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2026.09.20 採用支援コラム

リモート採用の勤務条件|労働条件通知書の就業場所の書き方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

日の差す部屋の壁際に、木の机と木の椅子が置かれている写真。人も読める文字も写っていない

この記事の結論

  • 入社直後からテレワークで働くなら、労働条件通知書の就業場所の「雇入れ直後」の欄に自宅などを書きます。
  • 契約期間中にテレワークで働くことが通常想定されるなら、「変更の範囲」の欄にも自宅などを書きます。
  • 就業の場所とその変更の範囲は、求人票など募集の段階から示すことが求められています。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

全国からエンジニアを採るために、入社直後からテレワークで働く前提で求人を出した。ところが、採用した人に送った労働条件通知書には、就業場所として本社の住所しか書いていなかった——。リモート採用を始めたばかりの会社では、こうした食い違いが起こりがちです。リモート採用とは、テレワーク(会社のオフィスの外で、パソコンや通信を使って働くこと)を前提に人を採ることを指します。

2024年4月からは、会社は就業場所とあわせて、その変更の範囲(契約期間中に働く場所が変わりうる範囲)も労働者に書面で示すことになりました。*1 テレワークで働く人の場合は、自宅などテレワークを行う場所をどの欄に書くかが問題になります。ただし、書面の欄を整えるだけでは足りません。どの作業をテレワークで任せるかは、会社が先に決めておく必要があります。本記事では、リモートでエンジニアを採る会社の担当者に向けて、勤務条件のうち就業場所の決まり、2つの欄の違い、求人の段階で示すこと、書き方の例、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

リモート採用の勤務条件とは

この記事でいう勤務条件は、求人票や労働条件通知書(会社が労働条件を書面で伝える書類)に書く働き方の条件のことで、法令の言葉では労働条件にあたります。労働基準法施行規則の第5条第1項は、使用者(人を雇う側の会社)が労働者に示さなければならない労働条件を並べています。その第1号の3が「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」です。*2

同じ条の第2項は、示す労働条件を事実と異なるものとしてはならないと定めています。*2 リモート採用では、実際には自宅で働いてもらうのに、書面に本社しか書いていなければ、働く場所についての説明が実際と食い違ってしまいます。

厚生労働省のリーフレット「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」は、ここでいう就業場所を、労働者が通常働くことが想定されている場所だとしています。異動や出向(籍を残したまま別の会社で働くこと)を命じられたときの行き先は含まれ、出張や研修などで一時的に行く先は含まれません。変更の範囲は、今後の見込みも含めた、その労働契約の期間中に働く場所や担当する業務が変わりうる範囲を指します。*1 正社員のように期間を決めずに雇う場合は、在籍している間ずっとがこの契約期間にあたります。

雇入れ直後と変更の範囲の違い

リーフレットの記載例は、就業場所を「雇入れ直後」と「変更の範囲」の2つの欄に分けて書いています。雇入れ直後の欄には、入社した直後に働く場所を書きます。変更の範囲の欄には、入社直後の場所も含めて、契約期間中に働く可能性のある場所を書きます。

テレワークについて、リーフレットは次のように説明しています。テレワークを雇入れ直後から行うことが通常想定されている場合は「雇入れ直後」の就業場所として、その労働契約期間中にテレワークを行うことが通常想定される場合は「変更の範囲」として、テレワークを行う場所を示す。書き込む場所の例は、「労働者の自宅やサテライトオフィスなど、テレワークが可能な場所」です。*1

厚生労働省のリーフレットが示すテレワークの場所の書き方を、2つの問いで整理した図。入社した直後からテレワークで働くことが通常想定されているなら「雇入れ直後」の欄に、労働契約の期間中にテレワークで働くことが通常想定されるなら「変更の範囲」の欄に書く。書き込む場所の例は、労働者の自宅やサテライトオフィスなど、テレワークが可能な場所。募集や求人の申込みの段階でも、就業の場所とその変更の範囲を示す(職業安定法施行規則第4条の2第3項第3号)。出典は厚生労働省リーフレット(2024年9月)と職業安定法施行規則。

入社直後からテレワークが続くなら、自宅などを両方の欄に書きます。入社してしばらくはオフィスで働き、あとからテレワークを始める見込みなら、変更の範囲の欄だけに書きます。記載例の注記は、あらかじめ就業規則(会社が働き方のルールをまとめた規則)でテレワークについて定めている場合を、テレワークが通常想定されている例として挙げています。*1

なぜ求人の段階から書くのか

就業場所を示すのは、採用が決まって労働契約を結ぶときだけではありません。職業安定法の第5条の3は、労働者を募集する会社に、応募しようとする人へ、担当する業務の内容と労働条件を示すよう求めています。人材紹介会社などに求人を申し込む場合は、その紹介会社などにも示します。何を示すかは、厚生労働省が定める省令に委ねられています。*3

その省令にあたる職業安定法施行規則の第4条の2第3項は、示す事項の第3号に「就業の場所に関する事項(就業の場所の変更の範囲を含む。)」を挙げています。*4 リーフレットも、募集のときに追加される明示事項の1つに、就業場所の変更の範囲を挙げています。つまり、求人票でも、労働条件通知書と同じく就業の場所とその変更の範囲を示します。求人票と労働条件通知書で同じ書き方にしておくと、応募した人に伝わる条件が途中で変わりません。

求人の段階で自宅での勤務を書いておけば、応募する側も、入社後にどこで働くことになるのかを最初から確かめられます。オフィスから離れた地域に住む人に応募してもらうなら、オフィスに来る日があるかどうかも、求人の段階で書いておくと伝わりやすくなります。

どう書くのか

リーフレットの労働条件通知書の記載例のうち、就業場所にテレワークを行う場所を入れたものは3つあります。1つめと2つめは就業場所や業務に限定がない場合、3つめは働く場所や業務が変わることを想定しない場合の例です。限定がない場合について、リーフレットは、すべての就業場所を変更の範囲に含める必要があるとしています。*1 会社のどの拠点へも移る可能性がある場合がこれにあたります。

就業場所にテレワークを行う場所を入れた記載例(出典:厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(2024年9月)の労働条件通知書の記載例から、テレワークを行う場所を含む3つを写した。一部の記号は整えた。2026年9月24日確認)
例 雇入れ直後 変更の範囲 リーフレットでの分類
1つめ 本店及び労働者の自宅 本店及び全ての支店、営業所、労働者の自宅での勤務 就業場所・業務に限定がない場合
2つめ 福岡事務所及び労働者の自宅 会社の定める場所(テレワークを行う場所を含む) 就業場所・業務に限定がない場合
3つめ 品川オフィス及び「テレワーク就業規則」第5条に規定する在宅勤務の就業場所 品川オフィス及び「テレワーク就業規則」第5条に規定する在宅勤務の就業場所 就業場所や業務の変更が想定されない場合

3つの例は、どれも雇入れ直後の欄にオフィスとテレワークの場所の両方を入れています。変更の範囲は、1つめと2つめが移る可能性のある場所まで広げ、3つめは雇入れ直後と同じです。3つめの「テレワーク就業規則」はリーフレットが載せている規則の例で、その第5条は在宅勤務を「従業員の自宅又は自宅に準じる場所(会社が認めた場所に限る。)において情報通信機器を利用して業務を行うこと」と定めています。*1

月に数回など定期的にオフィスへ来てもらうなら、3つの記載例と同じように、雇入れ直後の欄にオフィスと自宅の両方を書く形になります。入社直後から自宅だけで働いてもらう場合も、自宅などを両方の欄に書きます。本社で通常働くことが想定されていないなら、雇入れ直後の欄は自宅などだけにしておくと、実際の働き方と書面がそろいます。契約期間中に本社で働く見込みがあるなら、変更の範囲の欄に本社を加えておきます。

つまずきやすい点

一つ目は、入社直後からテレワークで働いてもらうのに、雇入れ直後の欄にオフィスだけを書いてしまうことです。リーフレットは、その場合にテレワークを行う場所を雇入れ直後の欄に示すよう書いています。先に見たとおり、労働基準法施行規則は示す労働条件を事実と異なるものとしてはならないとしているので、書面は実際の働き方に合わせます。

二つ目は、テレワークが通常想定されているのに、変更の範囲を「会社の定める場所」とだけ書くことです。リーフレットは、限定がない場合に「会社の定める○○」と書く方法も示しています。ただ、テレワークを入れた2つめの記載例は、「(テレワークを行う場所を含む)」とかっこ内に添えています。*1 この一言がないと、自宅での勤務が変更の範囲に入っているかどうかを、書面を受け取った人が読み取れません。

三つ目は、オフィスに来てもらう日の扱いです。出張や研修などで一時的に行く先は、就業場所に含まれません。ただし、定期的な出社日がこの一時的な行き先にあたるか、テレワークがどのくらいの回数なら通常想定されているといえるかは、リーフレットには書かれていません。迷う場合は、出社してもらうオフィスも欄に書いておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

一つ目は、ここまでの決まりが、会社が雇う労働者についてのものだという点です。社員として採るのではなく、業務委託で開発に加わってもらう人や委託先の会社に作業を頼む場合は、労働条件通知書の就業場所の欄とは別に、契約の中で作業する場所を取り決めておきます。

二つ目は、どの作業をテレワークで任せ、どの作業でオフィスに来てもらうかを先に決めておくことです。就業場所の欄に何を書くかはその人がどこで働くかで決まり、どこで働くかは任せる作業で決まるためです。たとえば、設計の打ち合わせだけはオフィスで行い、プログラムの作成とテストは自宅で行う、というところまで決めておけば、社員として採る場合にも、外部に委託する場合にも、そのまま条件として伝えられます。

出社とリモートの組み合わせ方は「出社回帰とリモート活用の両立」で、求人票に書く項目の全体は「エンジニア求人票の書き方と必須14項目」で扱っています。

まとめ:リモート採用で確かめたい3つの点

リモート採用の勤務条件を書くうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、入社直後からテレワークを行うことが通常想定されるなら、雇入れ直後の欄に自宅などテレワークを行う場所を入れること。第二に、契約期間中にテレワークを行うことが通常想定されるなら、変更の範囲の欄にもその場所を入れること。第三に、求人票など募集の段階から、就業の場所とその変更の範囲を示すことです。この3点を踏まえておけば、「テレワークで働いてもらうつもりで採ったのに、就業場所に本社しか書いていなかった」という事態を避けやすくなります。どの作業をテレワークで任せるか、リモートで働くエンジニアをどう探すかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

どの作業をテレワークで任せるかを決めたあとは、リモートで働く社員を採るのか、外部に作業を委託するのかで、声をかける相手が変わります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

2024年3月以前から雇っている社員にも、変更の範囲を示す必要がありますか

変更の範囲を示す対象は、2024年(令和6年)4月1日以降に労働契約を結ぶ、または更新する労働者です。それより前から雇っている労働者についても、リーフレットはトラブル防止のために示すことを検討するよう書いています。*1

パートや契約社員をリモートで採る場合も、同じように書きますか

はい。変更の範囲を示す対象の労働者には、パートや契約社員も含まれます。有期労働契約を更新するときも、就業場所とその変更の範囲を示します。*1

労働条件通知書は、紙で渡さなければなりませんか

原則は書面を交付して示します。労働者が希望した場合は、ファクシミリや電子メールなどで示すこともできます。*2 遠方に住む人をリモートで採るときは、本人の希望を確かめたうえで電子メールで送る方法も使えます。

就業場所の欄に、自宅の住所まで書く必要がありますか

リーフレットの記載例は「労働者の自宅」と書いており、住所までは書いていません。*1 住所を書かなくても、自宅で働くことは書面から読み取れます。

テレワークで働く人の採用から相談したいとき

どの作業をテレワークで任せるか、オフィスに来てもらう日があるかを整理するところからご相談いただけます。

リモートワークで働く社員の候補者はリラシクで、業務委託で開発に加わる専門人材はRemoguでお探しいただけます。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298244.pdf)。出典:厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(2024年9月)。対象となる労働者、就業場所と変更の範囲の定義、テレワークの明示、募集時等に明示すべき労働条件の追加、労働条件通知書の記載例とテレワーク就業規則の例を参照。資料名の全角数字は半角にした(2026年9月確認)
  2. *2 参考:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)。出典:労働基準法施行規則。第5条第1項(柱書と第1号の3)、第2項、第3項、第4項を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法。第5条の3第1項、第2項、第4項を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則。第4条の2第3項(柱書と第3号)を参照(2026年9月確認)




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