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2026.09.28 採用支援コラム

リモート採用のオンボーディング、入社初日の作業環境の不備を防ぐ




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • リモートで採用した人には、入社初日に自宅の作業環境をチェックリストで一緒に確かめてから作業を始めてもらいます。
  • 初日は本人のログインから始めてもらい、初期パスワードの変更と多要素認証の登録をその場で済ませます。
  • 雇入れ時の安全衛生教育にテレワーク作業の事項を入れ、健康相談と緊急時の連絡先を初日に渡します。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

入社初日になって、貸し出すパソコンがまだ届いていないと分かった。ログインはできたものの、本人がどんな机と椅子で作業しているのかは誰も知らない——。リモートで採用した人の受け入れでは、こうした確認の漏れが起こりがちです。リモート採用のオンボーディングとは、リモートで働く前提で採用した人を受け入れ、仕事を始められる状態にするまでの段取りを指します。

なかでも入社初日は、機器の受け渡しや作業場所の確認など、オフィスなら顔を合わせて済ませていたことを画面越しにまとめて行う日です。確かめる項目を先に決めておけば、初日のうちに作業を始めてもらえます。ただし、項目を決めておくのは万能ではなく、初日の確認だけで仕事に慣れてもらえるわけではありません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、入社前に届けておくもの、初日のログインと認証、自宅の作業環境の確かめ方、安全衛生教育と相談窓口、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

ブラインドの下りた窓際に置かれた木の机と椅子、卓上ライトを写した写真。机には帆船の模型と花瓶がある。人も文字も写っていない

リモート採用の入社初日とは

オフィスで働く人の入社初日には、意識せずに済んでいる確認があります。席に着けば机と椅子があり、照明や空調は会社が整えています。パソコンは情報システムの担当者が手渡し、最初のログインもその場で手伝えます。リモートで働く人の場合は、こうした確認を本人の自宅と画面越しに行うことになります。

入社初日までにすることは、3つに分けると整理しやすくなります。1つ目は、端末、アカウント、労働条件を書いた書面を入社前に届けることです。2つ目は、ログインと認証、自宅の作業環境を初日に本人と一緒に確かめることです。3つ目は、安全衛生の教育を行い、相談や緊急時の連絡先を初日に伝えることです。以下、この順に見ていきます。

リモートで採用した人の入社初日までにすることを3つの列で示した図。入社前に届けるものは、貸し出す端末、端末とは別の手段で伝える初期パスワード、就業の場所を書いた労働条件の書面、作業環境のチェックリスト。初日に一緒に確かめるものは、本人によるログイン、初期パスワードの変更、多要素認証の登録、チェックリストの記入内容、チェックが付かない項目の直し方。初日に伝えるものは、テレワーク作業の事項を含めた安全衛生教育、最低限守るセキュリティ対策、健康相談の窓口、緊急時の連絡先、労災保険の扱い。出典は厚生労働省と総務省のテレワークのガイドライン。

手がかりにするのは、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」と、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」です。前者は労務管理と安全衛生、後者は情報セキュリティについて企業が取り組むことをまとめています。入社した人からの質問を受ける担当者の決め方は「リモート採用のオンボーディングの基本、聞ける相手と時間を決める」で扱っているので、ここでは入社初日に確かめることに絞ります。

入社前に届けておくもの

まず労働条件の書面です。会社は労働契約を結ぶときに、働く場所を書面などで示すことになっています。厚生労働省のガイドラインは、入社直後からテレワークをしてもらう場合は、自宅やサテライトオフィスなど、テレワークを行う場所を入社直後の就業の場所として示す必要があるとしています。*1 書面の書き方は「リモート採用の勤務条件、就業場所に自宅を含める書き方」で扱っています。

次に端末とアカウントです。総務省のガイドラインは、社内のシステムやセキュリティを管理する担当者が行う基本対策として、初回のログインで初期パスワードを変更させる仕組みにするか、推測されにくいパスワードを1人ずつ別に設定することを挙げています。*2

端末は入社日より前に届くように送り、届いたかを前日までに本人に確かめておきます。初期パスワードは、配送中に端末と一緒に失われないよう、同じ箱に入れずメールや電話など別の手段で伝えます。

初日のログインと認証

入社初日の最初の作業は、本人が自分で端末にログインし、社内のシステムやクラウドサービスに接続することです。総務省のガイドラインは、社内システムやクラウドサービスにアクセスするときの利用者認証として、可能な限り多要素認証を強制するよう管理者に求めています。*2 多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに届く確認コードなど別の要素でも本人を確かめる方式です。

登録は、画面を共有しながら情報システムの担当者と一緒に進め、初期パスワードの変更も同じ時間に済ませます。ここで本人に伝えておきたいのが、テレワーク勤務者が行う基本対策としてガイドラインが挙げている3つの点です。

  • パスワードや本人確認用のICカードなどを、無断で貸したりなくしたりしないよう管理する
  • パスワードは第三者に推測されにくいものにする。長く設定できる場合は、複数の単語を組み合わせた長いもの(パスフレーズ)にする
  • 複数のサービスで同じパスワードを使い回さない。第三者に知られた可能性があるときは早急に変更する

ガイドラインは、管理者がテレワーク勤務者に最低限求めるセキュリティ対策を定めて周知することも基本対策にしています。この一覧を初日に渡す資料に入れておけば、ログインの手順と一緒に説明できます。エンジニアの場合は、プログラムのソースコードを保管するサービスや、開発に使うクラウドサービスにも別のアカウントがあることが多いので、どのアカウントをいつ発行するかも入社前に一覧にしておきます。

自宅の作業環境の確かめ方

オフィスの照明や室温などには事務所衛生基準規則などの基準がありますが、厚生労働省のガイドラインは、自宅などでのテレワークにはこうした基準が一般には適用されないとしています。そのうえで、会社は同じ水準の作業環境になるよう助言し、チェックリスト(労働者用)などで自宅の作業環境の報告を求め、必要なら会社と本人で直し方を話し合うか、自宅以外の場所を使うことを検討するよう求めています。*1

ガイドラインは、労働者がテレワークを初めて実施するときは、チェックリストを活用するなどして、安全衛生の措置が適切に行われることを会社と本人で確認したうえで作業を行わせることが重要だとしています。*1 リモートで採用した人には、入社初日がこの「初めて実施するとき」に当たります。労働者用のチェックリストには、4つの区分に11の項目が並んでいます。

自宅の作業環境を確認するチェックリスト(労働者用)の区分と項目
区分 確かめる項目
作業場所やその周辺の状況 作業に十分な空間があるか/机、椅子、ディスプレイ、キーボード、マウスなどを無理のない姿勢で作業できるよう配置しているか/転倒しないよう整理整頓されているか/電気コードの傷みや家具の転倒など、ほかの事故を防ぐ措置を講じているか
作業環境の明るさや温度等 十分な明るさがあるか/窓の開閉や換気設備で空気を入れ換えているか/冷房、暖房、通風などで温湿度を調整できるか/石油ストーブなどを使うときに換気と点検をしているか/作業に支障のある騒音などがないか
休憩等 水分補給や休憩(トイレを含む)ができる環境か
その他 作業環境に大きな変化が生じたときや心身の健康に問題を感じたときに相談する窓口や担当者の連絡先を把握しているか

項目には確認の観点が添えられています。たとえば騒音の項目には「テレビ会議等の音声が聞き取れるか」が、明るさの項目にはまぶしさを防ぐためにディスプレイの設置位置を工夫しているかが挙がっています。*1 画面を見続けることの多いエンジニアには、どれも作業のしやすさに関わります。

進め方としては、チェックリストを入社前に送って本人に記入してもらい、初日の面談で一緒に見る形が取り組みやすいでしょう。チェックが付かない項目があれば、椅子やディスプレイを貸し出すか、サテライトオフィスなど自宅以外の場所で作業してもらうかを、その場で相談します。

安全衛生教育と相談窓口

厚生労働省のガイドラインは、自宅などでテレワークを行う場合も、雇入れ時の教育を定めた労働安全衛生法などに基づく措置を講じる必要があるとし、労働者を雇い入れたときで、雇入れ後にテレワークの実施が予定されているときは、テレワーク作業時の安全衛生に関する事項を含む安全衛生教育を行うことが重要だとしています。*1

事業者用のチェックリストでも、雇入れ時の安全衛生教育は、法令で実施が義務づけられた項目に分類されています。そのうえで、雇入れ時にテレワークを行わせることが想定されている場合に、教育の中にテレワーク作業時の安全衛生や健康確保に関する事項を含めているかを確かめる項目になっています。教育そのものの項目は「雇入れ時の安全衛生教育で必要な8つの項目」で扱っています。

教育を会議ツールや動画で行う場合もあります。チェックリストは、eラーニング(ネットで受ける研修)で行う安全衛生教育について厚生労働省が2021年1月に出した通知に沿った内容にしているかを、確認項目に挙げています。*1

相談と緊急時の連絡先も、初日に渡しておきたいものです。事業者用のチェックリストは、健康相談の窓口や担当者の連絡先を労働者に周知しているか、災害や業務上の緊急事態が起きたときの連絡体制を作って周知しているかを確認項目にしています。労働者用のチェックリストにも、相談の窓口や担当者の連絡先を把握しているかという項目があり、会社と本人の両方から確かめる形になっています。

ガイドラインは労働災害についても触れています。テレワーク中の災害も、業務上の災害として労災保険給付の対象になります。ただし私的行為などが原因のものは業務上の災害とは認められません。この点を十分に理解していない労働者もいるため、使用者が周知することが望ましいとしています。負傷したときの状況をできる限り記録しておくよう伝えることも、あわせて求めています。*1

つまずきやすい点

一つ目は、チェックリストを送っただけで終わらせてしまうことです。ガイドラインが求めているのは、自宅の作業環境の報告を受け、労使で確認したうえで作業を始めてもらうことでした。チェックが付かない項目をどうするかまで、初日のうちに決めておきます。

二つ目は、入社初日の確認を一度きりにしてしまうことです。事業者用のチェックリストは、取り組みが続いているかを定期的(半年に1回程度)に確認し、結果を社内の衛生委員会(職場の健康について話し合う会議)などに報告するよう求めています。*1 総務省のガイドラインも、テレワーク勤務者のセキュリティ対策が適切かを確かめる機会を年1回程度設けることを基本対策にしています。*2 初日に使ったチェックリストは、そのまま次の確認にも使えます。

三つ目は、引っ越しなどで自宅の作業環境が変わったときの連絡の仕方を決めていないことです。労働者用のチェックリストは、作業環境に大きな変化が生じたときに相談する窓口を把握しているかを項目にしています。連絡先を渡すだけでなく、「部屋を移ったら、この担当者に連絡する」と具体的に伝えておきます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

ここまでは、自社の社員として採用する人の話でした。厚生労働省のガイドラインは、労働基準法上の労働者について、テレワークを行う場合にも労働基準関係法令が適用されるとしています。業務委託で開発に加わる外部の専門人材には、自社の雇入れ時の教育や労働条件の明示がそのまま当てはまるわけではありません。委託先に所属している人の作業環境や教育を誰が確かめるかは、委託の契約で定めます。

一方で、自社のシステムに接続するときのルールは、接続する人が社員かどうかで変わるものではありません。多要素認証を使うこと、パスワードを使い回さないこと、アカウントを誰がいつ発行するかは、契約を結ぶ前に委託先と確かめておくと、作業を始める日に迷わずに済みます。業務委託のエンジニアを受け入れる手続きは「業務委託エンジニアの受け入れで決める5つの手続き」にまとめました。

まとめ:入社初日に確かめておきたい3つの点

リモート採用のオンボーディングで入社初日を迎えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、端末とアカウント、就業の場所を書いた労働条件の書面を入社前に届け、初日の最初に本人がログインして初期パスワードの変更と多要素認証の登録を済ませること。第二に、自宅の作業環境をチェックリストで一緒に確かめ、問題があれば機器の貸し出しや自宅以外の場所を相談してから作業を始めてもらうこと。第三に、テレワーク作業の事項を含めた安全衛生教育を行い、健康相談と緊急時の連絡先を渡すことです。この3点を踏まえておけば、「入社して何週間もたってから、自宅の机が作業に向かないと分かった」という事態を避けやすくなります。受け入れの準備に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

入社初日の受け入れを整えても、社員の採用が決まるまでは開発の担当者が見つからないことがあります。その間の開発を、業務委託の専門人材に任せる方法も選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

自宅の作業環境のチェックリストは、どこで手に入りますか

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の末尾に、別紙2「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」として載っています。*1 会社が確かめる項目をまとめた別紙1(事業者用)も同じ資料にあります。

パスワードは定期的に変えてもらったほうがよいですか

総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、パスワードの定期的な変更は原則不要としています。*2 定期変更を強制すると規則性のあるパスワードが増えるためです。ただし、第三者に知られたおそれがあるときや、共有アカウントの利用者が変わったときは、速やかに変更するよう求めています。

サテライトオフィスで働いてもらう場合も、同じ確認が要りますか

サテライトオフィスでは、事業者の確認の仕方が変わります。事業者用のチェックリストは、労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則の衛生基準と同等の作業環境になっていることを確かめたうえで、テレワーク用の作業場を選んでいるかを、法令で義務づけられた項目にしています。*1 自宅のように本人に記入してもらうのではなく、会社が場所を選ぶ段階で確かめます。

チェックリストで問題が見つかった場合、自宅での作業は認められませんか

すぐに認められなくなるわけではありません。事業者用のチェックリストは、問題がある場合には労使が協力して改善に取り組み、改善が難しい場合には適切な作業環境や作業姿勢を確保できる場所で作業できるよう配慮しているかを確認項目にしています。*1 まずは機器の貸し出しや配置の見直しで直せるかを本人と相談します。

リモートで働くエンジニアの採用を相談したいとき

リモートで働く前提のエンジニア採用と、開発を任せる人材の確保についてご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf)。出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」。5(1) 労働基準関係法令の適用、5(3) 労働条件の明示、8(1) 安全衛生関係法令の適用、8(3) 自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備の留意点、8(4) 事業者が実施すべき管理に関する事項、9 テレワークにおける労働災害の補償、別紙1「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】」、別紙2「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】」(いずれもR3.3.25版)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(PDF)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf)。出典:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)。第5章8 アカウント・認証管理(管理者H-2・H-5、勤務者H-1〜H-3、パスワードの定期変更についての解説)、第5章13 教育(管理者M-1・M-3)を参照(2026年9月確認)




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