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2026.10.06 採用支援コラム

エンジニア中途採用の選考期間、現場面接の日程と負担を決める

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

誰もいない会議室の木の長机と、両側に並ぶ黒いオフィスチェア。机の中央にペン立てが置かれ、奥にも机と椅子が見える。人も文字も写っていない

この記事の結論

  • 現場面接の枠は候補者が現れてから探さず、面接の期間を決めて、現場のエンジニアの予定を週単位で先に押さえます。
  • 現場のエンジニア1人の面接は1日3件までとし、面接ごとに30〜60分の評価の時間を付け、評価は翌営業日までに返してもらいます。
  • 米国政府の試行では、2回の面接の日程を並行して組むなどの見直しで、公告から名簿の作成までが3.5か月から2か月に縮みました。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

現場のエンジニアに面接へ入ってもらうと、技術の見極めは確かになる。その代わり、開発の予定の合間に面接の枠を探しているうちに、選考期間が延びていく——。エンジニア中途採用では、こうした悩みがよく聞かれます。本記事でいう現場面接とは、配属先のチームで働くエンジニアが面接官として候補者の技術を確かめる面接のことです。

手がかりにするのは、米国の連邦政府で米国デジタル・サービス(USDS)と人事管理庁(OPM)が2019年から試してきた、仕事をよく知る専門家が応募者を評価する採用の進め方です。専門家にかかる時間、面接の枠の押さえ方、評価を返す期限までが手引きとして公開されています。本記事では、採用を担う人事の方と開発のマネージャーに向けて、現場面接で選考期間が延びる理由、現場のエンジニアにかかる時間、日程と評価の決め方、日数が縮んだ理由、自社に置き換えるときの注意点を整理します。

現場面接で選考期間が延びる理由

面接官の候補になる現場のエンジニアは、開発の予定を抱えています。面接の枠は、その予定の空いたところにしか置けません。候補者の都合と突き合わせる往復が増えるほど、応募から内定までの日数は延びます。面接が2回あり、それぞれ別のエンジニアが担当するなら、調整も2回分になります。

米国の手引きも、この点をはっきり書いています。専門家の選び方を説明するページは、いちばん頼りになる専門家ほど多くの責任を抱えていることが多いとしたうえで、その時間を投じることが質の高い候補者名簿につながると述べています。*1 試行の振り返りでも、専門家にかかる時間と、手作業の多さが、人事と専門家の両方にとって負担になったと認めています。*2

それでも、同じ試行の中で選考にかかる日数は縮んでいます。現場の専門家を入れること自体が日数を延ばすのではなく、入れ方によって日数が変わると読めます。面接の回数の決め方はエンジニア中途採用の選考期間が延びる理由と、面接回数を決める手順で、段階ごとの合否連絡はエンジニア中途採用の選考期間と合否連絡で決める3つのことで扱いました。本記事では、現場のエンジニアの時間と日程の側から選考期間を見ていきます。

米国政府が試した専門家面接

米国の連邦政府の採用では、人事の担当者が履歴書と、応募者が自分で答える質問票をもとに、最低限の資格を満たすかを判断するのが一般的でした。技術職では、そうして作った名簿に採りたい人がいないことが悩みになっていました。そこで試されたのが「Subject Matter Expert Qualification Assessments(SME-QA)」です。その仕事をよく知る専門家(SME)が人事と組み、評価の基準づくりから面接までを受け持ちます。

流れは5つの段階に分かれます。1つ目の職務分析では、人事、専門家、採用の責任者が、必要な能力と水準を決め、構造化面接(あらかじめ決めた質問と基準で行う面接)の質問を2組書きます。2つ目が募集文の作成です。3つ目の書類選考では、人事が履歴書の無い応募などを除いたあと、2人の専門家がそれぞれ独立して残りの履歴書を読みます。4つ目が面接などの評価で、2回まで行い、1回ごとに専門家1人が担当します。1回目を通った応募者は、2回目を別の専門家と受けます。5つ目で人事が名簿を作り、採用の責任者に渡します。*3

この進め方が勧められているのは、GS12以上の技術職で、同じ役割の欠員が5人以上あり、応募者を100人ほどに絞れる募集です。*3 日本の中途採用で1人を採る場面とは規模が違います。そこで本記事では、仕組みの全体ではなく、現場の専門家の時間をどう見積もり、どう押さえたかという部分を参考にします。

現場のエンジニアにかかる時間

手引きは、専門家に参加を頼む前に、段階ごとの関わり方を採用の責任者と専門家に伝え、期待をそろえておくよう求めています。示されている目安は次のとおりです。

  • 職務分析:1週間のうちに16時間まで。能力と水準、面接の質問を作る
  • その翌週:一部の専門家が4時間まで。募集文の文言と面接の質問を手直しする
  • 書類選考の研修:2時間。続けて実際の履歴書を読む1時間
  • 書類選考:2人1組で4日間。1通の履歴書を2回読む
  • 判定が割れたときの3人目:2日間
  • 面接の研修:2時間
  • 面接:2〜3週間

面接の期間にかかる時間は、専門家の人数、書類選考を通った人数、1回目から2回目へ進む人数によって変わるとしています。*1

試行全体の負担を数字で示した表もあります。2つの試行機関の平均から、専門家8人がそれぞれ57.5時間、人事2人がそれぞれ115時間を使ったとして、1人を採る費用を計算しています。応募者は150〜200人と想定しています。*2 応募者が数人の中途採用ではここまでかかりません。それでも、面接の60分だけを見積もると、研修や基準づくりにかかる時間が抜け落ちることは分かります。現場のエンジニアに頼むときは、面接の前後にかかる時間も含めて伝えたほうが、引き受けた後の行き違いが少なくなります。

面接の枠は先に押さえる

日程の組み方で目を引くのは、応募者が決まる前に専門家の予定を押さえていることです。手引きは、面接の担当を決めたら、面接を行う日や週の分を、できるだけ早く仮の予定として専門家のカレンダーに入れるよう求めています。*4 そのうえで、面接に使える時間を専門家に尋ねます。

そのためのメールの雛形は、面接の期間中に毎日午前と午後に1件ずつほどの面接を見込むと伝え、1日2〜3件の電話面接(1件60分)のために空けておける時間帯と、面接できない日を返してもらう形になっています。返事をした専門家には、その時間帯を繰り返しの予定としてカレンダーに入れ、各面接の後に30〜60分の評価の時間も確保してもらいます。*5

日程を組む担当者向けの手順書には、守る線が書かれています。専門家1人に入れる面接は1日3件まで、評価を書く時間が要るので面接を続けて入れない、私的な関係がある応募者は担当させない、の3つです。応募者の1割ほどは日程の連絡に返事をしないと見込み、返事の無い人には期限を示して連絡し直します。*6

自社で置き換えるなら、たとえば現場のエンジニア2人に、毎週決まった曜日の午後を2枠ずつ空けてもらい、候補者にはその枠から選んでもらう形が考えられます。候補者が現れてからエンジニアの予定を聞く順番を逆にするだけで、調整の往復は減らせます。

評価は翌営業日までに返す

面接が終わっても、評価がそろわなければ、次の面接にも合否の連絡にも進めません。手引きは、面接の後に専門家が評価票を仕上げ、翌営業日が終わるまでに人事へ返すとしています。*7 面接の最中は応募者の答えを打ち込んでおき、それを評価票の材料にします。2回目の面接に2人の専門家が入る場合は、質問と記入を1人に任せ、もう1人の意見を聞いて評価をまとめます。

評価を受け取った後の動きも決まっています。2回目の面接を1回目の結果が出しだい組むなら、1回目の結果をすぐ日程の担当者に知らせます。返ってきた評価票は人事が読み、能力ごとに「Does Not Meet」「Meets」「Exceeds」(満たさない・満たす・上回る)のどれかが付いているか、「答えが不十分」と書きながら「満たす」を付けるような食い違いがないかを確かめ、必要なら専門家に戻します。*8

現場のエンジニアに評価を頼むときは、評価票の欄と返す期限を面接の前に渡しておくと、人事から催促する手間が減ります。評価の観点そのものをそろえる方法はエンジニア採用の技術面接、面接官の人数と評価のそろえ方を決めるで扱っています。

選考期間はどこで縮んだか

最初の試行は保健福祉省(HHS)で、募集の公告から名簿の作成までに3.5か月かかりました。続く内務省(DOI)では、1回目と2回目の面接の日程を並行して組んで進め、評価から決め手にならない「境界」の区分を外しました。その結果、同じ段階を2か月で終えています。USDSが進行の管理役を受け持ち、職務分析を最後までやり切らせたことで、1週間後に募集を公告する勢いが生まれたとも振り返っています。*9

名簿を受け取ってから選ぶまでの日数も縮みました。政府全体では、採用の責任者が名簿を受け取ってから選ぶまでに平均37日かかり、採用の過程でいちばん長い段階になっています。試行では、最初の選定が名簿を受け取ってから11〜16日後でした。試行のチームは、技術を確かめ済みの人だけが載った名簿なら、責任者はより早く選べるという仮説を立てていました。*2 内務省の試行では、候補者を選ぶまでの平均日数が45日から16日に変わったとしています。*10

採用の責任者が候補者の名簿を受け取ってから選ぶまでの日数を比べた横棒グラフ。米国連邦政府全体の平均は37日、内務省の以前の平均は45日、専門家が評価に加わった内務省の試行では16日。米国デジタル・サービスとSME-QAの公開資料をもとに作成。

2回目の試行では、書類選考を速く進める道具と、応募者が自分で面接の日時を選べる仕組みを加え、一部の機関では1回目の面接を筆記の課題に置き換えました。公告から名簿まで5.5週間だったとしています。*9 挙げられている理由は、面接日程の並行、評価区分の簡素化、進行の管理役、日程調整の仕組みです。現場の専門家を外したことで縮んだわけではありません。

自社の中途採用に置き換える

規模の違いを踏まえたうえで、エンジニア中途採用にそのまま持ち込みやすいのは次の4点です。

  • 募集の前に、現場のエンジニアと一緒に、入社した日から要る能力と水準を決めておく
  • 現場面接の枠は、候補者が現れる前に、面接の期間を決めて週単位で押さえる
  • 1人の面接は1日3件までにし、面接の後に評価の時間を付ける
  • 評価は翌営業日までに返すと決め、日程を回す管理役を1人置く

管理役は人事の担当者が兼ねてもかまいません。手引きも、各段階の成果物を管理する人を決めることが欠かせないとし、それは担当の人事でもよいとしています。採用の責任者とは別に置くのが前提です。

一方で、応募が少ない中途採用では、書類を2人で読む、判定が割れたら3人目が読む、といった部分まで真似ると、かえって選考期間が延びることもあります。どこまで取り入れるかは、応募の数と、面接に入れるエンジニアの人数を見て決めます。面接に入れる人が1人しかいないなら、その人の枠をまず確保し、2回目の面接を別の人に頼めるかを確かめるところから始めます。

つまずきやすい点

1つ目は、採用の責任者が評価する面接官を兼ねることです。手引きは、点数を付ける評価の専門家に採用の責任者がなることは勧めず、合否だけを決める書類選考なら務めてよいとしています。自分で点を付けて自分で選ぶ形になると、評価と判断が分かれません。

2つ目は、偏りを減らそうとして、1回の面接に面接官を何人も入れることです。試行では専門家の負担を小さくするため、1回の電話面接に専門家1人で臨むことを受け入れるとしていました。人数を増やす代わりに、2回目の面接を別の専門家が担当して見方を分けています。人数を増やすほど、全員がそろう枠は見つけにくくなります。

3つ目は、面接の時間だけを頼んで、評価の時間を頼まないことです。60分の面接に30〜60分の評価が付くと考えると、1件で多いと2時間を現場から借りることになります。予定を頼むときは、その合計の時間で伝えます。評価の時間を予定に入れておくことは、翌営業日までに返すという期限を守るための前提にもなります。

まとめ:現場面接で決めておきたい3つの点

エンジニア中途採用の選考期間を延ばさずに現場面接を入れるうえで、決めておきたい点は3つに整理できます。第一に、面接の期間を決め、現場のエンジニアの枠を候補者が現れる前に週単位で押さえること。第二に、1人の面接は1日3件までにし、面接ごとに評価の時間を付けて、評価を翌営業日までに返してもらうこと。第三に、日程を回す管理役を置き、2回の面接の日程を並行して組むことです。この3点を押さえておけば、「エンジニアの予定が合わず、候補者を待たせているうちに他社に決まった」という事態を避けやすくなります。採用が決まるまでの開発の手が足りないときは、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

現場面接の枠と評価の期限を決めても、面接に入れるエンジニアの予定が詰まっていて、採用が決まるまでに時間がかかることはあります。採用が決まるまでの開発を、業務委託で加わる専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

現場のエンジニアが忙しく、面接の枠を空けてもらえません

期間と1日の上限を示して頼むと、引き受けてもらいやすくなります。米国の手引きの雛形も、面接を行う期間、週あたりに使う時間の見込み、1日の件数を示したうえで、空けておける時間帯を尋ねる形になっています。期間が終われば枠も外れると分かっていれば、開発の予定も組みやすくなります。

現場面接はオンラインでもかまいませんか

米国の試行では、専門家が電話で面接し、応募者の答えを打ち込んで評価票の材料にしていました。対面にするかオンラインにするかは、確かめたい技術の中身で決めます。オンラインにすると、移動の時間が要らない分、現場のエンジニアの枠は取りやすくなります。

面接官のエンジニアが候補者と知り合いだった場合はどうしますか

その面接は別の人に担当してもらいます。米国の手引きは、私的な関係がある応募者を専門家に担当させないとし、面接の前に関係の有無を専門家に確かめるメールの雛形も用意しています。日程を組む前に確かめておけば、組み直しの手間がかかりません。

現場面接の段取りを相談したいとき

現場のエンジニアの予定が詰まっていて面接の枠が取れない、採用が決まるまでの開発の手が足りない、といった段階からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:SME-QA「Selecting Subject Matter Experts」(https://smeqa.usds.gov/hiring-phases/getting-started/selecting-smes/)。出典:米国デジタル・サービス(USDS)と人事管理庁(OPM)による SME-QA の手引き。Choosing SMEs、Guidelines、Setting Time and Effort Expectations を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:SME-QA「Round One Pilots」(https://smeqa.usds.gov/results/round-one/)。出典:第1回の試行(保健福祉省・内務省、2019年)の結果。名簿を受け取ってから選ぶまでの日数、Cost benefit analysis の表(専門家8人・各57.5時間、人事2人・各115時間、応募者150〜200人を想定)を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:SME-QA「Subject Matter Expert Qualification Assessments」概要(PDF)(https://smeqa.usds.gov/toolkit/getting-started/sme-qa-1-pager.pdf)。出典:SME-QA の概要(1枚資料)。OVERVIEW(対象となる募集)、専門家の負担を小さくする原則、FIVE PHASES を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:SME-QA「Scheduling Interviews with Applicants」(https://smeqa.usds.gov/hiring-phases/assessments/interview-scheduling/)。出典:面接日程の組み方。仮の予定の送付、専門家への空き時間の照会、1回目の結果を日程の担当者へすぐ知らせることを参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:SME-QA「Template – Email to SMEs for Interview Availability」(https://smeqa.usds.gov/toolkit/assessments/email-template-sme-availability/)。出典:専門家に面接可能な時間帯を尋ねるメールの雛形(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:SME-QA「Interview Scheduling Instructions」(https://smeqa.usds.gov/toolkit/assessments/interview-scheduling-instructions/)。出典:日程を組む担当者向けの手順書の雛形。1日の面接件数の上限、連続で入れないこと、私的な関係、返事の無い応募者の見込みを参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  7. *7 参考:SME-QA「Interviewing Applicants」(https://smeqa.usds.gov/hiring-phases/assessments/interviewing-applicants/)。出典:面接の進め方と評価票の返却期限、2人の専門家が入る場合の分担を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  8. *8 参考:SME-QA「Reviewing SME Assessments」(https://smeqa.usds.gov/hiring-phases/assessments/reviewing-sme-assessments/)。出典:人事が専門家の評価票を確かめる観点を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  9. *9 参考:SME-QA「Results」(https://smeqa.usds.gov/results/)。出典:試行の結果。Time to Hire Improvements(第1回・第2回の試行)を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)
  10. *10 参考:United States DOGE Service「Changing how the government hires technical talent」(https://www.usds.gov/projects/smeqa)。出典:By the Numbers(内務省の試行で候補者を選ぶまでの平均日数)を参照(確認日2026年10月6日)(2026年10月確認)




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