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2026.10.24 らしくコラム

ベンダー選定の評価項目8つ|提案を公平に比べる評価表の作り方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

提案書を押さえながらノートPCの評価表に点を入れる担当者の手元

この記事の結論

  • ベンダー選定の評価項目は、届いた提案を同じ物差しで採点するため、提案書を読む前に決めておきます。
  • 項目は業務の理解・機能・非機能・体制・作業管理・情報セキュリティ・成果物・実績の8つが目安です。
  • 満たさなければ外す必須の項目と加点の項目に分け、3人以上で採点すると点のぶれを抑えられます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

3社から提案書が届いたものの、どれも読みごたえがあって決め手が見つからない。社内で説明を求められても「なんとなくA社がよさそうだった」としか言えない——。システム開発のベンダー選定では、こうした迷いが起こりがちです。ベンダー選定の評価項目とは、届いた提案を同じ物差しで比べるために、どこを見て何点を付けるかを前もって決めた一覧を指します。

評価項目と配点を表にしておけば、選んだ理由を点数で説明できます。ただし万能ではなく、項目の立て方を誤ると、実績の多い会社ばかりが勝つ表になります。本記事では、システム開発の発注を担当する方に向けて、評価項目8つの一覧、必須と加点の分け方、評価表の作り方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

ベンダー選定の評価項目とは

ベンダー選定の評価項目は、提案を依頼する書類であるRFP(提案依頼書)と対になるものです。RFPが「何を提案してほしいか」を相手に伝える書類なのに対し、評価項目は「届いた提案をどう採点するか」を決めておく社内の物差しにあたります。RFPそのものの書き方はRFP作成を支援・外注する方法で扱っています。

  • 評価項目:提案書のどこを見るか(体制、実績など)
  • 評価基準:何が書かれていれば点を付けるか
  • 配点:項目ごとの点数の重み
  • 区分:満たさなければ外す必須の項目か、優れていれば点を上乗せする加点の項目か

作り方の手本になるのが、デジタル庁の「デジタル庁調達手続マニュアル」です。国の情報システムの調達では、「価格」と「価格以外の要素(技術力、創意工夫等)」を総合的に評価して相手を決める総合評価落札方式が使われ、評価項目と配点を入札説明書で明らかにしたうえで提案を募ります。*1 民間の会社がこのとおりにする決まりはありませんが、比べ方の型として借りられます。

評価項目8つの一覧

マニュアルには、システムの開発・構築業務で使う評価項目の設定例が載っています。業務の理解、機能要件と非機能要件の実現方法、体制・スケジュール、作業管理、成果物、提案者に関する事項といった区分で組まれています。*1 これを民間のベンダー選定向けに8つにまとめると次のとおりです。

提案書の段落に蛍光ペンで線を引き始める手元

ベンダー選定の評価項目8つ(デジタル庁の設定例をもとに整理)
評価項目 提案書で確かめること
1. 業務の理解 依頼の背景と目的を、提案者自身の言葉で書いているか
2. 機能要件の実現方法 求める機能をどう作るか。画面と機能の対応、ほかのシステムとのつなぎ方
3. 非機能要件の実現方法 速さ(性能)や止まりにくさ(可用性)、利用が増えたときの広げ方をどう満たすか
4. 体制と要員 体制図、主な要員のスキル、体制を変えるときの手順
5. スケジュールと作業管理 主な節目の時期と、進み具合・品質・リスク・課題・変更の管理のしかた
6. 情報セキュリティ 預けた情報を守る方法と、再委託先まで含めた管理の体制
7. 成果物と権利 納める成果物の一覧と、作った物の知的財産権の扱い
8. 実績 似た仕事の受託実績の概要と完了した時期

設定例の評価基準は、どれも「〜が具体的に記述されているか」という形で書かれています。*1 「信頼できそうか」のような印象ではなく、提案書のどこに何が書かれていれば点になるかを決めておけば、読む人によって点がぶれにくくなります。

必須の項目と加点の項目の違い

評価項目は、満たさなければ選定から外す「必須」と、優れていれば点を上乗せする「加点」に分けます。マニュアルは、最低限の要求要件を1つでも満たしていない提案は不合格になるとし、満たした提案には基礎点を、それを超える優れた提案には加点を与える仕組みを示しています。*1

必須の項目と加点の項目の違い
区分 役割 項目の例
必須の項目 満たさない提案は外す。満たせば基礎点が付く 求める時期までに体制を組める。秘密保持の取り決めに応じられる
加点の項目 優れた提案に点を上乗せする 品質の確かめ方の工夫。運用まで見すえた設計の提案

必須の項目を増やしすぎると、候補がほとんど残らなくなります。必須にするのは、満たさなければ仕事が始められない条件だけにして、残りは加点に回します。点数の組み立ては次の図のとおりです。

評価表の点数の組み立てを示した図。必須の項目は、最低限の要求を満たすと基礎点が付き、それを超える提案には加点が付く。満たさない提案は不合格として外す。必須以外の項目は、優れた提案に加点が付く。技術点は基礎点と加点の合計になる。デジタル庁「デジタル庁調達手続マニュアル」をもとに作成。

実績の配点にも注意が要ります。マニュアルは、調査や研究開発などの事業の総合評価で、実績の項目の配点を技術点全体の20%以内を目安とし、過去の実績を重く見すぎて新しい事業者の参入を妨げないようにしています。*1 民間の選定でも、実績に点を寄せすぎると、経験は少なくても提案の中身がよい会社を落としてしまいます。

評価表の作り方

評価表は、提案書が届く前に作り終えておきます。提案を読んでから基準を決めると、気に入った会社に合わせた基準になりやすいためです。次の4つのステップで進めます。

ノートPCの評価表の1行を前に3人で採点を突き合わせる場面

  • ステップ1:RFPに書いた要求と1つずつ対応させて評価項目を決める。必要な範囲を超えて評価する意味のない項目は外す*1
  • ステップ2:項目ごとに必須か加点かを決め、重要な項目ほど配点を大きくする
  • ステップ3:何が書かれていれば何点かという評価基準を文章で書く。数値で比べられるものは上限値などを示す*1
  • ステップ4:3人以上で別々に採点し、点の開きが大きい項目だけを話し合う

評価項目にできるのは、契約で中身を確かめられるものだけです。マニュアルの設定例の注記も、契約で担保できないものは評価項目にしないとしています。*1 「優秀な要員を出す」は契約で確かめられませんが、「体制を変えるときは前もって知らせる」なら契約に書けます。

採点する人数について、マニュアルは調査や研究開発などの事業の技術審査を3者以上で行い、うち最低1者は担当の管理者とするとしています。*1 担当者1人の採点では、印象に引きずられた点を見直す機会がありません。価格は提案の点とは別に点数にして足し合わせるのが国の総合評価の形で、見積もりの比べ方はシステム開発の相見積もりの取り方にまとめています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

社内にシステム開発の経験者が少ないと、どの項目に何点を置くかの判断が難しくなります。外部の会社に手伝ってもらう場合は、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

  • 中立性:手伝う会社や、その関係の深い会社が、提案する側に加わらないか
  • RFPとのつながり:RFPの要求と評価項目を1対1で並べた対応表まで作ってもらえるか
  • 任せる範囲:採点まで頼むのか、評価表の設計と採点する人への説明までにとどめるのか
  • 記録の残し方:項目ごとの点とその理由を、後から社内で説明できる形で残せるか
  • 契約後へのつなぎ:評価表で確かめた体制やスケジュールを、契約後の進み具合の確認にどう使うか

選定の段階で確かめた体制とスケジュールは、契約した後に約束どおり進んでいるかを見る基準にもなります。契約後の管理を外部の手も借りて進める方法はベンダーマネジメントを外部委託する進め方で扱っています。

まとめ:評価項目で確かめておきたい3つの点

ベンダー選定の評価項目を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、RFPに書いた要求と評価項目を1つずつ対応させ、契約で確かめられる項目だけを残すこと。第二に、必須の項目と加点の項目に分け、実績に配点を寄せすぎないこと。第三に、評価基準を文章で書き、3人以上で別々に採点することです。この3点を踏まえておけば、「提案を読んだ印象で決めてしまい、社内に理由を説明できない」という事態を避けやすくなります。評価表の組み立てに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

評価表の設計では、RFPの要求の一覧と評価項目を1行ずつ対応させた表をExcelで作り、必須と加点の区分、配点、評価基準の文言を同じシートで管理します。非機能要件の項目は、IPA(情報処理推進機構)の「非機能要求グレード」の大項目を下敷きにして、求める水準を数値で書き分けます。情報セキュリティの項目では、ISMS(ISO/IEC 27001)認証の有無だけで判断せず、再委託先まで含めた情報の扱いの手順を提案書に書いてもらう形にします。採点の後は、採点した人ごとの点の開きを一覧にし、話し合いで直した点とその理由を記録に残します。

よくある質問

評価項目は提案を頼む会社に前もって伝えるべきですか

伝えておくのがおすすめです。国の調達でも、評価項目と配点は入札説明書で明らかにします。*1 項目が分かっていれば、各社が同じ項目に沿って提案書を書くので、読み比べる手間も減ります。

配点の合計は何点にすればよいですか

決まりはありません。マニュアルの開発・構築業務の設定例では、基礎点38点と加点67点の合計105点で組まれています。*1 社内で説明しやすいよう、合計を100点にそろえてから項目ごとに割り振る方法でもかまいません。

提案してくれる会社が1社だけでも評価表は要りますか

作っておくと役に立ちます。比べる相手がいなくても、必須の項目を満たしているかを確かめ、項目ごとに何が書かれていたかを記録できます。

ベンダー選定の評価表づくりのご相談

RFPの要求に対応させた評価項目の整理から、配点と評価基準の設計まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:デジタル庁「デジタル庁調達手続マニュアル」(2026年9月16日更新)(PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/883b9dc1-3155-4a26-a0cc-c2b5fb0d41d1/9aa88c21/20260916_procurement_manual_01.pdf)。出典:15 総合評価落札方式(広報事業・調査事業・研究開発事業)の(2)総合評価落札方式とは、関係書類(仕様書の必須の要求要件・総合評価基準書)、得点配分基準、技術点の構成、実績項目に対する得点配分割合、技術審査の方法、および開発・構築業務における評価項目及び評価基準の設定例とその注記を参照。掲載ページは https://www.digital.go.jp/procurement/manual(2026年10月確認)




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