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2026.09.09 採用支援コラム

DXの成果指標の決め方|成果を答えられる指標を1つ選ぶ方法

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ダーツボードの中心付近に緑とオレンジの矢が刺さっている様子を写した写真。人も盤の数字以外の文字も写っていない

この記事の結論

  • DXに取り組む企業のうち、成果指標を設定しているのは23.9%で、4社に1社に届きません。
  • 設定していない理由では「評価指標の設定方法がわからない」が36.0%で、最も多く挙がっています。
  • まずは一つの案件で、いま数えられる数値を1つ決めて毎週数えると、判断を数値で進めやすくなります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

DXの取組は進めているのに、成果が出たのかと聞かれると答えられない。遅れていた開発案件を立て直しても、どの数値まで戻れば回復したと言えるのかが決まっていない——。DXに取り組む企業では、こうした悩みが起こりがちです。IPA(情報処理推進機構)の調査でも、DXに取り組む企業のうち成果指標を設定しているのは23.9%でした。*2 DXの成果指標とは、DXの取組でどんな成果が出たかを測るために、あらかじめ決めておく数値のことです。

成果指標が決まっていれば、取組を続けるかどうかや、増やした人員をいつ減らすかを、数値をもとに話し合えます。ただし万能ではなく、指標を決めただけで成果が出るわけではありません。本記事では、DXや開発の体制を見直す実務担当者に向けて、成果指標を設定している企業の割合、設定できない理由、決め方の手順、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

DXの成果指標とは

成果指標として何を測るかは、取組の目的によって変わります。IPAの「DX動向2026」は、指標の対象を4つに分けて尋ねています。社内の効率化(資料の分類名は「内向きの業務改革」)、AIやデータをどれだけ使えているか(「システム改革」)、新たなビジネスや顧客価値の創出(「外向きの業務改革」)、デジタル事業の売上高や市場シェアなど(「経営改革」)です。*2

内向きの業務改革なら、ある業務にかかる時間、残業時間、手戻りの件数といった社内の数値が指標になります。経営改革なら、デジタル事業の売上高のように会社全体の数字で成果を見ます。前者は一つの部署や案件の中で数えられますが、後者は会社全体で集計する数字です。

指標を設定している企業に対象を尋ねた結果では、内向きの業務改革が80.0%、システム改革が55.4%、外向きの業務改革が33.5%、経営改革が16.3%でした(複数回答)。*2 社外に向けた成果や会社全体の数字を指標にしている企業は、まだ少ないということです。

成果指標を設定している企業の割合

「DX動向2026」は2026年7月30日に公開された資料で、日本の企業を対象に、2026年4月17日から6月12日にかけて実施した調査をまとめています。調査対象数は10,000、有効回答数は1,799です。*3 成果指標についての設問は、全社的に、または一部の部門や部署ごとにDXに取り組んでいると答えた企業に絞って集計されています。*2

IPA「DX動向2026」の図表2-14・2-15・2-16・2-17・2-20から作成した図。調査は日本の企業が対象で、2026年4月17日から6月12日に実施、調査対象数10,000、有効回答数1,799。集計対象はDXに取り組んでいると答えた企業。成果指標を設定しているは23.9%。設定していない理由は、評価指標の設定方法がわからないが36.0%(2024年度28.7%)、評価指標はこれから定めるが33.4%。指標の対象は複数回答で、内向きの業務改革80.0%、システム改革55.4%、外向きの業務改革33.5%、経営改革16.3%。売上に対するDX投資額の割合は1%未満27.8%、1%以上2%未満31.0%、5%以上21.1%。投資対効果が出ているは合計14.6%で、成果指標の有無で回答率に10ポイント程度の差がある。

その企業のうち、成果指標を「設定している」と答えたのは23.9%でした。*2 資料は、DXへの取組が広く浸透しつつある中でも、成果を測る指標の設定は4社に1社にも満たない状況が続いており、取組の成果を適切に把握できていない企業が多いとしています。DXに取り組んでいる企業の中での割合なので、日本企業全体の割合ではない点には注意が必要です。

成果を測る数値がなければ、取組がうまくいっているのかを経営層に説明しにくくなります。人や予算を増やすかどうか、増やした人員をいつ減らすかといった判断も、担当者の感覚に頼ることになりがちです。

なぜ設定できないのか

成果指標を設定していないと答えた企業に理由を尋ねると、いちばん多いのは「評価指標の設定方法がわからない」の36.0%でした。資料によると、2024年度の28.7%から約7ポイント上昇しています。2番目は「評価指標はこれから定める」の33.4%でした。*2

資料はこの結果を、多くの企業は指標設定の必要性を感じながらも設定できていないという状況にある、とまとめています。*2

設定方法が分からないときは、会社全体で使える完成した指標を最初から作ろうとしないことが大切です。すべての部署に当てはまる数値を探すと、部署ごとに事情が違うので議論がまとまりません。

指標があると投資対効果は違うのか

資料はDXへの投資の効果も尋ねています。「投資・費用を大幅に上回る投資対効果が出ている」と「投資・費用を上回る投資対効果が出ている」を合わせても、14.6%にとどまりました。*2 投資に見合う効果が出ていると答えられる企業は、DXに取り組む企業の中でも一部だということです。

成果指標との関係については、指標を「設定している」企業は「設定していない」企業と比べて、投資対効果が出ていると答えた割合に10ポイント程度の差があると述べられています。*2 ただし、指標を決めたから効果が出たのか、効果が出ている企業が指標も持っているのかは、この調査からは分かりません。

それでも、測る数値がなければ、効果が出ているかどうかを答えること自体が難しくなります。投資を続けるか、やり方を見直すかを社内で話し合うためにも、まず数える数値を1つ持っておくことには意味があります。数値があれば、効果が出ていないときにも、どの作業を変えるかを具体的に話し合えます。

成果指標はどう決めるのか

ここでは、遅れていた開発案件を立て直す場面を例に、成果指標を決めて使う手順を4つに分けて示します。

成果指標を決めて使う4つの手順(遅れていた開発案件を立て直す場合の例)
手順 やること 例
1 案件で数える数値を1つだけ決める 残業時間、手戻りの件数、期限からの遅れの日数のうち1つ
2 決めた数値を毎週数える 毎週同じ曜日に集計し、前の週と並べる
3 数値を減らすための作業を、判断する作業と量をこなす作業に分ける 完了の条件を決めるのは前者、手順書どおりのテストは後者
4 量をこなす作業を、期間を決めて外部に委託する 作業量を見積もれるものから委託し、判断が必要な作業は社内に残す

第一に、止まっている案件で、いまの業務から数えられる数値を1つだけ決めます。複数の数値を追うと、どれが改善すれば回復と言えるのかが曖昧になります。第二に、決めた数値を毎週数えます。月末にまとめて集計する形では、途中でやり方を変える判断が遅れます。

第三に、その数値を減らすための作業を、判断する作業と、量をこなす作業に分けます。どの数値で見るか、どこまで戻れば完了とするかを決めるのは前者です。手順書どおりに進めるテストや、仕様の決まったプログラムの修正は後者に当たります。第四に、量をこなす作業のうち作業量を見積もれるものから、期間を決めて外部に委託します。

最初の数値は、社内の効率化から選ぶと決めやすくなります。社内の効率化の指標は、指標を持つ企業の80.0%が使っている種類です。*2 自社で前例のない指標から始めるより、何をどう数えるかを決めやすいはずです。

つまずきやすい点

一つ目は、最初から経営改革の指標を決めようとすることです。売上高や市場シェアは会社全体の数字なので、一つの案件の取組でどれだけ動いたのかを切り分けにくく、毎週数えることもできません。案件の成果を見る数値と、会社全体の目標は分けて考えます。DXの目標を項目ごとに見た調査は「DXの目標を項目別に見た調査」で扱っています。

二つ目は、完成した指標ができるまで数えるのを待つことです。設定していない理由で「設定方法がわからない」が最も多いことを考えると、完成を待っていては、いつまでも数え始められないおそれがあります。はじめは粗い数値でもかまわないので、毎週同じやり方で数えることを優先します。数え方の見直しは、数値を並べてからでも間に合います。

三つ目は、数値を決める作業ごと外部に任せてしまうことです。委託先は作業の進み具合を報告できますが、どこまで戻れば完了とするかは、案件の目的を知る社内の担当者が決めることです。何で成果を見るかまで社外に委ねると、委託が終わったあとに社内で数値を追い続けられなくなります。数値を決める人をどう置くかは「AI導入の推進体制」でも扱っています。

外部に委託するときに確認しておきたい点

量をこなす作業を委託するときは、任せる作業の名前と期間、完了の条件を書き出しておきます。たとえば「結合テストの実施を来月末まで、手順書の項目をすべて終えたら完了」のように書けば、委託先も作業量を見積もりやすくなります。フリーランスを含む業務委託は、作業と期間を決めて依頼し、終わったら契約を終えられるので、立て直しの期間だけ加わってもらう使い方に向いています。

あわせて、社内で決めた成果指標を委託先にも伝え、毎週の報告にその数値を含めてもらいます。数値が遅れる前の水準に戻ってきたら、委託をいつ終えるかを数値をもとに決められます。遅れの原因を切り分ける手順は「開発の遅延の原因の切り分け方」で、必要な人数を見積もる手順は「要員計画の立て方」で整理しています。

まとめ:DXの成果指標で確かめておきたい3つの点

DXの成果指標を決めて使ううえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、止まっている案件で、いまの業務から数えられる数値を1つだけ決めること。第二に、その数値を毎週数え、増員の効果と、人員を減らす時期を判断すること。第三に、数値を決める作業は社内に残し、量をこなす作業だけを期間を決めて委託することです。この3点を踏まえておけば、「人を増やして遅れは取り戻したのに、いつまで今の体制を続けるのか誰も決められない」という事態を避けやすくなります。成果指標の決め方や作業の分け方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

成果指標を1つ決めたあとは、その数値を動かす作業を誰が担うかを決めることになります。指標の完成を待たずに、作業量を見積もれる作業から人に加わってもらうほうが、早く進む場合もあります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

この調査は、どのような企業を対象にしていますか

日本の企業を対象に、企業データベースから業種や従業員規模で割付けてランダムに抽出しています。想定回答者は、自社のDXの推進状況や人材の状況を把握している部署の責任者です。*3 成果指標の設問は、そのうちDXに取り組んでいると答えた企業が対象です。

前年度と比べて、成果指標を設定している企業は増えていますか

資料は2024年度と大きな変化はないと述べています。ただし2024年度は「設定している」が、自社独自の指標23.9%と、DX推進指標等の外部から提供されている指標3.5%に分かれていたと注記されています。*2 選択肢の作りが違うため、単純には比べられません。

DXへの投資額は、売上に対してどのくらいの企業が多いですか

売上に対するDX投資額・費用の割合は、1%未満が27.8%、1%以上2%未満が31.0%で、資料は2%未満の企業が全体の半数以上を占めるとしています。一方で5%以上も21.1%あり、企業によって投資規模に大きな差があると述べています。*2 なお、この設問は任意回答です。

開発の体制を相談したいとき

成果指標の決め方や、社内に残す作業と委託する作業の分け方からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。出典:IPA「DX動向2026」の公開ページ。公開日(2026年7月30日)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「DX動向2026」(本文)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。出典:図表2-14(成果指標の設定状況)、図表2-15(指標の対象)、図表2-16(設定していない理由)、図表2-17(売上に対するDX投資額の割合。任意回答で、3シグマを基準に33.0%以上を外れ値として除外)、図表2-20(投資対効果)についての本文の記述を参照。集計対象はDXに取り組んでいると答えた企業(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「DX動向2026」(データ集)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-data-collection-2026.pdf)。出典:調査対象・調査期間・調査対象数・有効回答数・抽出方法・想定回答者を参照(2026年7月30日第1版)(2026年9月確認)




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