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既存業種の案件は94.3%、立て直しで確かめる5つの分布
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 既存業種・業務は94.3%:新規の業種は5.7%でした*2。
- 既存顧客は91.0%:受託開発は89.2%です*2。
- 金融・保険業が37.2%:対象業種のいちばん多い区分です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れている案件に人を足すとき、どんな人を探せばよいでしょうか。
業種の経験まで求めるのか、手を動かせればよいのか。ここが決まらないと調達が止まります。
手がかりは、案件の性質を集計したプロファイルです。
IPAの資料では、既存業種・業務の案件が94.3%でした*1*2。既存顧客は91.0%です*2。
つまり社内に前提知識が残っている側が多い形です*2。ただし図表ごとにNが違うため、順序として読みます*2。
目次
立て直しの前に案件の性質を確かめる
立て直しの調達で止まるのは、要件が広すぎるときです。業種の経験も、技術も、期間も、すべて満たす人を探すことになります。
その要件を削る材料になる資料があります*1。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」で、公開は2022年9月26日、最終更新は2025年8月28日と記されています*1。
規模も示されています*1。これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析したと書かれています*1。
性質を先に書きます*1。この資料には「事業終了に伴い今後の発行予定はございません」と明記されています*1。最新の調査ではありません*1。
構成も確かめられます*4。本編のほかに業種編3編、サマリー版、マンガ解説版、グラフデータが公開されています*4。
沿革も書かれています*4。IPAは2005年からエンタプライズ分野の開発データを収集し、2020年に書籍版の名称を変えて現在の形になったとされています*4。
業種編の対象も示されています*1。プロジェクト数の多い金融・保険業、情報通信業、製造業の3業種について、本編と同一の分析を行ったとされています*1。
該当する節は本編のA3.1です*2。主要なプロファイル以外の、その他のプロダクトプロファイルを示すと位置づけられています*2。
ここに5つの図表があります*2。利用形態、新規か既存かの顧客、新規か既存かの業種と業務、対象業種、対象業務です*2。
いずれも案件の性質を表す項目です*2。規模や工数ではなく、誰のために何を作ったかを聞いています*2。
先に断っておく点があります*2。図表ごとにNが違い、1,182から1,479まで幅があります*2。
だから割合の差は細かく論じません*2。同じプロジェクトの集合ではないためです*2。
数値の扱いを書きます*2*3。件数と比率は本編の図表に示された値をそのまま引き、合計と割合の算出は図表の値から筆者が行いました*2*3。
グラフデータの著作権はIPAが保有しています*3。使用条件に従い、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します*3。
まず新規か既存かを見ます*2。
既存業種・業務が94.3%
本編の図A3-1-3は、対象が新規の業種・業務か既存かを示しています*2。既存が1,116件、新規が68件です*2。
Nは1,184になります*2。既存の割合は94.3%、新規は5.7%でした*2。
本編もそう記しています*2。既存業種・業務が約95%、新規業種・業務は5%強であるとされています*2。
引き取りや立て直しの側から見ると意味が変わります。20件に19件は、社内のどこかにその業種の前提知識があることになります*2。
つまり外から入る人が業種を一から学ぶ必要は、多くの案件では低くなります*2。社内に聞ける相手がいる形です。
ただし残っているかは分かりません*2。前提知識を持つ人が今も社内にいるかを示す集計は、今回参照した資料に記載はありません*2。
集計の元も書かれています*2。新規の業種・業務か否かという項目から集計したとされています*2。
図表の対応も記されています*2。この図は過去のデータ白書2018の図表4-2-8に対応するとされています*2。
5.7%の側も押さえます*2。68件は、その会社にとって初めての業種や業務で作られたことになります*2。
この側では前提が変わります。社内に聞ける相手がいないので、外から入る人にも業種の理解を求めることになります。
資料は良し悪しを書いていません*2。新規の業種だと遅れやすいか、といった関係を示す集計は記載がありません*2。
集計の粒度も押さえます*2。この図は新規か既存かの2択で、どの程度なじみがあるかという段階では聞かれていません*2。
基幹の側でコストを見直す進め方は別に整理されています。基幹システム開発のコスト削減が参考になります。
次に、顧客と形態の側を見ます*2。
既存顧客が91.0%、受託開発が89.2%
本編の図A3-1-2は、顧客が新規か既存かを示しています*2。既存顧客が1,076件、新規顧客が106件です*2。
Nは1,182になります*2。既存顧客の割合は91.0%、新規顧客は9.0%でした*2。
本編もそう記しています*2。既存顧客が9割強、新規顧客は1割弱であるとされています*2。
立て直しの相手が決まっている形です。期日や範囲を相談する先が、初めての相手ではない案件が9割を超えます*2。
利用形態も見ます*2。図A3-1-1では受託開発が1,310件で89.2%でした*2。
Nは1,468です*2。残りは商用パッケージ開発が114件で7.8%、その他が26件で1.8%になります*2。
さらに小さい区分もあります*2。インハウスユースが16件で1.1%、実験研究試作が2件で0.1%です*2。
本編もそう記しています*2。受託開発がほとんどで、約9割を占めるとされています*2。
つまり相手のいる開発が大半です*2。社内向けに作った案件は1.1%にとどまります*2。
ここも読み方を限定します*2。3つの図はNが1,182と1,468で違うため、割合を横に並べて引き算しません*2。
集計の元も項目ごとに示されています*2。開発プロジェクトの形態、新規の顧客か否か、新規の業種・業務か否かという項目名が並んでいます*2。
図表の対応も記されています*2。図A3-1-1は過去のデータ白書2018の図表4-2-5、図A3-1-2は図表4-2-7に対応するとされています*2。
要員が足りない状態で刷新に踏み込んだ場合の集計は別にあります。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。
次に、業種の内訳を見ます*2。
対象業種は金融・保険業が37.2%
本編の表A3-1-4は、対象業種を大分類で示しています*2。第1回答の合計は1,479件です*2。
いちばん多いのは金融・保険業でした*2。550件で37.2%です*2。
次が製造業です*2。202件で13.7%でした*2。
3番目は公務です*2。186件で12.6%になります*2。
4番目が情報通信業です*2。148件で10.0%でした*2。
ここまでで4分の3近くを占めます*2。金融・保険業、製造業、公務、情報通信業の4つで73.4%です*2。
残りも並べておきます*2。卸売・小売業が101件で6.8%、運輸業が86件で5.8%、医療と福祉が47件で3.2%です*2。
続きもあります*2。電気・ガス・熱供給・水道業が46件で3.1%、分類不能の産業が38件で2.6%、サービス業が31件で2.1%でした*2。
残る9業種は合計44件です*2。教育と学習支援業が15件、建設業と不動産業がそれぞれ9件、複合サービス事業が6件などになります*2。
調達の側から見ると意味があります。業種の経験を条件にするなら、金融・保険業の経験がある人を探す確率が高い形です*2。
ただし第1回答だけです*2。複数の業種にまたがる案件がどれだけあるかは、この表からは読めません*2。
業種の分類も押さえておきます*2。表は大分類で並んでおり、AからSまでの記号が付けられています*2。
金融の委託そのものは別に整理されています。金融のシステム委託をご覧ください。
次に、業務の内訳を見ます*2。
対象業務は「その他」が21.1%で最も多い
本編の表A3-1-5は、対象業務を20の区分で示しています*2。第1回答の合計は1,384件です*2。
いちばん多い区分は「その他」でした*2。292件で21.1%です*2。
次が営業・販売です*2。221件で16.0%でした*2。
3番目は管理一般です*2。152件で11.0%になります*2。
4番目が顧客管理です*2。115件で8.3%でした*2。
続きもあります*2。会計・経理が92件で6.6%、生産・物流が76件で5.5%、総務・一般事務が72件で5.2%です*2。
ここで注意が要ります*2。いちばん多い区分が「その他」なので、業務の種類だけで案件の中身を絞り込むことはできません*2。
中身も分かりません*2。その他の292件が何の業務だったかを示す集計は、今回参照した資料に記載はありません*2。
それでも読める点はあります*2。営業・販売と顧客管理を合わせると336件で、業務の中では大きい塊になります*2。
小さい区分も並べておきます*2。外部業者管理が2件で0.1%、商品計画が1件で0.1%、経営・企画が11件で0.8%でした*2。
ほかの区分も残っています*2。技術・制御が49件で3.5%、マスター管理が45件で3.3%、受注・発注・在庫と約定・受渡がそれぞれ52件で3.8%です*2。
情報分析は54件で3.9%でした*2。研究・開発が26件で1.9%、商品管理が25件で1.8%、施設・設備が20件で1.4%、人事・厚生が16件で1.2%、物流管理が11件で0.8%です*2。
図表の対応も記されています*2。表A3-1-4は過去のデータ白書2018の図表4-3-2、表A3-1-5は図表4-3-4に対応するとされています*2。
体制の相場そのものは別の指標で測れます。外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で同じ資料の別の指標を扱っています。
次に、Nの違いを押さえます*2。
図表ごとにNが1,182から1,479まで違う
この節の5つの図表は、答えた案件の数が同じではありません*2。
いちばん少ないのは顧客の図です*2。図A3-1-2のNは1,182でした*2。
業種と業務の図はNが1,184です*2。顧客の図とほぼ同じ数になります*2。
利用形態の図はNが1,468です*2。顧客の図より286件多い形です*2。
対象業種の表はいちばん多く1,479件でした*2。対象業務の表は1,384件です*2。
差は300件近くあります*2。同じ節の中でも、答えた案件の数が項目によって違うことになります*2。
だから割合を横に並べて引き算しません*2。それぞれが別の母集団に対する割合だからです*2。
読み方を限定します*2。この記事では各項目の中での割合までにとどめます*2。
組み合わせも読めません*2。既存顧客かつ新規業種の案件が何件あるか、といったクロス集計は記載がありません*2。
遅延との関係も分かりません*2。業種によって遅れやすいかを示す集計も、今回参照した資料に記載はありません*2。
資料は理由を説明していません*2。なぜ項目によって答えた数が違うのかは書かれていません*2。
時点の限界もあります*1。この資料は2022年の公開で、事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、それより後の傾向は読めません*1。
立て直しの要員を決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 項目 | いちばん多い区分 | 比率 | 件数 | N |
|---|---|---|---|---|
| 新規か既存かの業種・業務 | 既存業種・業務 | 94.3% | 1,116 | 1,184 |
| 新規か既存かの顧客 | 既存顧客 | 91.0% | 1,076 | 1,182 |
| プロダクトの利用形態 | 受託開発 | 89.2% | 1,310 | 1,468 |
| 対象業種(第1回答) | 金融・保険業 | 37.2% | 550 | 1,479 |
| 対象業務(第1回答) | その他 | 21.1% | 292 | 1,384 |
1段目は書き出すことです。自社の案件の業種と業務を、第1回答と同じ粒度で1つずつ書きます*2。
2段目は相手を確かめることです。既存の顧客なのか、初めての相手なのかを分けます*2。
3段目は切り分けることです。業種の知識が要る作業と、要らない作業を一覧にします。
4段目は出す範囲を決めることです。知識が要らない側を、手を動かす作業として外に出します。
この順番だと要件が狭まります。業種の経験を全員に求めるのではなく、必要な人だけに求める形になります。
分布もその方向を支えます*2。既存業種の案件が94.3%なので、社内に前提知識が残っている側が多いためです*2。
逆に5.7%の側では要件が変わります*2。初めての業種なら、外から入る人にも業種の理解を求めることになります*2。
業種の条件を付けるなら、分布も見ておきます*2。金融・保険業が37.2%、製造業が13.7%、公務が12.6%なので、探しやすさは業種で変わります*2。
ただし因果は書けません*2。業種の経験がある人を入れると立て直しが進むか、という関係を示す集計は資料にありません*2。
実務では、判断と作業を分けることになります。仕様や優先度の決めは社員が持ち、切り出した作業を外部の要員に任せる形が取れます。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。立て直しの数か月だけ人を足し、収まったら戻す形にします。
最後に時点を添えておきます*1。2022年公開の資料なので、直近の相場ではなく比較の基準として使う形になります*1。
まとめ:要件を先に狭める
第一に、資料の性質です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は公開が2022年9月26日、最終更新が2025年8月28日となっており、これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析されています。事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、最新の調査ではありません。件数と比率は本編の図表に示された値で、合計と割合の算出は図表の値から筆者が行いました。グラフデータの著作権はIPAが保有しており、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します。第二に、節の位置づけです。本編A3.1節は主要なプロファイル以外のその他のプロダクトプロファイルとされ、利用形態、顧客、業種と業務、対象業種、対象業務の5つの図表が並んでいます。第三に、新規か既存かです。既存業種・業務が1,116件で94.3%、新規業種・業務が68件で5.7%、Nは1,184でした。本編は約95%と5%強と記しています。第四に、顧客と形態です。既存顧客が1,076件で91.0%、新規顧客が106件で9.0%、Nは1,182でした。利用形態は受託開発が1,310件で89.2%、商用パッケージ開発が114件で7.8%、Nは1,468です。第五に、対象業種です。第1回答の合計1,479件のうち、金融・保険業が550件で37.2%、製造業が202件で13.7%、公務が186件で12.6%、情報通信業が148件で10.0%でした。この4つで73.4%になります。第六に、対象業務です。第1回答の合計1,384件のうち、いちばん多い区分はその他で292件の21.1%、次が営業・販売の221件で16.0%でした。いちばん多い区分がその他であるため、業務の種類だけで案件の中身を絞り込むことはできません。第七に、Nの違いです。1,182から1,479まで幅があるため、項目どうしで割合を引き算していません。項目どうしの組み合わせ、業種と遅延の関係、その他292件の中身も今回の内容には含まれていません。
よくある質問
既存の業種の案件はどれくらいありますか。
IPAのソフトウェア開発分析データ集2022の図A3-1-3では、既存業種・業務が1,116件で94.3%でした。新規業種・業務は68件で5.7%、Nは1,184です。本編は約95%と5%強と記しています(確認日2026年9月4日)。
顧客も既存が多いのですか。
図A3-1-2では既存顧客が1,076件で91.0%、新規顧客が106件で9.0%、Nは1,182でした。利用形態は図A3-1-1で受託開発が1,310件の89.2%、Nは1,468です。ただし図ごとにNが違うため、割合を横に並べて引き算はしていません。
どの業種の案件が多いのですか。
表A3-1-4の第1回答では、合計1,479件のうち金融・保険業が550件で37.2%、製造業が202件で13.7%、公務が186件で12.6%、情報通信業が148件で10.0%でした。この4つで73.4%になります。
業務の種類で案件を絞り込めますか。
絞り込めません。表A3-1-5ではいちばん多い区分が「その他」で292件の21.1%です。次が営業・販売の221件で16.0%、管理一般の152件で11.0%でした。その他292件の中身を示す集計は資料に記載がありません。
業種の経験がある人を入れると立て直しは進みますか。
今回参照した資料からは分かりません。業種と遅延の関係や、業種の経験と立て直しの関係を示すクロス集計は記載がありません。読めるのは案件の性質の分布と、業種ごとの件数の多寡だけです。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。公開日・最終更新日・5,546プロジェクト・事業終了に伴う発行予定なしの記述の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。図A3-1-1から表A3-1-5の件数・比率・合計・集計対象データ・A3.1節の位置づけ・IPAの記述として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022グラフデータ」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000103288.zip)。同じ図表の値の確認として。著作権はIPAが保有(Copyright 2022 IPA)(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。業種編3編・サマリー版・グラフデータという構成と、2005年からのデータ収集の沿革の記述として(2026年9月確認)