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2026.09.20 採用支援コラム

リモート採用の勤務条件、事務所の照度は2つの区分で300と150




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 事務所には事務所衛生基準規則が適用される:事務所衛生基準規則第1条第1項は、この省令は事務所について適用するとしています。*3 第2項は、事務所(これに附属する食堂及び炊事場を除く。)における衛生基準については労働安全衛生規則第3編の規定は適用しないとしています。*3
  • 照度の区分は2つで、300と150:事務所衛生基準規則第10条第1項は、室の作業面の照度を、一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上と定めています。*3 労働安全衛生規則第604条は精密な作業、普通の作業、粗な作業の3区分で、分け方が違います。*2
  • 数字が同じところもある:気積は労働者1人について10立方メートル以上、直接外気に向かって開放することができる部分の面積は常時床面積の20分の1以上で、どちらの規則も同じ数字です。*2*3

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

リモート採用で入ってもらう人の勤務条件を決めるとき、働く場所の環境をどこまで会社が見るのかという問いが出てきます。部屋の明るさ、開口部の大きさ、1人あたりの空気の量。自宅なのだから本人任せでよいのか、それとも会社が何かを決めるのか。

作業環境の数字を書いているのは、労働安全衛生法ではなく2つの省令です。*1*2*3 しかもデスクワークの場所には、労働安全衛生規則ではなく事務所衛生基準規則のほうが適用されます。*3

今回読んだのは、労働安全衛生法第23条と第27条第1項、労働安全衛生規則の第600条、第601条第1項、第604条、第605条第2項、事務所衛生基準規則の第1条、第2条、第3条、第10条です。この記事でいう今回参照した条文は、この範囲を指します。

在宅勤務の手当をいくら出すか、機器を誰が買うかは、この記事では書きません。手当や機器の費用負担の定めは、今回参照した条文には出てきません。リモートワークや在宅勤務という語も出てきません。自宅を条文の対象として扱うかどうかの答えも出ませんが、どの条文を見て決める話なのかは最後に整理します。

生成りの再生紙の面を写した写真。繊維の筋が見えるだけで、人も読める文字も写っていない

措置を定めるのが第23条、数字を省令に委ねるのが第27条第1項

先に法の側から読みます。労働安全衛生法第23条は「事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない」です。*1

この条は、何をどこまでという数字を書いていません。*1 数字がどこから来るかを決めているのは別の条です。第27条第1項は、第20条から第25条まで及び第25条の2第1項の規定により事業者が講ずべき措置などは厚生労働省令で定める、としています。*1 第23条はこの第20条から第25条までの範囲に入ります。*1

事務所衛生基準規則と労働安全衛生規則で、作業環境の数字がどう違うかを並べた表の図。事務所衛生基準規則第1条第2項は、事務所における衛生基準について労働安全衛生規則第3編の規定は適用しないとしている。気積は、事務所衛生基準規則第2条も労働安全衛生規則第600条も、労働者1人について10立方メートル以上で同じ。換気の開口部は、事務所衛生基準規則第3条第1項も労働安全衛生規則第601条第1項も、常時床面積の20分の1以上で同じ。照度は、事務所衛生基準規則第10条第1項が一般的な事務作業300ルクス以上と付随的な事務作業150ルクス以上の2区分、労働安全衛生規則第604条が精密な作業300ルクス以上、普通の作業150ルクス以上、粗な作業70ルクス以上の3区分で、区分の立て方が違う。

ここでいう厚生労働省令にあたるのが、労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則です。*2*3 リモート採用の勤務条件で数字を探すときも、法の条文だけを見ても具体的な線は出てきません。これはこの記事の読み方です。

事務作業の場所では、労働安全衛生規則の第3編が外れる

2つの省令の適用範囲は、事務所衛生基準規則第1条で分かれています。第1項は、この省令は事務所について適用するとしています。*3 第2項は「事務所(これに附属する食堂及び炊事場を除く。)における衛生基準については、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第三編の規定は、適用しない」です。*3

労働安全衛生規則で気積や照度を定めている第600条や第604条は、この第3編に入っています。*2 つまり事務所については、労働安全衛生規則のほうではなく事務所衛生基準規則を見ることになります。これはこの記事の読み方です。

事務所の意味は同条第1項に書かれています。建築基準法第2条第1号に掲げる建築物又はその一部で、事務作業に従事する労働者が主として使用するものです。*3 事務作業には、タイプライターその他の事務用機器を使用して行う作業を含むとされています。*3 パーソナルコンピュータがここでいう事務用機器に当たるかは、今回参照した条文には書かれていません。

自宅の一室がここでいう事務所に当たるかどうかは、今回参照した条文からは決まりません。建築物又はその一部という語も、主として使用するという語も、当てはめの基準までは書かれていません。

数字は、同じところと違うところがある

2つの規則を並べると、同じ数字と違う数字が見えます。対象を指す語も違っていて、事務所衛生基準規則はどの条も室、労働安全衛生規則は気積と換気が屋内作業場、照度と点検が場所です。*2*3

事務所衛生基準規則と労働安全衛生規則で、作業環境の数字がどう違うか(両規則の条文。2026年9月20日確認)
項目 事務所衛生基準規則 労働安全衛生規則
気積 第2条 労働者1人について10立方メートル以上 第600条 労働者1人について10立方メートル以上
直接外気に向かって開放することができる部分の面積 第3条第1項 常時床面積の20分の1以上 第601条第1項 常時床面積の20分の1以上
照度 第10条第1項 一般的な事務作業300ルクス以上、付随的な事務作業150ルクス以上 第604条 精密な作業300ルクス以上、普通の作業150ルクス以上、粗な作業70ルクス以上
照明設備の点検 第10条第3項 6月以内ごとに1回、定期に 第605条第2項 6月以内ごとに1回、定期に
対象を指す語 どの条も室 気積と換気は屋内作業場、照度と点検は場所

気積の数え方も同じです。どちらも、設備の占める容積と、床面から4メートルをこえる高さにある空間を除いて数えるとしています。*2*3 部屋の体積をそのまま使うわけではありません。

換気にはどちらにも同じただし書きが付いています。換気が十分に行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでないという定めです。*2*3 開口部の面積で満たせないときは、換気設備の性能で満たす道があります。

違うのは照度の区分の立て方です。事務所衛生基準規則第10条第1項は一般的な事務作業と付随的な事務作業の2つ、*3 労働安全衛生規則第604条は精密な作業、普通の作業、粗な作業の3つです。*2 数字の300と150は両方に出てきますが、それが付いている作業の呼び名が違います。これはこの記事の読み方です。

事務所衛生基準規則にだけある数字と、方法で書かれた定め

事務所衛生基準規則第3条第2項には、労働安全衛生規則の換気の条にはない数字があります。室における一酸化炭素の含有率を100万分の50以下、二酸化炭素の含有率を100万分の5000以下としなければならない、という定めです。*3

ここでいう含有率は、1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合と定められています。*3 どの条件で測った値かまで決まっているので、測定器の設定を合わせることになります。これはこの記事の読み方です。

数字で書かれていない定めもあります。事務所衛生基準規則第10条第2項は、室の採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならないとしています。*3 数字ではなく方法の側で書かれています。

照度のただし書きも規則によって違います。事務所衛生基準規則第10条第1項は、感光材料の取扱い等特殊な作業を行う室についてはこの限りでないとしています。*3 労働安全衛生規則第604条は、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場を挙げています。*2

リモート採用の勤務条件を決めるときに確かめる点

リモート採用で勤務条件を決めるときに、この条文から確かめられる点を3つ挙げます。この整理はこの記事のものです。

1つめは、自社が労働者を常時就業させている室が、事務所衛生基準規則でいう事務所に当たるかどうかです。*3 当たるなら、気積、開口部の面積、照度、点検の数字を確かめる場面になります。*3 当たらないと判断した場合にどの規則を見るかは、今回参照した条文からは決まりません。

2つめは、照度を書くときの区分です。事務作業なら、事務所衛生基準規則の一般的な事務作業と付随的な事務作業の2区分になります。*3 この2つの区分をどう見分けるかは、今回参照した条文には書かれていません。勤務条件の文書に300ルクスとだけ書くと、どちらの区分の値なのかが残りません。これはこの記事の読み方です。

3つめは、自宅が室や事務所に当たるかどうかが条文からは決まらない、という点です。条文が決めていない以上、自宅に同じ数字を当てるかどうかは会社の判断になります。判断したなら、その内容を勤務条件の文書に書いておくことになります。これはこの記事の読み方です。

なお、リモート採用で入る人を迎える手順の側は、記事「リモート採用のオンボーディング」で扱っています。

まとめ:事務作業の数字は事務所衛生基準規則にある

リモート採用の勤務条件を作業環境の側から考えるときに、今回参照した条文から読み取れることは5つです。第一に、労働安全衛生法第23条が措置を定め、第27条第1項がその内容を厚生労働省令に委ねています。*1 第二に、事務所衛生基準規則第1条第2項により、事務所における衛生基準には労働安全衛生規則第3編の規定は適用されません。*3 第三に、気積は労働者1人について10立方メートル以上、換気のための開口部は常時床面積の20分の1以上で、2つの規則で同じ数字です。*2*3 第四に、照度の区分は、事務所衛生基準規則が一般的な事務作業300ルクス以上と付随的な事務作業150ルクス以上の2つ、労働安全衛生規則が精密な作業300ルクス以上、普通の作業150ルクス以上、粗な作業70ルクス以上の3つです。*2*3 第五に、事務所衛生基準規則第3条第2項には一酸化炭素100万分の50以下、二酸化炭素100万分の5000以下という、もう一方の規則の換気の条にはない数字があります。*3 第一が数字の出どころ、第二がどちらの規則を見るか、第三から第五が数字の中身です。

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よくある質問

デスクワークなら、労働安全衛生規則の照度は見なくてよいのですか

事務所衛生基準規則第1条第2項は、事務所における衛生基準については労働安全衛生規則第3編の規定は適用しないとしています。*3 照度の第604条はその第3編に入っています。*2 ただし自社の場所が事務所衛生基準規則でいう事務所に当たるかどうかは、今回参照した条文からは決まりません。

気積の10立方メートルは、部屋の体積のことですか

いいえ。事務所衛生基準規則第2条も労働安全衛生規則第600条も、設備の占める容積と、床面から4メートルをこえる高さにある空間を除いて数えるとしています。*2*3 そのうえで労働者1人について10立方メートル以上です。*2*3

開口部が小さい部屋では換気の基準を満たせませんか

事務所衛生基準規則第3条第1項にはただし書きがあり、換気が十分に行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでないとしています。*3 開口部の面積だけで決まるわけではありません。

自宅は事務所に当たりますか

事務所衛生基準規則第1条第1項は、建築基準法第2条第1号に掲げる建築物又はその一部で、事務作業に従事する労働者が主として使用するものを事務所としています。*3 自宅がこれに当たるかどうかの当てはめの基準は、今回参照した条文には書かれていません。

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出典

  1. *1 参考:労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)。出典:労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)。第23条(事業者の講ずべき措置等)、第27条第1項(厚生労働省令への委任)の一次情報として参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032)。出典:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第3編。第600条(気積)、第601条第1項(換気)、第604条(照度)、第605条第2項(採光及び照明)の一次情報として参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000043)。出典:事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)。第1条第1項及び第2項(適用)、第2条(気積)、第3条第1項及び第2項(換気)、第10条第1項から第3項まで(照度等)の一次情報として参照(2026年9月確認)




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