描いたが、本番では例外で止まってばかりで結局手作業に戻った」という事態を避けやすくなります。業務の流れの整理やつなぎ込みの進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Camundaの構築では、業務の聞き取りをもとにBPMN 2.0で流れを図にし、Desktop ModelerやWeb Modelerで人の作業と自動の処理を分けて描きます。つなぎ込みでは、REST APIで呼べるシステムはConnectorsで、それ以外はJavaやSpring Bootでジョブワーカーを作って処理を受け持たせます。設計の段階では、差し戻しや期限切れをエラーの分岐やタイマーで図に入れること、同じ処理が2回届いても結果が変わらない作りにすることを決めます。自社の環境に置く場合はKubernetesとHelmで環境を作り、テスト環境で止まった処理をOperateで確かめてから本番へ移します。運用では、版の更新の手順と、止まった処理を直して再開させる手順を文書にしてお渡しします。

よくある質問

プログラミングの知識がなくてもCamundaを使えますか

業務の流れの図は、図を描く道具で作れます。ただし、既存のシステムとつなぐ部分では、用意された部品で足りない場合にプログラムを書く必要があります。エンジン本体はJavaで書かれていますが、使う側がJavaの開発者である必要はないと案内されています。*2

いまCamunda 7を使っています。すぐに移す必要がありますか

すぐに止まるわけではありません。開発元の予定では、契約者向けのCamunda 7の保守は2030年4月まで続きます。*5 ただし新しい機能は追加されないため、図やつなぎ込みのプログラムを見直す時期を、保守の期限から逆算して計画しておくと進めやすくなります。

本番で使う契約の費用はどう決まりますか

公式サイトには固定の価格表はなく、SaaSと自社の環境のどちらの場合も、開発元への問い合わせで見積もりを受ける形と案内されています。*4 構築の費用は、つなぐシステムの数や図にする業務の範囲で変わるため、両方を分けて見積もると比べやすくなります。

業務の流れの自動化のご相談

Camundaを使った業務の流れの図の作成から、既存システムとのつなぎ込み、本番環境の構築と運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Object Management Group(OMG)「About the Business Process Model and Notation Specification Version 2.0.2」(https://www.omg.org/spec/BPMN/2.0.2/About-BPMN)。出典:BPMNの目的(フローチャートに似た表記で、図をソフトウェアの部品に置き換えられる正確さを持つこと)の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Camunda 8 Docs「Using Camunda 8」「About the Orchestration Cluster」「Introduction to Zeebe」(https://docs.camunda.io/docs/components/)。出典:製品の説明、Zeebe・Operate・Tasklist・Connectors・Modelerの役割、RPAの機能、エンジンがJavaで書かれていることの記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Camunda 8 Docs「Licensing」(https://docs.camunda.io/docs/reference/licenses/)。出典:8.6以降の中核部品のCamunda License v1、本番での利用にEnterprise版が必要なこと、Desktop ModelerのMITライセンスの記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Camunda 公式サイト(トップページ・料金ページ)(https://camunda.com/pricing/)。出典:Self-Managedは開発と本番以外の利用が無料で本番にはEnterpriseの契約が必要なこと、SaaSの30日間の無料試用、見積もりの受け方、既存システムを置き換えずに1つのプロセスから広げる進め方の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Camunda Platform 7 Docs「Announcements」(https://docs.camunda.org/enterprise/announcement/)。出典:7.24が最後の機能追加の版であること、新しい案件にCamunda 8を勧めていること、保守の予定の記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:camunda/camunda(GitHub)(https://github.com/camunda/camunda)。出典:ソースコードの公開とライセンスの記述を参照(2026年10月確認)




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