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2026.10.27 採用支援コラム

業務委託の反社チェックリスト|契約前・契約時・契約中の12項目

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

通路でチェックリストを示して確かめ合うマネージャーと法務担当

この記事の結論

  • 業務委託の反社チェックは、契約前・契約時・契約中の3段階で、決まった手順で確かめて記録を残します。
  • 契約時は表明確約書と暴排条項をそろえ、属性と行為の両方を解除の理由にしておきます。
  • 確認の目的は本人に明示し、疑いが出たら一人で判断せず警察などの専門機関に相談します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

フリーランスのエンジニアに業務委託で開発を頼むことが決まり、契約書の準備に入った。社内のルールでは取引先の反社チェックが求められているが、相手は法人ではなく個人。何をどこまで確かめればよいのか、本人にどう頼めばよいのか――。外部人材と契約する前に迷いやすい場面です。

本記事は、個人のエンジニアに業務委託で仕事を頼む企業の実務者に向けて、業務委託の反社チェックを契約前・契約時・契約中の3段階、12項目のチェックリストで示します。よりどころは、政府の犯罪対策閣僚会議の幹事会がまとめた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」とその解説、東京都暴力団排除条例、個人情報保護法です。

業務委託の反社チェックとは

反社チェックは、取引の相手が暴力団などの反社会的勢力に当たらないかを確かめることです。指針は、反社会的勢力とは取引関係を含めて一切の関係をもたないとし、相手方が反社会的勢力かどうかについて「常に、通常必要と思われる注意を払う」よう求めています。*1 指針に法的拘束力はなく、中小企業は企業規模に応じて5つの基本原則を中心に対応することが大切だと解説されています。*2

都道府県の暴力団排除条例も、事業者に契約時の対応を求めています。東京都の条例では次のとおりです。*3

  • 確認:契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合に、相手方が暴力団関係者でないことを確認するよう努める(第18条第1項)
  • 特約:契約を書面で結ぶときは、暴力団関係者と判明したら催告なく解除できる特約を定めるよう努める(第18条第2項)
  • どちらも努力義務で、日用品の売買のように相手の身分を確かめない取引まで確認を求めるものではないと説明されている*4

個人のエンジニアとの契約で気をつけたいのは、確かめる相手が本人1人で、集める情報がそのまま個人情報になることです。警視庁は、暴力団員と交際していると噂されている、親族に暴力団員がいる、といった事情だけで「暴力団関係者」とみなされることはないと説明しています。*4 噂や書き込みだけで判断せず、決まった手順で確かめて記録を残すことが、本人にとっても公平な進め方になります。

12項目を3つの段階に並べると、次の図のとおりです。

個人のエンジニアと業務委託契約を結ぶときの反社チェックの全体図。契約前は1 社内の方針と窓口、2 目的を本人に明示、3 集める情報を絞る、4 確かめて記録する。契約時は5 表明確約書を受け取る、6 暴排条項を入れる、7 属性と行為を書く、8 協力者にも及ぼす。契約中は9 更新時に記録を見直す、10 保管場所を決める、11 一人で判断しない、12 専門機関に相談する。疑いが出たときは担当者から社内の窓口へ報告して組織として対応し、相談先は警察署・暴力追放運動推進センター・弁護士。出典は政府の指針と解説、東京都暴力団排除条例、警視庁のQ&A、個人情報保護法。

反社チェックの仕組みをシステムで作る場合は「反社チェックシステム|取引先スクリーニングと記録の要件」で扱っています。本記事は、個人のエンジニア1人と業務委託契約を結ぶ場面に絞ります。

契約前のチェックリスト

契約の話を進める前に、社内の準備と本人への説明をそろえます。確かめる項目は次の4つです。

見開きの記録帳の1行に万年筆で書き入れる手元

契約前のチェックリスト(4項目)(出典:犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」と同解説、東京都暴力団排除条例、警視庁「東京都暴力団排除条例Q&A」、個人情報の保護に関する法律をもとに作成。2026年10月26日確認)
チェック項目 確かめる中身 よりどころ
1. 社内の方針と窓口がある 反社会的勢力と関係をもたない方針と、疑いが出たときに報告する窓口が決まっている 指針 2(2)
2. 確認の目的を本人に示した 表明確約書や契約書で個人情報を受け取る前に、反社チェックに使うことを本人に明示した 個人情報保護法第21条第2項
3. 集める情報を絞った 氏名・住所・生年月日など、確認に要る範囲に限っている 本記事の整理(警視庁Q&Aの相談時の準備物を参考)
4. 公開情報で確かめて記録した 確かめた日・見た情報・担当者・結果を残した 指針 2(2)(情報の一元的な管理・蓄積)

個人情報保護法第21条第2項は、契約書その他の書面に書かれた本人の個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければならないと定めています。*5 表明確約書を受け取る前に「反社会的勢力との関係がないことの確認と、その記録のため」のように目的を伝えておけば、本人も事情を分かったうえで書類を出せます。

犯罪の経歴は「要配慮個人情報」に当たり、法令に基づく場合などを除いて、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないとされています。*5 確かめる中身は反社会的勢力に当たらないかに絞り、それ以外の経歴を尋ねたり集めたりしないようにします。個人データの扱い全体は「業務委託エンジニアの情報セキュリティ」をご覧ください。

契約時のチェックリスト

契約書と一緒にそろえる書面は2つです。本人の表明と、関係者と判明したときに契約を解除できる条項です。

契約時のチェックリスト(4項目)(出典:犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」と同解説、東京都暴力団排除条例、警視庁「東京都暴力団排除条例Q&A」、個人情報の保護に関する法律をもとに作成。2026年10月26日確認)
チェック項目 確かめる中身 よりどころ
5. 表明確約書を受け取った 暴力団員でないこと・暴力団との関係がないこと・暴力的な要求行為等を行わないことを、現在と将来にわたって表明している 警視庁Q&A Q4
6. 契約書に暴排条項がある 暴力団関係者と判明したら催告なく解除できると書いてある 東京都条例第18条第2項第1号
7. 属性と行為の両方を書いた 反社会的勢力であることに加え、それを隠して契約することや契約後の違法・不当な行為も解除の理由にしている 解説(5)
8. 協力者にも及ぶ 本人が作業を手伝ってもらう人など関連する契約の相手が関係者と判明したとき、措置を求められる 東京都条例第18条第2項第2号・第3号

警視庁は、表明確約書を、相手方に現在と将来にわたって「自分は暴力団員ではないこと」などを表明させ、違背や虚偽の申告があれば無催告で解約に応じることを確約させる文書だと説明しています。*4 解説は、暴排条項では属性と行為の両方を組み合わせることが適切だとし、相手方に反社会的勢力でないことの申告を求めておく考え方を示しています。*2 申告を求めておけば、対応を次のように分けられます。

  • 反社会的勢力だと表明した:暴排条項に基づき、契約を結ばない
  • はっきり答えない:契約自由の原則に基づき、契約を結ばない
  • 否定したが、後で虚偽と分かった:暴排条項と虚偽の申告を理由に、契約を解除する

契約中のチェックリスト

契約を結んだあとも、確認の記録を守り、疑いが出たときの動き方を決めておきます。

丸い机で閉じたファイルを前に2人が報告と相談をする手元

契約中のチェックリスト(4項目)(出典:犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」と同解説、東京都暴力団排除条例、警視庁「東京都暴力団排除条例Q&A」、個人情報の保護に関する法律をもとに作成。2026年10月26日確認)
チェック項目 確かめる中身 よりどころ
9. 更新時に記録を見直した 契約を更新するときに、確認の日付と表明確約書が今の契約に合っているかを見る 本記事の整理(指針 2(2))
10. 記録の保管場所を決めた 表明確約書と確認の記録を、見られる人を限って保管している 個人情報保護法第23条
11. 一人で判断しない 疑いが出たら担当者だけで抱えず、窓口と経営層に報告する 指針 2(1)・2(3)
12. 外部の専門機関に相談する 警察署・暴力追放運動推進センター・弁護士に相談する 指針 2(1)、警視庁Q&A Q2

解説は、反社会的勢力だと完全に判明した段階だけでなく、疑いが生じた段階でも関係遮断を図ることが大切だとしたうえで、疑いには濃淡があるとして次の対処を挙げています。*2

  • 直ちに契約等を解消する
  • 契約等の解消に向けた措置を講じる
  • 関心を持って継続的に相手を監視し、将来の解消に備える

警視庁は、契約相手が暴力団関係者かもしれないと疑いながら本人に確かめにくい場合は、警察署や暴力団追放運動推進都民センターに相談するよう案内しています。相談には、相手の氏名・生年月日・住所が分かる資料、暴力団排除の特約を定めた契約関係の資料、疑いがあると判断した理由の資料を用意します。契約を断るときに理由を相手に説明する義務はないとも説明されています。*4

チェックで足りないときに外部へ頼む範囲

12項目を確かめると、社内に窓口がない、契約書のひな形に暴排条項がない、といった穴が見つかることがあります。条項の書き方は弁護士に、疑いが出たときの相談は警察署や暴力追放運動推進センターに頼むのが基本の分担です。確認の手順を整えたうえで条件の合うエンジニアを探す段階なら、外部人材の紹介を受ける相手に次のような相談ができます。

  • 表明確約書と暴排条項を契約前に用意することを伝えたうえで、候補者を探してもらう
  • 個人との直接の契約と、紹介会社などを通した契約の形を比べる
  • 確認の手順にかかる日数を見込んで、作業を始める時期を決める

相談の前に次の5つを書き出しておくと、話が早く進みます。

  • 範囲:任せたい作業と、個人データや秘密情報に触れるかどうか
  • 期間:始めたい時期と、契約の区切り
  • 体制:社内で指示をする人と、反社チェックの窓口になる人
  • 費用の決まり方:作業の時間で払うのか、成果物で払うのか
  • 引き継ぎ:いまの担当者から受け取る資料と作業の記録

まとめ:業務委託の反社チェックの進め方

業務委託の反社チェックは、相手が個人でも手順は同じです。第一に、契約前に社内の方針と窓口を決め、確認の目的を本人に明示し、集める情報を絞って記録します。第二に、契約時に表明確約書と暴排条項をそろえ、属性と行為の両方を解除の理由にします。第三に、契約中は記録を見られる人を限って保管し、疑いが出たら一人で判断せず、警察署や暴力追放運動推進センター、弁護士に相談します。

LASSICに相談するメリット

反社チェックの手順を整えたうえで外部のエンジニアを探したいときは、任せたい作業の範囲と始めたい時期を書き出していただければ、条件に合う人材の相談につなげられます。契約前に表明確約書を用意することも、あらかじめお伝えください。

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よくある質問

個人のエンジニアにも反社チェックは必要ですか

指針はあらゆる企業を対象にしており、相手が個人でも考え方は同じです。東京都の条例は、契約が暴力団の活動を助長する疑いがあると認める場合の確認と、書面の契約での特約を、事業者の努力義務としています。*3

表明確約書の提出を断られたらどうしますか

解説は、相手方が反社会的勢力かどうかについてはっきり答えない場合、契約自由の原則に基づき契約を結ばないことができるとしています。*2 断る理由を相手に説明する義務もありません。

契約後に疑いが出たら、すぐに解除してよいですか

疑いには濃淡があり、直ちに解消する、解消に向けた措置を講じる、継続して見守るといった対処が考えられます。担当者だけで決めず、窓口に報告したうえで、警察署や暴力追放運動推進センター、弁護士に相談します。

確認の手順を整えて外部エンジニアを探す

任せたい作業の範囲と始めたい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。反社チェックの手順を社内で整えている段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html)。出典:法務省掲載(平成19年6月19日)。基本原則、平素からの対応(相手方の確認・情報の一元管理・暴力団排除条項)、有事の対応を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」(PDF)(https://www.moj.go.jp/content/000061959.pdf)。出典:法務省掲載。法的性格、一切の関係遮断(疑いの濃淡と対処)、暴力団排除条項の意義、不実の告知に着目した契約解除を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:東京都暴力団排除条例(平成23年東京都条例第54号)(PDF)(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/anzen/tsuiho/haijo_seitei/haijo_jourei.files/jourei.pdf)。出典:警視庁掲載。第18条(事業者の契約時における措置)を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:警視庁「東京都暴力団排除条例Q&A」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/anzen/tsuiho/haijo_seitei/haijo_q_a.html)。出典:警視庁(2022年7月4日更新)。Q1〜Q4(契約時の確認・相談の方法・表明確約書)、Q6(暴力団関係者)を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項・第20条第2項・第21条・第23条(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。要配慮個人情報、適正な取得、取得に際しての利用目的の通知等、個人データの管理の措置を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)




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