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エンジニア採用を学歴不問にするメリット・デメリットと見極め方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- IT・デジタル職種で働く2,000人の調査では、高等学校・専修学校・高専・短大を最終学歴とする人が565人と約3割を占めます。
- 学歴によって転職後の賃金の上がり方に差は出ますが、どの学歴でもITスキルレベルが高い人ほど賃金が上がった人の割合が増えています。
- 学歴不問にするなら、求人票に必要な経験を具体的に書き、書類のプロジェクト情報と面接の掘り下げでスキルを見極めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニアの求人を出しても応募が集まらない。募集要項を見直すと、以前から「大卒以上」の一行が残っていた——。外せば応募は増えそうですが、何を基準に選べばよいのかが分からなくなる、という迷いはよく聞かれます。学歴不問とは、求人の応募条件に学歴を設けないことです。
学歴を外すと応募の間口は広がる一方で、書類で絞る手がかりが1つ減ります。外すかどうかは、代わりに何で見極めるかとセットで決めるのが近道です。本記事では、エンジニアを採用する企業の担当者に向けて、IT職種で働く人の学歴の実態、学歴とスキルの関係、学歴不問にするメリット・デメリット、学歴の代わりに見る材料、外部人材に頼むときの確認点を整理します。
目次
IT職種で働く人の最終学歴
厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(令和6年3月)は、IT・デジタル職種で働く2,000人へのインターネット調査で、回答者の最終学歴を集計しています。*1
大学が60.4%で最も多く、大学院が11.0%で続きます。一方で、高等学校・専修学校(専門課程)・高専・短大を最終学歴とする人は合わせて565人で、全体の約3割にあたります。*1 大学・大学院を出た1,427人の学部・学科も、自然科学系(理学・工学・農学など)は56.6%で、社会科学系や人文科学系などの出身者が4割強を占めています。*1
数字を使うときは、調査の作りも押さえておきます。
- 対象は、いまIT・デジタル職種で働いている人で、調査会社のモニターから集めた回答
- 示されているのは働いている人の学歴の構成で、企業が採用したときの条件ではない
- この回答者でいえば、「大卒以上」を条件にすると約3割の学歴の人が応募の対象から外れる
- 大学を出ていても、情報系や理系の学部とは限らない
学歴とスキルレベルの関係
同じ報告書は、5年以内にIT・デジタル職種に転職した人について、最終学歴別に転職後の賃金が増加した人の割合を出しています。大学院は65%、高等学校は29%で、36ポイントの差がありました。*1
報告書は、この差の背景には学歴によってITスキルレベルが異なることがあるとみています。*1 ITスキルレベルとは、IPA(情報処理推進機構)のITスキル標準(ITSS)に沿って、作業を独力でこなせるか、課題の解決をリードできるかといった段階で仕事の力を分けたものです。*1 学歴とスキルレベルを組み合わせた集計では、サンプルサイズは限定的としながらも、「最終学歴を問わず、ITスキルレベルが高くなるほど、賃金上昇者の割合は増加する」とまとめています。*1
- 学歴とスキルレベルには関係がみられる。学歴を見ることに意味がまったく無いわけではない
- ただし転職後の評価の差を説明しているのは、学歴よりスキルレベルのほう
- 同じ学歴でもスキルレベルには幅があり、学歴だけでは見分けられない
- 高等学校の回答は24人などと少なく、割合は目安として読む
採用で知りたいのは任せたい仕事をこなせるかどうかです。学歴は手がかりの1つにとどめ、スキルを直接確かめる手段を持つほうが判断はぶれにくくなります。
学歴不問のメリット・デメリット
学歴不問にしたときに起きやすいことを、企業の側から整理します。どちらに傾くかは、任せたい仕事と選考の体制によって変わります。

| 区分 | 起きやすいこと | 備えること |
|---|---|---|
| メリット | 専修学校や高専などを出た経験者にも求人が届き、応募の対象が広がる | 応募が増えたときに書類を読む人と時間を確保する |
| メリット | 選考の基準が、仕事に必要な力にそろう | 何を必要な力とするかを現場と言葉にしておく |
| デメリット | 書類で絞る手がかりが1つ減り、スキルを確かめる手間が増える | プロジェクト情報の読み方と面接の質問を先に決める |
| デメリット | 学歴だけでなく経験も問わない求人と受け取られ、経験の浅い応募が混ざりやすい | 必要な経験を求人票に具体的に書く |
学歴不問と経験不問は別のことです。学歴を外しても、必要な経験は条件として残せます。経験も問わずに採って社内で育てる場合は、要件と指導役の決め方を「未経験エンジニアの採用と育成の進め方|要件と指導役の決め方」で整理しています。
学歴の代わりに見極める材料
報告書の企業アンケートでは、直近3年間にIT・デジタル人材を中途採用した84社のうち51.2%が、採用で最も重視することに「ITスキルのレベル」を選びました。*1 そのスキルをどう確かめているかの回答(複数回答)は次のとおりです。
| 把握する方法 | 割合 |
|---|---|
| 履歴書に記載されているプロジェクト情報 | 72.6% |
| 各種資格や能力証明 | 45.2% |
| 公的なスキル標準(ITスキル標準等) | 36.9% |
| 社内の独自基準 | 34.5% |
| GitHub・Kaggle等のプラットフォーム | 3.6% |
中心はプロジェクト情報で、資格やスキル標準はそれを補う使われ方です。学歴不問の求人では、この順で材料をそろえると選考が回ります。
- 求人票:学歴は「不問」とし、「必要な経験等」に担当してほしい工程や技術を「必須」か「あれば尚可」で書く
- 書類:各社のプロジェクトで担った工程・役割・規模を読む
- 補助:資格やITSSのレベルで、書類から読んだ水準を裏づける
- 面接:現場の担当者がプロジェクトの中身を掘り下げて確かめる
ハローワークの求人の入力でも、学歴は「必須」か「不問」を選び、必要な経験等は「必須」「あれば尚可」「不問」から選ぶ形で分かれています。*2 厚生労働省は、公正な採用選考では「応募者が、求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で選考することが必要だとしています。*3 学歴を残す場合も、それが仕事にどう関わるかを説明できるようにしておきます。レベルの書き方は「ITSSのレベルを採用要件に使う方法|求人票と面接での確かめ方」が参考になります。
外部人材に頼むときの確認点
学歴を外して募集しても、必要な経験を持つ人がすぐ見つかるとは限りません。採用が決まるまでの開発を進めたいときは、業務委託で加わる外部人材と組み合わせる方法もあります。外部人材を選ぶときも、見るのは学歴よりプロジェクトで担った仕事です。

- 任せる業務の範囲と成果物、期間を書面で決められるか
- 過去の案件で担った工程と役割を、面談で具体的に聞けるか
- 質問や報告を受ける社内の窓口を1人決められるか
- 社員の採用と並行する場合、どの時点で仕事を引き継ぐか
応募者の経歴で迷いやすいもう1つの点、転職回数の読み方は「エンジニアの転職回数の見方|書類選考で確かめる4つのポイント」で扱っています。
まとめ:学歴不問で決めておきたい3つの点
エンジニア採用を学歴不問にするかは、3つの点で決められます。第一に、IT職種で働く人の約3割は高等学校・専修学校・高専・短大を最終学歴としていて、大卒以上の条件はその人たちを対象から外すこと。第二に、学歴と転職後の賃金には関係がみられるものの、どの学歴でもスキルレベルが高い人ほど賃金が上がっていること。第三に、学歴を外すなら必要な経験を求人票に書き、プロジェクト情報と面接でスキルを見極めることです。採用までの開発は、業務委託の外部人材と組み合わせる方法もあります。
よくある質問
エンジニアの求人を学歴不問にすると応募の質は下がりますか
学歴だけでは質は決まりません。厚生労働省の調査では、どの最終学歴でもITスキルレベルが高い人ほど転職後に賃金が上がった人の割合が増えていました。必要な経験を求人票に書き、書類と面接でスキルを確かめれば、学歴不問でも選考の水準は保てます。
学歴不問と書いた求人で、書類選考は何を見ればよいですか
各社のプロジェクトで担った工程・役割・規模を中心に読みます。調査でも、中途採用でスキルを把握する方法は履歴書のプロジェクト情報が72.6%で最も多く、資格や公的なスキル標準がそれを補っていました。残る疑問は面接で現場の担当者が確かめます。
学歴を応募条件に残してもよいですか
厚生労働省は、採用選考は職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうかで行うことが必要だとしています。学歴を残す場合は、それが任せる仕事にどう関わるかを社内で説明できるようにしておきます。個別の判断に迷うときは専門家に確かめてください。
学歴より仕事の力で人材を探す
任せたい仕事の概要と必要な経験が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員で採るか業務委託で頼むかを決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(令和6年3月)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf)。出典:厚生労働省。ITスキルレベルの区分(ITSS)、最終学歴別にみた転職後の賃金変化、最終学歴とITスキルレベルの関係、企業が中途採用で重視していることとITスキルレベルの把握方法、個人アンケートの最終学歴と学部・学科の系統(別添 単純集計)を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人情報の入力のしかた」(PDF)(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kyuujinnjouhounonyuuryokunosikata.pdf)。出典:ハローワーク。「仕事内容」の【学歴・専攻】【必要な経験等】の入力方法を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時の基本的な考え方・公正な採用選考の基本」(https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html)。出典:厚生労働省。適性・能力に基づいた採用基準とする旨を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)