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2026.09.19 採用支援コラム

SESの契約期間と日雇派遣の禁止|30日以内の例外

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

卓上カレンダーの一部の期間に色の付いた印があり、横に契約書とペンが置かれている

この記事の結論

  • 日雇派遣の禁止で30日という基準が当てはまるのは、派遣元がその人を雇う期間で、SESの契約期間ではありません。
  • 頼む仕事が施行令の挙げる19種類の業務のどれかに当たれば、それだけで日雇派遣の禁止から外れます。
  • システムの設計と保守、プログラムの設計・作成・保守は、施行令の第1号に挙がっています。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

短い期間だけ手伝ってもらいたいので、SESの契約期間をできるだけ短く区切りたい。けれど、30日以内の契約は認められないと聞いたことがある——。エンジニアを社外から受け入れる現場では、契約期間をめぐってこうした迷いが起こりがちです。ここでいうSES(エンジニアに自社の作業をしてもらう契約)の契約期間とは、自社とエンジニアを送り出す会社とが結ぶ契約の中で、作業をしてもらう期間として決めるものです。

SESを労働者派遣として受け入れる場合、期間にふれる条文が労働者派遣法にあります。日雇労働者についての労働者派遣の禁止です。ただし、この条文の30日という基準が当てはまるのは、自社と相手の会社が結ぶ契約の期間ではありません。本記事では、エンジニアを受け入れる発注側の担当者に向けて、日雇派遣の禁止の中身、契約期間との違い、例外になる業務と人、そして契約書で確かめておきたい点を整理します。

日雇派遣の禁止とは

労働者派遣法第35条の4第1項は、派遣元事業主が「その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行つてはならない」と定めています。派遣元とは、エンジニアを雇って送り出す側の会社のことです。その日雇労働者は、同じ項の中で「日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する労働者」と説明されています。*1

日雇労働者の労働者派遣の禁止と例外を示した図。原則は禁止。例外は2系統あり、業務の側は政令で定める19の号、人の側は派遣元が雇用管理上必要な措置を講じていることに加えて60歳以上か学生か収入500万円以上のいずれかに当たること。

ここでいう30日以内は、派遣元とその人とのあいだの雇用の期間です。派遣元が期間を決めずに雇っている人も、31日以上の期間を定めて雇っている人も、この条文の日雇労働者には当たりません。

なお、SESという名前の契約は、労働者派遣法にも、その下で細かな決まりを定めている施行令・施行規則にも出てきません。ここから先は、SESを労働者派遣として受け入れている場合の話です。受け入れ方が労働者派遣に当たるかどうかの判断と、派遣可能期間の制限は、本記事では扱いません。

契約期間との違い

契約期間そのものは、別の条文で扱われています。労働者派遣法第26条第1項は、労働者派遣契約を結ぶ当事者(自社と派遣元)が定める事項を、第1号から第10号まで並べています。その第4号が「労働者派遣の期間及び派遣就業をする日」です。*1 自社と派遣元は、期間を契約で決めておく必要があります。

一方で、何日以上、何日までという長さの定めは、第26条にも第35条の4にもありません。契約期間を短く区切れるかどうかを左右するのは、契約書に書く日数ではなく、相手の会社がその人をどう雇っているかのほうです。

そのため、発注する側が確かめるべきなのは、自社の契約書の日付よりも、相手の会社がその人をどう雇っているかです。派遣元がその人を期間を決めずに雇っているのか、何日の期間を定めて雇っているのかを、相手の会社に尋ねておきます。

例外はどう切り分けるのか

第35条の4第1項には、禁止から除かれる場合が2つ書かれています。2つは「又は」で結ばれているので、どちらか一方に当たれば禁止から外れます。1つめは仕事の中身による例外、2つめは人の側の事情による例外です。

1つめは、政令(労働者派遣法施行令。以下、施行令)で定める業務について労働者派遣をする場合です。条文はその業務を「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務」と説明しています。*1

2つめは、「雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合」です。*1 条文の末尾は「その他の場合」となっているので、雇用の機会の確保が難しい人だけに限った例外ではありません。

確かめる順序は、仕事の中身が先です。頼む仕事が1つめに当たれば、相手の会社がその人をどう雇っているかを確かめるまでもなく、禁止から外れるからです。当たらないときに初めて、雇用の期間と人の側の事情を見ていきます。

例外になる業務とは

1つめの業務は、施行令の第4条第1項に、第1号から第19号まで並んでいます。先頭の第1号がITの仕事で、「電子計算機を使用することにより機能するシステムの設計若しくは保守(これらに先行し、後続し、その他これらに関連して行う分析を含む。)又はプログラムの設計、作成若しくは保守の業務」と書かれています。*2

システムについては設計と保守、プログラムについては設計・作成・保守という書き分けです。システムを作ること自体を指す語は、第1号には出てきません。頼む仕事を契約書にどの言葉で書くかによって、第1号に当たるかどうかの判断が変わります。システム・プログラム・事務用機器の語が出てくる号は、第1号のほかにもあります。

施行令第4条第1項のうち、システム・プログラム・事務用機器のいずれかの語が出てくる号と、それらを除くと書いている第13号(選び方と要約はこの記事による。2026年9月19日確認)
号 条文が挙げる業務
第1号 システムの設計・保守、プログラムの設計・作成・保守、これらに関連して行う分析
第3号 電子計算機、タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器の操作
第13号 科学に関する研究、新製品や新たな製造方法の開発(第1号と第2号の業務を除く)
第17号 事務用機器の操作方法、システムの使用方法、プログラムの使用方法を習得させる教授・指導
第18号 顧客の要求に応じて設計するプログラムや機械等について、顧客に行う説明・相談や売買契約の勧誘

第13号は括弧書きで第1号と第2号の業務を除いています。第2号は、機械、装置若しくは器具又はそれらで構成される設備の設計又は製図の業務です。*2 どちらの号に当たっても禁止から外れる点は同じですが、後の節で見るように、契約書に書く号番号は変わります。

人の側の例外とは

頼む仕事が19の号のどれにも当たらないときは、施行令第4条第2項を見ます。ここでも第1号から第3号という番号が出てきますが、前の節で見た第1項の19の号とは別のものです。条件は前半と後半の2段になっていて、両方がそろって初めて例外になります。

前半は、派遣元が、その人の雇用を管理するうえで必要な措置を講じていることです。後半は、次の3つのいずれかに当たることです。第1号が60歳以上の者である場合、第2号が学校教育法の学校の学生又は生徒である場合、第3号が収入の額が厚生労働省令で定める額以上である場合です。*2

第2号の学生又は生徒からは、除かれる人がいます。施行令は、定時制の課程に在学する者その他厚生労働省令で定める者を除いています。その省令で定める者として、労働者派遣法施行規則(以下、施行規則)の第28条の2が3つを挙げています。卒業前から就職先(雇用保険法の適用事業)に雇用されていて、卒業後も引き続きそこで働くことになっている人。休学中の人。そして、この2つに準ずる人です。*3

第3号の収入の額は、施行規則第28条の3第2項が500万円と決めています。*3 比べる金額の数え方は、人によって2通りあります。配偶者などの収入で生計を立てている人は、本人の1年分の賃金その他の収入に、生計を一にする配偶者等の1年分の賃金その他の収入を合算した額で比べます。そうでない人は、本人の1年分の賃金その他の収入の額だけで比べます。

契約書で確かめておきたい点

頼む仕事が19の号に当たるかどうかは、契約書からも手がかりを得られます。施行規則第21条第2項は、労働者派遣契約に定める業務の内容に施行令第4条第1項の号の業務が含まれるとき、その業務が当たる号の番号を付けるものとしています。*3 ここでいう業務の内容は、法第26条第1項第1号の「派遣労働者が従事する業務の内容」のことです。*1

ただし、日雇労働者の派遣が行われないことが明らかな場合は、番号を付けなくてもよいとされています。*3 そのため、号番号が付いていれば、頼む仕事が19の号のどれかに当たると相手の会社が判断していると考えられます。付いていない理由としては、19の号のどれにも当たらない、日雇労働者の派遣が行われないと判断した、書き漏らした、の3つが考えられます。どれなのかは契約書だけでは決まらないので、相手の会社に尋ねて確かめておきます。

契約期間を短く区切って更新を重ねるなら、契約が終わるときに決めておくことも、あらかじめ確かめておきたいところです。システムへのアクセス権の扱いや成果物の知的財産の帰属は「SES契約終了で決める6項目|アクセス権と知財の帰属」で扱っています。

まとめ:SESの契約期間で確かめておきたい3つの点

SESの契約期間を短く区切るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、労働者派遣法の30日という基準が当てはまるのは派遣元がその人を雇う期間で、自社との契約期間の長さを決めた条文はないこと。第二に、頼む仕事が施行令第4条第1項の19の号のどれかに当たれば、それだけで禁止から外れること。第三に、当たらないときは、相手の会社がその人を30日以内の期間で雇っていないか、雇っているなら、派遣元の措置と、60歳以上・学生又は生徒・収入500万円以上のいずれかの両方がそろうかを確かめることです。この3点を踏まえておけば、「契約期間の日数だけを見て、相手の会社の雇い方を確かめていなかった」という事態を避けやすくなります。頼む仕事がどの号に当たるかの見立てに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

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よくある質問

SESの契約期間を30日以内にすると違法になりますか

日雇派遣の禁止の条文からは、そうはなりません。禁じられているのは、日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者を派遣することで、自社との契約期間の日数ではありません。*1 ほかの規制も含めた判断が要るときは、個別に確かめてください。

学生のエンジニアに来てもらう場合も例外になりますか

学生又は生徒であることに加えて、派遣元が雇用管理上必要な措置を講じていることが要ります。また、定時制の課程に在学する者や休学中の者、卒業後も引き続き雇用されることになっている者などは、学生又は生徒から除かれています。*3

収入の500万円は、誰の収入で比べますか

配偶者等の収入により生計を維持する人なら、本人と、生計を一にする配偶者等の収入を合算した額で比べます。そうでない人は、本人だけの収入で比べます。いずれも1年分の賃金その他の収入で、基準の500万円は変わりません。*3

契約期間の区切り方から相談したいときは

頼む仕事が政令の号に当たるかの見立てからご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律。第35条の4第1項の日雇労働者についての労働者派遣の禁止と日雇労働者の定義、除かれる2つの場合、第26条第1項の第1号と第4号を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361CO0000000095)。出典:同法施行令。第4条第1項の第1号から第19号までの業務、第1号のシステム及びプログラムの記載、第13号の括弧書き、第4条第2項の措置と3つの号を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020)。出典:同法施行規則。第28条の2の学生又は生徒から除かれる3つの者、第28条の3の収入の額の算定方法と500万円、第21条第2項の号番号を付する定めと但し書きを参照(2026年9月確認)




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