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2026.09.02 採用支援コラム

マナビDX Questの修了歴の見方|面接での聞き方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

緑の壁の前で木の机をはさんで椅子が向かい合う、打ち合わせ室を描いた画。人も文字も写っていない

この記事の結論

  • マナビDX Questには、企業課題の教材で学ぶケーススタディ教育と、地域の中小企業と組む地域企業協働の2つの段階があります。
  • 令和7年度の修了者は、ケーススタディ教育が1229名、地域企業協働が366名でした。
  • 採用の面接では、どちらを修了したかと、どの事業者が運営するプログラムだったかを聞いておきます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

応募書類に「マナビDX Quest 修了」と書かれているが、どんな経験なのか見当がつかない。面接で聞こうにも、何を尋ねればよいのかが決まらない——。DX人材の中途採用では、公的な研修の修了歴をどう評価するかで迷いがちです。マナビDX Questとは、経済産業省が実施する、DXを進める人材(デジタル推進人材)を育てるプログラムで、企業データをもとにしたケーススタディ教育プログラムと、地域の中小企業と協働するプログラムの2つからなります。*1

修了歴は、応募者が実際の企業課題を題材に学んだかどうかを知る手がかりになります。ただし万能ではなく、修了は技能の水準を測った結果ではありません。本記事では、エンジニアやDX人材を採用する担当者に向けて、制度の中身、2つのプログラムの違い、令和7年度の実績、そして採用の面接で確かめたい点を整理します。

マナビDX Questとは

経済産業省は、このプログラムを、地域の企業や産業でAX/DXを実現するために、ビジネスの現場の課題を実際に解きながら力をつけるためのものと位置づけています。AX/DXはAIトランスフォーメーションとデジタルトランスフォーメーションの略で、どちらもAIやデジタル技術を使って業務や事業の進め方を変えることをいいます。2026年度の受講生の募集は、2026年6月2日に公表されました。*1

経済産業省の制度紹介のページでは、企業でDXを推進するための変革の考え方やプロセスを学び、同じ関心を持つ幅広いデジタル人材と知り合える場だと説明されています。 対象は学生・社会人等と広く、自社に応募してくる人の中には、学生のときに参加した人も在職中に参加した人もいます。

採用の場面で押さえておきたいのは、マナビDX Questが試験ではなく、期間を決めて取り組むプログラムだという点です。公表されている実績も、参加者と修了者の人数、協働した企業の社数で数えられており、試験の合格者数ではありません。資格試験の側については「DX推進パスポートとは、3試験の合格数で決まる7種類のバッジ」で扱っています。

2つのプログラムの違い

2つのプログラムは、期間も進め方も違います。全体の形を図にまとめると、次のようになります。

経済産業省のマナビDX Questについて採用の観点で整理した図。2026年度受講生の募集が2026年6月2日に公表され、目的は地域企業・産業のAXとDXの実現に向けて課題解決の実践を通じた能力を磨くことであり、対象は学生・社会人等でオンライン提供であること、数えるのは参加者と修了者と協働企業で資格試験の合格者数ではないこと、ケーススタディ教育プログラムは7月下旬開始予定で約3か月・PBLが中心・企業課題のケース教材から選択・今年度は2事業者が提供・応募締切は7月中旬の予定であること、地域企業協働プログラムは秋以降開始予定で約2〜3か月・地域の中小企業の課題にチームで取り組む・今年度は6事業者が提供・ケーススタディ修了を要件とするものがあること、令和7年度の実績はケーススタディ教育が参加者2093名で修了率59パーセント・修了者1229名、地域企業協働が受講生393名で修了率93パーセント・修了者366名、協働企業77社で10団体が10のプログラムを設計・運営したこと、1229を2093で割ると58.7パーセント、366を393で割ると93.1パーセントで公表値と合うこと、ケーススタディ教育の受講料は2万円で満足度は76パーセント、満足度に対して受講料が適切または安いと感じた割合は72パーセントと記されていること、地域企業協働の満足度は受講生87パーセントと協働企業93パーセントで団体別にばらつきがあること、採用ではどちらのプログラムの修了か・どの事業者のプログラムか・修了率59パーセントの意味の3点を押さえることをまとめた図

1つ目のケーススタディ教育プログラムは、約3か月間、PBL(プロジェクト型学習)で課題に取り組みながら学ぶ形が中心です。AIによる需要予測や、データ分析による収益改善など、実際の企業課題をテーマにした複数の教材から選び、ビジネスの課題をつかむところから、それをデジタル技術で解く課題にするところまでを、1つの流れで学びます。参加者どうしが情報を交換し、教え合いながら、与えられた課題を解いていきます。2026年度は7月下旬の開始予定と案内されていました。*1

2つ目の地域企業協働プログラムは、約2か月から3か月間、地域の中小企業が抱える課題にチームで取り組むものです。中小企業の経営者や担当者と一緒に進めながら、ケーススタディ教育プログラムで学んだスキルを使い、現場でAX/DXを進めるときの難しさや注意点を学ぶとされています。2026年度は秋以降の開始予定です。

2つのプログラムは順番につながっています。地域企業協働の中には、ケーススタディ教育プログラムの修了(過年度を含む)を参加の条件にするものがあります。条件はプログラムによって異なります。*1 令和7年度の報告でも、地域企業協働には原則としてケーススタディ教育のPBLを修了した受講生が参加し、チームを組んで取り組んだとされています。前の年度にケーススタディ教育を修了した人が、翌年度に地域企業協働へ進む場合もあるわけです。

そのため、応募書類の「修了」がどちらを指すかで、経験の中身は変わります。ケーススタディ教育だけなら、企業課題を題材にした教材で学んだ経験です。地域企業協働まで修了していれば、実在する中小企業の担当者とチームを組み、その会社の課題に取り組んだ経験が加わります。

誰が実施しているのか

マナビDX Questは経済産業省のプログラムですが、個々のプログラムを運営しているのは国ではありません。ケーススタディ教育プログラムは、令和8年度地域デジタル人材育成・確保推進事業費の補助金の交付が決まった事業者が実施すると注記されており、実施時期なども事業者によって異なります。2026年度は、ケーススタディ教育プログラムを2事業者、地域企業協働プログラムを6事業者が提供します。*1

公式サイトでも、今年度はさまざまなプログラムから希望に沿って選べる形だと案内されています。募集の開始や詳細の公開は事業者ごとに別の日付で告知され、募集期間を延長した事業者もありました。*4 前年度の地域企業協働プログラムも同じで、報告書によると10団体がそれぞれ主体的にプログラムを設計・運営しました。*3

採用の面接では、プログラムの名称だけで判断せず、どの事業者・団体のプログラムに参加したのかを聞いておくと、取り組んだ内容を具体的に尋ねやすくなります。

令和7年度の参加者と修了者

令和7年度の実績は、経済産業省の事業報告書(公開版)にまとめられています。ケーススタディ教育プログラムの参加者は2093名で、修了率は59%、修了者は1229名でした。地域企業協働プログラムは受講生393名、修了率93%、修了者366名で、協働した企業は77社です。*3

令和7年度マナビDX Questの実績(事業報告書 公開版・確認日2026年9月2日)
プログラム 参加者・受講生 修了率 修了者数
ケーススタディ教育プログラム 2,093名 59% 1,229名
地域企業協働プログラム 393名 93% 366名

参加者数と修了者数から計算すると、1229名÷2093名で58.7%、366名÷393名で93.1%となり、公表されている修了率と合います。ケーススタディ教育では、参加者のおよそ4割が修了に至っていません。応募書類に書かれているのが「参加」なのか「修了」なのかは、分けて読む必要があります。

報告書によると、ケーススタディ教育の修了率は、前年度を下回りました。事業者によってプログラムを前半・後半に分けてそれぞれ修了できる設計にしたこと、受講生のうち初学者の割合が高まったこと、修了要件を追加したことなどが影響したと考えられる、とされています。報告書自身が推測として書いている理由であり、確定した原因ではありません。

地域企業協働では、受講生393名と修了者366名の差は27名で、報告書が挙げる最終的な辞退者は26名です。また報告書は、ケーススタディ教育の修了を参加の条件にしている団体では、ケーススタディ教育を修了できなかったために地域企業協働も未修了になった受講生がいたと書いています。修了率は9割を超える団体がほとんどでしたが、8割前後の団体もあり、団体ごとにばらつきがありました。*3

また、報告書は2つのプログラムとも、初学者と経験者の別なく取り組めるプログラムを実現したとしています。修了は、前提となる知識を持っていることの証明ではありません。報告書の数値は全体の集計で、事業者ごとの修了者数の内訳は公開版には示されていません。

受講料と満足度

ケーススタディ教育プログラムは有償で、令和7年度の受講料は2万円でした。報告書は、この受講料がある程度受け入れられたと見る一方で、有償化によって集客に苦戦したことにも触れています。プログラム全体の満足度は76%でした。*3

特徴ごとの満足度では、「一気通貫でのスキル学習」や「協働プログラムへステップアップできる実践的な学習」がやや低く、報告書はこの2点を今後の課題としています。報告書は「満足度に対して『受講料が適切/安い』と感じた割合」を72%と記しており、内訳は「適切」が5割強、「安い」が2割、「高い」が3割弱でした。*3

地域企業協働プログラムの満足度は、受講生が87%で前年度を上回り、協働企業は93%で前年度を下回りました。*3 受講生の満足度が高い団体では、協働ミーティングへの出席によって必要なときにフォローできていた傾向がありました。満足度が低い団体では、受講生どうしや、受講生と企業の間でトラブルが起きていた点が共通していたとされています。

これらは受講した人と参加した企業による評価で、採用の判断に使う目的で作られた数値ではありません。経済産業省のページでは、修了生や参加企業、修了生が所属する企業へのインタビューと、現場研修プログラムの事例集が年度ごとに公開されています。応募者が参加した年度の事例集に目を通しておくと、面接で尋ねる内容を考える材料になります。

採用の面接で確かめたい点

1つ目は、どちらのプログラムを修了したかです。ケーススタディ教育だけか、地域企業協働まで進んだかで、経験の中身が変わります。ケーススタディ教育なら、選んだ教材のテーマと、自分で解いた課題の内容を聞きます。地域企業協働まで進んでいれば、協働した企業の課題と、チームの中で自分が担当した作業を聞くと、実際に何をしたのかがはっきりします。

2つ目は、どの事業者や団体のプログラムかです。設計や実施時期は提供元ごとに違うので、名称が同じでも取り組んだ期間や修了のために求められた課題は人によって異なります。事業者名が分かれば、公式サイトでそのプログラムの案内を確かめてから面接に臨めます。

3つ目は、修了の事実と技能の水準を分けて見ることです。報告書にあるのは全体の参加者数や修了率、満足度で、修了者一人ひとりの技能を測った数値ではありません。応募者個人の修了を確認する方法にも触れていないので、修了したかどうかは本人に示してもらって確かめます。技能は、面接での説明や、これまでの業務経験とあわせて判断します。

講座の認定制度との違いは「第四次産業革命スキル習得講座と資格の違いを採用で使い分ける」で、社内で育てる場合の進め方は「DX人材が育たない原因と育成の進め方」で、採用と育成のどちらを選ぶかの比較は「DX人材は採用か育成か、助成金を含めて比較する」で扱っています。DXを進める役割の人をすぐに採用できない場合は、必要な開発作業を業務委託で先に進めておく方法もあります。

まとめ:修了歴で確かめておきたい3つの点

マナビDX Questの修了を採用で評価するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、ケーススタディ教育と地域企業協働のどちらを修了したかを聞くこと。第二に、どの事業者・団体のプログラムに参加し、どんな課題に取り組んだかを具体的に聞くこと。第三に、修了の事実と技能の水準を分け、技能は面接での説明や業務経験とあわせて判断することです。この3点を踏まえておけば、「公的なプログラムを修了していると聞いて仕事を任せたら、想定していた作業ができなかった」という事態を避けやすくなります。修了歴の評価や採用要件の決め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

マナビDX Questの修了者が応募してくるのを待つだけでは、DXを進める役割の人がすぐに見つからないことがあります。採用が決まるまでの開発を、業務委託の専門人材に任せる方法も選択肢に入れておけます。

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よくある質問

マナビDX Questには、いつ応募できますか

2026年度は、ケーススタディ教育プログラムの応募締切が7月中旬の予定で、定員に達し次第早めに締め切る場合があると案内されていました。地域企業協働プログラムは6月後半以降の募集開始予定でした。*1 募集の時期は事業者ごとに異なるので、公式サイトで各事業者の告知を確かめます。

働きながら参加することはできますか

すべてのプログラムがオンラインで提供され、自身の都合の良い時間で受講できると案内されています。*1 社会人の応募者であれば、在職中に参加していることも考えられるので、面接では当時の業務とどう両立したかを聞くこともできます。

地域企業協働プログラムには、毎年どのくらいの人が参加していますか

令和7年度の受講生は393名でした。報告書によると、受講生層の変化に伴ってケーススタディ教育からの流入が減り、多くの団体が募集に苦戦し、目標数35名に届かない団体もありました。特定の受講生によるトラブルが原因の辞退も多かったとされています。*3

DX人材の採用要件を相談したいとき

修了歴をどう評価するか、どんな経験を求めるかの整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「デジタル推進人材育成プログラム「マナビDX(デラックス)Quest」の 2026年度受講生を募集します」(https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260602002/20260602002.html)。プログラム構成・期間・参加要件・応募時期・実施事業者の一次情報として(2026年9月確認)
  2. *2 参考:経済産業省「「マナビDX Quest」について」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/manabi-dx-quest.html)。制度の位置づけとインタビュー・事例集・報告書の所在として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:経済産業省「令和7年度地域デジタル人材育成・確保推進事業(デジタル人材育成プラットフォーム運営事業)事業報告書(公開版)」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/MDXQuest2025_Report.pdf)。参加者数・修了率・修了者数・満足度・受講料の一次情報として(2026年9月確認)
  4. *4 参考:「マナビDX Quest」公式サイト(https://dxq.manabi-dx.ipa.go.jp/)。2026年度の提供事業者数と募集の告知として(2026年9月確認)




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