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フリーランス活用で新規事業を始める手順、目的を先に決める
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 新規事業を目的に挙げた企業は13.5%:企業の情報システム部門が集まってつくっている団体の調査で、2025年度に956社が答えた結果です。*1
- 最も多い目的は既存事業のコスト削減:36.1%で、新規事業の13.5%の2.5倍以上あります。*1
- 効果を狙った企業のうち21.7%で効果が出ている:「効果を狙っていない」企業を除いて計算し直した割合です。*1
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
新規事業を立ち上げるとき、その領域の経験が社内にあるとは限りません。そこでフリーランス活用を考えるわけですが、「何をしてもらうか」を書き出す前に、その新規事業が何を狙っているのかを言葉にしておく必要があります。
手がかりになる調査があります。JUAS(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会。企業の情報システム部門が集まってつくっている団体)の「企業IT動向調査報告書2026」です。*1 この調査は、企業がDX(デジタル技術を使って事業のやり方を変える取り組み)を何のために進めているのかを、7つの目的に分けて聞いています。*1
その結果を見ると、新規事業を狙っている企業がどれくらいいるのかがわかります。本記事は、開発の現場を回しているマネージャに向けたものです。前半で調査結果を見て、後半で新規事業にフリーランス活用を組み込むときの決め方、つまずきやすい点、外部に頼むときの確認事項を整理します。
目次
JUASが956社に聞いたDX推進の目的
JUASの「企業IT動向調査報告書2026」は、企業の情報システム部門を対象にした調査をまとめた資料です。*1 そのなかに、DX推進の目的を聞いた設問があります。*1 2025年度は956社、2024年度は975社が答えています。*1
| DX推進の目的 | 2025年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 既存事業のコスト削減(業務の自動化など) | 36.1% | 42.1% |
| 既存事業の収益力向上(売上拡大など) | 20.3% | 17.1% |
| 新規事業や新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築 | 13.5% | 11.3% |
| 顧客サービス価値向上 | 12.2% | 8.6% |
| 企業の風土改革、慣習の見直し | 11.5% | 14.7% |
| 既存事業におけるサービスの企画、開発 | 4.1% | 3.4% |
| 従業員満足度向上 | 2.3% | 2.9% |
7つの項目の割合を合計すると、2025年度は100.0%になります。ポイントという言い方も出てくるので先に断っておくと、ポイントは割合どうしの差のことです。11.3%と13.5%の差なら2.2ポイントと書きます。
最も多いのは「既存事業のコスト削減(業務の自動化など)」で36.1%。*1 次が「既存事業の収益力向上(売上拡大など)」20.3%、3番目が「新規事業や新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築」13.5%です。*1
新規事業は少数派だが伸びている
つまり、新規事業を目的に挙げている企業は、2025年度で13.5%。*1 7つの目的のうち3番目で、最も多いコスト削減36.1%の4割ほどにとどまります。
ただし、伸びています。2024年度の11.3%から2.2ポイント増えました。*1 逆に、コスト削減は42.1%から36.1%へ6.0ポイント減っています。*1
資料も、DXに取り組む企業の目的が業務効率化やコスト削減といった「守りのDX」から、新規事業や新しい収益源の創出を目指す「攻めのDX」へと推移しつつあることが読み取れる、と述べています。*1
ただし、この13.5%は「DX推進の目的」を聞いた設問での割合です。*1 新規事業に取り組んでいる企業がこれだけしかない、という意味ではありません。設問がいくつまで選ばせる形だったのかは、今回参照した範囲では確かめられませんでした。
目的によって効果の出方も違う
資料は、目的ごとに効果の出方も比べています。*1 ここからの割合は、上の表に載せた「目的として挙げた企業の割合」とは別のものです。目的ごとに、効果がどう出たかを見た割合です。*1 資料は「効果を狙っていない」と答えた企業を除いて割合を計算し直したうえで、「期待以上の効果が得られている」と「期待どおりの効果が得られている」の合計を年度で比べています。*1
2024年度から2025年度にかけて、この効果の割合を比べると、「既存事業におけるサービスの企画、開発」が22.9%から31.9%へ9.0ポイント、「顧客サービス価値向上」が26.7%から33.0%へ6.3ポイント、「新規事業や新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築」が17.1%から21.7%へ4.6ポイント増えています。*1
一方、効果の割合を同じ2年度で比べると、「既存事業のコスト削減(業務の自動化など)」だけは43.7%から42.7%へ1.0ポイント減りました。*1 資料は、この項目は各企業が先行して取り組んできたため、効果レベルが一定の水準に達して変化が小さくなっていると考えられる、と述べています。*1 ここでいう効果レベルとは、期待以上か期待どおりかといった、効果の出方の段階のことです。
ここで押さえておきたいのは、この21.7%が何に対する割合かです。資料は「効果を狙っていない」と答えた企業を除いて計算し直したと書いています。*1 その除いたあとの分母が具体的に何社なのかは、今回参照した範囲では確かめられませんでした。「効果を狙った企業のなかで5社に1社ほど」という読み方にとどめておきます。
フリーランス活用を組み込むときの決め方
ここからは、新規事業にフリーランス活用を組み込むときの決め方です。調査がこの手順を示しているわけではなく、目的の分け方からこの記事で組み立てたものです。
1つめは、その新規事業が7つの目的のどれに当たるかを決めることです。新規事業と呼んでいても、中身が既存事業の収益力向上なら、社内に経験のある人がいる可能性があります。本当に新しい事業領域への進出なのかを、先に確かめます。
2つめは、フリーランス活用で埋めるのが「経験」なのか「手」なのかを決めることです。社内に経験がないから外から入れるのか、経験はあるが人数が足りないから外から入れるのか。どちらかで、探す相手も契約の期間も変わります。
3つめは、効果をどう見るかを先に決めることです。資料は「期待以上」「期待どおり」という言葉で効果を聞いています。*1 何をもって期待どおりとするのかを書いておかないと、終わったあとに評価できません。
つまずきやすい難所
一つめのつまずきは、新規事業だからという理由で範囲を決めずに頼むことです。何が新しいのかがはっきりしていないまま人を入れると、作業の切り出しもできません。
二つめは、この調査の割合を自社の判断材料にしすぎることです。2025年度に答えたのは956社です。*1 そのなかに自社と同じ業種、同じ規模の企業がどれだけ含まれているかは、今回参照した資料からは分かりません。
三つめは、効果が出るまでの見通しを立てずに始めることです。効果を狙った企業のなかで、期待どおり以上の効果を得られたのは21.7%にとどまります。*1 ただし、なぜ残りが至らなかったのかについて、今回参照した資料に説明はありません。
外注時に確認しておきたい点
フリーランス活用を新規事業で始めるときは、作業と期間を先に書いてください。「新規事業の立ち上げを手伝ってほしい」では範囲が決まりません。「顧客が申し込む画面を作る仕事を3か月間」まで書ければ、外部の要員(自社の社員ではなく、作業を委託して働いてもらう人。個人のフリーランスのほか、開発を請け負う会社に所属している人も含みます)にそのまま頼めます。
新規事業は、途中で中身が変わることがあります。そのときに何をどう決め直すのかも、先に取り決めておいてください。作業を追加するのか、期間を延ばすのか、いったん止めるのか。この3つのうちどれを選ぶかは、始める前に取り決めておけます。
正社員を採用するのか、フリーランス活用で進めるのかは、その事業を続けるかどうかが決まっているかで分かれます。続けると決まっているなら、経験を社内に残す採用が合います。まだ試している段階なら、作業と期間を決めて外部に頼むほうが動かしやすくなります。
外部に頼む範囲そのものの決め方は外部人材活用と内製化の進め方|自社で高めたい機能は3つで扱っています。
工数をどこまで数えるかは外部人材活用のトラブル|社内工数と外部委託工数の違いにまとめました。
入ってもらう人のスキルの確かめ方は外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価するで整理しています。
契約が終わったあとの引き継ぎは業務委託の契約終了時、アクセス権と成果物の扱いにあります。
まとめ:外に頼む前に決める3つのこと
新規事業でフリーランス活用を考えるときに、決めておきたいことは3つです。第一に、その事業が7つの目的のどれに当たるか。*1 新規事業を目的に挙げた企業は2025年度で13.5%、最も多いのは既存事業のコスト削減36.1%でした。*1 第二に、外から入れるのが経験なのか手なのか。社内に経験がないのか、人数が足りないだけなのかで、探す相手も契約の期間も変わります。第三に、何をもって期待どおりとするのかを先に書いておくこと。資料は「期待以上」「期待どおり」という言葉で効果を聞いており、*1 効果を狙った企業のなかでそこに至ったのは21.7%でした。*1 なお、この3つの決め方は資料が示したものではなく、目的の分け方からこの記事で組み立てたものです。
よくある質問
DX推進の目的として新規事業を挙げた企業はどれくらいですか
JUAS「企業IT動向調査報告書2026」では、「新規事業や新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築」を挙げた企業は2025年度で13.5%です。*1 回答したのは956社です。*1 確認日は2026年9月19日です。
最も多い目的は何ですか
「既存事業のコスト削減(業務の自動化など)」で36.1%です。*1 2024年度の42.1%から6.0ポイント減っています。*1 確認日は2026年9月19日です。
新規事業を狙った企業で効果は出ていますか
「効果を狙っていない」企業を除いて計算し直した割合で、「期待以上」と「期待どおり」の合計が21.7%です。*1 2024年度の17.1%から4.6ポイント増えています。*1 確認日は2026年9月19日です。
この調査はフリーランス活用について書いていますか
書いていません。この調査が聞いているのは、企業がDXを何のために進めているかと、その効果の出方までです。*1 確認日は2026年9月19日です。
新規事業で外に頼む範囲はどう決めますか
作業と期間で書くのが出発点です。「顧客が申し込む画面を作る仕事を3か月間」まで書ければ、そのまま頼めます。この決め方は資料に書かれているものではなく、この記事で整理したものです。確認日は2026年9月19日です。
作業と期間が決まったら相談
「顧客が申し込む画面を作る仕事を3か月間」という形で書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ事業の中身を詰めている段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、事業を続けると決めてから迎える要員も、試している段階で作業を決めて頼む要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。
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出典
- *1 参考:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書2026」。図表3-1-6「DX推進の目的」の2025年度(956社)と2024年度(975社)の割合、および3.1節本文の効果レベルに関する記述の一次情報として。この記事の表と図は示された数値をもとに作成したもので、資料の図そのものは写していない(2026年9月確認)
- *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」の案内ページ(https://juas.or.jp/library/research_rpt/)。調査が毎年実施され報告書として公開されていることの確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行団体の確認として(2026年9月確認)