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2026.09.29 採用支援コラム

エンジニア採用で外注置き換え、社員化で増える手続きと契約の終え方




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 外注していた仕事を社員に移すときは、年間を通じて一定の量があり、社内の判断が要る仕事から始めます。
  • 雇うと、労働条件の書面での明示や労働時間の状況の把握など、会社が行う手続きが増えます。
  • 委託契約の終了は社員が委託先から仕事を引き継いだ後にし、解約や採用の条項は各契約で確かめます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

委託先に任せてきた保守や改修を、そろそろ自社の社員で担当したい。けれども、採用した人に何を任せ、委託契約をいつ終えればよいのかが決まらない——。開発や運用を長く外部に委託してきた会社では、こうした迷いが起こりがちです。外注置き換えの社員化とは、業務委託の契約で頼んでいた仕事を、エンジニア採用で雇った社員に担ってもらうことを指します。

社員化は、仕事の中身やこれまでの経緯を社内に残したいときに使いどころのある方法です。ただし万能ではなく、雇うと会社が行う手続きが増え、委託先との契約の終え方も考えなければなりません。本記事では、開発の現場を担当するマネージャーに向けて、置き換える仕事の選び方、雇うと増える手続き、採用する人に示す業務、委託契約の終え方と引き継ぎ、そして委託先の技術者を採用するときに確認したい点を整理します。

灰色のジグソーパズルのピースが散らばった上に、はまり合ったオレンジ色のピースが2つ置かれた写真

外注置き換えの社員化とは

業務委託と雇用では、仕事を頼む相手との契約が違います。業務委託では、発注する会社が委託先の会社と契約を結び、委託先が、自分たちが雇う技術者に作業を割り当てて仕事を進めます。発注する会社が受け取るのは、成果物や作業の報告です。技術者に給与を払い、働く時間を管理するのは委託先です。

雇用では、会社が働く人本人と労働契約を結びます。労働契約法は、労働契約が「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定めています。*1 社員化すると、仕事の指示も、働く時間の管理も、賃金の支払いも自社が担うことになります。

置き換えの対象になりやすいのは、保守の問い合わせへの対応、定期的な機能の改修、障害が起きたときに最初に原因を調べる作業のように、委託先に何年も続けて頼んできた仕事です。委託を始めたときの担当者が社内にいなくなり、仕様の経緯を知っているのが委託先の技術者だけになっていると、社員化を考えるきっかけになります。

置き換える仕事の選び方

すべての仕事を一度に社員へ移す必要はありません。委託していた仕事を並べて、社員化を先に進めたい仕事から選びます。目安になるのは次の3つです。

  • 年間を通じて一定の量がある仕事(毎月の保守、定期的な改修など)
  • 業務の知識や社内の判断が要る仕事(改修の優先順位を決める、利用部門と要件をすり合わせるなど)
  • 委託先の特定の技術者1人しか中身を知らない仕事

反対に、委託のまま残しやすいのは、リリース前や大きな改修のときだけ作業量が増える仕事や、年に数回しか発生しない専門の作業です。社員を雇うと、忙しい時期にだけ人数を増やすことはできません。時間外労働で対応するにも上限があり、労使で結ぶ協定(36協定)で延ばせる時間は、原則として1か月45時間・1年360時間までです。*2

選ぶときは、委託先から届いている作業の報告を1年分並べ、月ごとの作業時間と作業の中身を書き出すと判断しやすくなります。毎月ほぼ同じ時間がかかっている作業は、社員が担当するのに向いています。特定の月にだけ時間が増えている作業は、社員が担う分と委託に残す分に分けて考えます。

社員に移す仕事と委託を続ける仕事を、数年先までの計画として分ける方法は「エンジニア採用による外注依存の脱却計画、仕事を分けると進めやすい」で扱っています。本記事では、置き換える仕事が決まった後の、雇う準備と委託契約の終え方を中心に見ていきます。

雇うと増える手続き

委託しているあいだは、技術者の労働条件や労働時間の管理は委託先の仕事でした。社員化すると、同じことを自社が法令に沿って行います。主な手続きを表にまとめました。

社員化すると自社が行う主な手続き
手続き 行うこと 根拠
労働条件の明示 労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を示す。契約期間、就業の場所と業務、始業と終業の時刻、賃金、退職などは書面で示す 労働基準法第15条、同法施行規則第5条
時間外労働の協定 1日8時間・1週40時間を超えて働いてもらう場合は、労使で協定を結び、届け出る 労働基準法第32条・第36条
労働時間の記録 タイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法で把握し、記録を3年間保存する 労働安全衛生法第66条の8の3、労働安全衛生規則第52条の7の3
就業規則 常時10人以上の労働者を使用する場合は、作成して届け出る 労働基準法第89条
雇用保険の届出 雇用保険に加入する社員を雇ったら、翌月10日までに公共職業安定所(ハローワーク)へ加入の届け(資格取得届)を出す 雇用保険法第7条、同法施行規則第6条

労働基準法は、使用者が労働契約の締結に際して、賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう定めています。*2 そのうち、契約期間、就業の場所と従事する業務、始業と終業の時刻、賃金、退職に関する事項などは、書面を交付して示すのが原則です。本人が希望すれば、電子メールなどで示すこともできます。*3

時間外労働の協定は、社員に1日8時間・1週40時間を超えて働いてもらうときの前提です。*2 委託先の技術者が夜間や休日に作業していた仕事を社員に移すなら、その作業を誰が、どの時間帯に行うのかを決め、協定で定めた時間に収まるかを確かめておきます。夜間の障害対応のように時間が読めない作業は、委託に残すかどうかをここで判断します。

労働時間の記録は、委託先の作業報告にはなかった手続きです。労働安全衛生法は、事業者に労働者の労働時間の状況を把握する、つまり働いた時間を記録して確かめるよう義務づけています。*4 記録はタイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法でとり、3年間保存します。*5 リモートワークで働く社員を採用するなら、パソコンの使用時間を記録する仕組みを入社前に用意しておくと進めやすくなります。

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する会社に作成と届出の義務があります。*2 雇用保険に加入する社員を雇ったら、その月の翌月10日までに届けを出します。*6 どちらも人事や総務の担当者が行う手続きですが、入社日を決めるのは現場のマネージャーであることが多いため、採用の計画を立てた段階で担当者に伝えておきます。自己申告だけで労働時間を把握してよいかは「なぜ自己申告だけの労働時間の把握は認められないのか」で扱っています。

採用する人に示す業務

外注置き換えのエンジニア採用では、最初に任せる仕事ははっきりしています。委託先が担当していた保守や改修です。ただし、その仕事だけを労働条件に書くと、あとで新しい開発を任せたいときに、示した業務との食い違いが生じます。置き換えが終わった後に何を任せたいかまで考えてから、労働条件を書きます。

労働基準法施行規則は、明示する労働条件の一つを「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)」としています。*3 入社してすぐに担当する業務に加えて、将来担当してもらう可能性がある業務も書いておく、ということです。

たとえば「入社時:販売管理システムの保守と改修。変更の範囲:社内の業務システムの設計・開発・保守、およびこれらに付随する業務」のように書きます。置き換える仕事の名前だけでなく、どのシステムのどの工程まで担当してもらう可能性があるかを示すと、応募する人も入社後の仕事を想像しやすくなります。

採用面接では、入社してしばらくは委託先から仕事を引き継ぐ期間になること、その後に担当する業務が広がることを伝えておきます。委託先の技術者と同じ仕事を一緒に担当する期間があると知らずに入社すると、本人が思っていた仕事と違うと感じやすくなります。引き継ぎの期間に何を覚えてもらい、いつから1人で担当してもらうのかも、面接の段階で話せるようにしておきます。

委託契約の終え方と引き継ぎ

委託契約を終えるのは、社員が仕事を引き継ぎ終えてからにします。順番は、置き換える仕事を選ぶ、雇う準備をする、社員が入社して委託先の技術者と同じ仕事を一緒に担当する、委託契約を終える、の4段階です。採用が決まる時期は前もって予測できないため、先に委託契約の終了日を決めてしまうと、引き継ぐ期間がなくなるおそれがあります。

外注置き換えの社員化を進める順番を、左から右へ4つの箱で示した図。1は仕事を選ぶ(年間を通じて一定の量がある仕事、社内の判断が要る仕事。一時的に増える作業は委託に残す)、2は雇う準備をする(労働条件を書面で示し将来の業務も含める、労働時間を記録する仕組みを用意する、人事・総務と入社日を共有する)、3は一緒に担当する(委託先の技術者から仕事を引き継ぎ、手順書・アカウント・履歴を受け取り、社員が1人で最後まで作業できるかを確かめる)、4は委託契約を終える(引き継ぎを終えてから終了日を決め、解約の予告や採用に関する条項は各契約で確かめる)。

委託契約の終え方には、契約期間の満了を待って更新しないやり方と、期間の途中で解約するやり方があります。更新しないことをいつまでに伝えるか、途中で解約するときに何日前までに予告するか、引き継ぎへの協力をどこまで頼めるかは、契約によって違います。これらは一般論では決められないため、各契約の条項で確かめます。

一緒に担当する期間には、設計書や運用の手順書のほか、サーバーやツールのアカウント、問い合わせと障害の履歴、まだ終わっていない作業の一覧を社員に渡してもらいます。委託先の技術者しか権限を持っていないアカウントが残っていると、契約を終えた後に作業できなくなります。引き継ぎで渡すものの洗い出し方は「業務委託エンジニアの離任で引き継ぎが漏れる理由と防ぎ方」で扱っています。

委託先の技術者を採用するとき

引き継ぐ相手として一番詳しいのは、いま担当している委託先の技術者です。その人に社員として加わってもらいたいと考えるのは自然なことですが、進める前に契約を確かめます。業務委託の契約には、委託先の従業員を採用することを制限する条項や、採用したときに支払う手数料を定めた条項が入っていることがあります。

こうした条項があるか、どういう条件か、どこまで有効かは契約ごとに違い、一律には言えません。各契約で確かめたうえで、本人に声をかける前に委託先と話し合っておくと、委託先との取引を続けやすくなります。委託先に雇われている技術者は、委託先を退職してから入社するため、入社の時期も委託先での退職の手続きに左右されます。派遣契約で働いてもらっている場合は、労働者派遣法に派遣先が直接雇用するときの定めがあります。派遣やSES(技術者が常駐して開発を支援する契約)から自社雇用へ切り替える手順は「SESから自社雇用への切り替えを4つの条文で確かめる」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、委託先のチームが担っていた仕事を、社員1人にすべて移そうとすることです。委託先では複数の技術者が交替で対応していた仕事でも、担当する社員が1人なら、休暇や退職のたびに止まります。置き換える仕事の量に対して社員を何人にするか、委託先にどの仕事を残すかを、あわせて決めます。

二つ目は、労働時間の記録や労働条件の書面など、雇ってから必要になる手続きの準備が入社日に間に合わないことです。委託していたあいだは委託先が行っていた手続きなので、社内に担当者や仕組みがないことがあります。採用を決めた時点で、人事や総務の担当者と入社日までの準備を確かめます。

三つ目は、委託契約を終えた後に、委託先にしか分からないことが残ることです。一緒に担当する期間のうちに、障害の原因調査や定期の改修といった実際の作業を社員が1人で最後まで行えるかを確かめてから、委託契約を終えるとよいでしょう。

まとめ:社員化で確かめておきたい3つの点

外注置き換えの社員化を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、年間を通じて一定の量があり、社内の判断が要る仕事から置き換えること。第二に、労働条件の書面や労働時間の記録など、雇うと増える手続きを入社日までに用意しておくこと。第三に、社員が1人で作業を最後まで行えることを確かめてから委託契約を終え、解約や採用の条項を各契約で確かめることです。この3点を踏まえておけば、「社員を採用したのに、委託先がいないと仕事が止まる」という事態を避けやすくなります。どの仕事から社員に移すかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

置き換える仕事を決めても、採用が決まるまでの間や、作業量が増える時期には社員だけでは作業をこなしきれないことがあります。その間の作業を外部の専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

有期契約で採用して、様子を見てから正社員にしてもよいですか

有期契約で採用することはできますが、契約期間には上限があります。労働基準法は、期間の定めのある労働契約を原則3年、高度の専門的知識等を持つ人や60歳以上の人は5年を超える期間で結んではならないとしています。*2 更新する場合があるなら、更新の基準も労働条件として示します。*3

社員が10人未満の会社でも、就業規則は要りますか

作成と届出が義務になるのは、常時10人以上の労働者を使用する場合です。*2 10人未満でも、労働契約を結ぶときに労働条件を書面で示す義務は変わりません。*3 社員化で人数が増えていく見込みがあるなら、早めに用意しておくと手続きが重なりません。

引き継ぎの期間は、どのくらい取ればよいですか

一律の目安はなく、引き継ぐ仕事によって変わります。毎月の保守や定期の改修のように繰り返す作業は、社員が少なくとも1回ずつ自分で最後まで行うまでを期間とすると決めやすくなります。年に一度しか行わない作業は、手順書を受け取り、委託先に質問できる窓口を契約の終了後も残せるか相談しておきます。

外注置き換えの社員化を相談したいとき

どの仕事を社員に移し、どの仕事を委託に残すかの整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「労働契約法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:労働契約法(平成19年法律第128号)第6条(労働契約の成立)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「労働基準法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:労働基準法(昭和22年法律第49号)第14条(契約期間等)、第15条(労働条件の明示)、第32条(労働時間)、第36条(時間外及び休日の労働)、第89条(就業規則の作成及び届出の義務)を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)。出典:労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条(明示すべき労働条件と明示の方法)を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)。出典:労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条の8の3(労働時間の状況の把握)を参照(2026年9月確認)
  5. *5 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032)。出典:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第52条の7の3(労働時間の状況の把握の方法と記録の保存)を参照(2026年9月確認)
  6. *6 参考:e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003)。出典:雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第6条(被保険者となったことの届出)を参照。届出の根拠は雇用保険法(昭和49年法律第116号)第7条(2026年9月確認)




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