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工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 設計開発テストだけ委託34.4%:他の工程は14.6〜28.3%です*2。
- 課題は人材が78.5%:247社のうち194社が挙げました*2。
- 増減への対応は25.5%:稼働の谷と山が課題になっています*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
どの工程を社員に残し、どこを外に出すかを決めた根拠を説明できるでしょうか*2。
IPAのオープンデータを集計すると、業界としての工程別の内製化の分布が出ます*1*2。
ユーザー企業247社では、設計・開発・テストだけ「外部に委託している」が34.4%と突出していました*2。
企画は14.6%、要件定義は20.2%、運用・保守は28.3%です*2。つまりすみ分けは工程で決まっています*2。
内製化の課題も見えます*2。人材の確保や育成が78.5%、開発量の増減への対応が25.5%です*2。
目次
この集計の母数は3つに分かれる
先に母数を確かめます。同じ調査でも、設問によって答えた企業の範囲が違います。
調査の名前と時期が決まっています*1。IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」で、公開は2025年11月25日、最終更新は2026年5月13日と記されています*1。
回答数も示されています*1。2026年2月9日時点で362件の回答を得たとされています*1。
ここで設問の条件を確かめます*3。Q4-1とQ4-2には「Q1-4で1.ユーザー企業を選択した方のみ」という条件が付いています*3。
実際の回答もその形でした*2。企業種別でユーザー企業を選んだのは247社で、Q4-2にはその247社が全員回答しています*2。
一方でQ11-1には条件がありません*3。開発手法の導入状況は全回答者が対象で、母数は362社です*3。
つまり3つの数字を並べるときは注意が必要です*2*3。Q4-1とQ4-2は247社、Q11-1は362社が分母です*2*3。
この記事の数値の作り方も先に書きます*2*3。設問一覧で列の意味を確かめ、調査結果CSVの該当列を数えて件数と割合を出しました*2*3。
IPAが公表した集計値の引用ではありません*2。公開データから筆者が集計した値です*2。
単位を押さえます*2。数えるのは回答した企業の件数と割合です*2。人数でも工数でもありません*2。
まず工程別の分布を見ます*2。
上流ほど内製、下流ほど委託
Q4-1は4つの工程それぞれについて、内製化の状況を1つ選ぶ設問です。
選択肢は5つです*3。ほぼ全てのプロジェクトで内製化、一部プロジェクトで内製化、内製化しておらず外部に委託、開発を実施する必要がない、わからないの5択です*3。
企画から見ます*2。システム企画・要求定義では「ほぼ全て内製」が91件で36.8%です*2。
同じ工程の残りも押さえます*2。「一部で内製」が95件38.5%、「外部に委託」が36件14.6%です*2。
要件定義では内製が下がります*2。「ほぼ全て内製」が66件26.7%、「一部で内製」が105件42.5%、「外部に委託」が50件20.2%です*2。
設計・開発・テストで大きく変わります*2。「ほぼ全て内製」が32件13.0%まで下がります*2。
委託が跳ね上がります*2。同じ工程の「外部に委託」は85件で34.4%です*2。
運用・保守は少し戻ります*2。「ほぼ全て内製」が41件16.6%、「一部で内製」が113件45.7%、「外部に委託」が70件28.3%です*2。
並べると勾配が見えます*2。「ほぼ全て内製」は36.8%、26.7%、13.0%、16.6%と推移します*2。
委託は逆向きです*2。14.6%、20.2%、34.4%、28.3%と推移します*2。
残りの選択肢も母数に入っています*2。「開発を実施する必要がない」と「わからない」を含めて、各工程の合計が247社になります*2。
その2つの実数も見ておきます*2。「わからない」は企画13件、要件定義15件、設計・開発・テスト16件、運用・保守13件で、いずれも5%から7%の範囲です*2。
「開発を実施する必要がない」も同じ水準です*2。企画12件、要件定義11件、設計・開発・テスト15件、運用・保守10件で、4%から6%台にとどまります*2。
次に、設計・開発・テストの34.4%を読み解きます*2。
設計・開発・テストだけ34.4%が委託
4工程のなかでここだけ形が違います。
数字を並べ直します*2。委託の率は企画14.6%、要件定義20.2%、設計・開発・テスト34.4%、運用・保守28.3%です*2。
企画との差が大きいです*2。14.6%と34.4%では2倍以上の開きがあります*2。
「ほぼ全て内製」の側でも突出しています*2。設計・開発・テストの13.0%は、4工程のなかで最も低い値です*2。
ただし「一部で内製」は40.1%あります*2。完全に手放しているわけではなく、一部を自社で持つ形が多数です*2。
3つを足すと87.5%になります*2。13.0、40.1、34.4を加えた値で、残りは実施の必要がないか、わからないという回答です*2。
理由の説明は資料にありません*2。なぜこの工程だけ委託が多いのかは、今回参照した公開データからは読み取れません*2。
それでも読める事実があります*2。手を動かす工程を外に出し、決める工程を内に残す形が業界の多数派です*2。
採用や体制の設計では、この勾配が基準になります*2。自社がこの並びから外れているなら、外れている向きに理由があります*2。
設計・開発・テストを内製に寄せているなら、要員の確保が常に課題になります*2。逆に企画まで委託しているなら、仕様の判断が社外に出ています*2。
コストの比較は別に整理されています。内製化と外注のコスト比較をご覧ください。
次に、内製化の課題の分布を見ます*2。
課題は人材に集中している
Q4-2は内製化に関する課題を複数選択で聞いています。
1番目に多いのは人材です*2。「人材の確保や育成が難しい」が194件で78.5%です*2。
247社のうち194社という水準です*2。4社に3社を超える割合で挙げられています*2。
2番目は技術です*2。「新しい技術への対応が難しい」が114件で46.2%です*2。
3番目は判断そのものです*2。「内製化には利点も欠点もあるため、判断が難しい」が102件で41.3%です*2。
4番目が稼働の話です*2。「開発量の増減への対応が難しい」が63件で25.5%です*2。ここから下が20%台に並びます*2。
設備とコストも挙がっています*2。「開発設備の導入・維持にコストがかかる」が59件23.9%、「外部発注と比較して、コスト意識が低くなる」が41件16.6%です*2。
移行の難しさもあります*2。「外部開発したシステムの内製化への移行が難しい」が47件で19.0%です*2。
残りは小さいです*2。「その他」が10件4.0%、「特になし/内製化していない」が10件4.0%、「わからない」が5件2.0%です*2。
複数選択なので合計は100%になりません*2。1社が複数の課題を挙げています*2。
並びから見えることがあります*2。設備やコストより、人と技術の課題が上位に来ています*2。
次に、25.5%の項目を掘ります*2。
開発量の増減への対応が25.5%
新軸として押さえたいのはこの項目です。稼働の谷と山の話です。
数は63件です*2。247社のうち25.5%が「開発量の増減への対応が難しい」を挙げています*2。
4社に1社という水準です*2。人材の78.5%には及びませんが、設備コストの23.9%より上に来ています*2。
この項目が意味するところは限定されます*2。設問は課題の有無を聞くもので、増減の幅や頻度は聞いていません*2。
人材の項目とは別に立っています*2。人が足りないことと、量の変動に合わせられないことは別の選択肢です*2。
実務では両者がつながります*2。社員の人数は月ごとに変えられないため、量が増えた月に合わせて採ると、減った月に余ります*2。
逆に少ない月に合わせると、増えた月に間に合いません*2。この構造は設問の選択肢がそのまま示しています*2。
他の案件との取り合いも別の設問に出ています*2。レガシー刷新の課題では「他の案件に手一杯で十分な要員を割けない」が最も多く挙げられていました*2。
そちらは全362社を母数にした別の設問です*2。この記事の247社とは母数が違うので、割合を並べて比べることはできません*2。
その集計は別に整理しました。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足をご覧ください。
体制の相場そのものは別の資料で測れます。外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で扱いました。
次に、開発手法の分布を見ます*2。
手法はウォーターフォールとローコードが並ぶ
Q11-1は6つの手法それぞれの導入状況を聞いています。母数は362社です。
選択肢は5つです*3。全社レベルで導入済み、一部の部門・プロジェクトで導入済み、検討中、予定なし、わからないの5択です*3。
導入済みの計を出します*2。全社と一部を足した数で比べます*2。
1番目はウォーターフォールです*2。201件で55.5%です*2。
2番目が意外なところに来ます*2。ノーコードとローコードが198件で54.7%です*2。
この2つはほぼ同じ水準です*2。201件と198件で3件の差です*2。
アジャイルは2種類に分かれています*2。厳密なルールがないものが164件45.3%、厳密なルールがあるものが113件31.2%です*2。
残る2つは少ないです*2。DevOpsが85件23.5%、モデルベース開発が47件13.0%です*2。
全社レベルの内訳も見ておきます*2。ウォーターフォールは134件37.0%が全社導入ですが、ノーコードとローコードは50件13.8%です*2。
アジャイルの全社導入はさらに少ないです*2。厳密なルールがあるものは14件3.9%にとどまります*2。
つまり手法によって広がり方が違います*2。全社で統一されている手法と、一部の部門にとどまる手法が混在しています*2。
「予定なし」の側も見ておくと形がはっきりします*2。モデルベース開発は172件47.5%、DevOpsは143件39.5%、厳密なルールがあるアジャイルは140件38.7%が予定なしと答えています*2。
ウォーターフォールとローコードは逆です*2。予定なしはウォーターフォールが96件26.5%、ノーコードとローコードが62件17.1%にとどまります*2。
「検討中」の数も添えておきます*2。ノーコードとローコードが54件14.9%、DevOpsが51件14.1%、厳密なルールがあるアジャイルが43件11.9%で、ウォーターフォールは11件3.0%です*2。
「わからない」の多さも手法によって違います*2。モデルベース開発が103件28.5%、DevOpsが83件22.9%で、社内で状況が把握されていない手法があることを示しています*2。
ただしQ4-1とのかけ合わせは出していません*2。工程別の内製率と手法の関係は、今回の集計では扱っていません*2。
すみ分けを決める順番
工程別の分布を一覧にします。
| 工程 | ほぼ全て内製 | 一部で内製 | 外部に委託 |
|---|---|---|---|
| システム企画・要求定義 | 91件 36.8% | 95件 38.5% | 36件 14.6% |
| 要件定義 | 66件 26.7% | 105件 42.5% | 50件 20.2% |
| 設計・開発・テスト | 32件 13.0% | 99件 40.1% | 85件 34.4% |
| 運用・保守 | 41件 16.6% | 113件 45.7% | 70件 28.3% |
1段目は現状を出すことです*2。4つの工程それぞれについて、自社がどの状態かを当てはめます*2。
2段目は勾配との比較です*2。企画で委託が多い、あるいは設計・開発・テストを全て内製しているなら、分布から外れています*2。
3段目は増減の見える工程を選ぶことです*2。量が月ごとに動く工程は、社員の人数では合わせられません*2。
4段目は残す工程を決めることです*2。企画と要件定義は内製が多数派なので、そこに社員を寄せる形が業界の並びに沿います*2。
この4段は分布を根拠にした手順です*2。ただし分布は「多数派がそうしている」という事実で、それが適切だという意味ではありません*2。自社の事業の性質によっては、設計・開発・テストを内製に寄せる判断のほうが合う場合もあります*2。
内製化を進める際の落とし穴は別に整理されています。システム内製化の失敗事例と回避策が参考になります。
実務では、量が動く工程を切り出して外に出す形が現実的です。設計・開発・テストの一部を外部の要員に任せれば、社員を企画と要件定義に寄せられます。
期間と工程を限って入れるなら、フリーランスを含む外部要員の使い方が合います。増えた月だけ人を足し、落ち着いたら戻す形が取れます。
この集計から読めないことも押さえます*2。工程ごとの人数や工数の配分、単価や費用、内製化して成果が出たかどうかは含まれていません*2。
それでも使い道はあります*2。工程ごとのすみ分けを、247社の分布という形で社内に示せます*1*2。
まとめ:工程で線を引く
第一に、母数です。IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」は2026年2月9日時点で362件の回答を得ています。ただしQ4-1とQ4-2は「Q1-4でユーザー企業を選択した方のみ」という条件付きの設問で、母数はユーザー企業247社です。Q11-1には条件がなく母数は362社なので、3つの設問の割合を並べて比べることはできません。件数と割合は公開されている調査結果CSVから筆者が集計した値です。第二に、工程別の分布です。「ほぼ全て内製」はシステム企画・要求定義が91件36.8%、要件定義が66件26.7%、設計・開発・テストが32件13.0%、運用・保守が41件16.6%です。第三に、委託の側です。「外部に委託」は企画が36件14.6%、要件定義が50件20.2%、設計・開発・テストが85件34.4%、運用・保守が70件28.3%で、設計・開発・テストだけが突出しています。第四に、その読み方です。手を動かす工程を外に出し、決める工程を内に残す形が多数派です。ただし設計・開発・テストでも「一部で内製」が99件40.1%あり、完全に手放しているわけではありません。第五に、課題の並びです。Q4-2では「人材の確保や育成が難しい」が194件78.5%で、247社のうち4社に3社を超える割合で挙げられました。次が「新しい技術への対応が難しい」の114件46.2%です。第六に、稼働の課題です。「開発量の増減への対応が難しい」は63件25.5%で、設備コストの23.9%より上に来ています。社員の人数は月ごとに変えられないため、量の変動と人数を合わせる問題が残ります。第七に、手法の分布です。導入済みの計はウォーターフォールが201件55.5%、ノーコードとローコードが198件54.7%でほぼ並び、アジャイルは厳密なルールがないものが164件45.3%、あるものが113件31.2%でした。第八に、限界です。工程ごとの人数や工数の配分、単価や費用、内製化の成果、Q4-1とQ11-1のかけ合わせは、今回の集計には含まれていません。
よくある質問
どの工程が外部に委託されていますか。
IPAの2025年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、ユーザー企業247社で「内製化しておらず外部に委託している」と答えた割合は、システム企画・要求定義が14.6%、要件定義が20.2%、設計・開発・テストが34.4%、運用・保守が28.3%でした。設計・開発・テストだけが突出しています(確認日2026年9月3日)。
設計・開発・テストは完全に外部に出すものですか。
そうとは言えません。同じ工程で「一部プロジェクトで内製化に取り組んでいる」が99件40.1%あり、「ほぼ全てのプロジェクトで内製化」も32件13.0%あります。完全に委託しているのは34.4%で、残りは何らかの形で自社に持っています。なぜこの工程だけ委託が多いのかという理由は、今回参照した公開データには書かれていません。
内製化の課題で最も多く挙げられたのは何ですか。
「人材の確保や育成が難しい」で、194件、ユーザー企業247社に対して78.5%です。4社に3社を超える割合で挙げられました。次が「新しい技術への対応が難しい」の114件46.2%、「内製化には利点も欠点もあるため、判断が難しい」の102件41.3%です。設問は複数選択なので合計は100%になりません。
開発量の増減はどれくらいの企業が課題にしていますか。
63件、247社に対して25.5%です。4社に1社という水準で、「開発設備の導入・維持にコストがかかる」の23.9%より上に来ています。ただし設問は課題の有無を聞くもので、増減の幅や頻度は聞いていません。人材の確保とは別の選択肢として立てられています。
この数字を他の設問の割合と比べてよいですか。
設問によって母数が違うため注意が必要です。Q4-1とQ4-2はユーザー企業のみが回答する条件付き設問で母数は247社、開発手法を聞くQ11-1は全回答者が対象で母数は362社です。別の設問であるレガシー刷新の課題も362社が母数なので、247社を分母にした割合とは並べて比較できません。
出典
- *1 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/software2025.html)。公開日・最終更新日・回答362件・オープンデータ公開の方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-result-data-str.csv)。Q1-4・Q4-1・Q4-2・Q11-1の回答を集計した元データとして(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-c-questions.xlsx)。各設問の回答条件・選択肢・回答種別の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成として(2026年9月確認)