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社内SEの採用が難しい理由|職務の書き方と採れない間の埋め方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 社内SEだけの求人倍率は公的統計になく、近い区分の情報処理・通信技術者は、事務の仕事より求人が多い状況です。
- 応募が来ない原因は、倍率だけでなく、1人に任せる仕事の広さと、条件の書き方にもないか確かめます。
- 採れない間は、業務委託で仕事を預ける方法と、リモート可にして全国から探す方法があります。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社内SEを募集しているのに応募が来ない。面接まで進んでも辞退される。ようやく採用しても、すぐ辞めてしまう——。情報システムの担当を任された人や経営者から、こうした相談がよくあります。社内SEとは、自社の中で情報システムの企画・運用・改善を担う人のことで、システム開発の会社で顧客向けに働くSEとは立場が異なります。
社内SEの採用が難しいと感じたときは、まず求人の数字を見て、次に自社の求人票を見直します。本記事では、公的な統計で採りにくさを確かめ、職務と条件のどこを書き直すか、採れない間の仕事をどう埋めるかを整理します。
目次
社内SEの採用が難しい理由は数字で確かめる
厚生労働省の「一般職業紹介状況」には、ハローワークの求人と求職の数が職業ごとに載っています。ただし、「社内SE」だけを取り出した数字はありません。近い区分は「情報処理・通信技術者」で、社内SEのほか、システム開発や通信の技術者も含みます。*1 次の表は、2026年8月分(常用・パートを含む全国計)です。
表に出てくる有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表します。1を超えると、求人のほうが探している人より多い状態です。
| 職業 | 有効求人数 | 有効求職者数 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 職業計 | 2,028,673 | 1,914,602 | 1.06 | 1.98 |
| 情報処理・通信技術者 | 51,958 | 39,174 | 1.33 | 2.88 |
| 一般事務従事者 | 119,803 | 409,453 | 0.29 | 0.64 |
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.33倍で、職業全体の1.06倍を上回ります。新しく出た求人だけを見た新規求人倍率は2.88倍です。一方、一般事務は0.29倍で、求職者のほうがはるかに多くなっています。*1
ただし、この数字には限りがあります。ハローワークを通じた求人と求職の数なので、民間の紹介会社や求人サイトは含まれません。社内SEだけの数字でもありません。倍率が1.33倍という数字だけでは、応募が1件も来ない理由までは説明できません。次は、自社の求人票で確かめられる点を見ます。
1人に任せる仕事が広すぎないか
社内SEの求人票には、「社内システム全般の管理・運用・開発」のように、仕事を一括りで書くことがよくあります。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、IT関連の仕事を職業ごとに分けて説明しています。本記事で職業ページの題名を調べた範囲では、「社内SE」という名前の職業は見つかりませんでした。*2

社内SEに任されがちな仕事を、job tagの職業と照らすと、次のように別々の仕事に分かれます。
- 社員からの問い合わせ対応、アカウント管理、パソコンの設定:「ヘルプデスク(IT)」の社内ヘルプデスクに近い仕事*2
- サーバーなどの稼働の監視、バックアップ、障害が起きたときの対応:「運用・管理(IT)」に近い仕事*2
- サーバーやネットワークなど、システムの土台の設計と構築:「システムエンジニア(基盤システム)」に近い仕事*2
- 業務で使うシステムの導入や改修の取りまとめ:job tagに同名の職業はなく、会社ごとに中身が違う仕事(本記事の整理)
これらを1人に求めると、募集の時点で必要な経験の幅が広がります。応募する側は、自分の経験で足りるのかが判断しにくく、応募を見送りやすくなります。募集する側も、必要な経験を絞れないまま選考が進みます。
応募を遠ざける条件はどこにあるか
IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」は、DXを進める人材を獲得・確保するときの課題を、日本企業に聞いています。回答した1,189社のうち、「戦略上必要なスキルやそのレベルが定義できていない」が41.5%、「採用したい人材のスペックが明確でない」が35.8%でした。*3 仕事の中身を決めきれていないことが、採用の課題として上位に挙がっています。
同じ調査では、「魅力的な処遇が提示できない」が38.4%、「募集しても応募が少ない」が23.0%、「働く環境や就業形態などが応募者の条件に合わない」が15.3%でした。*3 この調査はDXを推進する人材が対象で、社内SEだけの数字ではありません。それでも、求人の条件を見直す手がかりになります。確かめたい条件は、次のとおりです。
- 処遇:仕事の広さに見合う内容か。募集に出す前に、社内で確かめておく
- 働く場所と出社の頻度:全員出社が前提になっていないか。リモートワークの可否を決めて書く
- 仕事の中身:1人で担う範囲を、前節の4つのどこまでにするか
職務と条件の書き直し方
職業安定法は、募集のときに、従事すべき業務の内容と、賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう定めています。*4 書き直しは、次の3つの順で進めます。
- 仕事を書き出す:今の担当者が1か月に何をしているかを、頻度の多い順に並べる
- 必須と任せたい仕事を分ける:入社時に欠かせない経験と、入社後に覚えてもらえばよい仕事を分ける
- 条件を具体的に書く:勤務地、出社の頻度、リモートワークの可否、連絡の窓口を、そのまま書く
| 項目 | 書き直す前 | 書き直した後 |
|---|---|---|
| 仕事の内容 | 社内システム全般の管理・運用・開発 | 社員からの問い合わせ対応とアカウント管理が中心。サーバーの運用は委託先と連絡を取り合って進める |
| 必要な経験 | システム開発の経験が豊富な方 | 必須は社内の問い合わせ対応の経験。サーバーの知識は入社後に教える |
| 働き方 | 応相談 | 出社は週に何日か、リモートワークは可能かを明記する |
仕事の幅が狭くなるほど、応募する側は自分の経験と照らして判断しやすくなります。
採れない間の仕事を埋める3つの方法
求人を出し直しても、すぐに採れるとは限りません。採用が決まるまでの間、社内の問い合わせや運用が止まらないように、仕事の預け先を決めておきます。

| 方法 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 今の担当者の兼任を続ける | 仕事の量が少なく、数か月で採れる見込みがあるとき | 本業との兼務で手が回らなくなりやすい。担当者の負担を定期的に確かめる |
| 業務委託の外部人材に預ける | 仕事の量が決まっている、期間が限られている、専門の作業だけ要るとき | 任せる範囲と窓口を社内で決める。権限の渡し方と作業の記録を契約前に確かめる |
| リモート可にして全国から社員を探す | 毎日ITの仕事があり、長く任せたいとき | 探す期間と採用後の育成が要る。出社が必要な作業を先に洗い出す |
外部人材に預ける場合も、判断と窓口は社内に残します。契約の細かい扱いは、契約書と専門家に確かめてください。
近い問いを扱った記事は、次のとおりです。情シスが0人の会社は情シスがいない会社のIT担当の決め方、人数の見方は情シスの人数の目安、エンジニア全般の応募不足はエンジニア採用が応募不足で採用できない理由と、求人条件の見直し方、全国から探す方法はリモート採用の全国採用で扱っています。外注して補う進め方は社内SE(業務システムエンジニア)不足を外注・委託で補完する進め方にあります。
まとめ:社内SEの採用で確かめておきたい3つの点
社内SEの採用が難しいときに確かめたい点は3つあります。第一に、社内SEだけの求人倍率は公的統計になく、近い区分の情報処理・通信技術者は倍率が1.33倍で、事務の仕事より求人が多いこと。第二に、仕事を一括りで書くと、応募する側も募集する側も判断しにくくなるため、仕事を分けて必須と任せたい仕事を書き分けること。第三に、採れない間は、業務委託で仕事を預ける方法と、リモート可にして全国から探す方法があることです。この3点を押さえておけば、求人を出し続けるだけの状態を避けやすくなります。
よくある質問
社内SEの求人倍率は分かりますか
社内SEだけの求人倍率は、公的な統計に見つかりませんでした。近い区分の「情報処理・通信技術者」は、2026年8月分の有効求人倍率が1.33倍で、職業計の1.06倍を上回っています。*1 ハローワークを通じた求人と求職の数なので、民間の紹介会社などの分は含まれません。
条件を変えずに応募を増やす方法はありますか
本記事で調べた公的な資料には、条件を変えずに応募が増えると示すものは見つかりませんでした。IPAの調査では、処遇や、働く環境が応募者の条件に合わないことも課題に挙がっています。*3 仕事の範囲、出社の頻度、リモートワークの可否を書き直すところから確かめます。
採用が決まるまでの間、仕事を止めないにはどうしますか
仕事の量と期間で選びます。量が決まっていて期間が限られているなら、業務委託の外部人材に預ける方法があります。毎日続く仕事で長く任せたいなら、社員の採用を続けます。どちらでも、判断と窓口は社内に残します。
社内SEの採用と、採れない間の人材を相談
任せたい仕事と、必要な期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。社員で探すか外部の人材に頼むか迷っている段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001753011.pdf)。出典:厚生労働省 職業安定局。ハローワークにおける求人・求職・就職の状況。参考統計表6(全国計・常用(パート含む)・令和8年8月)の職業別の有効求人・有効求職・求人倍率を参照。報道発表ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76397.html(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「ヘルプデスク(IT)」「運用・管理(IT)」「システムエンジニア(基盤システム)」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/320)。出典:厚生労働省 職業情報提供サイト。職業詳細ページ320(ヘルプデスク(IT))、319(運用・管理(IT))、318(システムエンジニア(基盤システム))の「どんな仕事?」を参照。職業ページの題名に「社内SE」が無いことは、職業詳細ページ(番号1〜640)の題名で確認(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *3 参考:IPA「DX動向2025」(本文)(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf)。出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)。「国内外におけるDX推進状況等調査分析」(企業向け)2024年度調査。3.2 人材の過不足状況の図表3-6(DXを推進する人材の獲得・確保の課題、日本 n=1,189)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の3(労働条件等の明示)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3。募集に当たり、従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示する定め(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)