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2026.10.07 採用支援コラム

業務委託エンジニアとシステム連携|EC基幹連携で在庫がずれる理由

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

物流倉庫の中を見渡した写真。青い柱とオレンジの棚板の高いラックが奥まで並び、段ボール箱を積んだパレットが何段にも収められている。手前の床にはパレットと台車が置かれ、人も文字も写っていない

この記事の結論

  • EC基幹連携では、受注や在庫数などデータの種類ごとにどちらのシステムの値を正とするかを、頼む側が先に決めます。
  • 連携の処理でコードや金額を変換する部分は、その処理を作る側が品質を見るので、元のデータと記録を残す仕組みも一緒に頼みます。
  • 在庫のずれは値の誤りより古さで起こりやすいため、何分おきに送るかと、いつ数えた値かを示す時刻を決めておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

ECサイトでは在庫ありと表示されていたのに、倉庫には一つも残っていなかった。注文の合計金額が、基幹システムに取り込んだあとの売上と合わない——。ECと基幹システムをつなぐ現場では、こうしたずれがよく起こります。EC基幹連携とは、ECサイトやモールで受けた注文、会員、在庫の情報と、販売管理・在庫管理・会計といった基幹システムのデータを、システム連携でやり取りできるようにすることを指します。

連携の処理そのものは、業務委託エンジニアに作ってもらえます。ただ、ずれが起きたときに誰が直すのかを決めずに頼むと、処理は動いているのに数字が合わない状態が続きます。本記事では、EC基幹連携を業務委託エンジニアに頼むマネージャーに向けて、内閣府の「データ連携基盤を通して提供されるデータの品質管理ガイドブック」の考え方を手がかりに、データの持ち主の決め方、変換を任せたときの責任、渡す前に確かめる品質、在庫の鮮度など、頼む前に決めておくことを整理します。

EC基幹連携とは

EC基幹連携でやり取りするデータは、向きが一つではありません。注文の番号や明細、金額はECサイトから基幹システムへ流れます。一方で、在庫数や商品の価格は基幹システムからECサイトへ流れ、出荷の実績や送り状の番号は基幹システムや倉庫の仕組みからECサイトへ戻ります。

こうした連携を整理する手がかりになるのが、内閣府地方創生推進事務局が2023年9月に公表した「データ連携基盤を通して提供されるデータの品質管理ガイドブック」です。スーパーシティやスマートシティのデータ連携基盤を対象に書かれた資料で、データを作って渡す「データ提供者」、データを仲介する「データ連携基盤の整備主体」、受け取って使う「データ利用者」の3者に分けて、それぞれの役割を示しています。*1

EC基幹連携を3つの役割に分けて示した図。左の箱はデータを作って渡す側で、受注ならECサイトやモール、在庫数や商品の情報なら基幹システムがデータの持ち主になり、渡すデータの品質に責任を持つ。中央の箱は間をつなぐ連携の処理で、業務委託エンジニアに作ってもらうことが多く、コードや金額を変換するとその部分の品質に責任を持つ。右の箱は受け取って使う側で、気づいたずれを持ち主に伝える。下の帯には、データの種類ごとに矢印の向きと持ち主が入れ替わり、どちらの値を正とするかは頼む側が決めて業務委託エンジニアに渡すと書かれている。内閣府のデータ品質管理ガイドブックの3者の役割をもとに作成。

EC基幹連携に当てはめると、受注ならECサイトやモールが提供者で、基幹システムが利用者です。在庫数なら向きが逆になり、基幹システムが提供者になります。業務委託エンジニアに作ってもらうのは、多くの場合その間をつなぐ連携の処理です。自治体向けの資料ですが、誰が何に責任を持つかを分けて考える枠組みとして使えます。

データごとに持ち主を決める

ガイドブックは、提供するデータの品質に責任を負うのはデータ提供者で、サービスの内容に責任を負うのはデータ利用者だと整理しています。*1 EC基幹連携に置き換えると、データの種類ごとに、どちらのシステムの値を正とするか、つまり持ち主を先に決めておくということです。

EC基幹連携でのデータの持ち主の決め方の例(本記事で作成。業務の進め方によって変わる)
データ 持ち主(正とする側)の例 受け取る側
受注(注文番号・明細・金額) ECサイト・モール 基幹システム(販売管理)
商品の情報(品番・価格) 基幹システム(商品の台帳) ECサイト
在庫数 基幹システム(在庫管理) ECサイト
出荷の実績・送り状の番号 基幹システムまたは倉庫の仕組み ECサイト
会員の住所・連絡先 ECサイト 基幹システム(出荷に要る項目だけ)

ずれが起きやすいのは、両方のシステムで書き換えられるデータです。たとえば価格をECの管理画面でも基幹システムでも変えられる状態にしておくと、どちらの値が新しいのか分からなくなります。片方を持ち主にして、もう片方では読むだけにしておきます。

この表を作るのは頼む側です。どの部署がどの値を管理しているかは業務の決まりなので、業務委託エンジニアには決められません。表があれば、エンジニアは処理の向きと上書きの規則を組めます。

変換を任せると責任も移る

ガイドブックは、データを仲介する主体が、提供者から受け取ったデータを変換や加工したうえで利用者に渡す場合、その主体を「データ提供者として取り扱うことが適切」としています。*1 EC基幹連携では、ECの商品番号を基幹システムの品番に置き換える、税込みの金額を税抜きに直す、モールごとに違う書式を一つにそろえるといった処理がこれに当たります。変換した部分のずれは、連携の処理の側で見るべき問題になります。

ただし、変換が入ると、どこで値が変わったのかが分かりにくくなります。ガイドブックはその対策として、追跡可能性と原本性の2つを挙げています。追跡可能性については、やり取りされるデータのアクセスログやシステムログを取って保管すること、データに更新の履歴を残すことを例に挙げています。原本性については、提供者が持つデータと受け取った側のデータとで符号(パリティビット)が一致するかを確かめ、改ざんがないかを検証する例を示しています。*1

実務に置き換えると、受け取った元のデータを手を加えずに残しておくこと、変換の前と後を注文番号で対応づけて記録すること、送った側と受け取った側で件数と合計金額を突き合わせることの3つになります。業務委託エンジニアに頼むときは、連携の処理と一緒にこの3つも作ってもらう範囲に入れておきます。

渡す前に確かめる3つの品質

ガイドブックは、データ品質の国際規格ISO/IEC 25012が定める15の品質特性のうち、正確性・完全性・一貫性の3つを、どの使い方でも一定以上の品質が求められる「基礎的品質特性」としています。それ以外の12は、使い方によって求める水準が変わる「付加的品質特性」です。*1

基礎的品質特性の確認の観点とEC基幹連携での例(観点はガイドブック4.1.1(2)、例は本記事で作成)
品質特性 ガイドブックの確認の観点 EC基幹連携での例
正確性 書式や値に誤りがないか(カタカナで記入すべき項目に平仮名、日時の項目に氏名など) 郵便番号の桁数、日付の書き方、数量に負の値が入っていないか
完全性 必要な項目が網羅され、必須項目に空白がないか(購買データの購入日・購入金額・購入場所など) 注文日・金額・配送先の空欄、取り込めずに抜け落ちた注文がないか
一貫性 データ間・項目間に矛盾がないか(合計値の数式、法人名と法人番号の一致など) 明細の合計に送料と割引を足し引きした額が、注文の合計と一致するか

ガイドブックは、この3つが確かめられていないデータが渡されると、受け取る側で本来は要らなかったデータの整理や内容の精査が必要になり、苦情などにつながるおそれがあるとしています。*1 EC基幹連携でいえば、ECの側で確かめずに基幹システムへ流すと、経理や倉庫の担当者が取り込みのたびに手で直すことになります。

業務委託エンジニアには、この3つを取り込みのときに機械で確かめる処理と、はじいた注文を一覧にして担当者に知らせる仕組みを頼みます。どの誤りではじき、どの誤りなら通して後で直すかの線引きは、頼む側が決めます。

在庫は鮮度の約束を決める

在庫のずれは、値が誤っていることより、値が古いことで起こりやすいものです。基幹システムで在庫を引き当ててからECサイトの表示に反映されるまでの間に注文が入ると、在庫のない商品が売れてしまいます。ガイドブックの品質特性では、これは最新性に当たり、更新の期間や最終更新日が示されているかを見るとしています。データの更新頻度を年・月・週・日あたりの回数で書く欄もあります。*1

デジタル庁が2025年6月20日に公表した「データガバナンス・ガイドライン」も、元のデータが古いと期待した成果が得られないおそれがあるとして、データを生成する主体は「そのデータに必要な精度に合わせた時刻を付す」としています。*2 在庫数に基幹システムで数えた時刻を付けて送れば、ECサイトの側でどのくらい古い値かを判断できます。

決めておくことは3つです。在庫を何分おきに送るか、注文が入ったときは都度送るか、残りが少ない商品は早めに販売を止めるかです。3つ目は売り逃しとの兼ね合いになるので、業務の側で判断します。ガイドブックも、提示された品質を満たさないデータへの改善要求の例として、5分単位のはずが10分単位のデータしかない場合を挙げています。*1 鮮度の約束を数字で書いておけば、遅れたときに何が約束と違うのかを具体的に伝えられます。

コードと文字をそろえる

ガイドブックは、複数のデータを統合するときに、データ項目の対応づけ、精度や単位の確認、コードの変換などを正確に行う必要があるとしています。*1 EC基幹連携では、モールごとの商品番号と基幹システムの品番、配送方法の名前と基幹システムの区分コード、税込みと税抜きの金額がこれに当たります。対応表を誰が持ち、商品を追加したときに誰が更新するかまで決めておかないと、新商品の注文だけが取り込めないことになります。

データを作る段階での工夫も書かれています。選択肢がある項目は自由記述ではなく、コードの入力やプルダウンからの選択にすると誤ったデータが入りにくくなり、コードは独自に作らず既存の体系を使うと他のデータとの連携もしやすくなる、という内容です。*1 ECの注文画面で配送の希望や支払い方法を自由入力にしていると、基幹システムの区分に置き換えられない注文が残ります。

文字も見落としやすい点です。ガイドブックは付加的品質特性のアクセシビリティとして、環境依存文字などを使っていないことが示されているかを挙げ、データに使っている文字コードを記入する欄も設けています。*1 住所や氏名に旧字体や機種依存の文字が入っていると、基幹システムの側で文字化けし、送り状を印刷できないことがあります。置き換えられない文字が来たときに処理を止めるのか、置き換えて担当者に知らせるのかを決めて、業務委託エンジニアに伝えます。

顧客データに触れる範囲

ECの受注データには、氏名や住所、電話番号といった個人情報が含まれます。個人情報保護法第25条は「個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。」と定めています。*3 業務委託エンジニアに本番のデータを使った調査を頼む場合に、どのような監督が要るかは、契約の内容に照らして社内の担当部署や専門家に確かめます。

実務では、作業ごとに触れる範囲を分けておくと決めやすくなります。開発や検証は氏名や住所を別の値に置き換えたデータで行い、本番で件数が合わない原因を調べるときは、社内の担当者が操作する画面を一緒に見てもらう形にする、といった分け方です。どの作業で本番のデータに触れるかを、頼む前に書き出しておきます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

業務委託エンジニアに任せやすいのは、取り込み・変換・送信の処理、3つの品質を確かめる検査、ログと突き合わせの仕組み、送れなかったデータを送り直す仕組みです。社内に残すのは、データの持ち主の表、在庫の鮮度の約束、どの誤りではじくかの基準、顧客データの扱いです。ガイドブックは、関係者の間で責任の範囲や免責の事項を合意し、契約や規約で明確に定めることを挙げています。*1 変換の部分の品質を誰が見るかも、契約の段階で書いておきます。

人を選ぶときは、販売管理や在庫管理のデータの構造を知っているか、モールの受注データを扱ったことがあるかを確かめます。面談では、過去に件数が合わなかったときにどこから原因を探したかを聞いておくと、判断の材料になります。

APIの呼び出し方や返し方の決まりはシステム連携のAPI設計・開発、業務委託エンジニアに渡す決まりで扱っています。

取引先とのEDIの切り替えは業務委託エンジニアに頼むEDI連携にまとめました。

連携の作業量を依頼書にどう書くかは業務委託エンジニアへのシステム連携の依頼書に書く3つの点で整理しています。

まとめ:EC基幹連携で先に決めておきたい3つの点

EC基幹連携を業務委託エンジニアに頼むうえで、先に決めておきたい点は3つに整理できます。第一に、受注・在庫数・商品の情報などデータの種類ごとに、どちらのシステムの値を正とするかを決めること。第二に、連携の処理で変換する部分は作る側が品質を見ることにして、元のデータの保管と件数・金額の突き合わせも一緒に頼むこと。第三に、在庫を送る間隔と、いつ数えた値かを示す時刻を約束として書いておくことです。この3点を踏まえておけば、「処理は動いているのに、どこでずれたのか誰にも分からない」という事態を避けやすくなります。システム連携に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

データの持ち主の表と鮮度の約束が書き出せたら、次は連携の処理を担う人を探す段階です。つなぐシステムと任せる範囲が決まっていれば、販売管理や在庫のデータを扱った経験など求める条件がはっきりし、候補者を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

注文が入るたびに在庫を送る形にすれば、ずれは起きませんか

起きにくくはなりますが、なくなるわけではありません。送信が失敗したときや、処理が混み合って遅れたときには、ECサイトの在庫数が古いまま残ります。在庫数にいつ数えた値かを示す時刻を付け、送れなかった分を送り直す仕組みと、一日の終わりに両側の数を突き合わせる処理を組み合わせておきます。

ガイドブックはスマートシティ向けですが、民間のEC基幹連携にも使えますか

対象はスーパーシティやスマートシティのデータ連携基盤で、民間企業に守る義務があるものではありません。ただ、データを渡す側・仲介する側・使う側に分けて責任を整理する考え方と、正確性・完全性・一貫性といった品質特性の整理は、社内のシステムどうしの連携にも当てはめやすい内容です。*1 使える部分を選んで、社内の決まりに取り入れる形が現実的です。

連携の不具合で在庫のない商品が売れたとき、業務委託エンジニアの責任になりますか

どこまでが誰の責任になるかは、契約の内容によって変わるため、個別の判断は契約書と専門家に確かめてください。後で揉めないためには、頼む前にデータの持ち主の表と鮮度の約束を渡し、変換の部分の品質を誰が見るかを契約に書いておくことが役に立ちます。

連携の範囲が決まったら相談

ECと基幹システムのどのデータをつなぎ、どこまでを業務委託エンジニアに任せるかが見えていれば、そのままご相談いただけます。データの持ち主をまだ決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:内閣府地方創生推進事務局「データ連携基盤を通して提供されるデータの品質管理ガイドブック」(2023年9月、PDF)(https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/supercity/pdf/supercity_230926_guidebook_honsi.pdf)。出典:内閣府地方創生推進事務局。1.2 想定の読者、2.3 3者のステークホルダーの役割、2.4 責任分界点に関する基本的な考え方(追跡可能性・原本性)、3.1.1 データの品質管理規程と規程の浸透、表4-1 データの品質特性と分類、4.1.1(2) 基礎的品質特性の評価、表4-4 メタデータ項目、5.1 改善要求の例、6.1 データ設計、6.4 データ統合を参照(確認日2026年10月7日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:デジタル庁「データガバナンス・ガイドライン」(2025年6月20日、PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/71bf19c2-f804-488e-ab32-e7a044dcac58/b1757d6f/20250620_news_data-governance-guideline_01.pdf)。出典:デジタル庁。2. データセキュリティの 2-3 望ましい方向性(データの最新性と時刻の付与)を参照(確認日2026年10月7日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(平成十五年法律第五十七号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)。出典:デジタル庁 e-Gov法令検索。第25条(委託先の監督)を参照(確認日2026年10月7日)(2026年10月確認)




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