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リモート採用の勤務条件で出社頻度を決める手順と書き方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 出社頻度は、オフィスでしかできない作業が月に何回あるかを数えてから、出社する日数と、どの日に来るかの決め方を定めます。
- 会社がテレワーク中の人に急に出社を求め、移動中に自由に時間を使えないなら、その移動時間は労働時間に当たります。
- 国土交通省の調査では、テレワークを続けたい人の7割以上が、週1日以上は出社する形でのテレワークを希望しています。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
求人票に「リモートワーク可」と書いて採用したのに、入社してから「週に3日は出社してほしい」と伝えたら、話が違うと受け止められた。出社の日を決めないまま始めたので、チームの中で来る日がばらばらになり、対面で話したいときに誰もいない——。リモートワークを前提にエンジニアを採る現場では、こうした食い違いが起こりがちです。出社頻度とは、テレワーク(会社のオフィス以外の場所で、情報通信機器を使って働くこと)をする社員に、オフィスへ来てもらう日の数と、その日の決め方のことです。
出社頻度をリモート採用の勤務条件として先に決めて書いておけば、応募する人は自分の暮らしと照らし合わせて判断でき、入社後の食い違いも減らせます。ただし万能ではなく、日数を書いただけでは、何のために来るのか、急に呼ばれたときにどうなるのかは伝わりません。本記事では、エンジニアを採る開発の現場のマネージャーに向けて、候補者が望む出社頻度、出社の日を決める4つの手順、求人票と労働条件通知書への書き方、そして外部の人材に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
リモート採用の出社頻度とは
リモート採用とは、テレワークで働くことを前提に人を採ることです。一口にリモートといっても、オフィスへ来てもらう日の決め方はいくつかに分かれます。まったく来ない働き方もあれば、毎週決まった曜日に来る働き方も、必要なときだけ呼ぶ働き方もあります。どれを選ぶかで、求人票に書く内容も、応募してくる人も変わります。
よく使われる型を並べると、次の4つになります。求人票に「リモート可」とだけ書くと、応募する側からはこの4つのどれなのかが分かりません。
| 型 | 求人票での書き方の例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 出社なし | 原則として在宅勤務。入社手続きと年2回の全体会議の日のみ本社に出社 | 開発も打ち合わせもオンラインで完結し、遠方に住む人も採りたい |
| 曜日を決めて週に何日か | 毎週火曜と木曜は本社に出社、ほかの日は在宅勤務 | チームで対面の打ち合わせを定期的に行う |
| 日数だけ決める | 月に4日程度出社。出社する日はチームで決める | 対面で会う必要がある相手が、同じチームの人だけ |
| 必要なときに呼ぶ | 在宅勤務が中心。機器の設定や顧客との打ち合わせがある日は出社(前週までに連絡) | オフィスでする作業の時期が月ごとに変わる |
どの型でも、日数と一緒に「誰が出社の日を決めるのか」を書いておくことが大切です。会社が曜日を決めるのか、本人やチームが選べるのかで、応募する人が想像する働き方は大きく変わります。
候補者が望む出社頻度
応募する側がどのくらいの頻度でテレワークをしたいと考えているかは、国土交通省の「令和6年度テレワーク人口実態調査」が参考になります。2024年10月に全国の就業者に行ったWEB調査で、有効サンプルは40,000人です。*1 最新の令和7年度の公表資料には頻度の集計が含まれていないため、ここでは令和6年度の結果を使います。
調査は、会社などに雇われて働き、テレワークをしたことがある人を「雇用型テレワーカー」と呼んでいます。この人たちが1週間にテレワークをする平均日数は、令和2年度と令和3年度の週2.4日が最も長く、その後は減っているものの、週2日以上の水準を保っています。報告書はこの結果を「出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが定着傾向」とまとめています。*1
これからもテレワークを続けたいと答えた雇用型テレワーカー5,672人に希望の頻度を聞くと、週2日が最も多く、次いで週1日、週5日以上でした。半数以上がテレワークを週3日以上したいと答え、7割以上が週1日以上は出社する形でのテレワークを希望しています。また、テレワークの頻度を今と同じか増やしたい人が9割以上、増やしたい人が5割以上います。*1
この結果からは、テレワークを望む人でも、週に1日以上オフィスに来ること自体を受け入れている人が多いことが分かります。ただし、今より出社が増える条件は、働き方が悪くなったと受け取られやすくなります。なお、この調査は職種を分けていないので、エンジニアだけの値ではありません。
出社する日に行う作業
出社頻度は、1つ目に出社して行う作業を書き出す、2つ目に出社する日数と日の決め方を定める、3つ目に急な出社の扱いを決める、4つ目に書面に書く、という4つの手順で決めると進めやすくなります。この節で1つ目を、次の節で2つ目と3つ目を、その次の節で4つ目を扱います。
1つ目の手順は、オフィスでしかできない作業を書き出すことです。日数から先に決めると、来てもらっても特にすることがない日ができ、出社の理由を説明できなくなります。エンジニアの仕事なら、社外に持ち出せない実機を使う検証、ホワイトボードを使う設計の打ち合わせ、入社直後の数週間に仕事の進め方を先輩から教わる作業、顧客や他の部署との対面の会議などが候補になります。
書き出したら、その作業が月に何回あるかを数えます。たとえば、実機での検証が月に2回、チームの設計の打ち合わせが毎週1回なら、週1日の出社で足ります。この順で決めれば、求人票に「毎週水曜は設計の打ち合わせのため出社」のように、日数と一緒に理由も書けます。
厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、テレワークガイドライン)は、会社の中でテレワークをできる人に偏りが出る場合について、「テレワークを実施する者の優先順位やテレワークを行う頻度等について、あらかじめ労使で十分に話し合うことが望ましい」としています(労使は、会社と働く人の双方のことです)。*2 新しく採る人の出社頻度を決めるときも、今いる社員の出社頻度と比べて説明できるようにしておくと、社内の納得を得やすくなります。
出社日の決め方と急な呼び出し
2つ目の手順は、出社する日数と、どの日に来るかの決め方を定めることです。曜日を会社が決めれば、チーム全員が同じ日にそろいます。日数だけを決めて本人やチームに選んでもらえば、通院や家族の予定に合わせやすくなります。どちらを選ぶかは、対面で話す相手がチームの中にいるのか、他の部署や顧客なのかで決まります。
フレックスタイム制(始業と終業の時刻を働く人が決める制度)と組み合わせる方法もあります。テレワークガイドラインは、「テレワークを行う日についてはコアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)を設けず、オフィスへの出勤を求める必要がある日・時間についてはコアタイムを設けておく」ような扱いも可能としています。*2 出社の日だけ全員がそろう時間を作れるので、打ち合わせを入れやすくなります。制度の決まりは「フレックスタイム制と通常勤務、残業代の違い」で扱っています。
3つ目の手順は、急な出社の扱いを決めることです。テレワークガイドラインは、午前は自宅で働き、午後からオフィスへ行くような場合の移動時間について、働く人が自由に使える時間は休憩時間として扱うことが考えられるとしています。そのうえで、「使用者が労働者に対し業務に従事するために必要な就業場所間の移動を命じ、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は、労働時間に該当する」としています。例として挙がっているのは、テレワーク中の人に具体的な業務のために急きょ出社を求めた場合です。*2
急な呼び出しが起こりうるなら、誰が、いつまでに連絡するのか、勤務の途中で呼んだときの移動時間をどう扱うのか、交通費をどう支払うのかを先に決めておきます。「前日の17時までに上長がチャットで連絡する」のように決めておけば、呼ばれる側も予定を立てやすくなります。
求人票と労働条件通知書への書き方
4つ目の手順は、決めた内容を書面に書くことです。労働基準法第15条第1項は、使用者(人を雇う会社)が労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を示すよう定めています。*3 示す事項を並べた労働基準法施行規則第5条第1項は、第1号の3で、就業の場所と、その変更の範囲を挙げています。*4 募集の段階では、職業安定法第5条の3第1項と職業安定法施行規則第4条の2第3項第3号が、就業の場所を示すよう求めています。*5*6
法令が挙げる事項の中に「出社頻度」という項目はありません。そこで、就業の場所の欄にオフィスと自宅の両方を書き、出社の日数と日の決め方を備考などに書き添えておくと、書面を読むだけで働き方が分かります。会社全体の決まりは、就業規則(会社の働き方の決まりをまとめた規則)に書きます。テレワークをする場所を就業の場所の欄にどう書くかは、「リモート採用の勤務条件、就業場所に自宅を含める書き方」で詳しく扱っています。
| 書面 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 求人票 | 就業場所:本社(東京都港区)及び自宅。毎週水曜は設計の打ち合わせのため本社に出社 |
| 労働条件通知書 | 就業の場所の欄に本社と自宅を書き、出社の日数、出社日を決める人、急な出社の連絡の方法を書き添える |
| 就業規則(テレワークの定め) | 出社を求める日の決め方、移動時間と交通費の扱い、在宅以外で働ける場所の許可の基準 |
テレワークガイドラインは、労使で協議して作った「テレワークのルールを就業規則に定め、労働者に適切に周知することが望ましい」としています。*2 求人票と労働条件通知書で個々の人に約束する内容と、就業規則に書く会社全体の決まりが食い違わないよう、同じ時期にそろえて見直します。
つまずきやすい点
一つ目は、求人票に「リモート可」とだけ書くことです。先に見た4つの型のどれなのかが分からないので、応募する人は自分に都合のよい方に受け取ります。面接で初めて出社の日数を伝えると、辞退されるか、入社後の不満や早い退職につながります。
二つ目は、出社している人を高く評価してしまうことです。テレワークガイドラインは、テレワークの実施頻度を働く人に任せている場合などに、「オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるもの」であり、適切な人事評価とはいえないとしています。*2 出社の日数を本人に選ばせるなら、評価の項目に出社の日数が入っていないかを確かめておきます。
三つ目は、入社したあとで出社頻度を上げることです。労働契約法第8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と定めています。*7 出社の日数を労働条件として約束したなら、変えるときは本人と話し合って合意を取るのが基本です。就業規則の改定で変える場合の考え方は「労働条件の変更は合意が原則、就業規則で変える場合との違い」で扱っています。
外部の人材に頼むときに確認しておきたい点
ここまでの話は、会社が雇う社員の勤務条件についてのものです。業務委託(雇わずに仕事単位で契約する形)で開発に加わる人については、労働条件通知書ではなく、契約で作業の場所や打ち合わせの日を取り決めます。
どちらの形で人を探すにしても、1つ目の手順で書き出した「オフィスでしかできない作業」の一覧が役に立ちます。出社が必要な作業が少なければ、遠方に住む人にも声をかけられます。出社が必要な作業が多ければ、通える場所に住む人に絞ることになります。この一覧を先に作っておけば、社員として採るのか、業務委託で頼むのかを決めるときの材料にもなります。
まとめ:出社頻度で確かめておきたい3つの点
リモート採用の勤務条件に出社頻度を書くうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、オフィスでしかできない作業を書き出し、それが月に何回あるかから日数を決めること。第二に、出社の日を会社が決めるのか本人やチームが選ぶのか、急に呼ぶときの連絡や移動時間をどう扱うのかを決めること。第三に、決めた内容を求人票、労働条件通知書、就業規則のテレワークの定めにそろえて書くことです。この3点を踏まえておけば、「リモート可と聞いて入社したのに、毎日のように呼ばれる」という事態を避けやすくなります。出社が必要な作業の洗い出しや、条件に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
入社してしばらくの間だけ、出社を多くしてもよいですか
できます。期間と日数を先に示しておくことが前提です。「入社後1か月は週3日、その後は週1日」のように、いつまで何日かを求人票と労働条件通知書に書いておきます。約束した時期に日数を減らさないと、不満の原因になります。
出社する日の交通費は、どう決めればよいですか
出社の回数に応じて実費を払うのか、定額で払うのかを先に決めておきます。出社が週1日程度なら、毎月の定期代ではなく、出社した日の往復の運賃を払う形が考えられます。決めた内容は就業規則などに書き、求人の段階で応募する人に伝えておきます。
在宅の日に、自宅以外の場所で働くことを認めてもよいですか
認めることはできます。テレワークガイドラインは、働く人の都合で場所を柔軟に選べる場合には、使用者の許可基準を示したうえで「使用者が許可する場所」でテレワークができる旨を定めておくことが考えられるとしています。*2 許可の基準には、画面をのぞかれない場所かどうかといった情報の扱いの条件も入れておきます。
出社頻度は、面接で伝えれば求人票に書かなくてもよいですか
求人票に書いておくのがおすすめです。面接まで進んでから日数を伝えると、条件が合わない人に選考の時間を使わせることになります。求人票の段階で日数と日の決め方を示しておけば、条件に合う人だけが応募してくるので、面接で確かめることも減ります。
出社頻度を含む勤務条件を相談したいとき
出社して行う作業の洗い出しから、求人票に書く勤務条件の整理までご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(PDF)(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001879091.pdf)。出典:国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(令和7年3月)。1-(2) 用語の定義、1-(3) 調査の概要(WEB調査、2024年10月15日〜21日、有効サンプル40,000人)、2-6 テレワークの実施頻度、2-9 テレワーク実施希望頻度と現状の実施頻度、2-10 テレワーク実施希望頻度と現状との増減を参照。令和7年度調査結果(令和8年3月)に実施頻度の集計が無いことも確認(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf)。出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」。3(3) テレワークの対象者等、4(1) テレワークにおける人事評価制度、5(2) 就業規則の整備、6(2)イ フレックスタイム制、7(4)イ 勤務時間の一部についてテレワークを行う際の移動時間を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「労働基準法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項を参照。条文はe-Gov法令APIの全文XMLから確認(2026年9月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)。出典:労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条第1項第1号の3を参照。条文はe-Gov法令APIの全文XMLから確認(2026年9月確認)
- *5 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3第1項を参照。条文はe-Gov法令APIの全文XMLから確認(2026年9月確認)
- *6 参考:e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)第4条の2第3項第3号を参照。条文はe-Gov法令APIの全文XMLから確認(2026年9月確認)
- *7 参考:e-Gov法令検索「労働契約法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:労働契約法(平成19年法律第128号)第8条を参照。条文はe-Gov法令APIの全文XMLから確認(2026年9月確認)