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2026.09.03 採用支援コラム

レガシー刷新の課題|首位の要員不足と計画が進まない理由

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

コンクリートの柱が等間隔に並ぶ回廊の内観

この記事の結論

  • IPAの2025年度の調査を集計すると、レガシー刷新の課題|首位の要員不足と計画が進まない理由で、35.6%でした。
  • 「要員を割けない」を挙げた企業が129社だったのに対し、「経営者に必要性が理解されない」は25社でした。
  • 社内で担当者を用意できない現行システムの調査やテストは、作業と期間を決めて外部の専門人材に任せる方法があります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

刷新の計画は承認されたのに、担当者はいまの案件で手一杯。古いシステムの中身を調べたくても、分かる人に時間を取ってもらえない——。長く使ってきた基幹システムを抱える企業では、こうした行き詰まりが起こりがちです。レガシー刷新とは、長く使い続けて古くなったシステム(レガシーシステム)を、新しい仕組みに置き換えることです。

刷新が進まない理由を、経営の理解が足りないからだと説明したことはないでしょうか。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査の回答を集計すると、最も多く挙げられた課題は、要員を割けないことでした。本記事では、レガシー刷新を担当する方に向けて、多く挙げられた課題の順位、経営の理解不足を挙げた企業との比較、レガシーシステムが残る企業に絞った結果、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

数字の出どころ

本記事の数値は、IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」から取っています。調査のページには、公開が2025年11月25日、最終更新が2026年5月13日と記されています。実施したのはIPAのデジタル基盤センターで、回答対象は国内企業です。2026年2月9日時点で362件の回答を得たとされています。*1

IPAの2025年度ソフトウェア動向調査のオープンデータを集計した図。公開2025年11月25日・最終更新2026年5月13日、2026年2月9日時点の回答は362件、回答対象は国内企業、設問Q5-3とQ6-2はいずれも複数選択で母数は362社、各選択肢の件数と割合は公開されている調査結果CSVから集計したこと、Q5-3レガシーシステム刷新の課題は他の案件に手一杯で十分な要員を割けない129件35.6パーセント・ブラックボックス化により解析が困難116件32.0パーセント・既存システムの操作性へのこだわりを解消できない92件25.4パーセント・肥大化し移行の影響度が想定できない92件25.4パーセント・古い技術を理解した技術者の確保ができない54件14.9パーセント・刷新に長けたプロジェクトリーダーがいない52件14.4パーセント・移行の困難さが理解されず予算や納期を確保できない41件11.3パーセント・経営者に必要性が理解されない25件6.9パーセント・その他17件・特になしまたは保持していない99件であり上位2つは要員と解析で経営者の理解に関する2項目は合わせても66件にとどまること、レガシーを保有すると答えた280社に絞ると他の案件に手一杯が128件45.7パーセント・ブラックボックス化が114件40.7パーセント・古い技術の技術者が54件19.3パーセントになること、企業種別では他の案件に手一杯の該当率がユーザー企業86/247の34.8パーセント・受託開発とSIが32/83の38.6パーセントでどちらも3分の1を超えること、Q2-6のDXを推進する人材の状況はやや不足183件・大幅に不足123件・過不足はない44件・わからない12件で不足と答えた企業が合わせて306件であること、Q6-2ベンダーロックインの原因では社内の有識者がいないが87件24.0パーセント・設計情報や技術仕様が不足が54件14.9パーセント・契約上の制約が22件6.1パーセントで契約や違約金より社内に分かる人がいないほうが多く挙げられていること、この集計から読めないのは必要な要員数・単価や費用・刷新にかかる期間・産業区分ごとの内訳・各社が挙げた課題の優先順位であることをまとめた図

この調査は、回答を匿名化したうえでオープンデータ(誰でも使える形で公開したデータ)にしています。従来は有識者による分析を数か月後に公開していましたが、社会の変化が速いことや、主観による分析を防ぐことを理由に、この形に変えたと説明されています。*1 調査のページには、設問一覧、調査結果のCSVファイル(表の形で保存したデータ)2種、設問ごとの回答数をまとめたグラフ、自由記述のコメントのまとめが並んでいます。

本記事の件数と割合は、設問一覧で各項目の意味を確かめたうえで、調査結果のCSVファイルを数えて出したものです。*2 IPAが集計して公表した値ではありません。数えているのは回答した企業の数と、362社に対する割合で、作業量や金額ではありません。

刷新の課題で多いもの

設問Q5-3は、レガシーシステムを刷新するときの課題を複数選択で尋ねています。最も多かったのは「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」で、362社のうち129社、35.6%でした。2番目は「ブラックボックス化によりレガシーシステムの解析が困難」の116社、32.0%です。*2 ブラックボックス化とは、仕組みを説明できる人や資料がなくなり、システムの中身が分からなくなった状態を指します。

Q5-3 レガシーシステム刷新の課題(N=362・複数選択。IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」の回答データから集計)
課題 件数 割合
他の案件に手一杯で十分な要員を割けない 129 35.6%
ブラックボックス化により解析が困難 116 32.0%
既存システムの操作性へのこだわりを解消できない 92 25.4%
肥大化し移行の影響度が想定できない 92 25.4%
古い技術を理解した技術者の確保ができない 54 14.9%
刷新に長けたプロジェクトリーダーがいない 52 14.4%
移行の困難さが理解されず予算や納期を確保できない 41 11.3%
経営者に必要性が理解されない 25 6.9%
その他 17 4.7%
特になし/保持していない 99 27.3%

3番目には、既存システムの操作性へのこだわりを解消できないという項目と、システムが肥大化して移行の影響が想定できないという項目が、どちらも92社、25.4%で並びます。その下にも、古い技術を理解した技術者を確保できない、刷新に長けたプロジェクトリーダーがいないと、人に関わる項目が続きます。

上位2つの、要員を割けないことと、ブラックボックス化で解析が難しいことは、どちらも作業をする人に関わる課題です。現行システムの中身を調べるにも、調べる人の時間が要ります。表の並びを見ると、刷新が止まる理由の多くは、予算や承認よりも、作業をする人の側にあることが分かります。

経営の理解不足との差

経営に関わる項目は、表の下のほうにあります。「経営者に移行の困難さが理解されず予算や納期を確保できない」は41社、11.3%、「経営者に必要性が理解されない」は25社、6.9%でした。要員を割けないの129社は、必要性の項目の25社の5倍を超えます。経営に関わる2項目を足しても66社で、要員の項目の半分程度です。

ただし、これは重要度の順位ではありません。複数選択で挙げられた数なので、各社の中でどの課題を優先しているかは分かりません。それでも、「経営が理解しないから刷新が進まない」という説明は、回答の分布と合いません。刷新の担当者が経営層に遅れの理由を説明するときは、要員の話から始める根拠として使えます。

人材の状況は、別の設問Q2-6で尋ねています。DX(デジタル技術による事業の変革)を推進する人材について、「やや不足している」が183社、「大幅に不足している」が123社で、不足と答えた企業は合わせて306社でした。「過不足はない」は44社、「わからない」は12社です。*2 各社は、人材が足りない状態のまま、刷新に要員を割くかどうかを決めることになります。

レガシーシステムが残る企業の場合

設問Q5-1は、自社にレガシーシステムがどれだけ残っているかを尋ねています。「ほとんどがレガシーシステムである」が27社、「半分程度がレガシーシステムである」が71社、「一部領域にレガシーシステムが残っている」が182社で、合わせて280社です。「レガシーシステムはない」は72社、「わからない」は10社でした。*2

この280社に絞って数え直すと、「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」は128社、45.7%になります。*2 全362社での35.6%から10ポイント上がり、半数近くに達します。「ブラックボックス化により解析が困難」も114社で40.7%、古い技術を理解した技術者の確保ができないは54社で19.3%、刷新に長けたプロジェクトリーダーがいないは52社で18.6%です。

レガシーシステムを実際に抱えている企業に絞ると、要員の課題を挙げる割合は高くなります。刷新を担当する立場では、全体の35.6%より、45.7%のほうが自社に近い数字と考えられます。

設問Q5-2は、レガシーシステムがDXの推進にどう影響しているかを1つ選ぶ形で尋ねています。「やや足かせとなっている」が104社、28.7%、「大きな足かせとなっている」が33社、9.1%で、合わせて137社、362社の37.8%が、レガシーシステムはすでにDXの推進の妨げになっていると答えました。「現在は影響しないが将来足かせになる可能性がある」も92社、25.4%あります。*2

ユーザー企業と受託側の違い

設問Q1-4は、回答した企業の事業形態を1つ選ぶ形で尋ねています。*3 最も多いのはユーザー企業(システムを使う側の企業)の247社で、受託開発ソフトウェアベンダーとシステムインテグレーター(システム構築を請け負う企業)が83社で続きます。

上位2つの区分で、「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」を挙げた割合を比べます。ユーザー企業では247社のうち86社で34.8%、受託開発とシステムインテグレーターでは83社のうち32社で38.6%でした。*2 発注する側でも請け負う側でも、3分の1を超える企業が同じ課題を挙げています。

ただし受託側は83社と少なく、1社増減するだけで割合が1.2ポイント動くため、どちらが高いかは比べません。刷新にかかる費用の相場は、レガシーシステム刷新の費用相場で整理しています。

ベンダーロックインの原因

設問Q6-2は、ベンダーロックイン(特定の委託先から乗り換えにくい状態)の原因を複数選択で尋ねています。最も多いのは「システム間が密結合しており、全体構成が複雑・肥大化しているため、新規ベンダーが参入しづらい」の97社、26.8%でした。システム同士が複雑につながっていて、別の会社が引き継ぎにくいという意味です。続いて「特定のベンダーだけが持つ独自規格や独自技術がシステムに組み込まれている」と、「システムに関する知識・ノウハウを持つ社内の有識者がいない」が、ともに87社、24.0%です。*2

一方、契約に関わる項目は少なく、「契約上、ソースコードや設計書の共有・利用に制約がある」は22社、6.1%、「ベンダーと長期契約を結んでおり、移行時に違約金などのコストが発生する」は10社、2.8%でした。「設計情報や技術仕様が不足している」は54社、14.9%、「システムや技術の知的財産がベンダーに帰属している」は47社、13.0%です。

並べてみると、社内に分かる人がいないことのほうが、契約上の制約や違約金より多く挙げられています。刷新の課題で要員と解析が上位だったことと、同じ傾向です。なお、設問Q6-1では「一部のシステムでベンダーロックインがある」が172社、「主要システムの多くにある」が62社でした。*2 保守契約の決め方は、保守契約のSLA設計を外注で進めるにはで扱っています。

外部に委託するときに確認しておきたい点

まず、自社の課題がQ5-3の並びのどこに当たるかを確かめます。要員の項目に当たるなら、既存の案件から人を移すか、社外から人を加えるかを決めることになります。解析の項目に当たるなら、先に現行システムの仕様を調べて文書にする作業に人を当てます。

現行システムに詳しい社員がいない場合は、現行システムの調査やテストの一部を外部の専門人材に任せ、仕様を決める判断は社内の担当者が持つ進め方が考えられます。依頼する前に、「いまの帳票の出し方の調査を2か月」「新しいシステムのテストを3か月」のように作業名と期間を書き出しておくと、既存案件の体制を崩さずに始めやすくなります。

フリーランスを含む外部の人材は、期間と工程を決めて加わってもらう使い方に向いています。社内の担当者を既存の案件に残したまま、刷新の作業だけを進められるからです。外部に任せる工数の割合は外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で、経営判断の観点は2025年の崖とレガシー刷新の経営判断で扱っています。

まとめ:レガシー刷新で確かめておきたい3つの点

レガシー刷新の課題を考えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、IPAの調査の回答では、要員を割けないことが35.6%で最も多く、レガシーシステムが残る280社では45.7%に上ること。第二に、経営者に必要性が理解されないは6.9%で、経営の理解不足だけでは刷新が進まない理由を説明しきれないこと。第三に、社内で担当者を用意できない調査やテストを、作業名と期間を決めて外部の人材に任せられるかを確かめることです。この3点を踏まえておけば、「刷新の計画は承認されたのに、担当者が既存案件から離れられず作業が始まらない」という事態を避けやすくなります。刷新の体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

自社の課題が要員に当たると分かったあとに残るのは、現行システムの調査やテストを誰に任せるかです。社内で人を割けない場合は、作業と期間を決めて、外部の専門人材に加わってもらう方法も選べます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

この調査の回答データは、自社でも集計し直せますか

集計し直せます。IPAは回答を匿名化したデータをCSVファイルで公開しており、そのデータを使った分析レポートも募集しています。*1 設問ごとの回答数のグラフも公開されていますが、本記事の数値はCSVファイルの該当する列を数えて出しました。

複数選択の割合は、どう読めばよいですか

その課題を挙げた企業の比率として読みます。1社が複数の課題を挙げているので、割合を足すと100%を超えます。Q5-3では「その他」が17社、4.7%、「特になし/保持していない」が99社、27.3%あり、課題を挙げていない企業も含めた362社が分母です。*2

必要な要員の人数や費用は、この調査から分かりますか

この調査には含まれていません。尋ねているのは課題の有無や取り組みの状況で、要員を何人増やせば足りるか、単価や費用、刷新にかかる期間は対象外です。産業区分の一覧は調査の別紙にありますが、本記事では産業ごとには集計していません。

レガシー刷新の体制を相談したいとき

どの作業を社内に残し、どの作業をどの期間任せるか。その整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/software2025.html)。公開日・最終更新日・回答362件・オープンデータ公開の方針の一次情報として(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-result-data-str.csv)。Q1-4・Q2-6・Q5-1・Q5-3・Q6-1・Q6-2の回答を集計した元データとして(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-c-questions.xlsx)。各設問の文言・選択肢・回答種別・必須任意の確認として(2026年9月確認)
  4. *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成として(2026年9月確認)




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