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2026.10.23 採用支援コラム

業務委託のメリット・デメリット|企業側が契約で抑える方法

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ずらして重ねた契約書2部の境目に印鑑を押す手元

この記事の結論

  • 個人に業務委託すると、求める技術を持つ人に仕事のある期間だけ頼め、雇用に伴う会社の負担もかかりません。
  • 一方で範囲や報酬の食い違い、細かい指示による雇用との境目、契約終了で知識が抜ける点がデメリットです。
  • デメリットは、条件を頼んだ時点で書面にし、進め方を任せ、記録と引き継ぎの期間を決めることで抑えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

開発の人手が足りず、個人のエンジニアに業務委託で頼む案が出ている。必要な技術を持つ人にすぐ加わってもらえそうだが、社員で採る場合と比べて企業側に何が得で、どこでつまずきやすいのかが見えない——。初めて個人と契約する企業では、良い面と悪い面を並べてから決めたいという迷いがよく聞かれます。

本記事は、開発マネージャーや情報システムの責任者、エンジニアの確保を任された担当者に向けて、個人のエンジニアに業務委託するときの企業側のメリットとデメリットを同じ表に並べ、デメリットごとの抑える方法を示します。内閣官房のフリーランス実態調査と、公正取引委員会・厚生労働省などのパンフレット、厚生労働省の調査をもとに整理します。

企業が個人に業務委託するとは

業務委託は、仕事の完成や作業の実施を、雇用ではなく契約で頼む形です。本記事では、企業がフリーランスなど個人のエンジニアと契約して開発に加わってもらう場合を扱います。従業員を使わずに一人で仕事を受ける個人に頼むときは、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の対象になります。*1

  • 契約と支払いの相手:エンジニア本人
  • 作業の進め方:本人に任せる
  • 払うもの:契約で決めた報酬
  • 契約の期間:仕事に合わせて決め、更新で続ける

気をつけたいのは、契約の名前ではなく実態で扱いが決まる点です。公正取引委員会などのパンフレットは、形式的には業務委託契約でも、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合は労働基準関係法令が適用され、フリーランス法は適用されないとしています。*1 SES(エンジニアの技術力を提供する会社と契約し、その会社の人に加わってもらう形)のメリットとデメリットはSESを使う企業側のメリット・デメリットと向いている場面、社員として雇う場合との選び方は業務委託と正社員の違い|企業がエンジニアを選ぶときの4つの基準で扱っています。

メリット・デメリットと抑える方法

企業側から見たメリットとデメリットを、観点ごとに同じ行へ並べました。右端の列が、デメリットを抑えるために発注する側でできることです。

方眼のノートに四角と矢印の画面の流れを書き足す手元

個人のエンジニアに業務委託するときの企業側のメリット・デメリットと抑える方法(一般的な形の例)
観点 メリット デメリット デメリットを抑える方法
技術 必要な技術を持つ人に直接頼める 力量や進め方の相性を事前に見極めにくい 過去の成果物と面談で確かめ、最初の契約は短い期間にする
期間 仕事がある期間だけ契約できる 6か月以上続けた契約は急には終えられない 更新の区切りを決め、終えるときは30日前までに伝える
費用 社会保険料など雇用に伴う会社の負担がない 報酬と支払期日を決めずに始めると食い違う 報酬の額と支払期日を、頼んだ時点で書面などで示す
指示 進め方を本人に任せられ、管理の手間が減る 細かい指示や時間の拘束を続けると、雇用と判断されることがある 頼む範囲と成果物で依頼し、進め方は本人に任せる
範囲 任せる作業を区切って頼める 範囲や仕様の認識がずれ、もめやすい 給付の内容を具体的に書き、変更は双方で合意して残す
体制 1人から、週に何日といった稼働で頼める 抜けたときの代わりを自社で探す 作業の記録を残し、候補を探す経路を複数持っておく
知識 社内に無い知見を取り込める 契約が終わると経緯を知る人が抜ける 設計の判断に社員が加わり、終わる前に引き継ぎの期間を置く

費用の行は数字でも確かめておきます。厚生労働省の令和3年就労条件総合調査では、情報通信業の常用労働者1人1か月平均の労働費用総額は577,690円で、そのうち19.3%にあたる111,667円が、法定福利費や退職給付などの現金給与以外の費用でした。*3 業務委託の報酬と社員の給与を比べるときは、こうした費用と採用・教育の手間も含めて比べます。

表のとおり、メリットとデメリットはほとんどが同じ性質の裏表です。任せられる分だけ見えにくくなり、区切れる分だけ途切れやすくなります。どちらが大きく出るかは、頼み方と社内の受け止め方で変わります。

調査にみるデメリットの出方

デメリットのうち、範囲・報酬・指示の3つは公的な調査にも表れています。内閣官房の「フリーランス実態調査」(2020年、インターネット調査)では、事業者から業務委託を受けて働くフリーランス3,234人のうち37.7%が、取引先とのトラブルを経験したことがあると答えました。*2 経験した1,220人が挙げた内容の上位は次のとおりです(複数回答)。*2

  • 発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった:37.0%
  • 報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかった:28.8%
  • 報酬の未払いや一方的な減額があった:26.3%
  • 仕様や作業期間・納品日を一方的に変更された:24.4%
  • 仕事の業務内容・範囲について揉めた:23.5%

働く側の回答ですが、どれも発注する企業側の決め方で減らせるものです。条件を頼んだ時点で書面にし、変更は双方で合意して残すことが、まず取り組める対策になります。

指示の出し方にも注意が要ります。同じ調査では、3,234人のうち36.8%が業務の内容や遂行方法について具体的な指示を受けていると答え、16.0%は勤務場所や勤務時間を指定されていました。*2 業務委託で頼む以上、進め方は本人に任せ、作業の確認は成果物や定例の報告で行う形にそろえておきます。

契約と進め方で抑える方法

デメリットを抑える方法の多くは、フリーランス法が発注する企業に求めることと重なります。従業員を使う企業が個人に頼む場合の主な決まりは次のとおりです。*1

  • 頼んだら直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面かメールなどで示す(電話など口頭だけでは認められない)
  • 報酬は、受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を決めて払う
  • 1か月以上の業務委託では、受領拒否や報酬の減額など7つの行為が禁じられる
  • 6か月以上の業務委託を解除したり更新しなかったりするときは、原則として30日前までに予告する

個人に業務委託するときに発注する企業がする4つの段階の図。依頼の前に範囲・期間・成果物を決める。頼んだら直ちに給付の内容・報酬の額・支払期日を書面などで示す。受け取ったら受け取った日から60日以内の支払期日に払う。6か月以上の業務委託を終えるときは30日前までに予告する。1か月以上の業務委託では受領拒否や報酬の減額など7つの行為が禁じられる。

法律の決まりに加えて、進め方の約束を最初に決めておくと、残りのデメリットも抑えやすくなります。

  • 窓口:作業の相談と確認を受ける社員を1人決める
  • 確かめ方:成果物と週ごとの報告で見て、作業の手順や時間は指定しない
  • 記録:設計の判断と作業の経緯を、社内の決まった場所に残してもらう
  • 終わり方:更新の区切りと、引き継ぎに使う期間を契約に書く

条文の読み方や、実態が雇用に当たるかどうかは、個別の契約は専門家に確認してください。発注書に書く項目は発注書のテンプレート|業務委託で明示する8項目と記入の例、受け入れの手続きは業務委託エンジニアの受け入れで決める5つの手続きにまとめています。

業務委託が向く場面と確認点

メリットが大きく出るのは、任せる範囲を区切れて、進め方を本人に任せられる場面です。

開発マネージャーとエンジニアが工程表に区切りの線を引く

  • 特定の技術を持つ人に、期間の決まった開発へ加わってほしい
  • 社員の採用が決まるまでの間、開発を止めたくない
  • 週に何日など、決まった稼働で頼める仕事がある

反対に、日々の作業を一つずつ指示しながら進めたい、中心の仕事を長く任せて知識を社内に残したい場合は、社員採用のほうが合います。数人のまとまりで加わってほしく、人を探す手間も省きたいなら、SESも比べる候補になります。

業務委託で頼むと決めたら、次の点を書き出してから相談すると、候補どうしを同じ条件で比べられます。

  • 範囲:任せる作業と受け取りたい成果物、社内に残す判断
  • 期間:始めたい時期と契約の区切り、更新の見通し
  • 体制:稼働の日数、社内の窓口、作業を確かめる人
  • 費用の決まり方:月ごとの定額か、稼働時間に応じた精算か
  • 引き継ぎ:記録の置き場所と、契約が終わる前の引き継ぎ期間

まとめ:業務委託のメリット・デメリットの比べ方

個人のエンジニアに業務委託するかを決めるときに押さえたい点は3つです。第一に、必要な技術を持つ人に必要な期間だけ頼め、雇用に伴う会社の負担がかからないというメリットを、費用と手間も含めて比べること。第二に、範囲や報酬の食い違い、細かい指示による雇用との境目、契約が終わると知識が抜ける点を、デメリットとして先に見ておくこと。第三に、条件を頼んだ時点で書面にし、進め方を本人に任せ、記録と引き継ぎの期間を契約で決めて抑えることです。

LASSICに相談するメリット

任せる作業の範囲と期間、稼働の日数を書き出しておけば、業務委託で開発に加わる専門人材を探す相談に進めます。業務委託と社員採用のどちらにするか決めきれていなくても、両方の形で候補を比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務委託のエンジニアに作業を直接指示してもよいですか

頼む範囲や成果物について話し合うことはできます。ただし作業の進め方や時間を細かく指定し続けると、実態として労働者と判断されることがあります。*1 契約の名前ではなく実態で決まるため、迷う場合は専門家に確かめてください。

業務委託と社員採用では、企業側の費用はどちらが安くなりますか

一概には言えません。社員には給与のほかに法定福利費などの会社負担がかかり、業務委託では報酬のほかに人を探す手間と契約の事務がかかります。範囲・期間・稼働をそろえた条件で比べるのが確実です。

業務委託の契約を途中で終えることはできますか

契約で決めた条件によります。従業員を使う企業が6か月以上の業務委託を解除したり更新しなかったりするときは、例外に当たる場合を除いて30日前までの予告が必要です。理由を求められたら遅滞なく示します。*1

業務委託で開発に加わる専門人材を探す

任せる範囲と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。メリットとデメリットを比べている段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(PDF)(https://www.jftc.go.jp/file/flpamph.pdf)。出典:公正取引委員会。法律上の定義(対象となる事業者・労働基準法上の労働者と判断される場合)、取引条件の明示義務(第3条)、期日における報酬支払義務(第4条)、発注事業者の禁止行為(第5条)、中途解除等の事前予告・理由開示義務(第16条)を参照(確認日2026年10月22日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果」(令和2年5月・PDF)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/freelance/dai1/siryou13.pdf)。出典:内閣官房。調査の概要(2020年2月10日〜3月6日、インターネット調査)と、フリーランスの業務従事状況・取引先とのトラブルの有無(事業者から業務委託を受けて仕事を行うフリーランス3,234名)、取引先とのトラブルの内容(1,220名、複数回答、上位6項目)を参照(確認日2026年10月22日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」3 労働費用(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou03.pdf)。出典:厚生労働省。第16表 常用労働者1人1か月平均労働費用(情報通信業)を参照(確認日2026年10月22日)(2026年10月確認)




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