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エンジニア採用の採用チャネルの実態|求人広告と人材紹介の違い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 情報通信業の会社でも技術職の人でも、人材紹介会社を通って入社した人の割合は全産業より高く出ます。
- 求人広告から入社した人の割合は、情報通信業で32.7%、技術職の集団で21.3%と、11.4ポイント違います。
- 自社の中途採用と比べるなら転職して入った人だけの数字が近く、人材紹介会社経由は情報通信業で16.2%です。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
求人広告を出し続けるべきか、人材紹介会社に頼むべきか。同じ業界の会社は、どの経路で人を採っているのか知りたい——。エンジニアの採用を担当する現場では、こうした迷いが起こりがちです。採用チャネルとは、求人広告、人材紹介会社、ハローワーク、社員の紹介など、会社と応募者が出会う経路のことです。
採用チャネルの構成を公的な数字で確かめたいときは、厚生労働省の雇用動向調査が使えます。ただし万能ではなく、エンジニアという区分がないうえ、どの経路から採ると成果が高いかを示すものでもありません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、調査の9つの入職経路、情報通信業と技術職の違い、中途採用に絞った数字、そして自社の実績と比べるときに確認したい点を整理します。
目次
雇用動向調査の入職経路とは
雇用動向調査は、全国の主要産業の事業所を対象に、事業所に入った人と辞めた人の状況を調べている統計です。*1 入った人(入職者)を、どの経路で入ったかで分けて数えた表があり、採用チャネルの構成を確かめる手がかりになります。ここでは令和7年の年計、つまり1年分を合わせた数字を使います。
入職経路は、職業安定所、ハローワークインターネットサービス、民営職業紹介所、学校、広告、その他、縁故、出向、出向先からの復帰の9つです。*1 職業安定所はハローワークの窓口、民営職業紹介所は民間の人材紹介会社、縁故は知人や社員のつてを指します。学校は主に新卒の経路で、出向と出向先からの復帰はグループ会社との間の異動です。
9つの人数を足すと、入職者の合計になります。全産業を合わせた「産業計」の合計は7,526.8千人でした。*1 注意したいのは、この表が数えているのは実際に入った人の経路だという点です。募集の件数や応募者の数ではないため、どの経路の効率がよいかを比べる材料にはなりません。
エンジニアの数字はどう取るのか
雇用動向調査には「エンジニア」という区分がありません。近いのは2つです。1つは勤め先の業種で分けた「情報通信業」で、産業別の第16表に載っています。もう1つは本人の仕事の種類で分けた「専門的・技術的職業従事者」で、職業別の第18-1表に載っています。*1*2 同じ調査でも、この2つは別々の表から取ることになります。
どちらもエンジニアだけの集団ではありません。情報通信業には同じ会社で働く営業職や事務職が入り、専門的・技術的職業従事者には医療や教育、建築の技術者も入ります。自社が情報通信業に属するなら産業の数字、採りたいのが技術職なら職業の数字が近くなります。両方に当てはまる会社は、2つを並べて見ておくと、片方の数字だけでは見落とす違いが分かります。
産業計と比べて何が違うのか
産業計、情報通信業、専門的・技術的職業従事者の3つの集団について、入職者の合計と経路ごとの割合を並べます。
| 入職経路 | 産業計 | 情報通信業 | 専門的・技術的職業従事者 |
|---|---|---|---|
| 計(千人) | 7526.8 | 253.8 | 1435.5 |
| 職業安定所 | 12.2% | 3.4% | 9.0% |
| ハローワークインターネットサービス | 3.1% | 1.9% | 2.0% |
| 民営職業紹介所 | 7.7% | 14.8% | 10.1% |
| 学校 | 6.2% | 9.3% | 14.8% |
| 広告 | 32.3% | 32.7% | 21.3% |
| その他 | 14.4% | 13.1% | 17.0% |
| 縁故 | 21.4% | 18.3% | 21.8% |
| 出向 | 2.1% | 5.1% | 2.6% |
| 出向先からの復帰 | 0.7% | 1.4% | 1.3% |
目立つのは民営職業紹介所です。産業計の7.7%に対して、情報通信業は14.8%、専門的・技術的職業従事者は10.1%で、どちらも産業計より高くなっています。反対に職業安定所は、産業計の12.2%に対して3.4%と9.0%で、どちらも低い値です。ハローワークインターネットサービスと合わせた公的な窓口の割合は、産業計の15.3%に対して5.3%と11.0%でした。
この傾向は、勤め先の業種で分けても、本人の仕事の種類で分けても同じです。9つの経路のうち、2つの集団がそろって産業計より高い、またはそろって低いのは6つです。残る広告、その他、縁故の3つでは、片方の集団だけが産業計を上回ります。このうち広告と縁故は、上回る側の差がどちらも0.4ポイントと小さく、大きな違いとして受け取る必要はありません。
出向と学校も、2つの集団がそろって産業計より高い経路です。ただし出向はグループ内の異動で、情報通信業では出向と出向先からの復帰を合わせて6.5%を占めます。学校は主に新卒の経路で、専門的・技術的職業従事者では14.8%でした。中途採用の経路として産業計との差が目立つのは、この中では民営職業紹介所です。
情報通信業と技術職の違い
2つの集団の間でいちばん差が大きいのは広告です。情報通信業は32.7%で産業計の32.3%とほぼ同じなのに対し、専門的・技術的職業従事者は21.3%で、情報通信業より11.4ポイント低くなっています。表の割合の差で見ると、続くのは職業安定所の5.6ポイント、学校の5.5ポイントです。
職業安定所と学校は、産業計と比べたときの傾向が2つの集団で同じ経路です。それでも集団の間には5ポイント以上の開きがあるため、一方の数字をもう一方の代わりには使えません。情報通信業の数字だけを見て、技術職でも入職者の3割が求人広告から来ていると考えると、広告の比重を高く見積もることになります。
その他と縁故は、2つの集団の差が広告ほど大きくありません。縁故はどの集団でも2割前後あり、上位の経路です。知人や社員のつてで入る人が、エンジニアに近い集団でも少なくないことが分かります。
中途採用に絞るとどう変わるのか
ここまでの数字には、新卒で入った人も含まれています。産業別の第16表には、すでに働いていた人が転職して入った分、つまり転職入職者だけを取り出した欄もあります。*1 中途採用の実績と比べるなら、こちらのほうが近い数字です。
転職入職者は、産業計で5,061.8千人、情報通信業で175.3千人でした。*1 この人数から計算すると、民営職業紹介所の割合は産業計9.3%、情報通信業16.2%です。新卒を含めた全体の7.7%と14.8%より、どちらも高くなります。一方、学校は産業計が6.2%から1.2%へ、情報通信業が9.3%から1.0%へ下がります。
新卒が外れるので学校の割合が下がるのは当然ですが、全体の数字をそのまま中途採用の比較に使うと、その分だけ他の経路の割合が低く見えます。ここでは転職入職者の数字を産業別の表からだけ取っているので、中途採用だけを比べたいときは情報通信業の数字を使います。
つまずきやすい点
一つ目は、入職経路の名前をそのまま自社の呼び方に当てはめてしまうことです。求人サイトや自社の採用サイトから入った人が、広告に入るのかその他に入るのかは、区分名だけでは決まりません。自社の実績を並べる前に、調査の区分の定義を確かめておきます。
二つ目は、自社の集計に縁故が入っていないことです。縁故はどの集団でも2割前後ある経路ですが、知人や社員のつてで入った人を採用の実績に数えていない会社では、縁故の割合が自社側だけ低く出ます。社員の紹介で入った人も、経路を記録しておくと比べやすくなります。
三つ目は、割合を出すときの分母をそろえないことです。調査の合計には、グループ内の異動である出向と出向先からの復帰も含まれています。自社の実績に異動を含めないなら、比べる前に調査の側からもこの2つを外して割合を計算し直すと、ずれが小さくなります。
入った人と辞めた人の差し引きで情報通信業を見る方法は、「情報通信業の入職超過率3.2ポイントを自社と比べる手順」で扱っています。
まとめ:採用チャネルで確かめておきたい3つの点
エンジニア採用の採用チャネルを公的統計と比べるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社に近いのが勤め先の業種で分けた情報通信業なのか、仕事の種類で分けた専門的・技術的職業従事者なのかを決めること。第二に、中途採用と比べるなら、新卒を除いた転職入職者の数字を使うこと。第三に、自社の経路の呼び方を調査の区分に当てはめ、縁故や異動の扱いをそろえてから割合を出すことです。この3点を踏まえておけば、「同業より求人広告の割合が低いと思って予算を増やしたが、比べていた数字が違った」という事態を避けやすくなります。採用チャネルの見直しに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
この統計から、どの採用チャネルに予算をかけるべきか決められますか
この統計だけでは決められません。表にあるのは入った人の経路の構成で、募集にかけた費用や応募者の数は含まれていないためです。自社の応募数や採用数、費用と合わせて判断します。
雇用動向調査の表はどこで見られますか
政府統計の総合窓口であるe-Statで公開されています。産業別の入職経路は第16表、職業別の入職経路は第18-1表に載っています。*1*2
自社の数字は、どの期間で集計すると比べやすいですか
調査の数字は1年分を合わせた年計なので、自社も1年分の入社者で集計すると比べやすくなります。入社した人数が少ない会社では、1人の違いで割合が大きく動く点にも注意します。
採用チャネルの見直しから相談したいときは
自社の集計がそろっていない段階でもご相談ください。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」第16表(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=dataset&cycle=7&year=20250&toukei=00450073&tstat=000001012468&stat_infid=000040489957)。出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和7年年計 第16表 産業(中分類)、企業規模(GT、E)、性、職歴、就業形態、雇用形態、入職経路別入職者数。入職経路の9区分、産業計および情報通信業の入職者数と経路別内訳、転職入職者(既就業者)に絞った内訳を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」第18-1表(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=dataset&cycle=7&year=20250&toukei=00450073&tstat=000001012468&stat_infid=000040490116)。出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和7年年計 第18-1表 職業(大分類)、性、職歴、就業形態、雇用形態、年齢階級、入職経路別入職者数。専門的・技術的職業従事者の入職者数と経路別内訳を参照(2026年9月確認)