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2026.09.18 採用支援コラム

中途採用の育成とは|IPAは経験のない技術を新技術と呼ぶ




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 新技術はメンバー基準で決まる:IPAは「プロジェクトメンバにとって経験のない技術」を新技術と定めています。*1
  • 人が替われば答えが変わる:中途採用者が1人入るだけで、同じ案件の記録が変わります。
  • 把握していないことも記録する:母体システムの安定度には「把握していない」という選択肢があります。*1

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

中途採用で人が入ったが、育成にどれだけ時間を見ておけばよいか決められない。あるいは、案件で使う技術はどれも枯れたものなのに、立ち上がりが思ったより遅かった——。中途採用者の育成を考えるとき、多くの現場が「何を新しいと数えるか」に突き当たります。手がかりになるのが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集」です。案件ごとに「新技術を利用する開発か否か」を記録していて、その新技術の定義が変わっています。*1

この定義を使えば、育成が要るかどうかを案件の側ではなくいまのメンバーの側から決められます。ただし万能ではなく、どれだけの期間が要るかは書かれていませんし、育成のやり方も載っていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、IPAが記録している項目、新技術と新規の協力会社の違い、なぜ育成の要否が案件では決まらないのか、どう見積もるのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。

躯体だけが組み上がった建物を正面から写した外観。柱と床のあいだが空いている

IPAが記録している「新技術」

IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、企業から提供された開発案件の実績を集計した資料です。発行は社会基盤センターで、案件ごとに集める項目が1つずつ定義されています。*1 そのなかに「開発プロジェクト全般」という節があり、案件のプロファイルを答える項目が並んでいます。*1

案件のプロファイルのうち、メンバーの経験で答えが変わる項目(出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」A5.2.2「開発プロジェクト全般」のデータ項目の定義。定義の欄は資料の定義文と補足説明をまとめたもの。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この表は示された定義をもとに筆者が作成したものであり、資料の表そのものを複製したものではない)
データ項目 IPAの定義 選択肢
111_新技術を利用する開発か否か 新しい技術を利用する開発か否か。補足説明として、プロジェクトメンバにとって経験のない技術を利用している場合に「a:新技術を利用」を選択する、と書かれている a:新技術を利用/b:新技術を利用していない
110_新規協力会社か否か 新規の協力会社を使ったか否か。外部委託が有る場合に記述する a:初回利用の協力会社/b:2回以上利用の協力会社
104_母体システムの安定度 改修・保守、拡張、再開発の場合の母体システムの安定度。補足説明として、「安定している」とはサービスイン後にサービスに支障がある不具合が殆ど発生しないこと(目安は、年に不具合発生1件以下)、と書かれている a:システムは安定している/b:システムは安定化傾向にある/c:システムは不安定である/d:母体の安定度を把握していない
107_開発プロジェクトの概要 開発プロジェクトの作業概要として含んでいるものを指定する(複数選択可) ソフトウェア開発、インフラ構築、運用構築、移行、保守、業務支援、コンサルティング、プロジェクト管理、品質保証、現地(本番システム)の環境構築・調整、顧客教育、その他(具体的名称)の12区分

注目したいのが111番の「新技術を利用する開発か否か」です。定義そのものは「新しい技術を利用する開発か否か」と短いのですが、補足説明にこう書かれています。「プロジェクトメンバにとって経験のない技術を利用している場合に、『a:新技術を利用』を選択する」。*1

つまりIPAの言う新技術は、世の中で新しい技術という意味ではありません。目の前のメンバーが経験していない技術のことです。20年前から動いている製品でも、担当する人が触ったことがなければ新技術になります。育成が要るかどうかは、ここで決まります。

新技術と新規の協力会社の違い

同じ節には、似た形の項目がもう1つあります。110番の「新規協力会社か否か」で、選択肢はa:初回利用の協力会社、b:2回以上利用の協力会社です。*1 外部委託が有る場合に記述します。*1

2つを並べると、記録の狙いが見えてきます。111番は技術が初めてかどうか、110番は相手が初めてかどうかです。どちらも案件そのものの属性ではなく、「この組み合わせが初めてか」を聞いています。

違いは、数え直しが起きるかどうかです。協力会社が初回かどうかは、メンバーが入れ替わっても変わりません。一方の新技術は、中途採用者が1人入るだけで答えが変わります。その人がその技術を経験していれば、案件は「新技術を利用していない」になります。

なぜ育成の要否が案件では決まらないのか

育成の要否を案件の側から決めようとすると、話が合わなくなります。枯れた技術しか使っていない案件でも、担当する人がその技術を経験していなければ立ち上がりに時間がかかります。反対に、新しい製品を使う案件でも、経験のある人が入れば普通の案件として進みます。

IPAが補足説明でメンバーを基準にしたのは、案件の実績を集めるうえで「新しさ」を客観的に決められないからだと考えられます。ただし、この理由は資料に書かれているものではありません。書かれているのは、メンバーにとって経験がなければ新技術と数える、という手順までです。

同じ節の104番も似た作りです。母体システムの安定度は、改修・保守や拡張や再開発のときに答える項目で、選択肢にd:母体の安定度を把握していない、が用意されています。*1 把握していないことも、そのまま記録します。

どう見積もるのか

見積もり方は、案件で使う技術を名前で書き出すところから始めます。言語、実行基盤、データベース、製品、ライブラリ。曖昧に「クラウド」と書かず、製品名まで下ろしてください。

育成が要る技術を数え直す手順を、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は案件で使う言語・基盤・製品を名前で書き出すこと、2つ目はいまのメンバー1人ずつと照らし、経験のない技術があればIPAの言う「新技術を利用」に当たると見ること、3つ目は中途採用者を入れて数え直すこと(同じ案件でも答えが変わる)、4つ目は残った技術を経験のある外部の要員に任せ、育成にかける期間の判断は社内に残すこと。項目と定義はIPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」A5.2.2 開発プロジェクト全般による。

次に、いまのメンバー1人ずつと照らします。経験のない技術が1つでもあれば、その人にとってはIPAの言う新技術です。ここまでで、誰にどの技術の育成が要るかが一覧になります。

中途採用者が入る予定があるなら、入れ替えて数え直します。その人の経験で埋まる技術は育成の対象から外れ、残った技術が実際に育成の要る範囲になります。案件の難しさではなく、この残りの数で期間を見積もるほうが実務に合います。

つまずきやすい難所

一つめは、新技術を世の中の新しさで数えることです。IPAの補足説明はメンバーにとって経験のない技術を指しており、発表された時期は関係ありません。*1

二つめは、この項目に育成の期間を求めることです。111番は新技術を利用したかどうかの2択で、どれだけの時間がかかるかは含まれていません。

三つめは、母体システムの安定度を調べずに見積もることです。選択肢にd:母体の安定度を把握していない、があるとおり、把握できていない案件は実際にあります。*1 分からないまま進めると、育成の期間も見積もれません。

外注時に確認しておきたい点

数え直して残った技術は、経験のある人に任せる範囲になります。「この製品の移行を3か月」といった粒度で、作業と期間を書き出してください。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、求める経験と期間がはっきりしているほど合わせやすい調達の仕方になります。

外部の要員に入ってもらうときも、110番と同じ問いが要ります。初めて組む相手なのか、2回以上組んでいる相手なのか。初めてなら、技術の経験に加えて進め方の確認に時間がかかります。そのぶんを見込んでおくと、立ち上がりの遅れを取り違えずに済みます。

一方、育成にどれだけの期間をかけるかの判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、中途採用者が育ったかどうかを確かめる基準が社内からなくなります。経験のある人に任せながら、社内の担い手を育てる進め方も取れます。

上流工程担当をどう育てているかは業界経験のある人材|上流工程はOJT121件・採用9件にあります。

面談で経験のどこを聞くかはスキル確認の4つの軸|外部の要員も含めて評価するで扱っています。同じ資料の別の項目です。

求人票に案件をどう書くかは求人票の業務内容は、IPAが案件を記録する4項目で書くで整理しました。

社内の誰が何をできるかの把握はスキルマップの整備の違い、未対応42.8%と整備済み33.7%にあります。

まとめ:中途採用者の育成で押さえる3つの視点

育成が要るかどうかは、案件ではなく人で決まります。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、IPAは「新技術」を「プロジェクトメンバにとって経験のない技術」と定めており、発表された時期は関係しないこと。*1 第二に、同じ節の110番が相手の初回かどうかを聞くのに対し、111番は中途採用者が1人入るだけで答えが変わること。*1 第三に、母体システムの安定度には「把握していない」という選択肢があり、分からないまま進めている案件が前提に入っていることです。*1 この3点を踏まえておけば、「案件で使う技術はどれも枯れたものなのに、立ち上がりが思ったより遅かった」という事態を避けやすくなります。案件の技術を書き出してメンバーと照らし、中途採用者を入れて数え直すところまでは社内でできます。その先、残った技術に経験のある人が社内にいなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

数え直して残った技術が分かったあとは、担い手を探す段階です。この製品の移行を3か月、この基盤の構築を2か月——このくらいまで書けていれば、求める経験の条件も決まります。初めて組む相手なのか、2回以上組んでいる相手なのかでも、立ち上がりに見ておく時間が変わります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材ニーズの発生から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で稼働まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

IPAは新技術をどう定義していますか

「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、111_新技術を利用する開発か否かの補足説明として、プロジェクトメンバにとって経験のない技術を利用している場合に「新技術を利用」を選ぶ、と定めています。*1 確認日は2026年9月18日です。

枯れた技術でも新技術になりますか

なります。定義はメンバーの経験を基準にしているため、発表された時期は関係しません。*1 担当する人が触ったことがなければ「新技術を利用」に当たります。確認日は2026年9月18日です。

中途採用者が入ると記録は変わりますか

その人が経験している技術であれば、同じ案件でも「新技術を利用していない」になります。これは定義から導ける読み方で、資料が例として挙げているものではありません。確認日は2026年9月18日です。

新規の協力会社はどう記録しますか

110_新規協力会社か否かで、a:初回利用の協力会社、b:2回以上利用の協力会社の2択です。*1 外部委託が有る場合に記述します。*1 確認日は2026年9月18日です。

育成にどれだけ期間が要るか書かれていますか

今回参照した資料に記載はありません。111番は新技術を利用したかどうかの2択で、期間は含まれていないためです。確認日は2026年9月18日です。

残った技術が分かったら相談

「この製品の移行を3か月」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ誰にどの技術の育成が要るか数え直している段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、経験のある要員に任せることも、社内の担い手と並走してもらうことも、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。

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出典

  1. *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。A5.2.2「開発プロジェクト全般」のデータ項目111_新技術を利用する開発か否か、110_新規協力会社か否か、104_母体システムの安定度、107_開発プロジェクトの概要(定義・回答内容・選択肢・補足説明)の一次情報として。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この記事は示された定義を引用し、図と表は定義をもとに筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(公開ページ)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。本編と業種編・サマリー版という構成と、収録されている指標の範囲の確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。年度ごとに公開されていることの確認として(2026年9月確認)




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