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2026.10.27 採用支援コラム

業務委託の誓約書テンプレート|参画時に出してもらう10項目

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

机の上で誓約書の署名欄にペンで記入する手元を真上から写した写真

この記事の結論

  • 業務委託の誓約書には、秘密情報の範囲、持ち出し、終了時の返還と消去、他社の秘密、反社会的勢力の確認など10項目を入れます。
  • 委託先企業の社員とは直接の契約がないため委託先との契約を軸にし、個人の誓約書は監督の手法の一つとして使います。
  • 「秘密を守る」だけでは持ち帰りや私物の機器の使用を防ぎにくいので、持ち出しの条件と消去の報告まで書きます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

業務委託の外部エンジニアが来週から参画する。社員と同じように誓約書を出してもらいたいが、社員用のひな形をそのまま使ってよいのか、何を書けばよいのか、そもそも委託先の社員から個人の誓約書を取ってよいのかが分からない——。初めて外部人材を受け入れる企業では、ここで手が止まりがちです。

本記事は、外部のエンジニアを受け入れる開発マネージャーや情報システムの責任者に向けて、参画時に出してもらう誓約書の10項目をテンプレートの表にまとめます。経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」の誓約書の例と、個人情報保護委員会のガイドラインとQ&Aをもとに、誰から受け取るか、持ち出しと返却をどう書くかを整理します。

業務委託の誓約書とは

業務委託の誓約書は、外部のエンジニアが参画するときに、預かる情報の扱いなど本人が守ることを書面にして、発注する企業へ差し入れるものです。法令で決まった様式はありません。経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」は参考資料2で、入社時、プロジェクト参加時、退職時などの秘密保持誓約書の例を示しています。*2

業務委託契約書との違いは、誰と誰の約束かにあります。契約書は企業どうしが合意して仕事の範囲や報酬を決め、誓約書は作業する本人が守る行動を約束します。ハンドブックは、秘密保持契約等は個人が当事者になるため、秘密情報の管理に対する認識をより確実なものとする効果があるとしています。*1

業務委託契約書と誓約書の役割の違い(出典:経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」本編と参考資料2をもとに作成)
項目 業務委託契約書 誓約書
誰と誰の約束か 発注する企業と受注者(委託先企業かフリーランス)が合意して結ぶ 作業するエンジニア本人が、守ることを発注する企業へ差し入れる
主に決めること 業務の範囲、報酬、期間、成果物の権利、秘密保持の条項、再委託 秘密情報の扱い、持ち出し、終了時の返還と消去など本人が守る行動
出す時期 業務を始める前に結ぶ 参画時のほか、担当が変わるときや終了時
本人への届き方 委託先企業の社員には直接は及ばず、委託先を介して守ってもらう 本人が当事者になるため、情報の扱いへの認識を確かにしやすい

企業どうしの契約に置く秘密保持の条項は、秘密保持契約と業務委託契約の違いで扱っています。本記事は、本人に出してもらう誓約書という書面そのものに絞ります。

誓約書テンプレートの10項目

次の表は、ハンドブックのプロジェクト参加時の誓約書の例と、個人情報保護委員会のガイドラインをもとに、外部のエンジニアに参画時に出してもらう誓約書の項目をテンプレートにしたものです。*2*3 記入の例は伏せ字にしています。

誓約書の控えの条項の余白に鉛筆で丸印を付ける手元

業務委託の誓約書テンプレート(10項目のひな形。出典:経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」参考資料2の第3「秘密保持誓約書の例」、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)、法務省掲載の政府指針をもとに作成。2026年10月26日確認)
項目 書く中身 記入の例 よくある抜け
①宛先と業務名 誰に宛て、どの業務に参画するための誓約か 〇〇株式会社 御中/業務名:〇〇システムの開発支援 業務名がなく、どの参画の誓約か後から分からない
②秘密情報の範囲 守る情報を、資料の種類や置き場所で示す 〇〇システムの設計書とソースコード、共有フォルダ〇〇の資料 「一切の情報」とだけ書き、対象の認識がずれる
③目的外の使用と開示の禁止 業務の目的以外に使わず、参画者以外に開示しない。終了後も続く 本業務の遂行の目的以外に使用せず、本業務の参画者以外に開示しない 終了した後の扱いが書かれていない
④個人データの扱い 顧客などの個人データに触れる場合の扱い 〇〇の顧客データは指定の環境でのみ扱い、複製しない 個人データに触れるかどうかを決めないまま出してもらう
⑤持ち出しと私物の機器 持ち出しの禁止と、認める場合の条件 許可なく資料を社外へ持ち出さず、私物のUSBメモリや個人のメールアドレスを使わない 「秘密を守る」だけで、持ち帰りや個人宛ての送信に触れていない
⑥生成AIなど外部サービスへの入力 入力してよい情報と、使ってよいサービス 許可されたサービス以外に、本業務の資料や顧客の情報を入力しない 外部サービスの扱いが1行もない
⑦終了時の返還と消去 終了時や担当を外れたときの返還、手元の機器からの消去と書面での報告 終了時に資料を返還し、自己の機器に残る情報を消去して、その旨を書面で報告する 返還だけで、手元に残ったデータの消去と報告がない
⑧他社の秘密情報 他社の秘密を持ち込まないこと、他社に負う守秘義務を守ること 第三者の秘密情報を、その第三者の承諾なく本業務で開示・使用しない ほかの企業の仕事も受ける人なのに確かめていない
⑨成果の情報の扱い 成果の情報の帰属を、契約の定めに従って確認する 本業務の成果の帰属は、〇年〇月〇日付の業務委託契約の定めに従う 契約と違う帰属を書き、どちらに従うか分からない
⑩反社会的勢力でないこと 反社会的勢力に当たらないことの確認 暴力団その他の反社会的勢力に該当しないことを確認する 個人と直接契約するのに、契約書にも誓約書にも定めがない

抜けやすいのは②の範囲です。ハンドブックは、参画した時点では対象の特定が難しくても、プロジェクトの参加時や終了時には範囲を特定しやすくなるとし、双方の認識が一致する程度に特定されているかがポイントだとしています。*1 資料の種類や置き場所で示すと認識がそろいます。

⑨について、ハンドブックの例は情報の帰属の条項を置きつつ、成果の帰属を別の取り決めで定める場合は誓約書に書く必要はないと注記しています。*2 ⑩は、政府の指針が、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することを挙げています。*5 契約書に条項があれば、誓約書では該当しないことの確認にとどめる形が考えられます。

誓約書を誰から受け取るか

誓約書を誰から受け取るかは、エンジニアとの契約の形で変わります。ハンドブックは、派遣労働者や自社内で勤務する委託先の労働者とは雇用契約等の直接の契約関係がないため、委託先企業と秘密保持契約等を結び、委託先企業を介して自社のルールを守ってもらう形になるとしています。*2

誓約書を誰から受け取るかを契約の形で分けた図。フリーランスと直接契約する場合は、発注する企業と本人が業務委託契約を結び、誓約書も本人から直接受け取れる。委託先企業の社員が作業する場合は、発注する企業と委託先企業が業務委託契約を結び、委託先企業が社員を雇用している。発注する企業と社員の間に直接の契約はないため、委託先企業を介して自社のルールを守ってもらい、社員個人の誓約書は監督の手法の一つで義務ではない。誓約書で本人の住所や氏名を受け取るなら利用目的の通知か公表が要る。

  • フリーランスと直接契約する場合:本人が契約の当事者なので、契約書の秘密保持の条項に加えて、本人から誓約書を受け取れる
  • 委託先企業の社員が作業する場合:委託先企業との契約で秘密保持を決め、委託先を介して守ってもらう
  • 自社内で作業する人:ハンドブックは、自社内で勤務する委託先従業員なども従業員等に向けた対策の対象に含めている*1

委託先の社員から個人として誓約書を取ることについて、個人情報保護委員会のQ&Aは、委託先の監督の手法の一つと考えられるものの、義務付けられるわけではないと答えています。*4 誓約書の署名欄で住所や氏名を受け取るなら、利用目的の通知や公表といった義務を自社が果たす必要があるとも述べています。*4

個人データを任せる前の確かめ方は、業務委託エンジニアの情報セキュリティで扱っています。

持ち出しと返却の書き方

ハンドブックは、「秘密を守る」とだけ書くと、社内資料を自宅に持ち帰ったまま返さない、個人のメールアドレスに送るといった行為は当たらないという言い逃れを許すおそれがあるとしています。*1

終了時に資料の束とUSBメモリを書類トレーへ返す両手

  • 持ち出し:持ち出しの禁止と、認める場合の条件を書く
  • 返還と消去:返還、廃棄や消去と、必要ならその確認の方法を書く
  • 生成AI:社外に流出したら困る情報は入力しないといった対応が重要とされている
  • 消去の記録:個人データを削除したら記録を残し、作業を任せた場合は証明書等で確かめることも重要とされている*3

ガイドラインは、規程に反してノート型パソコンや外部記録媒体が繰り返し持ち出されていたのに放置し、漏えいにつながった場合を、従業者の監督を怠った事例に挙げています。*3 誓約書に書いた持ち出しの条件は、作業の環境やアカウントの権限と合わせて運用します。

出してもらう時期は参画時だけではありません。ハンドブックは、入社や採用の時のほか、契約終了時やプロジェクト参加時など、扱う情報の種類や範囲が大きく変わるときを締結の時期に挙げています。*1 終了時に返還と消去の報告を書面でもらうと、⑦の確認になります。社員の誓約書と秘密管理の考え方は、営業秘密の秘密管理措置で扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

誓約書のテンプレートを埋めるには、頼む前に決めておくことがあります。次の5つは、外部人材を探す相談の準備にもなります。

  • 範囲:任せる作業と、触れる情報や個人データの有無(②と④に書く中身)
  • 期間:参画日と終了日、終了時の返還と消去を報告してもらう期限
  • 体制:フリーランスと直接契約するか委託先企業を通すか、誓約書の宛先と保管する部署
  • 費用の決まり方:単価と稼働時間で払うか成果で払うか。成果の権利の扱いと合わせて契約で決める
  • 引き継ぎ:終了時に返してもらう資料、止めるアカウント、残してもらう記録

誓約書の文言は、会社ごとの規程や契約に合わせた調整が要ります。個別の契約は専門家に確認してください。項目と範囲を先に決めておくと、参画の初日に書面をそろえやすくなります。

まとめ:業務委託の誓約書で押さえる3つの点

業務委託の誓約書で押さえたい点は3つです。第一に、宛先と業務名、秘密情報の範囲、目的外の使用の禁止、個人データ、持ち出し、生成AIへの入力、終了時の返還と消去、他社の秘密、成果の扱い、反社会的勢力の確認の10項目をテンプレートに入れること。第二に、委託先企業の社員とは直接の契約がないため、委託先との契約で秘密保持を決め、個人の誓約書は監督の手法の一つとして使うこと。第三に、持ち出しの条件と消去の報告まで書き、参画時だけでなく終了時にも書面をもらうことです。

LASSICに相談するメリット

誓約書の項目と、触れる情報の範囲が決まっていれば、受け入れの準備はほぼ整っています。業務委託で頼むか社員で採るかを決めきれていなくても、両方の形で候補を比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務委託のエンジニアから誓約書を取る義務はありますか

個人情報保護委員会のQ&Aは、委託先の従業員から誓約書を取ることを委託先の監督の手法の一つとしつつ、義務付けられるわけではないと答えています。扱う情報の重さと契約の形を見て、取るかどうかを決めます。

誓約書と秘密保持契約は何が違いますか

秘密保持契約は当事者どうしが合意して結ぶ契約で、誓約書は本人が守ることを一方から差し入れる書面です。委託先企業の社員とは直接の契約がないため、企業どうしの秘密保持契約を軸にし、誓約書は本人の認識を確かにするために使います。

終了時にも誓約書をもらったほうがよいですか

ハンドブックは、契約終了時も秘密保持の書面を取り交わす時期に挙げています。終了時は対象の範囲を特定しやすいため、返還した資料と消去した情報を書面で報告してもらうと確認になります。

業務委託で開発に加わる専門人材を探す

任せる範囲と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。誓約書の項目や受け入れの手順を固めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック~企業価値向上に向けて~」(2024年2月改訂)(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf)。出典:経済産業省。第3章3-4(1)従業員等に向けた対策(従業員等の範囲、持出し困難化と生成AIへの入力、秘密保持契約等(誓約書を含む)の締結)を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」参考資料2「各種契約書等の参考例」(2024年2月改訂版)(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html)。出典:経済産業省(営業秘密のページからWord版を取得)。第2の注(委託先の労働者との関係)、第3「秘密保持誓約書の例」の1〜3とその注を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(PDF)(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260614_guidelines01.pdf)。出典:個人情報保護委員会。3-4-3(従業者の監督)、3-4-4(委託先の監督)、10(別添)講ずべき安全管理措置の内容の物理的安全管理措置を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/faq/APPI_QA/)。出典:個人情報保護委員会。Q5-12(委託先の従業員からの誓約書の取得)を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日・法務省掲載)(https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html)。出典:法務省。指針の2(2)平素からの対応(契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入)とその注を参照(確認日2026年10月26日)(2026年10月確認)




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