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DX推進パスポートとは?採用で分かる範囲と評価の仕方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- DX推進パスポートは、ITパスポート試験・G検定・DS検定リテラシーレベルの合格数で1〜3が決まるデジタルバッジです。
- 申請は本人が協議会のサイトから無料で行い、各試験の合格者IDが必要で、発行までは1か月程度かかります。
- 示すのは3領域の基礎知識を学んだ記録で、開発の技術力や公的な合格証明は職務経歴や各試験の書類で確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
DX推進パスポートとは、ITパスポート試験、G検定、DS検定リテラシーレベルの3つの試験のうち、合格した数に応じてデジタルリテラシー協議会が発行するデジタルバッジ(ネット上で確認できる証明)です。1つの合格でDX推進パスポート1、2つで2、3つすべてで3となり、申請は合格した本人が協議会のサイトから無料で行います。
一方で「意味ない」という声が検索されることもあります。採用する側から見ると、このバッジが示すのはIT・データ・AIの基礎知識を学んだ記録で、開発の技術力や公的な合格の証明までは示しません。本記事では、デジタル分野の人材を採用する実務担当者に向けて、制度の仕組み、対象の試験、取り方、採用で分かることと分からないことを順に整理します。
目次
DX推進パスポートとは
発行するデジタルリテラシー協議会は、官民連携の会議体です。参加団体は情報処理推進機構、日本ディープラーニング協会、データサイエンティスト協会の3つで、経済産業省がオブザーバーとして加わっています。*1 協議会は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべきデジタルリテラシーの範囲を、IT・ソフトウェア、数理・データサイエンス、AI・ディープラーニングの3領域と定め、学ぶ範囲として3つの試験を推奨しています。*3 DX推進パスポートは、その3試験すべてに合格することを勧めるために作られた仕組みです。
名称は、合格した試験の数で決まります。3試験のうちいずれか1種類の合格でDX推進パスポート1、いずれか2種類でDX推進パスポート2、3つすべてでDX推進パスポート3が発行されます。*1 数字は合格した試験の数を表しており、1つの試験の中の難易度の級ではありません。DX推進パスポート3は最上位のバッジで、3試験すべての合格者に贈られます。
協議会のページには、合格数に応じた7種類のデジタルバッジとも書かれています。1つだけの合格は3通り、2つの合格は3通り、3つすべての合格は1通りで、合わせると7通りです。名称は3段階でも、バッジそのものは合格した試験の組み合わせごとに分かれています。
証明の形はデジタルバッジだけで、書類の証明書はありません。バッジは世界標準の技術標準規格に沿って発行され、協議会から委託を受けた事業者が運用しています。取得した人はバッジを自分のウォレット(バッジを保管する場所)で管理し、SNSやメールで共有できます。有効期限はありませんが、パスポートには発行年が記載されるため、それを一つの目安にしてほしいと協議会は案内しています。
対象になる3つの試験
対象はITパスポート試験、G検定、DS検定リテラシーレベルの3つだけです。実施する団体も試験の位置づけも異なり、1つの試験の級を並べたものではありません。国家試験と協会の検定を合わせて数える仕組みなので、まず表で違いを確かめておきます。
| 試験 | 実施団体 | 位置づけ | 実施の形 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート試験 | 情報処理推進機構 | 国家試験 | 全国の試験会場で通年 |
| G検定 | 日本ディープラーニング協会 | 協会が実施する検定 | 自宅からオンラインで年6回 |
| DS検定 リテラシーレベル | データサイエンティスト協会 | 協会が実施する検定 | 全国の試験会場で年2回 |
ITパスポート試験は、職業人とこれから職業人となる人が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識を問う国家試験です。試験時間は120分で、四肢択一の100問を、CBT方式(コンピューターで解答する方式)で随時実施しています。*4 G検定はAI・ディープラーニングの活用リテラシーを身につける試験です。DS検定リテラシーレベルは、アシスタント・データサイエンティスト(見習いレベル)と数理・データサイエンス・AIのモデルカリキュラムを総合した内容で、実務能力と知識を持つことを証明する試験と説明されています。*3
対象外の試験もはっきり決まっています。協議会のよくある質問では、基本情報技術者試験やE資格のように、主催団体が実施する他の区分の試験に合格しても発行できないと答えています。*1 応募者が基本情報技術者試験に合格していても、ITパスポート試験に合格していなければ、DX推進パスポートの数には入りません。
合格した時期にも条件があります。ITパスポート試験は、2021年4月以降の試験を受験して合格した人が対象です。この時期の試験は、DXの取組みの進展などに対応して改訂したシラバスVer. 5.0(出題範囲の一覧)を基にしています。G検定とDS検定は、第1回の合格者でも申請できます。*1 2021年3月以前にITパスポート試験に合格した人は、合格していてもその試験の分のバッジを申請できません。
DX推進パスポート3までの取り方
取り方は2段階です。まず3試験のいずれかに合格し、次に協議会のサイトの発行依頼のフォームから、合格した本人が申請します。2つ目、3つ目の試験に合格したときのために、サイトには変更・取消の依頼の窓口も用意されています。DX推進パスポート3を目指すなら、3つの試験すべてに合格することが条件です。
申請に必要なのは、各試験の合格者ID、メールアドレス、氏名、生年月日です。合格者IDは、ITパスポート試験なら合格証書番号、G検定ならアカウント番号、DS検定なら合格者番号を指します。G検定とDS検定では、合格時のメールアドレスも必須です。*1 入力した合格の情報は各試験の事業者に提供され、申請者が試験の合格者であることの確認に使われます。
合格者IDが分からない場合は申請できません。ITパスポート試験は合格証書を見直すか、合格証明書の交付手続きで確かめ、G検定とDS検定はそれぞれの協会の問い合わせ窓口で確かめるよう案内されています。試験に合格してから時間がたっている人は、申請の前にIDを手元にそろえておくと手続きが止まりません。
費用はかからず、アンケートを含めた所要時間は5分程度、申請から発行までは1か月程度と案内されています。*1 申請が認められると、委託先の事業者からオープンバッジ授与を知らせるメールが自動で届き、そのリンクからウォレットへの登録かバッジの受け取りを行います。メールが迷惑メールのフォルダに入ることもあると注意書きがあります。
1つのメールアドレスにつき1つのウォレットが発行される点にも注意が要ります。G検定とDS検定の合格者はそれぞれの検定のバッジをすでに持っているため、登録したメールアドレスが違うと、ウォレットが2つに分かれます。1つにまとめたいときは、過去に取得したバッジの失効と再発行の手続きが必要です。協議会は、長く使うメールアドレスでの登録を勧めています。
バッジで分かること・分からないこと
「DX推進パスポート 意味ない」という検索語で調べる人もいます。採用する側から見ると、意味があるかどうかは、応募者の何を確かめたいかで変わります。バッジが示すものと示さないものを分けておくと、書類選考での扱いを決めやすくなります。
示すのは、IT、データサイエンス、AIの3領域のうち、合格した領域の基礎的な知識を学んだという記録です。協議会は、このパスポートがITやAI、データサイエンスに関する一定のリテラシーを持つことの証明になると説明しています。想定する人物像は「DX推進を行う職場において、チームの一員として作業を担当する人」です。*1 情報処理推進機構の解説でも、システム部門に所属する一部の人だけでなく、現場や事業部門の担当者が対象と書かれています。
協議会が挙げる人物像の例は、社内の業務改善を企画する担当者、DXを進めたい経営陣、ベテランの業務担当者の3つです。1つ目の例では、これまで外注だったシステム化をエンジニアと共に内製化し、効果を目に見える形で示す姿が描かれています。事業部門と開発を担当する人の間に立って要件を整理する役割を募集するなら、歓迎要件に置く意味は十分にあります。
一方で、示さないものもあります。1つ目は、設計やプログラムの作成といった開発の技術力です。3つの試験は基礎的な知識や活用のリテラシーを問うもので、ITパスポート試験の対象者像も、ITに携わる業務に就くか、担当業務にITを活用していこうとする人とされています。*4 2つ目は、公的な合格の証明です。協議会は、各試験の合格を「公的に証明するものではありません」と明記し、第三者から公的な証明を求められたときは、各試験の運営元が発行する合格証書などを示すよう案内しています。*1
3つ目は、取得した後の学びです。有効期限が無いため、発行から年数がたっていれば、その後に何を学んだかはバッジからは分かりません。逆に、DX推進パスポート3を持つ応募者なら、出題の範囲が異なる3つの試験に合格しており、IT・データ・AIの3領域を一通り学んだことは確かめられます。「意味ない」かどうかは、この範囲を募集する役割に求めているかどうかで決まります。
採用で確かめる手順
応募書類にDX推進パスポートがあったときに確かめる点は、4つにまとまります。1つ目は、合格した試験の組み合わせです。「DX推進パスポート2」と文字で書かれているだけでは3通りのどれに当たるか分からないため、バッジの公開ページのリンクを共有してもらうか、面接で試験名を尋ねます。協議会も、紙の上でバッジの画像を使う場合は画像だけでは検証できないとして、公開ページのQRコードを併記するよう勧めています。*1
2つ目は、発行年です。取得から年数がたっていれば、その後に学んだことを面接で尋ねます。3つ目は、要件の種類に応じて求める書類を分けることです。ITパスポート試験の合格を公的に示すのは、経済産業大臣が交付する合格証書か、情報処理推進機構が交付する合格証明書です。*1 必須要件にするならこうした書類の提出を選考の手順に組み込み、歓迎要件ならバッジの確認で十分です。
4つ目は、募集する役割と、制度が想定する人物像の突き合わせです。開発を担当する人の技術力は、職務経歴や技術面接など別の方法で確かめます。求人票に書くときは、「DX推進パスポート2以上」より試験名で書くほうが伝わります。2以上と書くと、どの2つの試験の組み合わせでも条件を満たすからです。募集する役割の決め方は「DX人材の採用、募集の前に決めておくこと」で扱っています。
学ぶ場の側にも、公的な仕組みがあります。講座の認定と個人の資格の違いは「第四次産業革命スキル習得講座と資格の違いを採用で使い分ける」に、実践型の学習プログラムの修了者の見方は「マナビDX Questの修了と採用、面接で確かめる3つの点」にまとめています。バッジと合わせて読むと、応募者がどこで何を学んできたかを整理しやすくなります。
まとめ:DX推進パスポートの取り方と採用での読み方
DX推進パスポートは、ITパスポート試験、G検定、DS検定リテラシーレベルの合格数に応じて1から3までが決まるデジタルバッジです。取得するには対象の試験に合格し、合格者IDをそろえて協議会のサイトから無料で申請します。採用する側では、バッジで合格した試験の組み合わせと発行年を確かめ、公的な証明が要る場面では各試験の合格証書などを求めます。示すのはIT・データ・AIの基礎知識を学んだ記録で、開発の技術力は別の方法で確かめる。この線を引いておけば、「意味ない」かどうかを役割ごとに判断できます。採用要件の決め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
DX推進パスポートは意味がないのですか
何を確かめたいかによります。IT・データサイエンス・AIの基礎知識を学んだ記録としては、合格した試験の組み合わせと発行年までバッジで確かめられます。一方、開発の技術力や公的な合格の証明は示さないため、技術力は職務経歴や面接で、公的な証明は各試験の合格証書などで確かめます。
DX推進パスポート3を取るには何が必要ですか
ITパスポート試験、G検定、DS検定リテラシーレベルの3つすべてに合格し、協議会のサイトから申請します。ITパスポート試験は2021年4月以降の試験の合格が対象です。申請には各試験の合格者IDが必要で、発行までは1か月程度かかると案内されています。*1
G検定やDS検定のバッジとは別のものですか
別のものです。G検定とDS検定の合格者は、それぞれの検定のバッジをすでに持っており、DX推進パスポートはそれとは別に協議会が発行します。公的な証明を求められた場合、協議会は各試験の運営元が発行する合格証書やデジタルバッジなどを示すよう案内しているので、選考で求める証明はこちらになります。
DX人材の採用要件を相談したいとき
募集する役割と、確かめたい資格や経験の整理からご相談いただけます。
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出典
- *1 参考:デジタルリテラシー協議会「DX推進パスポート」(https://www.dilite.jp/passport)。名称の3段階・7種類・対象試験・申請要件・注意事項・よくある質問の一次情報として(2026年10月確認)
- *2 参考:デジタルリテラシー協議会「デジタルリテラシー協議会とは」(https://www.dilite.jp/about)。協議会の構成と設立の趣旨として(2026年10月確認)
- *3 参考:情報処理推進機構「DX推進パスポートとは?」(DX SQUARE)(https://dx.ipa.go.jp/dx-suishin-passport)。3領域と3試験の説明・対象像・企業側の使い道として(2026年10月確認)
- *4 参考:情報処理推進機構「ITパスポート試験」(https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/ip.html)。ITパスポート試験の対象者像・試験時間・出題形式として(2026年10月確認)