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2026.09.08 らしくコラム

対ドローンC-UAS規則|SAFER SKIES法の事後報告

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

夕暮れの空を背景に、カメラを搭載した小型の無人航空機が丘陵の上でホバリングしているシルエット

この記事の結論

  • 州・地方の警察による対ドローンの資格は検知・警告と低減の2つに分かれ、検知だけの資格では飛行中の機体に影響を与える措置を取れません。
  • 当局の電波調整は、調整を受けたときの構成とファームウェアなどの版に対して有効で、調整した周波数や電力の外で動く変更は配備前に再調整が要ります。
  • 機関は低減の措置や押収などのうち早い時点から48時間以内に7項目の事後報告を出し、通信記録は180日を超えて保持できません。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

米国で州や地方の警察にも対ドローンの権限が広がったと聞いたが、装置を作る側には何が求められるのか。ファームウェア(機器に組み込む制御用のソフトウェア)を更新するたびに、手続きをやり直すことになるのか——。無人航空機や監視系の機器を開発する現場では、こうした疑問が出てきます。対ドローン(C-UAS)とは、無人航空機による脅威を検知し、飛行中の機体に影響を与えて脅威を低減する措置を指します。

この権限を州や地方の機関に認めたのが、2025年12月18日に成立したSAFER SKIES法と、それを実施する規則です。*1 権限が広がった一方で、資格、機器、電波、報告、記録のそれぞれに細かな条件が付き、装置の構成管理や記録の設計にそのまま関わります。ただし米国の法執行機関に向けた規則で、そのまま自社の開発に当てはまるわけではありません。本記事では、機器の開発に関わる方に向けて、資格と機器の条件、ファームウェアの版と電波の調整、通報と事後報告の期限、通信記録の保持、そして開発を外部に委託するときに確認したい点を整理します。

対ドローン規則とは

対ドローン規則は、米国司法省と国土安全保障省が2026年7月6日の連邦官報に掲載した暫定最終規則です。発効日は2026年7月1日です。*1 暫定最終規則は、先に発効させたうえで意見を受け付ける形式の規則です。規則が決めているのは、州・地方・部族・領域の法執行機関と矯正機関(刑務所などを運営する機関)が、どんな条件の下でドローンへの措置を取れるかです。

米国司法省と国土安全保障省が2026年7月6日に連邦官報へ掲載した対ドローンの暫定最終規則について、2026年7月1日に発効したこと、2025年12月18日に成立したSAFER SKIES法の実施規則であり第6編第124部と第28編第124部が新設されたこと、資格が検知・警告の認定と低減の認定の2階層でありNCUTCのみが発行し他機関や民間の研修では代えられず検知のみの資格者は飛行中の機体に一切手を出せないこと、使える機器が技術区分を示す認定技術リストと型式単位の認定システムリストの2つで縛られ6機関が共同で維持し電波を出す装置は掲載前にシステム単位の電波評価を通すこと、運用計画にハードウェア版とファームウェア改訂とソフトウェア版を記載し調整済みの周波数や電力の外で動作する変更は配備前に再調整が必要であること、低減のため装置を作動させたら5分以内または運用上可能な限り速やかに連邦航空局の指定連絡先へ通報し措置または押収から48時間以内に事後報告を提出すること、ならびに通信の記録がいかなる場合も180日を超えず進行中の警備活動による例外は90日ごとに見直し180日超の保持を決めたときは30日以内に連邦捜査局へ通知することを整理した図

もともと連邦の法執行機関は、数十年前の法律のためにドローンへの措置を取れなかったと、議会は指摘しています。名前が挙がったのは、1968年の盗聴法と1986年のコンピュータ詐欺・不正利用防止法です。*1 通信の傍受と、他人のコンピュータへの権限のないアクセスが違法とされるため、ドローンが出す電波を手がかりに操縦者を追うことが難しかったのです。

SAFER SKIES法は、州・地方などの機関について、航空機の乗っ取りや破壊、コンピュータ詐欺、衛星の運用への妨害、盗聴法などの連邦刑法と、州・地方などの法の適用を、一定の条件の下で外しました。守る対象は、人・施設・資産、大規模な催事の会場、重要インフラ、矯正施設に対するドローンの信頼できる脅威です。傍受と計算機へのアクセスの禁止が外れたことから、ドローンの電波を受けて解析し、機体を操る制御通信を傍受して扱うことが、この制度の中心だと分かります。機体の側の制度は無人航空機の機体認証で扱っています。

検知の資格と低減の資格

人の側の認定は2種類です。検知と警告の運用を担う「検知・警告の認定」と、低減の運用を担う「低減の認定」です。低減の研修課程に初めて登録するときも、低減の認定を更新するときも、有効な検知・警告の認定が先に要ります。認定を出せるのは、司法長官が指定したNCUTC(国家対無人航空機システム訓練センター)だけです。ほかの機関や民間の研修・認定では、この要件を満たしません。*1

検知・警告の認定しか持たない要員は、操作する人の目的が何であれ、低減の措置も、飛行中のドローンに影響を与えるほかの措置も行えません。規則はこれを絶対的なものとし、緊急時の例外の対象にもならないとしています。*1 緊急時の例外が使えるのは、低減の認定を持つ要員と、認可された低減の能力を備えた機関に限られます。

研修は合否で評価され、課程が扱う低減の技術の区分ごとに習熟を示さなければ合格できません。修了すると、研修ポータルが氏名・所属機関・修了日・認定の状況をNCUTCの認定データベースに記録し、これが発行されたすべての認定の正式な記録になります。各機関は、そこから作った名簿で、運用に割り当てる要員の認定を確かめます。

使える機器の決め方

装置の側は、2つのリストで管理されます。認定技術リストは、認められる技術の区分を示すものです。認定システムリストは、その区分の中で省庁間の評価を終えた具体的なシステムを、メーカーと型式の単位で示し、運用上の制約も書き添えます。リストを維持するのは、司法省、国土安全保障省、国防省、運輸省と連邦航空局、連邦通信委員会、国家電気通信情報庁の6機関です。*1

配備できるのは、原則として認定技術リストの区分に含まれるシステムです。ある区分で認定システムリストが整えられると、その区分ではリストに載った具体的なシステムしか配備できなくなります。まだ整えられていない区分では、操作する人がその区分の低減の認定を持ち、配備するシステムについてメーカーまたはベンダーの研修を終えていれば配備できます。

電波を出す装置は、認定システムリストに載る前に、省庁間の手続でシステム単位の電波の評価を受けます。評価では、連邦政府以外の無線の利用者への干渉、連邦政府の無線の利用者と支障なく使えるか、航空機の運航に使う装置への干渉の可能性を調べます。評価は定められた間隔で見直されるほか、システムの能力・機能・電波の特性・電力が変わったときにも更新されます。性能を変えない小さな更新は対象外です。

ファームウェアを更新したときの扱い

機器の開発にいちばん近いのが、この部分です。機関は運用のたびにC-UAS運用計画を作り、配備する予定のシステムとその構成、配備時点のハードウェアの版・ファームウェアの改訂・ソフトウェアの版、電波を出すシステムの設定値、空域の区分などを書き込みます。*1 そのうえで、連邦航空局と連邦通信委員会による電波調整は、調整したシステムの構成と、ファームウェアおよびソフトウェアの版に対して有効とされました。版を変えたときの扱いは、次の表のように分かれます。

構成やファームウェアを変えたときの扱い
変更の内容 規則上の扱い
電波の出方・周波数・電力を実質的に変えない 再調整は不要です
調整済みの周波数または電力の外で動作する 配備の前に再調整が必要です
判断が分かれる変更 変更の概要を連邦航空局と連邦通信委員会へ伝え、判断を仰ぎます
当局が指針で類型を示した変更 電波の出方に実質的な影響があるとみなされ、再調整の対象です
システムの能力・機能・電波の特性・電力の変更 認定システムリストに載せるための評価も更新の対象です

ファームウェアを更新したときに再調整が要るかどうかは、電波の出方や周波数、電力が変わるかどうかで決まります。装置の側で、どの版で何を調整したかを後から確かめられないと、更新のたびに判断の材料がそろいません。組込み機器の更新の考え方は組込みファームウェア開発で扱っています。

通報と事後報告の期限

期限は2つあります。1つ目は、作動した直後の通報です。低減のためにC-UASのシステムを作動させた機関とその要員は、作動から5分以内、または運用上できる限り速やかに、連邦航空局が指定した連絡先へ口頭か電子的な方法で通報します。伝えるのは措置の種類、作動した時刻、場所で、措置を終えたときには終了の時刻も追って伝えます。*1

2つ目は事後報告です。低減の措置を取ったとき、ドローンを押収したとき、通報した運用が終わったときのうち、いちばん早い時点から48時間以内に出します。書く事項は次の7つです。*1

事後報告に書く7つの事項
項目 書く内容
① 実施の確認 通報したとおりに運用が行われたかどうか
② 日時と場所 報告の対象になる行為の日付、時刻、地理的な場所
③ 脅威の説明 措置を必要とした、信頼できる脅威の簡潔な説明
④ 用いた能力 リストを参照した使用システム。加えて、いずれの場合も配備時のメーカー、型式、ハードウェアの版、ファームウェアの改訂、ソフトウェアの版
⑤ 運用上の効果 機体の押収・無効化・損傷・破壊、ほかの航空機や周波数の利用者への影響、地上や空中の人や財産への影響、飛行制限の許否、その他の損害
⑥ 問題と逸脱 運用中に生じた問題、異常、または逸脱
⑦ 統計 検知した機体の数(重複を除いた確認済みの検知)、出した警告、取った低減の措置、押収した機体、生じた刑事訴追や行政処分や逮捕

報告は、指定された連邦のC-UAS調整ポータルから出します。ポータルが報告を連邦捜査局と国土安全保障省へ自動的に振り分けるため、ここから出せば司法長官と国土安全保障長官の両方への通知の要件を満たします。*1 7つの事項のうち、④の版の記載と⑦の検知の数は、運用の前にデータの持ち方を決めておかないと、48時間では集めにくい項目です。検知の数は重複を除いて数えるため、同じ機体をどう数えるかの規則も先に決めておくと進めやすくなります。

通信記録の保持と消去

システムが取得し記録したドローンとの制御通信は、必要な期間に限って保持し、いかなる場合も180日を超えて保持してはならないとされました。*1 例外は、機関の承認担当官か法務責任者が、法令違反の捜査や訴追、進行中の警備活動の直接の支援、訴訟、法による要求のいずれかのために必要と判断した場合です。

進行中の警備活動を理由に残したデータは、90日ごとに見直し、ほかの例外に当たらなければ活動の終了時に消去します。いずれかの例外で180日を超えて残すと決めたときは、その判断から30日以内に、ポータルを通じて連邦捜査局へ知らせます。*1 保持の期限と消去の運用は、ログの保持期間とローテーションで扱う設計と同じ形です。

制御通信ではない信号を拾った場合は、偶然の取得として扱います。機関は偶然の取得が最も少なくなるようにシステムを設定し、目的に関係しないと判断したものは見ず、残さず、配らず、できる限り早く消去しなければなりません。運用中に制御通信ではないと分かった時点で傍受をやめ、そのことを事後報告に書きます。

設定の絞り方にも定めがあります。周波数、地理的な広がり、信号の種類といった傍受の条件を調整できる場合、操作する人は運用に支障のない限りで最も狭い設定を使います。30日を超えて置き続ける検知の装置は、少なくとも四半期ごとに、傍受の条件が運用上の必要に見合っているか、データの扱いと消去が予定どおり行われているかを見直します。*1

外部に委託するときに確認しておきたい点

この規則は米国の法執行機関に向けたものですが、装置と記録についての決め方は、監視系や組込み系の開発を外部に委託するときの確認事項に置き換えられます。第一に、承認を版と結びつけて記録できるかです。電波調整も事後報告も、ハードウェア・ファームウェア・ソフトウェアの版を単位にしています。機器の台帳で、どの版で何を承認したかを後から引ける形になっているかを確かめておきます。

第二に、傍受する周波数や地理的な広がり、信号の種類を、設定で狭められるかです。これらが実装で固定されていると、最も狭い設定を使うという求めに応えられません。第三に、消去を予定どおり行った記録が残るかです。四半期ごとの見直しで問われるのは、消去の設定があることではなく、消去が実際に行われたことです。監査ログの設計と同じ考え方です。

第四に、資格と操作の権限をシステムの側で結びつけられるかです。検知だけの資格者による低減は例外なく禁じられているため、名簿を紙で持つだけでは、この決まりを守れていたことを後から示しにくくなります。認定データベースを正式な記録とし、要員を割り当てるときに照会する形は、規則の側でも前提になっています。

まとめ:対ドローン規則で確かめておきたい3つの点

対ドローン規則に沿った機器やシステムを作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、資格が検知・警告と低減の2つに分かれ、使える機器も2つのリストと電波の評価で決まること。第二に、電波の調整がシステムの構成とファームウェアなどの版に対して有効で、調整した周波数や電力の外で動く変更は配備の前に再調整が要ること。第三に、5分以内の通報と48時間以内の事後報告、180日を上限とする通信記録の保持と消去を、運用の前にデータの持ち方として決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「ファームウェアを更新したら、どの版で調整を受けたのか誰も答えられない」という事態を避けやすくなります。装置の構成管理や記録の設計に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は元請(プライムベンダー)として、機器と記録が絡む監視系システムの設計を受託しています。構成管理では、ハードウェア版・ファームウェア改訂・ソフトウェア版を機器台帳の独立した列に持たせ、GitのタグとCI上のビルド識別子を紐づけて、どの版で承認や試験を通したかを後から引ける形にします。取得範囲の制御は設計時に軸を決め、周波数や地理的範囲、信号種別に相当する絞り込みを設定で変えられる値にし、既定値を最も狭い側へ寄せます。保持と消去は、S3のライフサイクル規則やOpenSearchのインデックスライフサイクル管理で日数を宣言的に持たせ、消去が実行された事実そのものをCloudTrailやアプリ側の監査ログに残して、実行の証跡と設定の両方を提示できるようにします。

よくある質問

この規則の内容は、今後変わることがありますか

変わる可能性があります。暫定最終規則は、発効させたうえで意見を受け付ける形式で、寄せられた意見を踏まえて内容が改められることがあります。

検知だけを行う場合も、同じ手続が必要ですか

一部が軽くなります。電波を出さず、航空機の運航に影響しない装置だけを使う検知・警告の運用では、運用ごとの事前の通報や、連邦航空局と連邦通信委員会の調整は求められません。ただしC-UAS運用計画による認可と、プライバシーやデータの扱い・保持の要件は適用されます。報告も事象ごとではなく、半期ごとの運用のまとめで行い、配備した検知システムと場所、検知した事象の総数、通信記録を180日を超えて残した事例などを伝えます。*1

矯正施設だけで運用する場合も、同じ認定が必要ですか

矯正施設だけで運用する要員向けには、通常の低減の認定のほかに、矯正施設の運用に限った略式の認定が用意されています。 なお、個々の装置の操作研修は、NCUTCの認定とは別に、各機関が責任を持って行います。

通信記録から取り出したデータにも、180日の上限はかかりますか

パターンデータは、いったん取り出されて別に記録された後は通信記録に当たらず、180日の上限を受けないとされています。*1 電子的な監視に関する法律に触れない方法で動くシステムが作ったデータも、同じ扱いです。

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出典

  1. *1 参考:米国司法省・国土安全保障省「Counter-UAS Authority for State, Local, Tribal, and Territorial Law Enforcement and Correctional Agencies」(連邦官報 2026年7月6日・暫定最終規則/91 FR 41466)(https://www.federalregister.gov/documents/2026/07/06/2026-13609/counter-uas-authority-for-state-local-tribal-and-territorial-law-enforcement-and-correctional)。出典:ドケットFBI-2026-0001、規制識別番号1110-AA39および1601-AB25、発効日2026年7月1日。SAFER SKIES法の成立日と適用が外れる法律、守る対象、2つの認定とNCUTCによる発行、検知のみの資格者による低減の禁止、2つのリストと維持する6機関、電波を出すシステムの評価と再評価、C-UAS運用計画の記載事項、調整が版に対して有効であることと再調整の要否、5分以内の通報と48時間以内の事後報告の7項目、ポータル、半期ごとの運用のまとめ、制御通信の180日の上限と例外、90日ごとの見直しと30日以内の通知、偶然の取得物の扱い、常設配備の四半期ごとの見直し、パターンデータの扱いを参照。確認日は2026年9月7日(2026年9月確認)




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