LASSIC Media らしくメディア
オファーレターのテンプレート|エンジニア中途採用の項目と記入例
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- オファーレターは内定と条件の全体像を伝える書面で、法令が書面での明示を求める事項は労働条件通知書に載せて同時に渡します。
- ひな形は役割・等級・年収の内訳・勤務地とリモート・入社日・回答期限など10項目で、年収は月給の内訳まで分けます。
- 在宅勤務は就業の場所と変更の範囲に自宅を含めて書き、渡す前に通知書や求人票と食い違いがないかを確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニアの中途採用で内定を出すとき、オファーレターに何を書けばよいか、労働条件通知書と何が違うのかで手が止まることがあります。年収の総額だけを書いた1枚で済ませると、手当や賞与の扱い、在宅勤務の日数が候補者に伝わらず、通知書との食い違いも起きやすくなります。
本記事は、エンジニアを採る企業の採用担当者と開発マネージャに向けて、オファーレターの項目のテンプレートを、書く中身・記入の例・よくある抜けの表で示します。労働条件の明示の決まりは、労働基準法と施行規則の条文、厚生労働省のモデル様式とパンフレットで確かめられることだけを書きます。
目次
オファーレターと労働条件通知書の違い
労働基準法第15条は、使用者が労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう求めています。賃金や労働時間など厚生労働省令で定める事項は、省令で定める方法で明示します。*1 一方、オファーレターという名前の書面の定めは、労働基準法にも施行規則にもありません。
そこで本記事では、2つの書面の役目を次のように分けます。オファーレターで条件の全体像を伝え、書面で明示すべき事項は労働条件通知書で漏れなく示す分け方です。
| 書面 | 法令での位置づけ | 役目 | 主に載せる中身 |
|---|---|---|---|
| オファーレター | 労働基準法と施行規則に、この名前の書面の定めはない | 内定を伝え、条件の全体像を示して承諾の返事をもらう | 役割・等級・年収の内訳・リモート・入社日・回答期限 |
| 労働条件通知書 | 労働基準法第15条と施行規則第5条が求める労働条件の明示に使う | 契約の条件を、書面で明示すべき事項まで漏れなく示す | 契約期間、就業の場所と業務(変更の範囲を含む)、労働時間と休日、賃金の決め方と支払い、退職 |
施行規則第5条は、書面で明示する事項を、契約期間、就業の場所と従事すべき業務、始業と終業の時刻や休日、賃金の決定・計算・支払いの方法、退職に関する事項としています(昇給を除く)。*2 厚生労働省のモデル様式は、労働条件の定め方によっては様式どおりにする必要はないとしています。*3 1通にまとめる場合も、これらの事項が欠けていないかを確かめます。
オファーレターの項目のテンプレート
オファーレターの項目は次の10個です。記入の例は、業務システムの開発チームにエンジニアを1人迎える場面を想定しています。〇〇の部分は自社の内容に置き換えてください。

| 項目 | 書く中身 | 記入の例 | よくある抜け |
|---|---|---|---|
| 宛名・日付・発行者 | 候補者の氏名、発行日、条件を決める権限のある人の職と氏名 | 〇〇 〇〇 様/〇年〇月〇日/代表取締役 〇〇 〇〇 | 採用担当者の名前だけで、誰の決定か分からない |
| 職種と役割 | 入社後に担う役割と、最初に入るチーム | 〇〇システムの開発チームで、サーバ側の設計と実装を担当 | 「エンジニア」とだけ書いて終わる |
| 等級 | 社内の等級と、その等級に求める役割の段階 | 技術職 〇等級(チームの技術的な判断を担う段階) | 等級の名前だけで、何段階のどこか分からない |
| 年収の内訳 | 月給の内訳と賞与の見込みを分け、合計を添える | 月給〇〇万円(基本給〇〇万円・〇〇手当〇万円)、賞与 年〇回 | 年収の総額だけを書く |
| 勤務地とリモート | 雇入れ直後の勤務地と変更の範囲、在宅勤務の扱い | 〇〇オフィス及び自宅(出社は週〇日) | 在宅勤務を面接で口頭で伝えただけにする |
| 勤務時間 | 始業と終業、フレックスタイム制の有無、残業の有無 | フレックスタイム制(コアタイム〇時〜〇時)、残業あり | 残業の有無を書かない |
| 入社日 | 入社予定日と、ずらせる幅 | 〇年〇月〇日(〇月〇日までの範囲で相談可) | 候補者の退職の時期を聞かずに決める |
| 試用期間 | 期間の長さと、期間中に変わる条件 | 入社日から〇か月(期間中の条件の変更なし) | 期間中だけ違う条件があるのに書かない |
| 回答期限と回答方法 | 返事の期限、承諾の伝え方、延長を相談する窓口 | 〇年〇月〇日までに承諾書を返送/延長の相談は人事部 〇〇 | 期限だけを書き、延長の相談先を書かない |
| 同封する書面 | 労働条件通知書と、就業規則を確認できる場所 | 労働条件通知書(別紙)、就業規則は〇〇で閲覧可 | 労働条件通知書を後日渡しにする |
発行者は、条件を決める権限のある人にします。モデル様式の記載要領も、労働条件通知書は労働条件の決定について権限をもつ者が作成し、本人に交付するとしています。*3 オファーレターの条件の詳しい決め方や、内定前に幅を伝える時期は「エンジニア中途採用の内定辞退を防ぐ条件提示」で扱っています。
年収の内訳と等級の書き方
年収は、労働条件通知書の賃金欄と同じ区切りで書くと、2つの書面を並べたときに食い違いを見つけやすくなります。モデル様式の賃金欄には、基本賃金、就業規則に規定されている賃金等級等、諸手当、割増賃金率、昇給、賞与、退職金などの欄があります。*3
| モデル様式の欄 | オファーレターでの書き方 |
|---|---|
| 基本賃金 | 月給の額と、そのうちの基本給を分けて書く |
| 就業規則に規定されている賃金等級等 | 等級の名前と、社内の何段階のどこかを書く |
| 諸手当の額又は計算方法 | 手当の名前と額を1つずつ書く。固定残業代を払うなら何時間分かも書く |
| 昇給 | 時期と決まり方を書く |
| 賞与 | 年の回数と決まり方を書き、額は見込みであることを添える |
昇給は書面で明示する事項から外れており、賞与は制度を設けている場合に明示する事項です。*2 賞与を年収の合計に含めるなら、額が変わりうる見込みであることと、何で決まるかを添えます。合計の数字だけが独り歩きすると、入社後の最初の給与明細で受け取り方が変わります。
等級は、社内の呼び方だけでは候補者に伝わりません。何段階のうちどこにあたり、その等級でどんな役割を任せるのかを1行で書きます。職種とレベルごとの年収の決め方は「エンジニア中途採用の年収条件」を参照してください。
リモート・入社日・回答期限の書き方
エンジニアの候補者が条件を比べるときに確かめたい点として、在宅勤務の扱い、入社日、回答期限の3つは書き方を決めておきます。

- リモート:在宅勤務を雇入れ直後から行うなら就業の場所に、契約期間中に行うことが想定されるなら変更の範囲に、自宅など在宅勤務ができる場所を含めて書く*4
- 入社日:入社予定日と、ずらせる幅を書く。候補者が今の勤め先に退職を申し出る時期を面接で聞いてから決める
- 回答期限:日付で書き、延長を相談できる窓口を添える。期限を設ける理由があれば1文で書く
厚生労働省のパンフレットは、テレワークの場所を明示する記載例として、雇入れ直後の就業の場所に事務所と労働者の自宅を並べ、変更の範囲に会社の定める場所(テレワークを行う場所を含む)と書く形を示しています。*4 就業場所の書き方の詳細は「リモート採用の勤務条件」で扱っています。
入社日は、今の勤め先との話し合いが長引くと動きます。オファーレターには相談できる幅を書いておくと、候補者が退職の申し出の時期を決めやすくなります。内定の辞退や退職の予告については「エンジニア中途採用の内定辞退、民法は誰に予告を求めるか」を参照してください。
通知書とそろえる確認と外部に頼める範囲
オファーレターと労働条件通知書を渡す前に、2つの書面の対応する欄を並べて読み合わせます。
読み合わせでは、次の点もあわせて確かめます。
- 実態と合っているか:明示した労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に労働契約を解除できる*1。施行規則も、明示する労働条件を事実と異なるものとしてはならないとしている*2
- 求人票と変わった点:募集のときに示した業務の内容や賃金などを変える場合は、変更する内容を明示する*5
- 渡し方:書面の交付が原則。電子メールで送るのは候補者が希望した場合で、出力して書面にできるものに限る*2
- 承諾の記録:労働契約の内容は、できる限り書面で確認するものとされている*6。承諾書か返信のメールを残す
テンプレートを埋めても、条件に合う候補者が見つからなければ内定までたどり着きません。外部に相談するときは、オファーレターの役割・等級・勤務地とリモートの欄をそのまま渡すと話が早く進みます。
- 候補者探し:在宅勤務を前提にした社員の候補者を探す
- つなぎの体制:社員の入社日までの間、業務委託の専門人材に作業の一部を頼む
- 条件の書き方:明示の決まりで判断に迷う点は、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめる
まとめ:オファーレターのテンプレートの使い方
オファーレターは、内定を伝えて条件の全体像を示す書面です。労働基準法と施行規則が書面での明示を求める事項は労働条件通知書に載せ、2つを同時に渡します。テンプレートは宛名と発行者、職種と役割、等級、年収の内訳、勤務地とリモート、勤務時間、入社日、試用期間、回答期限、同封する書面の10項目で、年収は通知書の賃金欄と同じ区切りで月給の内訳まで書きます。在宅勤務は就業の場所と変更の範囲に自宅を含めて書き、渡す前に通知書や求人票と食い違いがないかを確かめます。
よくある質問
オファーレターは法律で渡す義務がありますか
労働基準法と施行規則に、オファーレターという書面の定めはありません。求められているのは労働条件の明示で、賃金や労働時間など省令で定める事項は書面の交付などで示します。
オファーレターと労働条件通知書を1通にまとめてもよいですか
厚生労働省のモデル様式は、労働条件の定め方によっては様式どおりにする必要はないとしています。1通にする場合は、施行規則第5条で書面での明示が求められる事項が欠けていないかを確かめます。
回答期限は何日くらいにすればよいですか
法令に決まった日数はありません。在職中の候補者は今の勤め先との話し合いを並行して進めるため、期限は日付で書き、延長を相談できる窓口と期限を設ける理由を添えます。
オファーレターを渡せる候補者を探す
任せる役割と勤務地・リモートの条件が決まっていれば、そのままご相談いただけます。社員で採るか業務委託で補うかを決めかねている段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:労働基準法 第15条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。労働条件の明示を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *2 参考:労働基準法施行規則 第5条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。明示すべき労働条件、書面で明示する事項と方法を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html)。出典:厚生労働省。令和8年10月1日以降に使う様式(PDF)の賃金欄と記載要領を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *4 参考:厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298244.pdf)。出典:厚生労働省。就業場所・業務の変更の範囲とテレワークの記載例を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *5 参考:職業安定法 第5条の3(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。労働条件等の明示(第3項)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *6 参考:労働契約法 第4条(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。労働契約の内容の理解の促進を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)