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エンジニア中途採用の採用スケジュール、4月入社に合わせる組み方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 情報通信業の入職率は2026年4月に6.42%で、2025年5月から2026年3月までの各月の0.85〜1.67%を大きく上回りました。
- 4月の入職には新卒や社内の異動も含まれるので、中途で入るエンジニアの受け入れ担当は新卒研修の担当とは別の人にします。
- 採用スケジュールは、自社の過去の採用で各工程にかかった日数と、候補者の賞与の支給日や退職を申し出る時期をもとに組みます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
新年度から始まる開発に間に合うよう、中途のエンジニアにも4月に入社してほしい。けれども、いつ求人を出し、いつまでに内定を出せばよいのかが決まっていない——。エンジニア中途採用の現場では、入社日だけが先に決まり、そこまでの段取りが後回しになることが起こりがちです。4月入社の採用スケジュールとは、4月の入社日を起点に、募集の開始から受け入れの準備までの工程を、誰がいつまでに終えるかを決めた計画のことです。
4月入社に合わせると、年度の予算や新しいプロジェクトの開始と入社日をそろえやすくなります。ただし万能ではなく、4月は新卒の入社や社内の異動が重なる月でもあります。本記事では、開発の現場を回しているマネージャーに向けて、4月に入職が集まる様子を統計で確かめたうえで、採用スケジュールの組み方、候補者の側の事情、そしてつまずきやすい点を整理します。
目次
4月入社を選ぶ理由
中途採用は時期を問わず行えますが、事業年度を4月から翌年3月までとしている会社では、4月入社を目標に置くことにいくつかの利点があります。一つ目は予算です。採用した人の人件費を新年度の予算に最初から入れておけば、年度の途中で追加の承認を取る手間がかかりません。二つ目は仕事の割り当てです。新年度に始まる開発に最初から加わってもらえば、入社した人の担当を決めやすくなります。
三つ目は受け入れの手間です。4月には新卒や異動してきた社員も加わるため、就業規則や情報セキュリティの説明、パソコンや社内システムのアカウントの準備を、まとめて行えます。一方で、4月入社に強くこだわると、条件に合う候補者が別の時期に見つかっても、入社日が合わないという理由で見送ることになりかねません。4月入社は目標として置き、候補者によっては別の入社日も選べるようにしておくのが現実的です。
4月に入職する人はどのくらい多いのか
月ごとの入職の多さは、厚生労働省の毎月勤労統計調査で確かめられます。常用労働者5人以上の事業所を対象に、賃金や労働時間とあわせて雇用の動きを毎月調べている統計です。この調査の入職率は、前の月の末に働いていた人100人に対して、その月に何人が新しく入ったかを示す値です。*1
情報通信業の入職率は、2026年4月に6.42%でした。*1 2025年5月から2026年3月までの11か月は、いちばん高い2025年7月でも1.67%、いちばん低い2025年12月は0.85%です。*2 前の年の2025年4月も6.27%で、*2 2年続けて4月は6%を超えています。
全産業を合わせた値でも、2026年4月の入職率は5.31%でした。*1 情報通信業の4月の値はこれより1.11ポイント高く、パートタイム労働者を除くと6.55%です。*1 エンジニアが多く働く業種では、4月に人が入ることが、他の業種以上に集中しているといえます。
ただし、この統計は業種ごとの集計で、エンジニアという職種だけを取り出したものではありません。情報通信業には、ソフトウェアを作る会社のほか、通信や放送、インターネットのサービスを提供する会社も含まれます。自社の採用の計画に当てはめるときは、業種全体の傾向として読んでおくのが適切です。
4月の入職者に含まれる人
4月の入職率が高いのは、中途で転職してくる人が4月に集まっているからだとは言い切れません。この調査は、入職者を新卒と中途に分けて集計していないためです。さらに、入職者には「同一企業内での事業所間の異動者を含む」とされています。*1 本社から支社への配置換えのように、同じ会社の中で勤める事業所が変わった人も、移った先の事業所では入職者として数えられます。
4月は、出ていく人も多い月です。情報通信業の離職率は、2026年3月の1.36%に対して、4月は3.15%でした。*1*2 離職者にも異動者が含まれるため、4月は、新卒の入社、中途の入社、社内の配置換えが同時に起きる月だと考えておくとよいでしょう。
受け入れる側から見ると、この重なりには注意が要ります。新卒の研修を担当する社員や、異動してきた人に仕事を教える社員は、4月の前半に予定が埋まることがあります。中途で入るエンジニアに付き添う社員を決めていなかったため、入社した人が数日間、何をすればよいか分からないまま過ごすということも起こります。受け入れ担当は、新卒研修の担当とは別の人を、入社日より前に決めておきます。
受け入れの中身も分けて考えます。就業規則や情報セキュリティの説明は、新卒と一緒に受けてもらって構いません。一方、開発環境の権限の申請、担当するシステムの資料の準備、最初に任せる作業の選定は、配属先の開発チームが中途のエンジニア向けに用意します。どちらを誰が準備するかを、採用スケジュールの中に工程として書いておくと、準備の漏れを防げます。
採用スケジュールの組み方
4月入社の採用スケジュールは、入社日から前にさかのぼって、工程を順に並べると組みやすくなります。並べる工程は、おおむね次のとおりです。
- 入社日、配属先のチーム、最初に任せる作業を決める(開発の責任者)
- 採用要件と面接の評価基準を決める(開発の現場と人事)
- 求人を公開し、応募を受け付ける(人事)
- 書類選考と面接を行う(開発の現場と人事)
- 内定を出し、労働条件を示す(人事)
- 候補者が現職の退職手続きと引き継ぎを行う(候補者)
- パソコン、アカウント、開発環境の権限、最初の作業の資料を用意する(配属先のチーム)
それぞれの工程にかかる日数は、会社によっても候補者によっても違います。そのため、一般的な目安の値を借りるより、自社の過去のエンジニア中途採用の記録から、求人の公開から最初の面接まで、最初の面接から内定まで、内定から入社までに何日かかったかを拾い出し、その日数で並べるほうが実際に近い計画になります。記録が少ないときは、直近に採用した人の実績を1件ずつ並べるだけでも手がかりになります。
日数を並べたら、各工程に担当者と締め切りの日付を書き込みます。とくに面接は、面接する社員の予定が埋まっていると、それだけで工程が遅れます。年度末の2月から3月に面接が入る計画なら、面接官を務める社員の予定を先に確保しておくと進めやすくなります。選考そのものにかける期間の考え方は「エンジニア中途採用の選考期間、入社時期と分けて日程を決める」で、退職者の後任を採るときの日程は「エンジニア中途採用の欠員補充|退職日から逆算する後任の採用日程」で扱っています。
計画は1本だけでなく、4月1日に入社できた場合と、候補者の事情で入社が遅れた場合の2つを用意しておきます。遅れた場合に、新年度の開発の最初の作業を誰が担うかまで決めておけば、入社日がずれても開発は止まりません。
候補者の側の事情
採用スケジュールは、採用する側だけでは決まりません。在職中の候補者は、内定を受けたあとに現職へ退職を申し出て、担当している仕事を引き継ぐ必要があります。退職を申し出る時期を就業規則で定めている会社もあるため、候補者がいつ退職できるかは、候補者の勤め先の事情でも変わります。
4月入社の選考は、年末の賞与の支給時期とも重なります。毎月勤労統計調査の年末賞与は、2025年11月から2026年1月までに賞与として支給された給与を集計したものです。*3 情報通信業では、事業所の80.4%が2025年の年末賞与を支給しており、支給した事業所での支給額は、毎月決まって支払われる給与の1.35か月分でした。*3 候補者によっては、賞与の支給を受けてから退職を申し出る予定を立てていることがあります。
そこで、面接の段階で、現職の賞与の支給日、退職を申し出る予定の時期、引き継ぎにかかる期間の見込みを候補者に尋ねておきます。聞いた内容は、そのまま採用スケジュールの「内定から入社まで」の工程に反映します。候補者の事情を聞かずに入社日を4月1日と決めてしまうと、内定のあとで入社日を動かす交渉が必要になり、候補者との間に食い違いが生まれやすくなります。
候補者の側でも、年度末は引き継ぎの作業が増える時期です。入社日を決めるときは、候補者から見て無理のない日かどうかも一緒に確かめます。条件を示す書面に入社日を書く前に、候補者と日付を口頭で合わせておくと、あとから変更することを減らせます。
つまずきやすい点
一つ目は、要件が決まらないまま年明けを迎えることです。採用要件と面接の評価基準が決まっていないと、求人を公開できず、その後の工程がすべて後ろにずれます。4月入社を目標にするなら、最初に決めるのは、どのシステムのどの作業を任せるかです。任せる作業が決まれば、求める経験と面接で確かめる内容も決めやすくなります。
二つ目は、4月1日という日付に固定しすぎることです。候補者の退職の都合で入社が4月の半ばや5月になることもあります。月の途中の入社でもアカウントや開発環境を用意できるよう、準備の手順を「入社日の前日までに」「入社日の当日に」のように入社日を起点にして書いておくと、入社日の変更に対応しやすくなります。
三つ目は、4月の受け入れの負担を見落とすことです。受け入れ担当が新卒研修も兼ねていると、中途で入ったエンジニアへの説明が後回しになります。4月に受け入れる人数と、教える側の社員の予定を並べて確かめておきます。
四つ目は、採用が4月に間に合わなかったときの代わりの手段を決めていないことです。新年度の開発が採用の決まる前に始まる場合は、社内の分担の見直しのほかに、業務委託で開発に加わる専門人材に一時的に作業を任せる方法もあります。その場合は、任せる作業、期間、成果物を先に書き出しておくと、社員が入社したあとの引き継ぎも進めやすくなります。
まとめ:4月入社で確かめておきたい3つの点
エンジニア中途採用を4月入社に合わせるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、4月は新卒の入社や社内の異動が重なる月だと考え、中途で入るエンジニアの受け入れ担当を新卒研修の担当とは別の人にし、最初に任せる作業も入社前に決めておくこと。第二に、採用スケジュールの工程ごとの日数を、自社の過去の採用の記録から拾い、担当者と締め切りを書き込むこと。第三に、候補者の賞与の支給時期や退職の手続きを面接の段階で尋ね、入社日に反映することです。この3点を踏まえておけば、「内定は出せたのに、4月に入社してもらえず新年度の開発に間に合わなかった」という事態を避けやすくなります。採用の段取りや、採用が決まるまでの開発の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
4月入社の中途採用は、いつから準備を始めればよいですか
決まった時期はありません。自社の過去の採用で、求人の公開から入社までの各工程に何日かかったかを合計し、4月の入社日からさかのぼって開始日を決めます。採用要件づくりに時間がかかる会社は、その日数も含めて計算します。
中途採用の入社日を、4月1日以外にしてもよいですか
問題ありません。4月の半ばや月末、5月の入社でも受け入れられるように準備しておけば、候補者の退職の都合に合わせられます。入社日は、候補者と口頭で合わせてから、労働条件を示す書面に書くと食い違いを防げます。
中途のエンジニアにも、新卒と同じ研修を受けてもらうべきですか
全社共通の内容だけを一緒に受けてもらうと進めやすくなります。就業規則や情報セキュリティの説明は共通にし、開発環境の使い方や担当するシステムの説明は、配属先のチームが中途のエンジニア向けに用意します。
情報通信業で4月に入職する人は、ほかの月と比べてどのくらい多いですか
毎月勤労統計調査では、情報通信業の入職率は2026年4月が6.42%で、2025年5月から2026年3月までは0.85〜1.67%でした。*1*2 ただし、この値には新卒や社内の異動者も含まれます。*1
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任せる作業の整理と、採用スケジュールの組み立てからご相談いただけます。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年4月分結果確報」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2604r/2604r.html)。出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年4月分結果確報」。第3表 常用雇用及び労働異動率(事業所規模5人以上、情報通信業・調査産業計の入職率と離職率)と、概況の用語の注(入職(離職)率の定義)を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査)結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html)。出典:同調査の月別結果の一覧。令和7年4月分から令和8年3月分までの各月確報の第3表 常用雇用及び労働異動率(事業所規模5人以上、情報通信業の入職率と離職率)を参照(2026年9月確認)
- *3 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年2月分結果速報及び令和7年年末賞与の結果」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2602p/2602p.html)。出典:同調査の特別集計「2025(令和7)年年末賞与の支給状況」表2(事業所規模5人以上、情報通信業の支給事業所数割合と、きまって支給する給与に対する支給割合)と、年末賞与の集計対象の説明を参照(2026年9月確認)