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2026.08.31 採用支援コラム

産前産後休業の保険料免除と出産手当金|申出書の出し方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

木製のクリップで留められた白い月めくりカレンダーとユーカリの葉

この記事の結論

  • 産前は本人の請求で休業に入り、産後8週間は請求がなくても就業させられません。
  • 保険料免除は自動では受けられず、事業主が休業中か終了後1か月以内に申出書を出す必要があります。
  • 出産手当金は、出産の42日前から56日後までのうち、働かなかった期間に支給されます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

出産の予定を伝えられたが、休業はいつから始まるのか。その間の給与や社会保険料はどう扱えばよいのか——。社員から出産の報告を受けた人事や労務の担当者が、最初に迷いやすいところです。産前産後休業とは、労働基準法が定める出産の前後の休業のことで、産前は本人の請求で始まり、産後8週間は本人が請求しなくても就業させられません。

休業中の社会保険料は、会社が申出書を出せば免除され、休業中の収入としては健康保険から出産手当金が支給されます。ただし、どちらも自動で進むわけではなく、根拠も労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法に分かれています。本記事では、人事・労務の担当者に向けて、休業の期間、保険料免除と申出書の出し方、出産手当金の期間と額、そして給与との調整を整理します。

産前産後休業とは

産前産後休業の根拠は、労働基準法第65条です。条文は3つの項に分かれています。第1項は産前で、使用者は「6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合」には、その者を就業させてはならないとしています。*2 請求という条件が付いているため、本人が休業を求めなければ、産前の就業は禁止されません。

産前産後休業の期間と手続きを整理した図。労働基準法第65条第1項が6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合に就業させてはならないとしていること、第2項が産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないとしつつ産後6週間を経過した女性が請求し医師が支障がないと認めた業務は差し支えないとしていること、健康保険法第159条の3と厚生年金保険法第81条の2の2が事業主の申出により産前産後休業開始月から終了日の翌日が属する月の前月までの保険料を徴収しないとしていること、健康保険法第102条が出産の日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の日後56日までの労務に服さなかった期間について出産手当金を支給するとしていることをまとめた図

第2項は産後です。使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないとされ、こちらには請求という条件がありません。本人が働きたいと言っても、原則として就業させられません。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合に、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えないとされています。*2

産前と産後の違い
区分 条文 本人の請求 期間
産前 第65条第1項 必要 6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定
産後 第65条第2項 不要 産後8週間を経過しない期間
産後の例外 第65条第2項ただし書 必要 産後6週間を経過した後、医師が支障がないと認めた業務

労働基準法第65条第1項・第2項より作成。

第65条第3項は妊娠中の扱いで、妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければならないとしています。妊娠中の配慮の全体は「母性健康管理の措置で会社が講じる3つの配慮」で扱っています。

妊産婦の労働時間の制限

休業の前後の働き方にも、労働基準法第66条が制限を設けています。第1項は、妊娠中や出産後の女性(妊産婦)が請求した場合には、変形労働時間制(一定期間の平均で労働時間を決める仕組み)を採っていても、1週間と1日の法定労働時間(法律で決められた労働時間の上限)を超えて働かせてはならないとしています。第2項は、請求があれば、三六協定(時間外・休日労働の労使協定)があっても時間外労働と休日労働をさせてはならないとし、第3項は、請求があれば深夜業(深夜の時間帯の勤務)をさせてはならないとしています。*2

3つの項に共通するのは、本人の請求が条件になっている点で、産前の休業と同じ形です。会社が判断して制限をかけるものではなく、請求を受けたら従う定めなので、請求を受け付ける担当者と、請求を受けた後の勤務時間の変え方を、就業規則や社内の手順に書いておくと、担当者が代わっても同じように対応できます。

保険料はどう免除されるのか

産前産後休業中の社会保険料は、健康保険法第159条の3と厚生年金保険法第81条の2の2が定めています。どちらも、産前産後休業中の社員を雇っている事業主が申出をしたときに、保険料を徴収しないとしています。*1*3 健康保険と厚生年金保険で条文は別々ですが、手続きは1つの届書で行います。

保険料免除の期間は、産前産後休業を始めた月から、休業が終わった日の翌日がある月の前の月までです。日割りではなく、月単位で数えます。日本年金機構は、産前産後休業終了日が月の末日の場合は、終了した月までが免除になると案内しています。*4 終了日が末日かどうかで免除の月数が1か月変わるため、実務で数え間違えやすいところです。育児休業まわりの制度改正は「育児介護休業法改正」で扱っています。

申出書の出し方

保険料免除を受けるための申出書は、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」という名称です。被保険者が事業主に休業の取得を申し出て、申し出を受けた事業主が提出します。本人が年金事務所に出す書類ではなく、会社の手続きです。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参(年金事務所のみ)の3つで、添付書類はありません。*4 休業の期間が変わったときや休業を終えたときは、同じ様式の変更(終了)届を使います。

提出の時期は、産前産後休業をしている間か、休業の終了日から起算して1か月以内です。休業中に出しても、休業が終わってから出してもかまいませんが、1か月という期限は付いています。日本年金機構のページは、産前産後休業の期間を、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間としています。*4 この日数は、次に見る出産手当金の条文と同じです。

出産手当金とは

出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休んだ期間について、健康保険から支給される給付です。健康保険法第102条は、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、労務に服さなかった期間に支給するとしています。*1 休業した日すべてに支給されるのではなく、この期間の中で働かなかった日が対象です。

額は、同条第2項により、傷病手当金の額を定めた第99条第2項と第3項を使って計算します。1日あたりの額は、支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間について、各月の標準報酬月額(保険料の計算に使う月給の等級)を平均し、その30分の1の額に3分の2を掛けた金額です。*1

入社して間もない人は、標準報酬月額が定められている月が12月に満たないことがあります。その場合は、条文が挙げる額のうち少ないほうを基にして計算する特則があります。中途採用で入った社員が、入社して早いうちに休業に入るときに関係する定めです。賞与を含めた社会保険の数え方は「賞与の社会保険、健康保険と厚生年金で上限の数え方が違う」で整理しています。

給与や傷病手当金との調整

休業中に会社が給与を出すと、出産手当金の額が変わることがあります。健康保険法第108条第2項は、出産した場合に報酬の全部または一部を受けることができる人には、その期間は出産手当金を支給しないとしています。ただし、受けることができる報酬の額が出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給するとされています。*1 給与を出しても、出産手当金がすべて止まるわけではありません。

給与と出産手当金のどちらが多いかで結論が変わるため、休業中を有給にするかどうか、いくら出すかを決める前に、出産手当金の見込み額と並べて確かめておくと判断しやすくなります。給付の調整そのものは保険者(協会けんぽや健康保険組合など)が行いますが、報酬の額を決めるのは会社です。会社の決め方しだいで支給額が変わる以上、労務の担当者にも関係のある条文です。

傷病手当金(病気やけがで働けないときの給付)との関係は、第103条にあります。第1項は、出産手当金を支給する期間は傷病手当金を支給しないとし、出産手当金の額が傷病手当金として算定される額より少ないときは、その差額を支給するとしています。第2項は、出産手当金を支給すべき期間に傷病手当金が支払われたときは、その傷病手当金を、出産手当金の一部を前もって支払ったもの(内払)とみなすとしています。*1 妊娠中に体調を崩して休み、そのまま産前の休業に入った場合に関係します。

つまずきやすい点

一つ目は、産前と産後を同じように扱ってしまうことです。産前は本人の請求を受けてから休業に入り、産後8週間は請求がなくても就業させられません。産後6週間を過ぎた後に就業できるのも、本人の請求と医師の判断がそろったときだけです。社員に休業の予定を尋ねるときは、この違いを先に説明しておくと、本人も予定を立てやすくなります。

二つ目は、申出書の出し忘れです。保険料免除は事業主の申出が条件なので、申出書を出さなければ保険料は徴収され続け、本人が負担する分にも影響します。本人からの報告が遅れると、申出書の提出期限に間に合わなくなることがあるため、妊娠の報告を受ける担当者を決めておくと、手続きが遅れにくくなります。

三つ目は、休業中の給与を先に決めてしまうことです。報酬を受けられる期間は出産手当金が支給されず、報酬が出産手当金より少ないときだけ差額が支給されます。給与の扱いは、出産手当金の見込み額と並べてから決めます。入社して間もない社員なら、額の算定に12か月未満の特則が当てはまるかも確かめておきます。

まとめ:産前産後休業で確かめておきたい3つの点

産前産後休業の手続きを進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、産前は本人の請求で休業に入り、産後8週間は請求がなくても就業させられないこと。第二に、保険料免除は事業主が申出書を出して初めて受けられ、期限は休業中か終了日から1か月以内であること。第三に、休業中の給与は、出産手当金との調整を確かめてから決めることです。この3点を踏まえておけば、「申出書を出し忘れて、休業中も保険料を納めていた」という事態を避けやすくなります。休業中の体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

産前産後休業に入る社員がいると、その人が担当していた作業を、休業の間だれに任せるかを決める必要があります。社内で担当を替えられない作業は、期間を決めて外部の専門人材に任せる方法もあります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

出産が予定日より遅れたら、出産手当金の期間はどう数えますか

出産予定日を基準に数えます。健康保険法第102条は、出産の日が出産の予定日より後になったときは、出産の予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から数えるとしています。*1 日本年金機構が示す産前産後休業の期間も、同じ扱いです。

育児休業の保険料免除も、同じ数え方ですか

同じではありません。健康保険法第159条は、育児休業等を開始した日の属する月と、終了する日の翌日が属する月が同じ場合、その月の育児休業等の日数が14日以上であることを求めています。*1 産前産後休業の保険料免除には、この14日という条件はありません。

出産育児一時金と出産手当金は、何が違いますか

別の給付です。出産手当金は労務に服さなかった期間に応じて支給されますが、出産育児一時金は、健康保険法第101条により、被保険者が出産したときに政令で定める金額が支給されます。休業の期間ではなく、出産したという事実に対して支給される給付で、額は法律ではなく政令で決まります。

復帰した後の育児時間は、いつまで請求できますか

子どもが満1歳になるまでです。労働基準法第67条は、生後満1年に達しない子を育てる女性が、休憩時間のほかに1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求できるとしています。*2 使用者は、その育児時間中はその女性を働かせてはなりません。

休業中の体制を相談したいとき

休業する社員が担当していた作業と、代わりに任せたい期間の整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「健康保険法」(大正十一年法律第七十号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070)。出典:健康保険法。第99条第2項(額の算定と端数処理、標準報酬月額が定められている月が12月に満たない場合の特則)、第101条(出産育児一時金)、第102条(出産手当金の期間と第99条第2項・第3項の準用)、第103条(傷病手当金との調整と内払のみなし)、第108条第2項(報酬を受けることができる期間の不支給と差額の支給)、第159条(育児休業等の保険料免除と14日以上の要件)、第159条の3(産前産後休業の保険料免除)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和二十二年法律第四十九号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:労働基準法。第65条(産前の休業請求、産後8週間の就業禁止とただし書、妊娠中の軽易な業務への転換)、第66条(妊産婦が請求した場合の変形労働時間制の適用制限、時間外労働・休日労働・深夜業の禁止)、第67条(育児時間)を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「厚生年金保険法」(昭和二十九年法律第百十五号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115)。出典:厚生年金保険法。第81条の2の2(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例)を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き」(確認日2026年9月28日)(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/sankyu-menjo/20140509-02.html)。出典:日本年金機構。届書の名称、提出者、提出時期(休業中または終了日から起算して1か月以内)、提出方法、添付書類なし、産前産後休業の期間の定義、免除期間(終了日が月の末日の場合は終了月まで)を参照(2026年9月確認)




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