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労働保険の年度更新で会社が出す申告書と、40日の起点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 1回で2つ出す:前年度の確定と新年度の概算を同時に申告します*2。
- 期限は40日以内:条文は保険年度の6月1日から40日以内としています*1。
- 遅れると追徴金:政府が額を決定し、100分の10が加わります*1*2。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
6月になると労働保険の申告書が届きます。前の年度の精算と、新しい年度の前払いを、1枚で済ませる手続きです*2。
これを年度更新と呼びます*2。厚生労働省は、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付が必要な手続きだと説明しています*2。
根拠は労働保険徴収法です*1。概算は第15条、確定は第19条にあり、どちらも期限が条文に書かれています*1。
本記事では、保険料の出し方、2つの申告の関係、遅れたときの扱い、そして提出の方法を整理します。
目次
確定と概算を1回で出す
まず全体像からです。
厚生労働省は保険年度の区切りを示しています*2。労働保険料の保険年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間だとしています*2。
そして手続きの中身です*2。前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付が必要な手続きだとしています*2。
期間も示されています*2。6月1日から7月10日までの間に実施する必要があるとしています*2。
労働局も同じ期間を案内しています*3。本年度の申告・納付期間は6月1日から7月10日までだとしています*3。
つまり1年に1回、まとめて動きます*2*3。前年度の精算と当年度の前払いが同時に来ます*2。
| 区分 | 条文 | 基礎となる額 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 概算保険料 | 第15条第1項 | その保険年度の賃金総額の見込額 | その保険年度の6月1日から40日以内 |
| 確定保険料 | 第19条第1項 | その保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額 | 次の保険年度の6月1日から40日以内 |
| 不足額の納付 | 第19条第3項 | 確定と既納付額の差 | 申告書に添えて同じ期限内 |
| 超えた場合 | 第19条第6項 | 確定保険料の額を超える額 | 充当または還付 |
労働保険徴収法第15条第1項・第19条第1項・第3項・第6項より作成*1。
条文の期限と、案内されている期間は表現が違います*1*2。条文は40日以内、案内は7月10日までという書き方です*2。
事務を外に出している会社もあります。委託の枠組みは労働保険事務組合はなぜ小さい会社向けなのかで整理しました*1。
以下では、金額の出し方から順に見ます*1。土台は賃金総額です*1。
土台は賃金総額に率を乗じた額
金額の決まり方です。
労働保険徴収法第11条第1項が式を置いています*1。一般保険料の額は、賃金総額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とするとしています*1。
その賃金総額も定義されています*1。同条第2項は、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいうとしています*1。
正社員だけではありません*1。その事業に使用する労働者が対象です*1。
例外の受け皿もあります*1。同条第3項は、厚生労働省令で定める事業について、省令で定めるところにより算定した額を賃金総額とするとしています*1。
賃金の範囲そのものは労働基準法の考え方と重なります*1。支払いのルールは賃金支払の5原則|口座振込と控除に必要な同意と協定で扱っています*1。
端数の扱いも条文にあります*1。第15条第1項第1号は、賃金総額の額に千円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てるとしています*1。
特別加入の分は別に計算します*1。第15条第1項第2号は、労災保険法第34条第1項や第36条第1項の承認に係る事業について、第一種特別加入保険料や第三種特別加入保険料を算定するとしています*1。
第3号もあります*1。労災保険法第35条第1項の承認に係る事業について、第二種特別加入保険料を算定するとしています*1。
中小事業主等が特別加入している会社では、この区分が増えます*1。一般保険料だけで終わらない形です*1。
いずれも率を乗じる構造は同じです*1。基礎になる額が何かで分かれます*1。
概算保険料は見込額で出す
新しい年度の分です。
第15条第1項が定めています*1。事業主は、保険年度ごとに労働保険料を、その額その他省令で定める事項を記載した申告書に添えて納付しなければならないとしています*1。
期限が条文に書かれています*1。その保険年度の6月1日から40日以内です*1。
年度の途中で保険関係が成立した場合は別です*1。当該保険関係が成立した日から50日以内とされています*1。
基礎になる額も第1号にあります*1。その保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に一般保険料率を乗じて算定するとしています*1。
見込みで出す点が特徴です*1。年度が始まる時点では実績がないためです*1。
ただし括弧書きに別の道もあります*1。厚生労働省令で定める場合にあっては、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額によるとしています*1。
前年の実績をそのまま使える場合がある、という書き方です*1。毎年見込みを立て直すとは限りません*1。
年度の途中に成立した事業では、対象期間も限定されます*1。保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者が範囲です*1。
採用の計画が固まっていない時期に見込みを出す場面もあります*1。実績との差は次の年度に精算されます*1。
その精算が確定保険料です*1。次の節で見ます*1。
確定保険料で精算する
前の年度の分です。
第19条第1項が定めています*1。事業主は、保険年度ごとに労働保険料の額その他省令で定める事項を記載した申告書を、次の保険年度の6月1日から40日以内に提出しなければならないとしています*1。
基礎になる額が変わります*1。第1号は、その保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額に一般保険料率を乗じて算定するとしています*1。
見込みではなく実績です*1。ここが概算との違いです*1。
保険関係が消滅した場合の期限もあります*1。当該保険関係が消滅した日から50日以内とされています*1。
差額の扱いも条文にあります*1。第3項は、納付した労働保険料の額が足りないときはその不足額を、納付した労働保険料がないときは労働保険料を、申告書に添えて納付しなければならないとしています*1。
期限は申告と同じです*1。有期事業以外の事業では次の保険年度の6月1日から40日以内です*1。
払いすぎた場合の定めもあります*1。第6項は、納付した額が確定保険料の額をこえる場合について、省令で定めるところによりそのこえる額を次の保険年度の労働保険料や未納の徴収金に充当し、または還付するとしています*1。
返ってくるか、翌年の分に回るかの2通りです*1。自動的に消えるわけではありません*1。
この仕組みがあるため、概算が多少ずれても後で整います*1。だからこそ見込みで出せる建て付けになっています*1。
有期事業には別の期限もあります*1。第19条第2項は、有期事業について保険関係が消滅した日から50日以内に申告書を提出するとしています*1。
特別加入の分も確定します*1。第19条第1項第2号は、労災保険法第34条第1項や第36条第1項の承認に係る事業について、第一種特別加入保険料や第三種特別加入保険料を算定するとしています*1。
第3号もあります*1。労災保険法第35条第1項の承認に係る事業について、第二種特別加入保険料を算定するとしています*1。
基礎になる額は、いずれも省令で定める額の総額です*1。一般保険料の賃金総額とは別に集計します*1。
建設工事のように期間が決まっている事業が対象です*1。年度で区切らない形です*1。
出さないと政府が額を決める
期限に遅れた場合の条文です。
第19条第4項が定めています*1。政府は、事業主が申告書を提出しないとき、またはその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知するとしています*1。
提出しないままでは終わりません*1。行政の側で額が決まります*1。
通知を受けた後の期限も短いです*1。第5項は、不足額または労働保険料を、その通知を受けた日から15日以内に納付しなければならないとしています*1。
ただし省令の要件に該当する場合は除かれます*1。同項ただし書がその旨を置いています*1。
そのうえで上乗せがあります*1。第21条第1項は、第19条第5項により労働保険料またはその不足額を納付しなければならない場合に、その納付すべき額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収するとしています*1。
ここにも端数処理があります*1。納付すべき額に千円未満の端数があるときは切り捨てるとしています*1。
例外も明記されています*1。事業主が天災その他やむを得ない理由により納付しなければならなくなった場合は、この限りでないとしています*1。
少額の場合も除かれます*1。同条第2項は、労働保険料またはその不足額が千円未満であるときは追徴金を徴収しないとしています*1。
厚生労働省も同じ点を案内しています*2。手続きが遅れると保険料を決定し、納付しなかった保険料に10パーセントの追徴金が課されるとしています*2。
手続きの準用もあります*1。第21条第3項は、追徴金を徴収する場合について第17条第2項の規定を準用するとしています*1。
金額そのものより、決定を待つ側に回ることの負担が大きい場面です*1*2。期限内に自分で出すほうが手間は少なくなります*2。
出す先は3通りある
提出の方法です。
厚生労働省は提出先を挙げています*2。労働局本局、労働基準監督署、公共職業安定所のいずれかに提出するとしています*2。
労働局はもう1つの経路を案内しています*3。6月1日から7月10日までに最寄りの銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関へ、労働保険料の申告書と納付書を切り離さずに提出すれば、同時に申告・納付の手続きができるとしています*3。
1か所で両方が済む形です*3。切り離してしまうと、この扱いになりません*3。
納める額がない場合は別の窓口です*3。申告だけの場合、または口座振替を利用する場合は、最寄りの労働基準監督署へ提出するとしています*3。
電子的な手段もあります*3。労働保険の適用徴収関係手続きについては、電子申請・電子納付によって行うこともできるとしています*3。
申告書は送られてきます*2。厚生労働省は、保険年度ごとに保険関係の承認と同時に申告用紙を送付するとしています*2。
用紙の名称も示されています*2。厚生労働省は、労働保険料申告書(労働保険関係成立届の届出に係る場合を含む)としています*2。
会社が用紙を取り寄せる作業は原則として発生しません*2。届いた用紙に書いて出す流れです*2。
期限が土日にかかる年もあります*3。労働局の案内では、その年の日付が曜日つきで示されます*3。
電子申請を選ぶなら、口座振替との組み合わせも検討の対象になります*3。窓口へ行く回数が変わります*3。
どの経路でも、期限と金額は同じです*1*3。変わるのは提出の手段だけです*3。
採用実務で押さえる3点
最後に、採用や労務の担当が押さえる3点です。
1点目は、採用計画が概算の見込額に効いてくることです。第15条第1項第1号が、その保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額を基礎としているためです*1。
年度の途中で人を増やす予定があれば、見込額もそれを含む形になります*1。ただし省令で定める場合には直前の保険年度の賃金総額を使う道もあります*1。
差が出ても翌年の確定で精算されます*1。充当または還付という受け皿があるためです*1。
2点目は、賃金総額の範囲を先に決めておくことです。第11条第2項は、その事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額としています*1。
短時間で働く人や年度途中の入退社も含まれます*1。給与データの集計方法を決めておくと、6月の作業が軽くなります*1。
入社時の届出とは別の作業です*1。手続きの期限はなぜ入社手続の期限は5日と翌月10日に分かれるのかで整理しました*1。
3点目は、6月1日から7月10日を予定に固定することです。厚生労働省と労働局がこの期間を示しています*2*3。
条文の側は40日以内という書き方です*1。どちらで数えても、6月に入ってからの1か月余りが作業期間になります*1*2。
遅れると政府が額を決定し、通知から15日以内の納付と100分の10の追徴金が続きます*1*2。前倒しで動く価値があります*2。
提出は金融機関、労働基準監督署、電子申請などから選べます*2*3。自社の納付方法に合う経路を先に決めておくと迷いません*3。
まとめ:労働保険の年度更新の要点
第一に、手続きの全体像です。厚生労働省は、労働保険料の保険年度を毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間とし、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付が必要な手続きとして、6月1日から7月10日までの間に実施する必要があるとしています。第二に、金額の出し方です。労働保険徴収法第11条第1項は一般保険料の額を賃金総額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とし、第2項は賃金総額を事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額としています。第15条第1項は概算保険料について、その保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額(厚生労働省令で定める場合にあっては直前の保険年度の賃金総額)に一般保険料率を乗じて算定し、その保険年度の6月1日から40日以内に申告書に添えて納付するとしています。第19条第1項は確定保険料について、その保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額に一般保険料率を乗じて算定した額を記載した申告書を、次の保険年度の6月1日から40日以内に提出するとし、第3項は不足額を申告書に添えて納付すること、第6項は確定保険料の額をこえる額を次の保険年度の労働保険料や未納の徴収金に充当し、または還付することを定めています。第三に、遅れた場合と提出方法です。第19条第4項は、申告書を提出しないときや記載に誤りがあると認めるときに政府が労働保険料の額を決定して通知するとし、第5項は通知を受けた日から15日以内の納付を求めています。第21条第1項は納付すべき額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収するとし、天災その他やむを得ない理由による場合と、額が千円未満である場合を除いています。提出先は労働局本局、労働基準監督署、公共職業安定所のほか、金融機関へ申告書と納付書を切り離さずに提出すれば同時に申告・納付ができ、電子申請・電子納付も利用できます。
よくある質問
年度更新はいつ行いますか。
厚生労働省は、労働保険料の保険年度を毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間とし、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付を6月1日から7月10日までの間に実施する必要があるとしています。労働保険徴収法の側では、第15条第1項が概算保険料の納付をその保険年度の6月1日から40日以内とし、第19条第1項が確定保険料の申告書の提出を次の保険年度の6月1日から40日以内としています。
概算保険料は何を基礎に計算しますか。
労働保険徴収法第15条第1項第1号は、その保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に一般保険料率を乗じて算定するとしています。括弧書きは、厚生労働省令で定める場合にあっては直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額によるとしています。賃金総額の額に千円未満の端数があるときは切り捨てます。
払いすぎた保険料はどうなりますか。
労働保険徴収法第19条第6項は、事業主が納付した労働保険料の額が確定保険料の額をこえる場合に、厚生労働省令で定めるところにより、そのこえる額を次の保険年度の労働保険料もしくは未納の労働保険料その他の徴収金に充当し、または還付するとしています。反対に足りないときは、第3項により不足額を申告書に添えて納付します。
申告書を出さないとどうなりますか。
労働保険徴収法第19条第4項は、政府が、事業主が申告書を提出しないときやその記載に誤りがあると認めるときに労働保険料の額を決定し、事業主に通知するとしています。第5項は、通知を受けた日から15日以内に不足額または労働保険料を納付しなければならないとしています。第21条第1項は納付すべき額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収するとし、天災その他やむを得ない理由による場合は除いています。
申告書はどこに出せばよいですか。
厚生労働省は、労働局本局、労働基準監督署、公共職業安定所のいずれかに提出するとしています。労働局は、6月1日から7月10日までに最寄りの銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関へ申告書と納付書を切り離さずに提出すれば同時に申告・納付ができるとし、申告だけの場合や口座振替を利用する場合は最寄りの労働基準監督署へ提出するよう案内しています。電子申請・電子納付によって行うこともできます。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」(昭和四十四年法律第八十四号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084)。第11条(一般保険料の額を賃金総額に保険料率を乗じて得た額とすること、賃金総額の定義、省令で定める事業の特例)、第15条(概算保険料の納付。賃金総額の見込額または直前の保険年度の賃金総額、千円未満の端数の切捨て、その保険年度の6月1日から40日以内、年度中途に保険関係が成立した場合の50日以内、特別加入保険料)、第19条(確定保険料。次の保険年度の6月1日から40日以内の申告書の提出、使用したすべての労働者に係る賃金総額、有期事業の50日以内、不足額の納付、政府による額の決定と通知、通知を受けた日から15日以内の納付、こえる額の充当または還付)、第21条(追徴金。納付すべき額に100分の10を乗じて得た額、天災その他やむを得ない理由による場合の除外、千円未満の場合の不徴収)の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:厚生労働省「労働保険の年度更新とは」(確認日2026年8月31日)(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kousin.html)。労働保険料の保険年度が毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間であること、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付が必要な手続きであること、6月1日から7月10日までの間に実施する必要があること、提出先が労働局本局・労働基準監督署・公共職業安定所であること、保険年度ごとに保険関係の承認と同時に申告用紙が送付されること、手続きが遅れた場合に保険料が決定され納付しなかった保険料に10パーセントの追徴金が課されることの一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省 大阪労働局「労働保険の年度更新手続きについて」(確認日2026年8月31日)(https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/hourei_seido/kosin/head.html)。本年度の労働保険年度更新の申告・納付期間が6月1日から7月10日までであること、6月1日から7月10日までに最寄りの銀行、信用金庫、郵便局等金融機関へ労働保険料の申告書と納付書を切り離さずに提出すれば同時に申告・納付の手続きができること、申告だけの場合や口座振替を利用する場合は最寄りの労働基準監督署へ提出すること、労働保険の適用徴収関係手続きについては電子申請・電子納付によって行うこともできることの一次情報として(2026年8月確認)