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2026.09.28 採用支援コラム

エンジニア採用が応募不足で採用できない理由と、求人条件の見直し方




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • ハローワークのフルタイムの求人のうち就職に結びついた割合は、2023年に10.2%まで下がっています。
  • 情報通信業の欠員率は1.8%と産業計の2.6%より低く、市場の人手不足だけでは応募不足を説明できません。
  • 応募があった求人の割合は、年間休日100〜110日の24.0%に対し、120〜130日では71.0%です。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

求人を出しても、応募がほとんど来ない。掲載先を変えて出し直しても、反応がほとんど変わらない——。エンジニア採用では、こうした行き詰まりが起こりがちです。厚生労働省の集計でも、ハローワークのフルタイムの新規求人のうち就職に結びついた割合は、2023年に10.2%まで下がっています。*1 エンジニア採用の応募不足とは、求人を出しても、選考に進められる応募者の数が採用に必要な数に届かない状態を指します。

応募不足の原因は、世の中全体の人手不足と、自社の求人の条件や書き方に分けて考えると整理しやすくなります。前者は自社では変えられませんが、後者は見直せます。ただし求人の見直しも万能ではなく、条件を整えても採用できない職種もあります。本記事では、エンジニアを採用する現場のマネージャーに向けて、市場の数字、原因の見分け方、応募を左右する求人条件、そして見直しの進め方を整理します。

講堂に木製の座席が何列も並び、どの席にも人が座っていない様子。奥の壁に扉が2つある

応募不足とは

応募不足には、2つの状態があります。1つは、求人を出しても応募がほとんど来ない状態です。もう1つは、応募は来るものの、任せたい仕事の経験を持つ人がいない状態です。どちらも「採用できない」という結果は同じですが、見直す場所が違います。

応募がほとんど来ない場合は、求人を見た人が応募しようと思わなかったか、そもそも求人が見られていないかのどちらかです。応募はあるのに経験が合わない場合は、求人の書き方や採用要件の側を見直すことになります。エンジニア採用の応募不足を社内で説明するときも、この2つを分けておくと話が混ざりません。本記事で扱うのは前者、応募そのものが少ない状態です。

なぜエンジニアの応募が集まらないのか

市場の側から見ると、求人が人に結びつきにくい状態は長く続いています。厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」は、ハローワークの求人の充足率(新規求人のうち就職に至った割合)を1972年から並べています。フルタイムの求人では、バブル期の1990年に18.7%、2023年には10.2%でした。同書は、直近の充足率が「バブル期を大きく下回っている」とし、2010年代以降の人手不足は、これまでより長く続く可能性があるとみています。*1

エンジニアに近い数字もあります。同書は、働き手に求められる労働時間と、働き手が提供できる労働時間の差を「労働力需給ギャップ」として産業と職業の組み合わせごとに推計しました。情報通信業の専門的・技術的職業従事者(エンジニアを含む技術職)は、2013年には供給不足とされていませんでしたが、2023年には4,406万時間の供給不足と推計されています。供給不足となった産業と職業の組み合わせも、2013年の16から2023年には60近くに増えました。*1

つまり、エンジニアの応募が集まらない背景には、市場全体で働き手が足りないという事情があります。ただ、この数字は産業や職業の全体を平均したものです。同じ市場で募集していても、応募が集まる求人と集まらない求人があります。次に、自社の応募不足がどちらに近いかを見分けます。

市場の問題か、自社の求人の問題か

業界全体でどれだけの求人が埋まっていないかは、雇用動向調査の欠員率で確かめられます。未充足求人とは「仕事があるにもかかわらず、その仕事に従事する者がいない状態を補充するために行っている求人」で、欠員率は、働いている人の数に対するその割合です。*2 2025年6月末の情報通信業の未充足求人は約3万3,400人で前年同期より約2,300人増えましたが、欠員率は1.8%と、産業計の2.6%を下回っています。*2

エンジニアの不足は大きくなっていますが、情報通信業の欠員は、働いている人の数に比べると、産業全体より少ないということです。自社の求人に応募が集まらない理由を、市場の人手不足だけで説明するのは難しくなります。そこで、自社の数字を次の3つの見方で確かめておくと、原因を分けやすくなります。

  • 前回の募集と比べる(同じ掲載先・同じ掲載期間での応募数)
  • 求人の閲覧数と応募数を分けて見る
  • 同じ職種の他社の求人と、休日・残業・賃金を並べる

閲覧数そのものが少なければ、求人が求職者の目に届いていません。掲載先や職種名の付け方を見直します。閲覧はされているのに応募が少なければ、求人を読んだ人が応募をやめています。この場合は求人の条件と書き方を見直します。数字の取り方は「採用KPIに置く5つの指標と分母の決め方」で、職業別の求人倍率は「ITエンジニア採用の難易度」で扱っています。

応募を左右する求人条件

求人のどの条件が応募に結びつくかは、同じ「労働経済の分析」がハローワークの記録で調べています。2023年に登録された新規求人を使い、求人のうち求職者の応募があったものの割合を、残業時間別と年間休日日数別に集計しました。*3 白書はこれを被紹介割合と呼んでいます。ハローワークでは、求職者が求人に応募するときの記録を「紹介」として残しているためです。フルタイムの求人の結果は次の図のとおりです。

ハローワークのフルタイム求人のうち応募があった求人の割合を、残業時間別と年間休日日数別に並べた横棒グラフ。残業時間別では0時間47.5%、10時間まで43.0%、10〜20時間42.0%、20〜30時間32.7%、30時間以上22.8%。年間休日日数別では100日まで21.4%、100〜110日24.0%、110〜120日34.6%、120〜130日71.0%、130日以上62.2%。2023年に登録された新規求人の集計。出典は厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」第2-(2)-20図。

残業時間では、残業なしの求人で47.5%、月10〜20時間で42.0%だった割合が、20〜30時間で32.7%、30時間以上では22.8%まで下がります。*3 同書は、残業時間が20時間を超えると「求職者に応募されにくい傾向がみてとれる」としています。*1 年間休日日数では、100〜110日の求人が24.0%なのに対し、120〜130日の求人は71.0%でした。*3

一方、月額賃金は高いほど応募が増えるわけではありませんでした。15〜17.5万円の求人が42.2%、25万円以上の求人は34.7%です。*3 同書は、求職者が休日や残業など賃金以外の要素も考えて仕事を探していることを背景に挙げています。

休日・残業・賃金などの条件を同時に考え合わせた推計もあります。ほかの条件が同じ場合、フルタイムの求人に少なくとも1件の応募がある確率は、完全週休二日(毎週2日の休日がある制度)の条件で8.15%、ボーナスありで7.85%高まり、残業ありで4.13%下がると推計されています。*4 いずれもハローワークの全職種の求人を集計した結果で、エンジニアの求人だけの値は公表されていません。

求人条件をどう見直すのか

見直しは、応募への影響が大きかった休日と残業から始めると進めやすくなります。年間休日は日数で書きます。「土日祝休み」とだけ書くより、「年間休日125日」のように数字があるほうが、求職者は他社の求人と比べられます。完全週休二日制かどうかも、制度の名前どおりに書き分けます。違いは「完全週休2日制と週休2日制、年間休日での違い」で扱っています。

完全週休二日の求人の割合は、企業の規模で差があります。ハローワークの求人のうち完全週休二日の求人の割合は、2022年に従業員1,000人以上の企業で70.3%、99人以下の企業では50.0%でした。*5 中小企業が完全週休二日を示せれば、同じ規模の他社の求人より目立ちます。

残業は、実際の月平均の時間を書きます。開発の現場では、リリース前だけ残業が増える部署もあります。その場合は、平均の時間とあわせて、残業が増える時期と理由を書いておくと、入社後の食い違いも減らせます。書いた数字が実態と違えば、入社してから本人の不満につながるので、現場のマネージャーが直近の実績を確かめてから載せます。

賃金は、単純に集計すると、高い求人ほど応募が多いわけではありませんでした。ただし条件を同時に考え合わせた推計では、下限の月給が高いほど応募がある確率は高まっていて、*4 賃金を見直す意味がないわけではありません。休日や残業をすぐに変えられないときは、賃金の下限や賞与の有無を他社の求人と並べて確かめます。

条件を見直しても人が集まらない職種は、募集の方法を分けることも考えます。任せたい仕事のうち、期限が決まっている開発を業務委託の専門人材に任せ、社員の採用は長く担当してもらう仕事に絞る、といった分け方です。

つまずきやすい点

一つ目は、条件を一度にすべて変えてしまうことです。休日、残業、賃金、職種名を同時に変えると、応募が増えても減っても、どの変更が効いたのかが分かりません。次の募集にも生かせないので、変える条件は1回に1つか2つにとどめ、変えた日を記録しておきます。

二つ目は、求人に書く数字だけを良く見せることです。年間休日や残業時間を実態より良く書けば、応募は増えるかもしれません。しかし入社してから違いに気づけば、本人の不満や早い退職のきっかけになります。求人に書くのは、今の職場で本当に守れる条件だけにします。

三つ目は、応募が少ないからといって求める経験を増やすことです。応募が少ないときほど、条件を増やして求める人物像を細かくしたくなりますが、求める経験が増えるほど、当てはまる人は減ります。任せる仕事に本当に必要な経験だけを残すと、応募する側も自分が当てはまるかを判断しやすくなります。

まとめ:応募不足で確かめておきたい3つの点

エンジニア採用の応募不足を解消するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、市場の数字と自社の数字を分けて見ること。第二に、閲覧数と応募数を分けて、求人が見られていないのか、読まれたうえで応募されていないのかを確かめること。第三に、休日と残業を中心に、実態に合った条件を数字で書くことです。この3点を踏まえておけば、「条件を何度変えても採用できない」という事態を避けやすくなります。求人の見直しや募集の方法に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

求人の条件を見直しても、社内の募集だけでは任せたい開発に間に合う人が見つからないことがあります。採用が決まるまでの開発や、期限が決まっている作業を外部の専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

求人を出してから、どのくらいで見直せばよいですか

公的な資料で示された期間の目安はありません。前回の募集と同じ掲載先・同じ期間で応募数を比べられるように、掲載した日と見直した日を記録しておくのがおすすめです。期間をそろえておけば、見直しの前と後の応募数を比べられます。

民間の求人サイトでも、同じ条件で応募が増えますか

今回の分析は、ハローワークに登録された求人と紹介の記録を使ったものです。民間の求人サイトで同じ集計をした公的な資料は公表されていません。掲載している求人サイトの管理画面で、閲覧数と応募数を条件を変える前と後で比べて確かめます。

年間休日を増やせないときは、何から見直せばよいですか

残業時間の書き方から見直します。残業の有無は応募に影響する条件の一つで、実際の月平均の時間を書けば、求職者が他社の求人と比べられるようになります。あわせて、休日の数を増やせない理由と、休みの取り方を書いておきます。

応募不足はエンジニアの求人だけで起きていますか

エンジニアに限りません。労働経済の分析の推計では、供給不足となった産業と職業の組み合わせは2013年の16から2023年には60近くに増えています。*1 情報通信業の専門的・技術的職業従事者はその一つです。

エンジニアの応募が集まらないとき

求人の条件の見直しから、社員の採用と業務委託の分け方まで、ご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/24-1.html)。出典:厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」(2024年9月公表)。第Ⅱ部第1章 第2-(1)-17図(充足率の推移)・第2-(1)-21表(労働力需給ギャップの推計②)と、第Ⅱ部第2章第1節の本文(ハローワークにおける求人の被紹介割合の分析)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和7年上半期雇用動向調査結果の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-1/dl/gaikyou.pdf)。出典:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」(令和7年12月23日公表)。主な用語の定義(未充足求人・欠員率)と、表7(産業別未充足求人の状況・各年6月末日現在)を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「第2-(2)-20図 ハローワークにおける求人の分布と被紹介割合」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/backdata/02-02-20.html)。出典:令和6年版 労働経済の分析 本文掲載図表のバックデータ。フルタイム求人の月額賃金・残業時間・年間休日日数別の求人分布と被紹介割合(2023年1〜12月に登録された新規求職者及び新規求人)を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「第2-(2)-22図 ハローワークにおける被紹介確率への影響」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/backdata/02-02-22.html)。出典:令和6年版 労働経済の分析 本文掲載図表のバックデータ。フルタイム・求職者計の推計結果(下限賃金・昇給あり・ボーナスあり・残業あり・完全週休二日)を参照。推計の詳細は付2-(2)-14表(2026年9月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「第2-(1)-27図 ハローワークにおける求人条件の変化について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/backdata/02-01-27.html)。出典:令和6年版 労働経済の分析 本文掲載図表のバックデータ。企業規模別の完全週休二日求人割合(2022年)を参照(2026年9月確認)




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