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2026.09.29 採用支援コラム

内製化支援の選定と支援期間、公的な伴走支援の区切り方に学ぶ




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 内製化支援の支援期間は、支援が終わった時点で社員が何をできていればよいかを先に書き、そこから逆算して決めます。
  • 中小機構のハンズオン支援では、構想づくりは4か月程度、導入と人材の育成まで含めると数か月〜10か月程度と、目的で期間を分けています。
  • 選定では期間の長さより、社員が手を動かす割合と、途中で見直す場があるかを比べます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

内製化支援を頼む会社を選ぼうとしても、提案ごとに支援期間がばらばらで比べにくい。半年で足りるのか、1年は要るのか、根拠を持って決めきれない——。開発を自社の社員で担えるようにしたい企業では、こうした迷いがよく聞かれます。ここでいう内製化支援の支援期間とは、外部の支援者が社員に付き添う期間のことで、いつ始めるかだけでなく、いつ手を離すかまでを含みます。

期間の決め方に決まった基準はありません。ただ、公的な伴走支援には、専門家を一定の期間だけ派遣し、終わった後も企業が自分で続けられる状態を目指す制度があり、期間の区切り方が公開されています。本記事では、中小企業基盤整備機構(中小機構)のハンズオン支援の資料を手がかりに、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、期間の区切り方、教える支援と代わりに進める支援の違い、選定で確かめる点、終わり方と延長の決め方を整理します。

コンクリートの壁の前に組まれた工事用の足場を写したモノクロ写真。左に斜めの階段があり、横に渡した鉄の管と手すりの影が壁に映っている。人も文字も写っていない

内製化支援の支援期間とは

支援期間というと契約の開始日から終了日までを思い浮かべがちですが、実際にはその前後にも時間がかかります。中小機構が中小企業庁の検討会に出した資料は、ハンズオン支援の流れを、支援が始まる前の事前調査(2〜3か月)、専門家を派遣している期間(10〜12か月)、派遣後のフォローアップの3つに分けて示していました(2021年10月時点)。*3 準備と後始末を含めて考えると、社内で見込むべき期間は契約書の期間より長くなります。

現在の案内では、ハンズオン支援の期間は「数カ月~10カ月程度(20回程度)」とされています。*1 10か月で20回なら、月に2回ほど専門家が来る計算です。毎日そばにいる形ではなく、回数を決めて訪れ、そのあいだは社内のチームが自分で進めるという組み立てになっています。

内製化支援の支援期間を3つに分けて考える図。左から、支援が始まる前の事前調査(中小機構の資料では2〜3か月)、支援の本体(ハンズオン支援のIT企画・導入支援では数か月〜10か月程度・20回程度)、終わった後のフォローアップの順に箱が並ぶ。下の帯には、目的によって期間の幅が変わる例として、情報化の構想を固める支援が4か月程度・8回程度、特定の課題に絞る支援が5か月以内・10回以内と書かれている。中小企業基盤整備機構のハンズオン支援の案内と、中小企業庁「伴走支援の在り方検討会」の資料7をもとに作成。

民間の内製化支援は、期間も中身も会社ごとに違います。比べるための物差しは自社で用意するしかありません。公的な制度の区切り方は、その物差しを作るときの出発点として使えます。

目的で変わる支援期間の幅

ハンズオン支援のうちIT向けのメニューは2つに分かれています。1つは「IT企画・導入支援」で、IT活用やIT導入への具体的な助言と、企業内のIT人材の育成を支えるものです。期間は数か月〜10か月程度(20回程度)です。もう1つは「情報化構想策定」で、自社に合ったIT活用の構想や計画を固めるために短期間だけ派遣するもので、期間は4か月程度(8回程度)とされています。*2

このほか、特定の課題に絞って短期・集中で派遣するメニューもあり、こちらは5か月以内、10回以内です。*2 同じ制度の中でも、何を目的にするかで期間と回数がはっきり分けられていることが分かります。

IT企画・導入支援の支援テーマの例は、企画・計画、設計・開発、運用・保守の3つのフェーズに分けて並んでいます。運用・保守のフェーズには、利用者への教育、活用の定着のフォロー、導入効果の検証が入っています。*2 作って終わりではなく、社内で使い続けられるところまでを長い方の期間に含めているわけです。

内製化支援に当てはめると、構想や体制の案を固めたいだけなのか、開発を一緒に進めながら社員を育てたいのかで、見込む期間は大きく変わります。まず目的を1つに絞り、それに合う長さを当てるほうが、提案を比べやすくなります。

教える支援と代わりに進める支援

中小機構の資料は、支援の型を2つに分けて比べています。1つは「プロセス型」で、企業にやり方を教えながら、企業が問題解決の力を身に着けるのを支える型です。企業は主体的に動き、自分でPDCAを回せるようになる一方、デメリットとして「企業の力が養われるまでに時間がかかる」と書かれています。*3

もう1つは「リソース型」で、支援者が企業に解決策を示す型です。即効性があり、すぐ取り組めるのがメリットですが、デメリットは「コンサルタントが離れると、企業は独自に問題解決や戦略立案に取り組みにくい」ことだとしています。*3 ハンズオン支援そのものは前者の立場で、案内の留意事項には、契約交渉や実務処理などの実務代行はできないと明記されています。*1

内製化支援の提案にも、この2つが混ざっています。支援者が設計やコードを書く割合が大きいほど、目の前の開発は早く進みますが、支援が終わったときに社員の手元に残るものは少なくなります。反対に、社員が手を動かして支援者が見る形にすると、同じ成果を出すにも時間がかかります。支援期間を比べるときは、長さと一緒に、その期間のうちどれだけを社員が担うのかを聞いておくと、提案の違いが見えやすくなります。

期間を決める前の事前調査

ハンズオン支援では、派遣を始める前に何度も事前の訪問を重ね、経営者の本気度や受け入れの態勢を確かめたうえで、経営課題の整理、優先度の確認、支援テーマのすり合わせを行うとしています。*3 そのうえで、支援のテーマ・目標・内容をまとめた「支援計画書」を作り、専門家の候補者を交えた面談で合意してから支援に入ります。*1

内製化支援を頼むときも、見積もりを取る前に、何を支援してもらい、終わったときに何が社内に残っていればよいかを文書にしておくと、期間の議論がしやすくなります。支援してもらう範囲をどう書くかは、内製化支援の選定、支援範囲を5つの段階で決めるで扱っています。

もう1つ大事なのが、受け手を先に決めることです。中小機構の資料は、支援終了後に自立して成長できるよう、アドバイザーのノウハウを移すメンバーを事前に決め、1回ごとに移転が進むよう進捗を管理するとしています。*3 受け手の社員が通常業務で手いっぱいのままだと、支援の回数を重ねても移るものが増えず、期間だけが延びていきます。受け手の名前と、支援に使える時間を計画に書いておくのが確実です。

選定で確かめる点

1つ目は、提示された期間が何を終わらせるための期間なのかが説明されているかです。「6か月」とだけ書かれた提案よりも、6か月後に社員が何をできている想定なのかが書かれた提案のほうが、自社の目的と照らし合わせられます。

2つ目は、支援者が社内のチームとどう関わるかです。ハンズオン支援では、アドバイザーが社内のプロジェクトチームに助言し、そのチームが支援の内容を社内に広げていくことで自律化を促すとしています。*3 内製化支援でも、支援者が一緒に作業する相手が誰で、その人が学んだことを誰に広げるのかまで聞いておくと、期間の妥当さを判断しやすくなります。

3つ目は、途中で見直す場があるかです。中小機構は、支援の期間中に支援計画書と実績の差を分析し、必要に応じて支援の進め方や内容を修正するとしています。*3 期間の半ばで、計画どおり移っているかを確かめる打ち合わせを最初から予定に入れられるかどうかを、選定の時点で確かめておきます。

4つ目は、終わった後の関わり方です。ハンズオン支援の流れは、成果と評価を確かめ、支援終了後もフォローアップを行うところで終わっています。*1 支援期間の外で、どのくらいの頻度で相談できるのか、それが契約に含まれるのかは、契約の前に書面で確かめておきます。

支援期間の決め方

最初に、支援が終わった時点の状態を書き出します。「社員だけで機能の追加を設計からリリースまで進められる」「障害の一次対応を社員が担える」のように、社員を主語にして書くと、その状態に届いたかどうかを後で確かめられます。

次に、目的の種類から期間の幅を当てます。ハンズオン支援の区切り方にならえば、構想や計画を固めるだけなら4か月程度、導入と人材の育成まで含めるなら数か月〜10か月程度という幅になります。ただしこれは中小企業向けの公的な制度の数字で、開発の規模や社員の経験によって、内製化支援に必要な期間は変わります。1つの目安として使い、そのまま当てはめないほうがよいでしょう。

3つ目に、期間を月数だけでなく回数と1回の中身で数えます。ハンズオン支援が「20回程度」「8回程度」と回数を示しているように、何回、どんな作業を一緒に行うかを決めておくと、期間の途中で進み具合を測りやすくなります。

最後に、延長するときの条件を先に決めます。中間の見直しで何が遅れていたら延ばすのか、延ばすときは何に絞るのかを契約前に話しておくと、期間の終わりに「とりあえず延長」となるのを避けやすくなります。

支援の終わり方と延長

支援期間の終わりには、最初に書き出した状態と今の状態を並べて比べます。届いていない項目があれば、それを社員だけで進められるのか、もう少し支援が要るのかを項目ごとに判断します。全体をまとめて延長するより、残った項目に絞って回数を足すほうが、何のための延長かがはっきりします。

気をつけたいのは、支援の成果が特定の社員に偏っていないかです。経営力再構築伴走支援ガイドラインには、支援終了後にメンバーの退職や組織再編による所掌の変更が相次ぎ、一部の取組が立ち消えてしまった例が載っています。*4 受け手が1人だけだと、その人が異動したときに社内に何も残りません。終わる前に、受け手が学んだことを別の社員に伝える回を設けておきます。

社員が自分たちで進められるようになったかをどう判断するかは、内製化支援から自走へ、自走化判断で確かめる3つの基準で詳しく扱っています。技術そのものの移し方は、外部人材活用から内製化へ、技術移転で社員に移すものと確かめ方も参考になります。

つまずきやすい点

よくあるのは、提案を期間の長さだけで比べてしまうことです。短い提案は負担が軽く見えますが、支援者が代わりに進める割合が大きければ、終わった後に社員が続けられず、結局もう一度支援を頼むことになりかねません。

受け手の時間を確保しないまま始めることも、期間が延びる原因になりがちです。支援者が来る日に社員が別の対応に追われていれば、その回に移るものはほとんどありません。支援の日と前後の作業時間を、社員の予定に先に押さえておきます。

また、中間の見直しを省くと、終わりの時点で初めて遅れに気づくことになります。見直しの場を最初に決めておけば、残りの期間で修正する余地が残ります。

まとめ:支援期間で確かめる3つの点

内製化支援の選定で支援期間を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、支援が終わった時点で社員が何をできていればよいかを先に書き、そこから期間を逆算すること。第二に、期間の長さだけでなく、そのうち社員が手を動かす割合と、途中で見直す場があるかで提案を比べること。第三に、延長の条件と、受け手の社員の時間を支援が始まる前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「支援期間が終わったのに、社員だけでは進められなかった」という事態を避けやすくなります。支援が終わった後に開発を担う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

支援期間が終わった後に社内で開発を続けるには、受け手となる社員のほかに、開発を一緒に担う人が必要になることがあります。社員として採用する人と、業務委託で加わってもらう人をあわせて考えておくと、支援が終わった時点で体制に穴が空きにくくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

支援期間は最初から長めに契約したほうがよいですか

長めに契約すると途中で打ち切りにくくなることもあるため、まずは目的に合う期間で契約し、中間の見直しで延長するかを決める形のほうが判断しやすくなります。途中で終えたり延ばしたりするときの条件は会社ごとに違うので、契約の前に書面で確かめておきます。

中小機構のハンズオン支援は、ソフトウェア開発の内製化にも使えますか

ハンズオン支援は中小企業・小規模事業者を対象にした制度で、IT向けのメニューには、IT活用やIT導入への助言と企業内のIT人材の育成が含まれています。ただし実務代行はできないとされているため、開発の作業そのものを担ってもらう制度ではありません。対象になるかどうかは、最寄りの地域本部に確かめてください。

支援の回数と期間は、どちらを基準に決めればよいですか

どちらか一方ではなく、両方を決めておくのがおすすめです。期間だけだと、途中でどこまで進んだのかが測りにくくなります。何回、どんな作業を一緒に行うかを決め、それが何か月に収まるかを確かめると、提案どうしも比べやすくなります。

支援後の体制が決まったら相談

内製化支援が終わった後に、社内で開発を担う人の条件が見えていれば、そのままご相談いただけます。社員として採るか、業務委託で加わってもらうかを決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構「ハンズオン支援(専門家派遣)」(https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/index.html)。出典:中小企業基盤整備機構のウェブページ。事業のポイント、ご利用の流れ(1〜7)、期間と費用のうち期間、留意事項を参照(確認日2026年9月29日)(2026年9月確認)
  2. *2 参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構「ハンズオン支援の種類」(https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/01.html)。出典:中小企業基盤整備機構のウェブページ。ハンズオン支援事業(IT)のIT-A型・IT-B型の内容・対象者・支援期間・支援テーマ(例)、ハンズオン支援事業(特定)の支援期間を参照(確認日2026年9月29日)(2026年9月確認)
  3. *3 参考:中小企業庁「伴走支援の在り方検討会(第1回)」資料7 押田委員提出資料「ハンズオン支援事業の概要」(PDF)(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/bansou/001/007.pdf)。出典:中小企業基盤整備機構 経営支援部(令和3年10月)。2ページ(事業の特徴、プロセス型とリソース型)、3ページ(プロセスマネジメント)、4ページ(事業のプロセス)を参照(確認日2026年9月29日)(2026年9月確認)
  4. *4 参考:中小企業庁・中小企業基盤整備機構・経営力再構築伴走支援推進協議会「経営力再構築伴走支援ガイドライン」(PDF)(https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/fbrion0000004i8q-att/guideline.pdf)。出典:同ガイドライン(令和5年6月)。第4章の65ページ「自己変革の後退」を参照(確認日2026年9月29日)(2026年9月確認)




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