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Gemini API法人利用の料金の決まり方|請求とデータの扱い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Gemini APIの費用は、入口(AI StudioかVertex AIか)、モデル、処理の形の3つで単価が決まります。
- 無料枠では送った内容が製品の改善に使われるため、業務のデータは請求を有効にした有料枠で扱います。
- 前払いの残高と段階ごとの月の上限で利用が止まる仕組みを、本番の前に経理と開発で確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
「社内のシステムにGeminiを組み込みたいが、月にいくらかかるのか」「無料で試した続きで本番に使ってよいのか」——。法人利用を任された担当者は、開発と経理の両方からこう聞かれがちです。Gemini APIは、Googleの生成AIのモデルを自社のシステムから呼び出す仕組みで、使ったトークンの量に応じて料金がかかります。
ただし同じGeminiでも、Google AI Studioから使うかVertex AIから使うかで、請求の仕組みも規約も変わります。本記事では情シスや開発の責任者に向けて、費用が決まる仕組みを入口・データの扱い・単価・上限の順に、Googleの公式ページをもとに整理します。
目次
入口で変わる契約と請求
会社でGemini APIを使う入口は2つあります。Google AI Studioで発行したAPIキーから呼ぶGemini Developer APIと、Google CloudのVertex AIから呼ぶ形です。Vertex AIは現在、Gemini Enterprise Agent Platformという名前に変わっています。*8 どちらから入るかで、認証のしかた、払い方、適用される規約が変わります。
| 観点 | Google AI Studio(Gemini Developer API) | Vertex AI(Gemini Enterprise Agent Platform) |
|---|---|---|
| 認証 | プロジェクトの中で作るAPIキー | Google Cloudのサービスアカウント |
| 単価の表 | Gemini Developer APIの料金ページ | Agent Platformの料金ページ(処理する場所で単価が変わる) |
| 払い方 | 請求アカウントに前払いのクレジットを入れる形が基本 | Google Cloudの請求アカウントで払う。条件を満たせば月ごとの請求書払い |
| データの規定 | Gemini APIの追加利用規約(無料枠と有料枠で扱いが違う) | Google Cloudのサービス規約(許可なく学習に使わない) |
| 使いすぎの歯止め | 請求アカウントの段階ごとの月の上限と、プロジェクトごとの上限 | 予算のアラート(通知だけの予算では、利用は自動では止まらない) |
公式の案内では、多くの開発者はGemini Developer APIを使い、企業向けの管理が要るときにプラットフォームの側を使うとされています。保存しない取り決め(ZDR)や企業向けのデータ処理の取り決めが必要な業務は、Vertex AIを使うよう案内されています。*5 両者の料金ページの値は一致しないことがあるため、見積もりは使う入口の料金ページで行います。
無料枠と有料枠で違うデータの扱い
Gemini Developer APIには無料枠があり、一部のモデルを無償で試せます。ただし無料枠では、送った内容と生成された応答がGoogleの製品の改善に使われ、品質の確認のために人が読むこともあります。規約は、機密や個人情報を無料枠に送らないよう求めています。*2

| 観点 | 無料枠 | 有料枠 |
|---|---|---|
| 料金 | 一部のモデルの入力と出力が無料 | 使ったトークンの量に応じて払う |
| 製品の改善への利用 | 使われる | 使われない |
| 記録と人による確認 | アカウントやAPIキーと切り離したうえで読まれることがある | 不正利用の検知のために限られた期間だけ記録される |
| 使えるモデル | 一部に限られる(Gemini 4 Argonは対象外) | 最上位のモデルも使える |
| 有料扱いになる条件 | ― | 有効な請求アカウントにつながるCloudプロジェクトから呼ぶ |
AI Studioの画面での利用も、有効な請求アカウントのあるプロジェクトにアクセスできるアカウントや、Workspaceの企業向けアカウントで使うなら有料サービスとして扱われます。法人利用では、業務のデータを流すプロジェクトは請求を有効にし、無料枠のキーを本番に使わない決まりを先に作ります。ほかに確かめたい点は次のとおりです。
- ログの機能:請求を有効にしたプロジェクトで自社用に記録でき、保存は最長55日(7・14・28・55日から選ぶ)。記録をデータセットとしてGoogleに共有すると、無料枠と同じ扱いになる*4
- Google検索による根拠づけ:使うと入力と出力が30日間保存され、止められない*5
- 社内の規程:送ってよい情報の区分を決めておく。規程づくりは生成AI利用規程の策定で扱っています
単価はモデルと処理の形で変わる
有料枠で請求されるのは、入力のトークン数、出力のトークン数、キャッシュしたトークン数、キャッシュを保管した時間です。*3 単価は100万トークンあたりの米ドルで、出力の単価には回答の前に考える過程のトークンも含まれます。主なモデルの標準の単価は次のとおりです。*1
| モデル | 入力 | 出力 | 改定の予定 |
|---|---|---|---|
| Gemini 4 Argon | 2.00ドル | 10.00ドル | 2026年12月1日から入力4.00ドル・出力20.00ドル |
| Gemini 3.8 Flash | 0.75ドル | 3.75ドル | 2027年1月1日から入力1.50ドル・出力7.50ドル |
表は2026年10月26日に公式の料金ページで確かめた値で、どちらも期限つきの単価です。単価は変わることがあり、規約では改定は原則として掲載から30日後に有効になるとされています。*2 同じモデルでも、処理の形や使う道具で金額が変わります。
- BatchとFlex:急がない処理の形で、単価は標準の半額
- Priority:優先して処理する形で、単価は標準の1.8倍
- Google検索による根拠づけ:Gemini 3以降のモデルで月5,000回まで無料、超えると1,000回あたり14ドル*1
- Vertex AIの処理する場所:Global以外の地域を指定すると、入力と出力の単価が1.1倍*7
例として、仮にGemini 3.8 Flashの標準で入力500万トークン、出力50万トークンを使うと、入力3.75ドルと出力1.875ドルで合計5.625ドルです。2027年1月以降は同じ量で11.25ドルになるため、年をまたぐ見積もりは改定後の単価でも計算しておきます。トークン課金のシステムを組むときの一般的な流れはLLM API連携開発を外注する手引きで扱っています。
請求アカウントの段階と月の上限
Gemini Developer APIの支払いは、Google Cloudの請求アカウントで扱います。新しく始める場合は前払いが基本で、クレジットは1回5ドルから買え、残高は5,000ドルまでです。買ったクレジットは12か月で失効し、後払いへ切り替える場合を除いて返金されません。*3

| 段階 | 上がる条件 | 月の上限 |
|---|---|---|
| Free | 有効なプロジェクトか無料トライアル | ― |
| Tier 1 | 有効な請求アカウントを紐づける | 250ドル |
| Tier 2 | 累計100ドルを支払い、初回の支払いから3日 | 2,000ドル |
| Tier 3 | 累計1,000ドルを支払い、初回の支払いから30日 | 20,000〜100,000ドル |
上限に達すると、その請求アカウントにつながるすべてのプロジェクトが翌月1日まで止まります。前払いの残高が0になったときも、同じ請求アカウントのすべてのAPIキーが同時に使えなくなります。*3 法人利用で気をつけたいのは次の点です。
- 部署ごとの上限:プロジェクトごとに月の上限を決められるが、試験的な機能で、約10分の反映の遅れで超えることがある
- 無料トライアルのクレジット:2026年3月2日以降に開いた請求アカウントの300ドル分は、Gemini APIの支払いに使えない
- 請求書払いとの関係:月ごとの請求書払いのアカウントでは、前払いもプロジェクトの上限も使えない*3
- Vertex AIの側:請求書払いは1年以上の事業登録や年40,000ドル以上の利用見込みなどが条件で、通知だけの予算では利用は止まらない*10
外部に頼むときに確認しておきたい点
Gemini APIを業務システムに組み込む開発や、請求と上限の設計を外部に頼むときは、次の項目を先にそろえておくと見積もりを比べやすくなります。
- 範囲:組み込みの開発、入口の選定と請求アカウントの設計、利用額の見える化のどこまでを頼むか
- 期間:開発の期間と、単価の改定や上限の見直しに付き合う運用の期間を分けて伝える
- 体制:請求アカウントの管理者を社内に置き、外部の担当者にどのプロジェクトの権限を渡すか
- 費用の決まり方:開発費とGeminiの利用料を分けるか、利用料をどちらの請求アカウントで払うか
- 引き継ぎ:APIキーやサービスアカウントの持ち主、上限の設定値、入口とモデルを選んだ理由を文書で残すか
請求アカウントは自社で持ち、外部の担当者にはプロジェクトの単位で権限を渡すと、契約後も支払いの判断を社内に残せます。
まとめ:Gemini API法人利用の費用の要点
Gemini APIの法人利用で費用を決める要素は3つです。第一に、Google AI StudioとVertex AIのどちらから使うかで、単価の表、払い方、規約が変わること。第二に、無料枠と有料枠ではデータの扱いが違い、業務のデータは有料枠で扱う必要があること。第三に、モデルと処理の形で単価が変わり、前払いの残高や段階ごとの月の上限で利用が止まることです。入口の選び方や請求の設計に迷うときは、外部の手を借りるのも一つの方法です。
よくある質問
社員がAI Studioの画面で試すだけでも料金はかかりますか
AI Studioの画面の利用は無料です。ただし有料のプロジェクトのAPIキーをつないで使うと、そのキーの分は料金がかかります。有料と無料のプロジェクトは、それぞれのAPIキーで切り替えられます。
Google Cloudの無料トライアルのクレジットで払えますか
払えません。2026年3月からGemini APIの利用料は、Google Cloudの無料トライアルの300ドルの対象から外れています。Gemini APIの支払いには、前払いで買ったクレジットなどを使います。
失敗したリクエストにも料金はかかりますか
Gemini Developer APIでは、400番台や500番台のエラーで失敗したリクエストのトークンは請求されませんが、利用の枠には数えられます。Vertex AIの側では、成功の応答(200)を返したリクエストだけが請求されます。
Gemini APIを組み込むシステム開発のご相談
Gemini APIの組み込みから請求と上限の設計、運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Google AI for Developers「Gemini Developer API pricing」(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing)。出典:Gemini 4 ArgonとGemini 3.8 Flashの標準・Batch・Flex・Priorityの単価と改定の予定、出力の単価に考える過程のトークンを含むこと、無料枠と有料枠の製品の改善への利用、Gemini 4 Argonが無料枠の対象外であること、Google検索による根拠づけの料金、Agent Platformの料金と異なり得ることの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *2 参考:Google AI for Developers「Gemini API Additional Terms of Service」(https://ai.google.dev/gemini-api/terms)。出典:無料のサービスと有料のサービスでのデータの扱い、人による確認、機密や個人情報を送らないこと、有料サービスとして扱われる条件、不正利用の検知のための記録、料金の改定が掲載から30日後に有効になることの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *3 参考:Google AI for Developers「Billing」(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/billing)。出典:請求の対象、段階ごとの条件と月の上限、前払いの最低額と上限額、12か月での失効と返金、残高0や上限到達での停止、プロジェクトの上限の遅れ、請求書払いのアカウントで使えない機能、無料トライアルのクレジットの扱い、AI Studioの料金、失敗したリクエストの扱いの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *4 参考:Google AI for Developers「Data logging and sharing」(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/logs-policy)。出典:請求を有効にしたプロジェクトのログ、最長55日の保存と選べる期間、データセットを共有したときの扱いの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *5 参考:Google AI for Developers「Zero data retention in the Gemini Developer API」(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/zdr)。出典:ZDRや企業向けのデータ処理の取り決めが必要な場合はVertex AIを使う旨、Google検索による根拠づけで30日間保存され止められないことの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *6 参考:Google AI for Developers「Gemini Developer API vs. Gemini platform」(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/migrate-to-cloud)。出典:多くの開発者はGemini Developer APIを使い企業向けの管理が要るときにプラットフォームを使う旨、移行ではサービスアカウントで認証することの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *7 参考:Google Cloud「Agent Platform Pricing」(https://cloud.google.com/vertex-ai/generative-ai/pricing)。出典:Global以外の地域の単価(例:Gemini 3.8 Flashの入力0.75ドルに対し0.825ドル)、200の応答だけを請求することの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *8 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform name changes」(https://docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform/vertex-ai-name-changes)。出典:Vertex AI PlatformがGemini Enterprise Agent Platformに名前を変えたことの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *9 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform and zero data retention」(https://cloud.google.com/vertex-ai/generative-ai/docs/data-governance)。出典:許可や指示なくデータをモデルの学習に使わないことの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *10 参考:Google Cloud「Apply for monthly invoiced billing」(https://cloud.google.com/billing/docs/how-to/invoiced-billing)。出典:Google Cloudのプロジェクトは請求アカウントで払うこと、月ごとの請求書払いの条件(1年以上の事業登録、年40,000ドル以上の利用見込みなど)の記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)
- *11 参考:Google Cloud「Create, edit, or delete budgets and budget alerts」(https://cloud.google.com/billing/docs/how-to/budgets)。出典:通知だけの予算は利用や請求を自動では止めないことの記述を参照(2026年10月26日確認)(2026年10月確認)