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外部エンジニアのスキル確認、面談の質問と過去の成果物の見方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 業務委託の面談では、任せる作業に近い案件を1つ選び、本人が担当した工程と自分で決めたことを聞きます。
- IT関連のフリーランスが最も役立ったスキルを身につけた場所は、会社での経験45.6%、自学自習34.3%でした。
- 前の取引先のコードや設計書は求めず、本人が権利を持つ成果物や短い実技で説明を補います。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
スキルシートには「Java経験5年」とあるのに、面談で聞くと自分で担当した範囲がはっきりしない。資格の欄は埋まっているが、任せたい作業を一人で進められるのかが分からない——。外部エンジニアに業務委託で開発に加わってもらう前の面談では、こうした迷いが起こりがちです。面談でのスキル確認とは、任せる予定の作業を相手が引き受けられるかどうかを、スキルシートの記載と本人の説明、見せてもらえる成果物で照らし合わせることを指します。
聞くことを先に決めておけば、限られた時間の面談でも確かめられることは少なくありません。ただし万能ではなく、面談で分かるのは本人が話せる範囲と、見せてもらえる材料の範囲までです。本記事では、外部エンジニアを受け入れる開発現場のマネージャに向けて、フリーランスのエンジニアがスキルを身につけた場所、スキルシートと資格欄の読み方、面談で聞く5つのこと、過去の成果物と実技の見方、そして外部に委託するときに確認しておきたい点を整理します。
目次
業務委託の面談とは
業務委託で外部エンジニアに加わってもらう前の面談は、社員を採る面接とは目的が違います。確かめたいのは、任せる予定の作業を技術の面で引き受けられるかどうかと、作業の範囲や進め方の認識がそろっているかどうかです。聞くことは、作業に関わる技術と経験に絞ります。
そのため、面談の前に任せる作業を書き出しておきます。「既存の受注管理システムのAPI改修を3か月」「テスト自動化の仕組みづくりを週3日の稼働で」といった粒度で、使う言語やフレームワーク、どこまでを一人で進めてほしいかまで書けていると、面談で聞くことが自然に決まります。
スキル確認の材料は3つあります。スキルシートの記載、面談での本人の説明、そして過去の成果物や短い実技です。どれか1つで判断せず、スキルシートに書かれた経験を本人の説明で具体的にし、説明だけでは分からない部分を成果物や実技で補う、という順で組み合わせます。
スキルを身につけた場所
面談で何を中心に聞くかを考える手がかりになるのが、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「『独立自営業者』の就業実態」です。2017年12月に、その年に自営業やフリーランスとして収入を得ていた人を対象にウェブ調査を行い、8,256人から回答を得ています。*1 このうち主な仕事がIT関連の人は705人です。IT関連には、プログラミングやシステムの設計・開発のほか、ウェブサイトの作成や更新、テクニカルサポートなども含まれます。*1
スキルを身につけた場所(複数回答)を見ると、IT関連では「会社(以前の会社を含め)での経験、研修及び勉強会」が50.8%、「関連書籍等を使って自学自習」が42.6%でした。*1 最も役立ったスキルを身につけた場所を1つだけ選んでもらうと、会社での経験が45.6%、自学自習が34.3%で、この2つで8割近くを占めます。*1
同じ「最も役立った場所」で比べると、会社での経験と自学自習は、どちらも6つの仕事の中でIT関連が最も高い値です。反対に、高校・専門学校・大学などの教育機関は3.3%で、6つの仕事の中で最も低くなっています。*1 IT関連のフリーランスは、勤め先での実務と、自分で学んだことからスキルを得ている人が多いということです。
面談で聞く中心も、この2つになります。前の会社や現場でどんな作業を担当したのか。自分で学んだ技術については、学んで何を作ったのか。この2点を聞くと、スキルシートに並んだ技術名の裏にある中身が見えてきます。
スキルシートと資格欄の読み方
スキルシートを読むときは、フリーランスになる前の職歴も合わせて見ます。同じ調査で、IT関連を専業とする人のうち、フリーランスになる前に正社員や非正社員として雇われていた人は92.4%でした。*1 前職と今の仕事の内容が「全く同じだった」「同じ部分が多かった」人は66.6%です。*1
会社員時代の経験は、今の仕事と地続きであることが多いわけです。任せる作業に近い経験が、フリーランスになってからの案件には無くても、会社員時代の案件にあることがあります。職歴全体から任せる作業に最も近い案件を1つか2つ選び、面談ではその案件を掘り下げます。
選んだ案件については、スキルシートの記載と本人の説明が合っているかを見ます。期間、チームの人数、本人の役割、担当した工程、使った技術とそのバージョンを本人の言葉で説明してもらい、スキルシートと食い違う点があれば、その場で聞き直します。
資格の欄は、知識の範囲を知る目安として読みます。同じ調査で「役立っている資格がある」と答えた人は、IT関連では24.7%で、回答者全体の35.4%を下回りました。*1 6つの仕事の中では、デザイン・映像製作関連の16.7%に次いで低い値です。
| 主な仕事 | 回答者数 | 資格がある |
|---|---|---|
| 専門業務関連 | 3,266人 | 43.9% |
| 生活関連サービス、理容・美容 | 741人 | 38.6% |
| 事務関連 | 1,560人 | 33.1% |
| 現場作業関連 | 1,253人 | 31.1% |
| IT関連 | 705人 | 24.7% |
| デザイン・映像製作関連 | 731人 | 16.7% |
| 全体 | 8,256人 | 35.4% |
資格があることは学んだ範囲を示しますが、任せる作業を進められるかどうかは、経験の説明で確かめます。資格の欄が空いていても、会社での実務や自学で十分な経験を積んだ人はいます。
面談で聞く5つのこと
面談の時間は限られています。任せる作業に近い案件を1つ決めたら、次の5つを順に聞いていくと、スキルシートだけでは分からない部分を確かめやすくなります。
| 聞くこと | 質問の例 | 答えで見る点 |
|---|---|---|
| 担当した工程 | その案件で、あなたが自分で担当した工程はどこからどこまでですか | 設計・実装・テストなど、本人の手で進めた範囲を具体的に言えるか |
| 技術の判断 | 使う技術や作りを決めるとき、あなたが決めたことは何ですか | 選んだ理由と、ほかの案と比べた点を説明できるか |
| つまずいた場面 | うまくいかなかったことと、そのとき何をしましたか | 原因の切り分け方と、誰に何を相談したかを順を追って話せるか |
| 自分で学んだ技術 | スキルシートにあるこの技術は、どう学び、何を作りましたか | 学んだ技術で動くものを作った経験があるか |
| 引き受けられる範囲 | 今回の作業のうち、すぐに進められる部分と、確認が要る部分はどこですか | 自分の経験と作業との差を本人が把握しているか |
答えを聞くときは主語に気をつけます。「チームで対応しました」という答えが続くときは、「そのとき、あなたが担当したのはどの部分ですか」と聞き直します。担当した工程と技術の判断が本人の言葉で語れるかどうかが、スキルシートの年数よりも確かな手がかりになります。
5つ目の問いは、スキルの確認であると同時に、作業の範囲のすり合わせでもあります。本人が「この部分は経験が浅い」と言えるなら、参画後にどこを見ておけばよいかも分かります。どの問いにも「できます」とだけ返ってくる場合は、2つ目と3つ目の問いに戻り、具体的な場面を聞きます。
過去の成果物と実技の見方
説明だけでは分からない部分は、過去の成果物で補いたくなります。ただし、前の取引先のために書いたコードや設計書を面談で見せてもらうのは避けます。業務委託で作った成果物は、その取引先の秘密情報に当たることがあるためです。
経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」は、他社の秘密情報を意図せず侵害しやすい場面の一つに、取引の中での秘密情報の授受を挙げています。*2 そこでは、受託者や請負人から秘密情報が開示される場面は、委託者から開示される場面に比べて、その情報の適切な管理の必要性に気づきにくい可能性があるとしています。*2 面談で外部エンジニアから前の取引先の資料を見せられる場面は、これに近いものです。
ハンドブックはまた、他社から営業秘密の開示を受けたとき、それが不正な開示だと知らなくても、知らないことに重大な過失があると評価されれば、損害賠償請求や差止請求の対象となり得るとしています。*2 面談の案内に「前の取引先の資料はお持ちいただかなくて構いません」と書いておけば、受け取る側も見せる側も迷わずに済みます。
代わりに見るのは、本人が権利を持っている成果物です。公開しているリポジトリや個人で作ったアプリ、書いた技術記事があれば、画面を共有してもらい、どこを自分で書いたか、なぜその作りにしたかを説明してもらいます。そうした成果物を持たない人も多いので、無いことだけで判断はしません。
成果物が無いときは、短い実技で確かめる方法があります。任せる作業に近い小さな課題を用意する、社外に見せてもよいコードを一緒に読んで改善点を挙げてもらう、といったやり方です。業務委託の場合は、課題にかかる時間や報酬の扱い、作ったものをどう扱うかを先に決めて伝えておきます。課題の作り方は「コーディングテスト導入の進め方と評価基準」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、技術名と年数で判断してしまうことです。「Java経験5年」は、設計から担当した5年なのか、決まった仕様で実装した5年なのかで中身が違います。年数は、担当した工程と組み合わせて読みます。
二つ目は、資格の有無や数で判断してしまうことです。資格は学んだ範囲を示しますが、任せる作業の経験とは別のものです。IT関連では役立っている資格があると答えた人が4人に1人ほどだったことを思い出すと、資格の欄だけで候補を絞るのは早すぎます。
三つ目は、面談で確かめきれなかったことをそのままにすることです。面談の記録に「確かめられた点」と「参画後に確かめる点」を分けて残し、最初の作業の中で見る点を決めておきます。参画後の見方は「業務委託エンジニアの参画後の評価、成果物と作業で確かめる手順」にまとめました。
外部に委託するときに確認しておきたい点
面談の前に、任せる作業、期間、一人で進めてほしい範囲を書いておきます。これが無いと、面談は経歴を聞くだけの場になり、スキル確認の基準が面談する人ごとに変わってしまいます。
面談には、任せる作業の中身を分かっている開発の担当者が入ります。技術の答えの良しあしを判断できる人がいないと、5つの問いへの答えを読み取れません。人事や購買の担当者が同席する場合も、技術の質問は開発の担当者が受け持つと決めておきます。
仲介する会社を通して外部エンジニアを探すときは、任せる作業の書き出しを先に渡しておくと、スキルシートの段階で合う人に絞り込んでもらいやすくなります。面談で聞く5つのことも共有しておけば、本人も準備をしたうえで面談に臨めます。
スキルを記録する軸は「外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価する」で、スキルシートの技術名を作業に置き換える読み方は「外部エンジニアのスキル確認、スキルシートは技術名より作業で読む」で整理しています。
まとめ:面談のスキル確認で押さえたい3つの点
外部エンジニアのスキル確認を面談で進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、任せる作業に最も近い案件を職歴全体から選び、本人が担当した工程と自分で決めたことを聞くこと。第二に、資格の欄は知識の目安にとどめ、会社での経験と、自分で学んで作ったものを本人の説明で確かめること。第三に、前の取引先のコードや設計書は求めず、本人が権利を持つ成果物や短い実技で説明を補うことです。この3点を踏まえておけば、「スキルシートどおりの経験があると思って任せたら、設計の経験は無かった」という事態を避けやすくなります。面談で何を聞くかの整理や、任せる作業に合う人探しに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
面談は何回行えばよいですか
決まった回数はありません。1回の面談で確かめきれなかった点は、無理に面談を重ねるより、参画後の最初の作業で確かめる点として残しておく方が進めやすくなります。技術の確認と作業条件のすり合わせを別の回に分けると、それぞれに時間を取れます。
オンラインの面談でもスキル確認はできますか
できます。画面共有を使えば、本人の公開リポジトリを一緒に見ながら説明を聞けます。自社のコードを見てもらう場合は画面共有にとどめ、ファイルは渡さないようにしておくと、面談のあとに扱いで迷いません。
スキルシートの内容と本人の説明が食い違うときはどうしますか
まずその場で聞き直します。期間や役割の食い違いは、スキルシートを作った会社の書き方の違いから生じていることもあります。食い違いが任せる作業の中心にかかる部分なら、短い実技で確かめると判断しやすくなります。
調査の数字は今の外部エンジニアにも当てはまりますか
2017年の調査で、IT関連には開発のほかウェブサイトの更新やテクニカルサポートも含まれます。*1 割合は傾向を知る目安として読み、面談では一人ひとりの経験を個別に確かめます。
面談で確かめたい作業が決まったら相談
任せる作業と期間、一人で進めてほしい範囲が書けていれば、そのままご相談いただけます。面談で何を聞くかの整理からでも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も、任せる作業に合わせて探せます。
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出典
- *1 参考:労働政策研究・研修機構「『独立自営業者』の就業実態」(JILPT調査シリーズ第187号)(PDF)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2019/documents/187.pdf)。出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構(2019年3月)。調査期間は2017年12月15日から12月26日、2017年に自営業、フリーランス、個人事業主、クラウドワーカーとして収入を得ていた人が対象で、回答は8,256人(うちIT関連705人)。図表1-1-1(主な仕事における仕事内容)、図表3-3-1(スキルを身につけた場所)、図表3-3-3(最も役立ったスキルを身につけた場所。IT関連は577人)、図表3-3-5(役立っている資格の有無)、図表3-補-1(独立自営業者になる前の雇用形態。IT関連の専業392人)、図表3-補-3(仕事の関連性。IT関連の専業362人)を参照。この記事の表と図は資料の数値をもとに作成した(2026年9月確認)
- *2 参考:労働政策研究・研修機構「『独立自営業者』の就業実態」(調査シリーズ第187号・紹介ページ)(https://www.jil.go.jp/institute/research/2019/187.html)。報告書の発行元と概要の確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」(PDF)(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf)。出典:経済産業省(平成28年2月、最終改訂 令和6年2月)。第5章 5-2「他社の秘密情報の意図しない侵害の防止」の冒頭(4つの場面、重大な過失と不正競争防止法第2条第1項第5号等)と、5-2(3)「取引の中での秘密情報の授受」を参照(2026年9月確認)