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2026.10.22 採用支援コラム

発注書のテンプレート|業務委託で明示する8項目と記入の例

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

業務委託の発注書のひな形の欄にペンで記入する手元と電卓と朱肉

この記事の結論

  • 業務委託の発注書には、名称・発注日・給付の内容・納期・場所・検査完了日・報酬と支払期日・支払方法の8項目を書きます。
  • 支払期日は「まで」「以内」ではなく具体的な日で書き、受け取りから60日以内のできる限り短い期間で定めます。
  • 続けて頼むなら共通事項を先に示して発注書から参照し、決まらない事項は理由と予定日を書いて後から補います。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

個人のエンジニアに業務委託で開発を頼むことが決まり、着手の前に発注書を送りたい。テンプレートを探してみたものの、どの欄に何を書けば足りるのか、契約書とは何が違うのかが分からない——。初めて個人に仕事を頼む企業では、ここで手が止まりがちです。

本記事は、業務委託でエンジニアを受け入れる開発マネージャーや情報システムの責任者、人事の担当者に向けて、業務委託の発注書に書く8つの項目をテンプレートの表にまとめます。フリーランス・事業者間取引適正化等法の条文と規則、公正取引委員会のパンフレットをもとに、記入の例と書き漏らしやすい点、支払期日の書き方、契約書との分け方を整理します。

業務委託の発注書とは

業務委託の発注書は、頼む仕事の中身や報酬、納期、支払期日といった取引の条件を、案件ごとに相手へ示す書面です。従業員を使わずに一人で仕事を受ける個人(一人で営む法人も含む)に頼む場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の対象になります。*1

この法律は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面か電磁的方法で相手に示すよう発注する側に求めています。*1 公正取引委員会のパンフレットは、この書面について次の点を挙げています。*3

  • 発注書・契約書など、書面の名称は問われない
  • 書面の様式は定められておらず、取引の内容に応じて作ればよい
  • 書面か、電子メール・SNSのメッセージ・チャットツールなどの電磁的方法かは、発注する側が選べる
  • 電話など口頭で伝えるだけでは認められない

つまり発注書のテンプレートは、決まった様式を探して使うものではありません。示すべき事項がすべて入っているかどうかで選び、足りない欄を足して使います。

発注書テンプレートの8項目

規則が定める明示の事項のうち、エンジニアに開発を頼むときに使う8つを、ひな形の表にまとめました。⑥の検査完了日と⑧の支払方法は、当てはまる取引のときだけ書きます。*2 記入の例は伏せ字にしています。

複合機から印刷した発注書の用紙を取り出す手

業務委託の発注書テンプレート(8項目のひな形。出典:公正取引委員会関係の特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則 第1条、公正取引委員会のパンフレットの記載例をもとに作成。2026年10月21日確認)
項目 書く中身 記入の例 書き漏らしやすい点
①発注者と受注者の名称 両者を見分けられる名称。ビジネスネームでもよい 〇〇株式会社 〇〇部/〇〇 〇〇 様 受注者を呼び名だけで書き、誰との取引か後から分からない
②業務委託をした日 仕事を頼むことに両者が合意した日 発注日:令和〇年〇月〇日 書面を作った日と合意した日がずれる
③給付の内容 作業と成果物の品目・数量・仕様。知的財産権を譲り受けるならその範囲 〇〇システムの〇〇機能の設計・開発・単体テスト、設計書一式 「開発支援一式」のように範囲が読めない
④納期・作業期間 受け取る日。期間で頼むならその期間 納期:令和〇年〇月〇日/作業期間:〇月〇日〜〇月〇日 期間で頼むのに終わりの日がない
⑤納品先・作業場所 受け取る場所、作業する場所 社内の〇〇フォルダに格納/作業場所:受注者の事務所 リモートでの受け取り方を書かない
⑥検査完了日 検査をする場合に、検査を終える日 検査完了日:令和〇年〇月〇日 検査をするのに終わる日を決めていない
⑦報酬の額と支払期日 金額か算定方法と、具体的な支払日 〇〇円(税込)/支払期日:令和〇年〇月〇日 「納品後〇日以内」と書き、日が決まらない
⑧現金以外の支払方法 手形や電子記録債権などで払う場合に、その金額や期日 口座振込のみのため記載なし 現金以外で払うのに方法を書かない

表の③は、もっとも書き漏らしやすい欄です。パンフレットは、給付の内容には品目、数量、規格、仕様などを明確に書き、業務委託の目的である使用の範囲を超えて知的財産権を譲渡・許諾させる場合は、その範囲も書くよう求めています。*3 開発なら、作る機能、受け取る成果物、使う技術を分けて書いておくと、範囲の食い違いを防げます。

⑦の報酬の額にも注意がいります。業務に必要な経費を発注する側が負担する場合は、経費を含めた総額が分かるように示します。①の名称は、受注者を見分けられればビジネスネームでも構いません。*3

支払期日と報酬額の書き方

8つの項目のうち、書き方で迷いやすいのは⑦の支払期日と報酬の額です。従業員を使う発注者は、成果物などを受け取った日から60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めます。支払期日を定めなかったときは、受け取った日が支払期日とみなされます。*1

発注書の支払期日と報酬の額の書き方(出典:公正取引委員会のパンフレット、同法施行規則 第1条第3項をもとに作成)
項目 書いてよい例 避ける書き方 ポイント
支払期日 令和〇年〇月〇日支払/毎月〇日締切、翌月〇日支払 〇月〇日まで/〇日以内 具体的な日を特定できる形にする
月単位の締切 毎月末日締切、翌月末日支払 毎月末日締切、翌々月末日支払 受け取りから60日以内に収まるようにする
報酬の額 〇〇円(税込) 別途相談 金額が難しい事情があれば算定方法を書く
算定方法 別紙の単価表で算定した額に交通費などの実費を加えた額 実績に応じて決める 根拠が決まれば額も決まる式にし、確定後に金額を示す

パンフレットは、「まで」「以内」という書き方では支払期日を定めたとは認められないとしています。月単位の締切で払う場合も、月の初めに受け取った分が60日以内に払われるよう、毎月末日締切なら翌月末日までに支払期日を置きます。*3

稼働時間で精算する頼み方なら、報酬の額は算定方法で示せます。具体的な金額を示すのが難しいやむを得ない事情があるときは、算定方法の明示で足りるとされています。*2 その場合も、根拠が決まれば額が自動的に決まる式にし、金額が確定したら速やかに示します。*3

契約書や基本契約との分け方

同じ人に続けて仕事を頼むなら、発注書に毎回すべてを書く必要はありません。一定期間の業務委託に共通する事項をあらかじめ書面などで示しておけば、その期間の発注では、あらかじめ示したところによると明らかにすれば足ります。*2 共通事項が有効な期間も示しておきます。*3

続けて頼むときの書面の流れの図。取引を始める前に基本契約で共通事項と有効期間を示す。仕事を頼んだら直ちに発注書で給付の内容・納期・報酬の額・支払期日を示し、共通事項を指す一文を入れる。成果物などを受け取ったら、受け取った日から60日以内の支払期日に払う。発注のときに決まらない事項は理由と予定日を書き、決まったら直ちに補充の書面で示す。

3つの書面は、次のように分けると整理しやすくなります。

基本契約・発注書・補充の書面の分け方
書面 書く中身 出すとき
基本契約(共通事項) 支払方法、検査の進め方、秘密保持、知的財産権の扱い、共通事項の有効期間 取引を始める前に1回
発注書 発注日、給付の内容、納期、報酬の額、支払期日、共通事項を指す一文 仕事を頼んだら直ちに
補充の書面 決まった事項の内容と、元の発注書との関係 未定だった事項が決まったら直ちに

発注の時点で決められない事項があれば、決まらない理由と、決める予定の日を発注書に書きます。決まったら直ちに改めて示し、「この書面は、〇年〇月〇日付け発注書の記載事項を補充するものです」のように元の発注書との関係を書きます。*3

メールやチャットで送る場合は、本文に書く方法のほか、PDFなどの添付やURLの記載も認められています。*3 送った文面と添付は双方で保存しておきます。基本契約に入れる項目は業務委託エンジニアの契約書に入れる7つの項目で、法律の全体はフリーランス新法とはで扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

発注書のひな形を埋めるには、頼む側が条件を先に決めておく必要があります。次の5つを書き出しておくと、③から⑦の欄をそのまま埋められ、外部人材を探す相談の準備にもなります。

発注側と委託先が工程表に線を引き電卓で金額を確かめる打ち合わせ

  • 範囲:任せる工程と、受け取りたいもの(設計書、動くもの、手順書など)
  • 期間:始めたい時期、納期か作業期間、更新の区切り
  • 体制:何人で、月に何時間ほどの稼働か、社内の窓口と検査をする人は誰か
  • 費用の決まり方:金額で決めるか、稼働時間の算定方法で決めるか、締切日と支払日をいつにするか
  • 引き継ぎ:成果物の置き場所、知的財産権の扱い、契約が終わるときに受け取るもの

③の給付の内容は、社内だけで作業を切り出しきれないことがあります。その場合は、外部人材の候補を探す段階で、任せる範囲と期間を相談しながら決める進め方もあります。紹介や仲介の会社を通す形では、誰が誰に条件を示すかが変わるため、発注書を出す側を最初に確かめます。条文の読み方などの個別の判断は、契約と専門家に確かめてください。

まとめ:業務委託の発注書で押さえる3つの点

業務委託の発注書で押さえたい点は3つです。第一に、名称・発注日・給付の内容・納期・場所・検査完了日・報酬と支払期日・支払方法の8項目をテンプレートに入れ、給付の内容は作業と成果物が読める粒度で書くこと。第二に、支払期日は具体的な日で書き、受け取りから60日以内に収めること。第三に、続けて頼むなら共通事項を基本契約で先に示し、決まらない事項は理由と予定日を書いて後から補うことです。

LASSICに相談するメリット

任せる範囲と期間、費用の決まり方が書き出せたら、発注書の欄を埋められる段階です。業務委託で頼むか社員で採るかを決めきれていなくても、両方の形で候補を比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務委託の発注書はどのテンプレートを使えばよいですか

書面の様式は定められていないため、決まったテンプレートはありません。名称、発注日、給付の内容、納期、場所、検査完了日、報酬の額と支払期日、現金以外の支払方法の8項目が入っているかで選び、足りない欄を足して使います。

発注書はメールやチャットで送ってもよいですか

書面のほか、電子メールやチャットツールなどの電磁的方法でも示せます。電磁的方法で示した後に相手から書面を求められたときは、原則として遅滞なく書面を渡します。送った文面と添付は双方で保存しておきます。

報酬の金額が決まっていなくても発注書を出せますか

金額を示すのが難しいやむを得ない事情があれば、算定方法を示す形が認められています。決められない正当な理由がある事項は、理由と決める予定の日を書いておき、決まったら直ちに示します。

業務委託で開発に加わる専門人材を探す

任せる範囲と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。発注書に書く条件を固めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

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出典

  1. *1 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号・e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:e-Gov法令検索。第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第4条(報酬の支払期日等)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60200000003)。出典:e-Gov法令検索。第1条第1項(明示すべき事項)、第3項(算定方法による明示)、第4項(共通事項のあらかじめの明示)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:公正取引委員会「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(PDF)(https://www.jftc.go.jp/file/flpamph.pdf)。出典:公正取引委員会。取引条件の明示義務(第3条)の明示する方法と明示の事例①〜⑤、期日における報酬支払義務(第4条)の支払期日の記載例を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)




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