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求人票の業務内容は、IPAが案件を記録する4項目で書く
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 案件は4つの欄で特定できる:業種、業務の種類、システムの用途、利用形態です。*1
- 業務の種類は20区分、用途は33区分:どちらも最後の区分は「その他(具体的名称)」です。*1
- 利用形態は2区分しかない:特定ユーザの利用か、不特定ユーザの利用かです。*1
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
求人票の業務内容欄に「Javaによる業務システムの開発」とだけ書いて出した。あるいは、応募は来たが、面談で聞くと想像していた案件と違っていた——。求人票を書く段になると、多くの現場が「案件のどこまでを書けばよいのか」に突き当たります。手がかりになるのが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集」です。案件を他社と比べられるようにするために、何を記録すれば案件を特定できるかが決められています。*1
その項目をそのまま業務内容欄に並べれば、読む側は自分の経験が当てはまるかを判断できます。ただし万能ではなく、これは案件を集計するための欄であって求人票の書式ではありませんし、どう書けば応募が増えるかも書かれていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、IPAが記録している4つの項目、業務の種類とシステムの用途の違い、なぜ「Javaの開発」では伝わらないのか、どう書くのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。
目次
IPAが記録している「利用局面」の4項目
IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、企業から提供された開発案件の実績を集計した資料です。発行は社会基盤センターで、案件ごとに集める項目が1つずつ定義されています。*1 そのなかに「利用局面」という節があり、4つの項目が並んでいます。*1
| データ項目 | IPAの定義 | 選択肢 |
|---|---|---|
| 201_業種 | 当該情報システムがサポートするビジネス分野。例えば顧客企業のビジネス分野 | 付録の「産業分類」の中項目の項番01から99 |
| 202_業務の種類 | 開発した情報システムの対象とする業務の種類 | 経営・企画、会計・経理、営業・販売、生産・物流、人事・厚生、受注・発注・在庫などの20区分(最後は「その他(具体的名称)」) |
| 203_システムの用途 | 開発した情報システムの用途 | ワークフロー支援・管理システム、ERP、SCM、CRM/CTI、Webポータルサイト、組み込みソフトウェアなどの33区分(最後は「その他(具体的名称)」) |
| 204_利用形態 | 開発した情報システムの利用形態(特定ユーザの利用か、不特定ユーザの利用か) | 特定ユーザの利用、不特定ユーザの利用の2区分 |
4つとは、業種、業務の種類、システムの用途、利用形態です。*1 どれも技術の名前ではありません。誰の仕事を支えるシステムなのか、何をするものなのか、誰が使うのかという案件の側の情報です。
この4つが並ぶのは、案件を他社と比べられるようにするためです。同じ「業務システムの開発」でも、卸売の受注を扱うのか、製造の生産管理を扱うのかで中身が変わります。求人票の業務内容欄も、読む側が自分の経験と引き比べる場所なので、必要な情報は同じになります。
業務の種類とシステムの用途の違い
4つのうち、書き分けを間違えやすいのが業務の種類とシステムの用途です。定義を並べると違いがはっきりします。業務の種類は「開発した情報システムの対象とする業務の種類」、システムの用途は「開発した情報システムの用途」です。*1
業務の種類は、発注する側の仕事の名前です。経営・企画、会計・経理、営業・販売、生産・物流、人事・厚生、受注・発注・在庫といった区分が20用意されています。*1 「誰のどの仕事を支えるのか」を答える欄になります。
一方、システムの用途は、作るものの名前です。ERP、SCM、CRM/CTI、Webポータルサイト、組み込みソフトウェアなどの区分が33用意されています。*1 「何をするものなのか」を答える欄で、業務の種類とは別の軸です。
4つ目の利用形態は2区分しかありません。特定ユーザの利用か、不特定ユーザの利用かです。*1 社内の担当者だけが使うのか、社外の不特定多数が使うのかで、求められる設計も試験も変わります。
なぜ「Javaの開発」では伝わらないのか
「Javaによる業務システムの開発」と書いたとき、この4つはどれも埋まっていません。業種も、業務の種類も、用途も、利用形態も分かりません。読む側に残るのは言語の名前だけです。
言語は経験を確かめる手がかりにはなりますが、同じ言語でも案件によって仕事は変わります。会計の締め処理を直す仕事と、不特定多数が使う予約画面を作る仕事では、求められる経験が別になります。
ここは資料が述べていることではなく、案件を比べるための項目が求人票にも使える、という読み替えです。IPAは集計のために4つを決めていますが、同じ4つは応募する側が案件を見分けるときにも要ります。
どう書くのか
書き方は、いまの案件を4つの欄に当てはめるところから始めます。業種はどこか、業務の種類は20区分のどれか、システムの用途は33区分のどれか、利用形態は特定か不特定か。この4つを先に決めてください。
決まったら、そのまま1文にします。「卸売業の受注・発注・在庫を扱う社内向けの基幹システム。利用者は自社と取引先の担当者に限られます」といった書き方になります。技術の名前は、そのあとに並べれば足ります。
当てはまる区分が見つからないときは、無理に寄せないでください。20区分にも33区分にも「その他(具体的名称)」が用意されています。*1 資料自身が、名前を書いて答える余地を残しています。
つまずきやすい難所
一つめは、この4項目を求人票の書式として使うことです。資料は案件を集計するための欄を定義しているだけで、求人票に何を書くべきかを定めたものではありません。
二つめは、区分名だけで済ませることです。「受注・発注・在庫」とだけ書いても、新しく作るのか、動いているものを直すのかは伝わりません。区分は案件を絞る入口であって、説明の代わりにはなりません。
三つめは、業務の種類とシステムの用途を同じものとして扱うことです。定義のとおり、前者は対象とする業務、後者は用途で、別の軸です。どちらか一方だけでは案件が決まりません。
外注時に確認しておきたい点
書いた業務内容は、外部の要員を探すときにもそのまま使えます。4つの欄が埋まっていれば、「卸売の受注を扱う基幹システムの改修を3か月」という形で作業と期間まで一息に書けます。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、案件と期間がはっきりしているほど合わせやすい調達の仕方になります。
正社員の募集と外部の要員では、同じ業務内容でも読まれ方が変わります。正社員なら、その業種と業務をこれから長く担うことが前提になります。外部の要員なら、いまの案件に当てはまる経験があるかどうかが先に見られます。同じ4つの欄でも、どちらを厚く書くかは変わります。
一方、自社の業務がどう回っているかを説明する役は社内に残してください。ここを社外に委ねると、渡した業務内容が実態と合っているかを確かめる人がいなくなります。
業務の種類がどう分布しているかは既存業種の案件は94.3%、立て直しで確かめる5つの分布で集計を扱っています。
経歴書のどこを聞くかはスキル確認の4つの軸|外部の要員も含めて評価するにあります。同じ資料の別の項目です。
どの仕事に業界の知識が要るのかは業界知識はどこで要る?上流の不足60.1%と実装44.9%で整理しました。
採用要件そのものを絞る手順は採用要件を決める手順と企業の49.9%が社内育成に悩む職種にあります。
まとめ:求人票の業務内容で押さえる3つの視点
求人票の業務内容は、技術の名前より先に案件を特定すると決まります。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、IPAは案件を比べられるようにするために業種、業務の種類、システムの用途、利用形態の4つを記録しており、この4つで案件が特定できること。*1 第二に、業務の種類は対象とする業務で20区分、システムの用途は作るものの用途で33区分と、別の軸であること。*1 第三に、利用形態は特定ユーザか不特定ユーザかの2区分しかなく、ここだけで求められる設計も試験も変わることです。*1 この3点を踏まえておけば、「応募は来たが、面談で聞くと想像していた案件と違っていた」という事態を避けやすくなります。いまの案件を4つの欄に当てはめ、1文にまとめるところまでは社内でできます。その先、担い手が社内に見つからなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
IPAは案件を何で記録していますか
「ソフトウェア開発分析データ集2022」のA5.2.3「利用局面」では、業種、業務の種類、システムの用途、利用形態の4項目が定義されています。*1 確認日は2026年9月18日です。
業務の種類とシステムの用途はどう違いますか
業務の種類は「開発した情報システムの対象とする業務の種類」で20区分、システムの用途は「開発した情報システムの用途」で33区分です。*1 前者は発注する側の仕事の名前、後者は作るものの名前にあたります。確認日は2026年9月18日です。
利用形態は何を答えますか
特定ユーザの利用か、不特定ユーザの利用かの2区分です。*1 社内の担当者だけが使うのか、社外の不特定多数が使うのかを答えます。確認日は2026年9月18日です。
当てはまる区分がないときはどうしますか
業務の種類にも用途にも「その他(具体的名称)」が用意されています。*1 無理に近い区分へ寄せず、名前を書いて答える形になります。確認日は2026年9月18日です。
この4項目は求人票の書式ですか
違います。案件を集計するために定義された記録の欄で、求人票に何を書くべきかを定めたものではありません。確認日は2026年9月18日です。
案件が4つの欄で書けたら相談
「卸売の受注を扱う基幹システムの改修を3か月」といった形で案件と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ業務の種類と用途のどちらを重く見るか決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、業種の経験で選ぶ要員も、用途の経験で選ぶ要員も、案件と期間を決めたうえでお探しいただけます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。A5.2.3「利用局面」のデータ項目201_業種、202_業務の種類、203_システムの用途、204_利用形態(定義と回答内容・選択肢)の一次情報として。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この記事は示された定義を引用し、図と表は定義をもとに筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(公開ページ)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。本編と業種編・サマリー版という構成と、収録されている指標の範囲の確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。年度ごとに公開されていることの確認として(2026年9月確認)