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2026.10.16 採用支援コラム

業務委託と正社員の違い|企業がエンジニアを選ぶときの4つの基準

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

木目の机に無地の紙の束が2つ並び、間に鉛筆が1本。奥に開いたノートPCとマグカップ

この記事の結論

  • 業務委託と正社員は、契約の種類が違うので、仕事の期間と終わらせ方、指示の出し方、できあがったものの扱いが変わります。
  • 企業は、仕事の期間、社内に残したいもの、指示の要否、立ち上がりの速さの順に確かめると、選びやすくなります。
  • 基準ごとに答えが分かれたときは、社内に残したいものを優先し、外部に頼む場合は契約書に期間と権利と指示の窓口を書きます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

開発の人手が足りず、業務委託で外部のエンジニアに入ってもらうか、正社員を採用するかで決めきれない。業務委託のほうが早そうだが、正社員にしないと社内にノウハウが残らないのでは——。エンジニアを迎える企業では、こうした迷いが起こりがちです。業務委託と正社員の違いとは、企業から見ると、仕事を頼む相手との契約の種類が違うことで、期間の決め方、指示の出し方、できあがったものの扱いが変わることを指します。

どちらが良いかは企業ごとに違い、万能な正解はありません。ただし、仕事の期間、社内に残したいもの、指示の要否、立ち上がりの速さの4つを順に確かめれば、選びやすくなります。本記事では、エンジニアを迎える企業の実務者に向けて、業務委託と正社員の違い、4つの基準の考え方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

業務委託と正社員の違いとは

まず、契約の違いを確かめます。正社員のように雇われて働く人との契約は労働契約で、労働契約法は、労働者を「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」と定めています。*1 一方、業務委託は、民法に決まった型がある呼び名ではありません。仕事の完成を約束する請負(民法632条)か、仕事の遂行を任せる準委任(同643条・656条)の形で結ぶため、契約書でどちらかを確かめます。*2

企業から見た業務委託と正社員の違い
見るところ 業務委託 正社員
契約の種類 請負か準委任の形で結ぶ(民法) 労働契約(労働契約法)
期間と終わり 契約書で期間と作業を決め、解除や更新も契約書で定める 期間を決めない雇い方と決める雇い方があり、解雇には理由が要る
指示の出し方 決めた作業と成果物について、頼まれた側が進め方を決める 企業が業務の指示を出し、評価もする
社内に残るもの 契約書で決めた成果物と、その権利の取り決め 社員の経験と、職務で作ったものの権利

仕事の期間と社内に残すもの

1つ目は、その仕事がいつまで続くかです。終わりが見えている仕事は期間を決めて頼める業務委託と相性がよく、終わりが見えない仕事は正社員として長く関わってもらう形が向きます。

夕方のオフィスで、無地のバインダーを両手で書棚に収める。棚の端に黒い記録媒体

  • 終わりが見える仕事:システムの移行、画面の改修、テストの実施などは、業務委託を検討する
  • 毎年続く仕事:運用、保守、社内からの問い合わせ対応などは、正社員を検討する
  • 終わりがまだ見えない仕事:期間を区切って業務委託で始め、続くと分かった時点で採用に切り替える

終わらせ方の決まりも違います。正社員の解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められなければ無効とされます(労働契約法16条)。期間を決めた雇用でも、やむを得ない事由がなければ期間の途中で解雇できません(同17条)。*1 期間を決めた労働契約は、原則として3年を超えて結べません(労働基準法14条。例外あり)。*3 業務委託のうち準委任は、民法上は各当事者がいつでも解除できますが、相手に不利な時期の解除では損害賠償が必要になることがあります(同651条)。*2 実際には契約書の解除と更新の条項で決めるため、期間と終え方を先に書いておきます。

2つ目は、仕事が終わった後に社内へ何を残したいかです。次の3つに分けると決めやすくなります。

  • 判断:何を作るか、どの順で進めるかは、社内で決める
  • 知識:仕組みの記録(設計書や手順書)を、社内の置き場所に置く
  • 権利:社員が職務で作ったプログラムの著作者は、別段の定めがなければ会社です(著作権法15条2項)。*7 業務委託では、できあがったものの権利を誰が持つかを契約書に書いて決める

判断と知識を社内に残したい仕事は正社員、作業だけを任せたい仕事は業務委託が向きます。

指示の出し方で選ぶ

3つ目は、作業の進め方を企業が細かく指示したいかどうかです。正社員には企業が業務の指示を出します。業務委託では、頼まれた側が進め方を決めるのが基本なので、細かく指示したい仕事には向きません。

  • 指示を細かく出したい仕事、判断のたびに社内の担当者の確認が要る仕事:正社員を検討する
  • 目的と成果物を決めれば任せられる仕事:業務委託を検討する

外部の会社の技術者に来てもらう場合の指示の扱いは、厚生労働省の告示と疑義応答集に沿って確かめます。告示は、請負で働く人への業務の遂行方法の指示、評価、労働時間の管理、配置の決定を、請負をする会社が自ら行うことを、請負と認められる条件にしています。*4 疑義応答集では、発注者が仕事の順序や方法を指示したり、一人ひとりへの仕事の割り付けを決めたりすると、偽装請負と判断されるとしています。作業の内容や順序を文書で細かく示した場合も同じです。*5

軽微な変更でも、発注者が請負労働者に直接変更を指示すれば同様ですが、請負をする会社に説明や指示をすることは問題ないとされ、この考え方はシステム開発にも当てはまると事務連絡で示されています。*5*6 個人との契約や個別の場面は判断が分かれるため、契約書の作り方と運用は専門家に確かめてください。詳しくは「システム開発の偽装請負リスクと回避策」で扱っています。

立ち上がりの速さと選び方

4つ目は、いつから戦力になってほしいかです。業務委託は、必要な経験を持つ人を見つけて契約を結べば、募集から選考、入社の手続きを経る正社員より、動き出すまでの手順が少なくなります。ただし、動き出すまでの日数は人材の探し方や契約の内容で変わるため、いつでも早いとは言えません。

窓際のオフィスで、開いたノートPCとマウスのある席と、何も置かれていない空いた席が並ぶ

  • すぐに動かしたい、期間が決まっている仕事:業務委託を検討する
  • 社内の事情を覚えて、長く関わってほしい仕事:正社員を検討する
  • 両方に当てはまる仕事:業務委託で始め、採用を並行して進める

採用が決まるまでの間を業務委託でつなぐ進め方は、「外部人材活用を採用難のつなぎにするとき決める4つのこと」で整理しました。

迷ったときは、次の図の順に確かめます。

業務委託と正社員を選ぶ4つの質問を順に並べた図。1つ目は仕事の期間で、終わりが見えるなら業務委託、続くなら正社員を検討する。2つ目は社内に残したいもので、判断と知識と権利を残したいなら正社員、作業だけを任せたいなら業務委託を検討する。3つ目は指示の要否で、細かく指示したいなら正社員、目的と成果物で任せられるなら業務委託を検討する。4つ目は立ち上がりの速さで、すぐ動かしたいなら業務委託、長く関わってほしいなら正社員を検討する。答えが分かれたときは社内に残したいものを優先する。

答えが分かれたときは、社内に残したいものを優先して決めます。採用、育成、外部委託のどれで進めるか迷うときは「IT人材不足の対応、採用・育成・外部委託の違いと選び方」、外注していた仕事を社員に移す場合は「エンジニア採用で外注置き換え、社員化で増える手続きと契約の終え方」が参考になります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

業務委託で外部のエンジニアに頼むことにした企業は、契約書の案で次の5つを確かめます。

丸テーブルでチェック欄の紙に印を付け、向かいの担当者が次の行を手で示している

  • 期間と更新:頼む期間、延長の手順、契約を終えるときの解除の条件
  • 作業の範囲と成果物:何をいつまでに、どの形で渡してもらうか
  • 成果物の権利:できあがったプログラムや資料の権利を誰が持つか
  • 指示の窓口:誰が誰に連絡するか。依頼や変更は、外部の会社の窓口を通すか
  • 引き継ぎ:作業の記録をどこに置き、終わるときに誰へ渡すか

社員と外部で仕事をどう分けるかは「外部人材活用で採用難を補う役割分担、社員に残す3つの仕事」でまとめています。

まとめ:業務委託と正社員で確かめたい3つの点

企業が業務委託と正社員のどちらでエンジニアを迎えるかを決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、仕事の期間を見て、終わりが見える仕事は業務委託、続く仕事は正社員を検討すること。第二に、社内に残したい判断と知識と権利を決め、残したいものが多い仕事は正社員を優先すること。第三に、指示の要否と立ち上がりの速さを確かめ、外部に頼む場合は契約書に期間、権利、指示の窓口を書くことです。この3点を踏まえておけば、「業務委託で入れたのに、社内に何も残らなかった」という事態を避けやすくなります。迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

仕事の期間と、社内に残したいものを書き出すところから相談できます。書き出した内容があれば、業務委託の専門人材で進める仕事と、リモートワークの社員を採用して任せる仕事を分けて考えられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務委託と正社員を、同じ開発チームで併用してもよいですか

できます。社内に残す判断と記録は社員が持ち、期間の決まった作業を業務委託で任せるように、仕事ごとに分けると進めやすくなります。役割は契約書の作業の範囲に合わせます。

業務委託で入った人を、あとから正社員として採用できますか

本人が望み、契約で禁じられていなければ、あり得ます。外部の会社を通している場合は、直接雇うことへの取り決めが契約にあることがあるので、声をかける前に契約書を確かめます。

正社員を採るときに、企業が示すものはありますか

労働契約を結ぶときは、賃金、労働時間などの労働条件を示す必要があります。示した労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に契約を解除できます(労働基準法15条)。*3

エンジニアを業務委託で迎えるか採用するか迷うとき

仕事の期間と、社内に残したいものの書き出しからご相談いただけます。業務委託と正社員のどちらにするかが決まっていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:労働契約法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。第2条(労働者の定義)、第16条(解雇)、第17条(契約期間中の解雇等)を参照。2026年10月16日に条文を確認(2026年10月確認)
  2. *2 参考:民法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。第632条(請負)、第643条(委任)、第651条(委任の解除)、第656条(準委任)を参照。2026年10月16日に条文を確認(2026年10月確認)
  3. *3 参考:労働基準法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。第14条(契約期間等)、第15条(労働条件の明示)を参照。2026年10月16日に条文を確認(2026年10月確認)
  4. *4 参考:労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:厚生労働省。第2条第1号(業務の遂行方法・評価、労働時間、服務規律、配置の決定を請負をする会社が自ら行うこと)を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001328443.pdf)。出典:厚生労働省。問2(発注に関わる要求と直接の指示の違い)、問7(作業工程の指示)、問11(業務内容が変わった場合)を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:システム開発を請負業務とする場合の疑義応答集の取扱いについて(令和3年5月13日事務連絡)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780139.pdf)。出典:厚生労働省 職業安定局 需給調整事業課。疑義応答集の問10・問11の考え方がシステム開発の請負にも当てはまるとする回答を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:著作権法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)。第15条第2項(職務上作成するプログラムの著作物の著作者)を参照。2026年10月16日に条文を確認(2026年10月確認)




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