LASSIC Media らしくメディア

2026.09.18 採用支援コラム

エンジニア採用できない要因とは?工期・品質・予算で確かめる




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 採用の難しさは工期で多く挙がる:「IT人材の新規確保の困難化」は工期44.3%、品質37.0%、予算36.8%です。*1
  • 採用の難しさと離職は別の項目:「人材の社外流出」は別の選択肢で、品質18.5%、予算15.4%、工期17.2%です。*1
  • 前年より増えたのは工期だけ:24年度との差分は工期+2.2ポイント、品質−1.1ポイント、予算−6.5ポイントです。*1

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

募集を出しているのに応募が来ない。あるいは、面談まで進んでも条件が合わずに決まらない——。エンジニア採用ができない状態が続くと、それが案件のどこに表れるのかを言葉にしないまま、日程だけが動いていきます。手がかりになるのが、JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」です。*1 QCD(品質・予算・工期)が予定どおりにならなかった企業に、どの環境変化が影響したかを聞いています。*1 QCDは開発の出来ばえを見る3つの物差しで、それぞれ品質・コスト・納期の頭文字です。

この設問を見ると、エンジニアが採用できない状態が3つのうちどこに出ているかが分かります。ただし万能ではなく、なぜそうなるのかは書かれていませんし、どれだけ採れば収まるのかも載っていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、調査が並べているトレンド、人を採れないことと人が辞めることの違い、なぜ工期だけ増えているのか、どう確かめるのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。

窓際にベンチ席と丸テーブルが並ぶオフィスのラウンジ。椅子は空いたままで人は写っていない

品質・予算・工期が崩れた企業が挙げた環境変化

JUASの「企業IT動向調査2026」は、東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社を対象にした調査です。調査期間は2025年9月5日から10月24日、25年度の回収数は957社で、有効回答率は21.3%です。*1

ここで見る設問は、全社に聞いたものではありません。品質で「不満」、予算で「予定より超過」、工期で「予定より遅延」と答えた企業だけに、どの環境変化が影響したかを聞いています。*1 回答数は品質135社、予算272社、工期174社です。*1

システム開発のQCD悪化に影響を与えているトレンド(環境変化)(複数回答。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」図表7-1-11。回答したのは品質で「不満」、予算で「予定より超過」、工期で「予定より遅延」と答えた企業で、回答数は品質n=135、予算n=272、工期n=174。本資料の図表は一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会が公開しているものであり、この表は示された数値をもとに筆者が作成したもので、資料の図表そのものを複製したものではない)
トレンド(環境変化) 品質 予算 工期
短納期化 12.6% 7.7% 12.6%
要件定義の時間不足 33.3% 29.4% 36.8%
要件定義の難易度上昇 44.4% 40.4% 46.6%
システム影響範囲の拡大 47.4% 43.8% 48.9%
IT人材の新規確保の困難化 37.0% 36.8% 44.3%
人材の社外流出 18.5% 15.4% 17.2%
パートナーの変化 46.7% 33.1% 26.4%
IT技術の難易度向上 28.1% 24.3% 22.4%
ITトレンドの転換の高速化 10.4% 10.7% 8.0%
その他 4.4% 7.0% 3.4%

「IT人材の新規確保の困難化」は、品質37.0%、予算36.8%、工期44.3%です。*1 エンジニア採用ができない状態は、3つのうち工期でいちばん多く挙げられています。

人を採れないことと、人が辞めることの違い

この設問には、人に関する選択肢が2つ並んでいます。「IT人材の新規確保の困難化」と「人材の社外流出」です。*1 人を採れないことと、人が辞めることが、別々に数えられています。

数字は離れています。社外流出は品質18.5%、予算15.4%、工期17.2%で、*1 新規確保の困難化より、どの項目でも低い値です。いま起きているのが採用の問題なのか、定着の問題なのかで、打つ手は変わります。

もう1つ、混同しやすいのが「パートナーの変化」です。品質46.7%、予算33.1%、工期26.4%で、品質では「システム影響範囲の拡大」47.4%に次ぐ2番目の高さです。*1 委託先が変わることと、自社で人を採れないことも、別の選択肢として置かれています。

なぜ工期だけ増えているのか

24年度との差分を見ると、「IT人材の新規確保の困難化」の動きが3つで割れています。品質は1.1ポイント減、予算は6.5ポイント減、一方で工期だけが2.2ポイント増えています。*1

同じ設問の24年度との差分(ポイント。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」図表7-1-12。この図には品質n=176、予算n=330、工期n=202と別の回答数が添えられている。上の表と同じく、示された数値をもとに筆者が作成したもの)
トレンド(環境変化) 品質 予算 工期
短納期化 −3.3 −6.5 −5.2
要件定義の時間不足 +2.0 +0.6 +1.2
要件定義の難易度上昇 −2.8 −9.0 −4.4
システム影響範囲の拡大 +2.5 −2.3 +4.3
IT人材の新規確保の困難化 −1.1 −6.5 +2.2
人材の社外流出 −2.0 +2.4 +5.3
パートナーの変化 +13.7 +6.4 −5.8
IT技術の難易度向上 −3.2 −4.5 −3.8
ITトレンドの転換の高速化 −4.4 −2.9 −2.4
その他 +0.4 +1.2 +0.9

なぜ工期だけ増えたのかは、今回参照した資料に記載はありません。資料が示しているのは、QCDのどれで挙げられたかという割合と、その前年度からの増減までです。

ただ、差分の並びから読めることはあります。品質で大きく増えたのは「パートナーの変化」13.7ポイントで、*1 工期で増えた項目のうち大きいのは「人材の社外流出」5.3ポイント、「システム影響範囲の拡大」4.3ポイント、そして「IT人材の新規確保の困難化」2.2ポイントです。*1 ここは資料が述べていることではなく、表から読める並びです。

どう確かめるのか

確かめ方は、崩れたものを1つ選ぶところから始まります。この調査は品質・予算・工期のどれかが崩れた企業だけに聞いています。*1 自社でも、いま崩れているのがどれなのかを先に決めてください。

エンジニア採用ができないことが開発のどこに表れるかを確かめる順番を、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は品質・予算・工期のどれが崩れたかを選ぶこと、2つ目は人を採れないのか、人が辞めるのかを選ぶこと(新規確保の困難化と社外流出は別の項目)、3つ目は工期から手を打つこと(工期44.3%が最も高く、品質37.0%、予算36.8%。前年より増えたのは工期)、4つ目は作業と期間を書いて外部の要員に任せたうえで、日程の引き直しは社内に残すこと。割合はJUAS「企業IT動向調査2026」図表7-1-11の25年度の値による。

次に、人の問題が採用の側なのか定着の側なのかを選びます。調査が「IT人材の新規確保の困難化」と「人材の社外流出」を分けている以上、*1 ここを分けないと、募集を増やすのか、いまいる人の処遇を見直すのかが決まりません。

そのうえで、崩れている日程から逆算して作業を書き出します。「受注機能の結合テストを来月末まで」「データ移行の設計を2か月」——ここまで書ければ、エンジニア採用で埋めるのか、外部の要員に任せるのかを比べられます。

つまずきやすい難所

一つめは、採用できない企業の割合として読んでしまうことです。これは採用できないと答えた企業の割合ではありません。答えているのは品質・予算・工期のいずれかが崩れた企業だけで、*1 回答数も品質135社、予算272社、工期174社と項目ごとに違います。*1

二つめは、複数回答であることを忘れることです。1社が複数のトレンドを選べるので、割合を足しても100%にはなりませんし、順位は重なりの上に出ています。

三つめは、差分の図の回答数を同じものとして扱うことです。図表7-1-12には品質176、予算330、工期202と、割合の図とは別の回答数が添えられています。*1 この違いの理由を資料は説明していません。

外注時に確認しておきたい点

エンジニア採用で埋まるまで待てない日程があるなら、任せる作業と期間を書き出してから声をかけてください。「受注機能の結合テストを来月末まで」といった粒度で構いません。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、作業と期間がはっきりしているほど合わせやすい調達の仕方になります。

採用できない状態そのものを外部に委託して解消しようとするのは避けてください。この調査が数えているのは、崩れた案件でどの環境変化が挙がったかまでで、*1 採用を代行すれば何が変わるかは扱っていません。

日程を引き直す判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、どこまで落としてよいかを決める人がいなくなります。正社員のエンジニア採用と外部の要員のどちらを選ぶかも、この判断が社内にあるかで変わります。

同じ調査で、予定どおりにならなかった要因そのものは開発遅延と開発要員|社員のスキル不足が46.5%で扱っています。

職種ごとに採用と育成のどちらが難しいかはエンジニア採用の採用要件を絞る手順と育成の課題49.9%にまとめました。

社内に人を残すという話は内製化支援 自走を目指す前の3つの人材不足で整理しています。

リリース前の日程が縮まない理由はリリース前の開発要員|IPAは非活動期間を工期から引くにあります。

まとめ:エンジニア採用で押さえる3つの視点

エンジニア採用ができない状態は、まずどこに出ているかを決めると手が打てます。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、「IT人材の新規確保の困難化」を挙げた割合は工期44.3%、品質37.0%、予算36.8%で、工期がいちばん高いこと。*1 第二に、調査は「人材の社外流出」を別の選択肢として置いており、人を採れないことと人が辞めることが分けて数えられていること。*1 第三に、24年度との差分では工期だけが2.2ポイント増え、品質は1.1ポイント、予算は6.5ポイント減っていることです。*1 この3点を踏まえておけば、「募集を出しているのに応募が来ないまま、日程だけが動いていく」という事態を避けやすくなります。崩れているものを1つ選び、採用の側か定着の側かを決めるところまでは社内でできます。その先、日程に間に合う人が社内にいなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

どこが崩れているかが決まったあとは、担い手を探す段階です。受注機能の結合テストを来月末まで、データ移行の設計を2か月——このくらいまで書けていれば、求める経験の条件も決まります。日程に間に合わせたいのか、品質を戻したいのかで、声をかける相手が変わるためです。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材ニーズの発生から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で稼働まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

採用できないことは開発のどこに出ますか

JUAS「企業IT動向調査2026」では、「IT人材の新規確保の困難化」を挙げた割合が工期44.3%、品質37.0%、予算36.8%です。*1 3つのうち工期がいちばん高くなっています。確認日は2026年9月18日です。

人を採れないことと人が辞めることは同じ設問ですか

同じ設問のなかの別の選択肢です。「IT人材の新規確保の困難化」と「人材の社外流出」が分けて置かれており、社外流出は品質18.5%、予算15.4%、工期17.2%です。*1 確認日は2026年9月18日です。

この割合は全社の集計ですか

違います。品質で「不満」、予算で「予定より超過」、工期で「予定より遅延」と答えた企業だけの集計で、回答数は品質135社、予算272社、工期174社です。*1 確認日は2026年9月18日です。

なぜ工期だけ前年より増えたのですか

今回参照した資料に記載はありません。資料が示しているのは割合と前年度からの増減までで、理由は扱っていないためです。確認日は2026年9月18日です。

何人採れば収まると書かれていますか

今回参照した資料に記載はありません。この調査はどの環境変化が影響したかを聞いたもので、必要な人数は扱っていないためです。確認日は2026年9月18日です。

崩れているものが決まったら相談

「受注機能の結合テストを来月末まで」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ採用の側か定着の側か決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、日程に間に合わせる要員も、品質を戻すために手を入れる要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。アンケート調査は2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社、25年度の回収数957社・有効回答率21.3%。図表7-1-11(システム開発のQCD悪化に影響を与えているトレンド)および図表7-1-12(その24年度との差分)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに表と図を筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(調査報告書の一覧)(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)




View