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2026.09.04 採用支援コラム

データ利活用のためのデータの在り処の管理|担当交代に備える方法

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ふたを外したハードディスクの円盤と読み取り部を白黒で写した写真。人も文字も写っていない

この記事の結論

  • IPAの調査を集計すると、データを利活用している企業は362社のうち268社、74.0%でした。
  • 一方、データの在り処と意味を一覧にする仕組みを整え終えた企業は20.7%にとどまります。
  • 同じ仕組みを「整備中」と答えた企業は26.5%あり、取りかかっていても整え終えていない企業が目立ちます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

集計を出していた担当者が異動したら、そのデータがどこに置かれているのか誰も答えられない。表の項目名は残っているのに、何を指す値なのかが分からない——。データを使う部署が増えた会社では、こうしたことが起こりがちです。IPA(情報処理推進機構)の調査を集計すると、データを利活用している企業は74.0%にのぼります。*2 データの在り処の管理とは、どのデータがどこに置かれ、誰が更新し、各項目が何を意味するかを書き残しておくことです。

在り処が書き残されていれば、担当者が替わってもデータを引き継げますし、新しく加わった人も迷わずに使い始められます。ただし万能ではなく、書き残す作業そのものに時間がかかり、すべてのデータを一度に対象にはできません。本記事では、データを扱う部署の責任者やエンジニアの採用・手配を担う方に向けて、データを使っている企業と管理を整えた企業の割合の差、在り処を書き残す順番、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

データの在り処の管理とは

在り処の管理で書き残すことは、大きく3つに分けられます。1つ目は置き場所で、どのシステムの、どのデータベースやフォルダーにあるかです。2つ目は更新の担当で、誰がどのくらいの間隔でデータを入れ替えているかです。3つ目は項目の意味で、たとえば「売上」という列が税込みなのか税抜きなのか、返品を差し引いた後の値なのかといったことです。

この3つは、データを使っているだけでは残りません。この3つが集計を担当する人の手元のファイルや記憶にしかないと、その人が抜けた時点で、ほかの人はどこを見ればよいのかが分からなくなります。データを使う人が多い会社ほど、この3つを誰でも見られる場所に書いておく意味は大きくなります。

こうした情報をまとめて管理する仕組みは、データカタログ(どこに何があるかの一覧)やメタデータ管理と呼ばれます。メタデータとは、データそのものではなく、データの意味や出どころを説明する情報のことです。IPAの調査でも、データマネジメントの施策の一つとして「データカタログ、メタデータ管理」が挙げられています。*3

調査で見たデータ利活用の広がり

ここからは、IPAの「2025年度ソフトウェア動向調査」を使います。2025年11月25日に公開され、2026年2月9日時点で362件の回答を得たとされる調査で、回答そのものが表形式のデータファイル(CSV)で公開されています。*1 本記事の件数と割合は、このデータから集計した値です。本記事で使う3つの質問には回答した362社すべてが答えているので、割合はどれも362社をもとにしています。*3

IPAの2025年度ソフトウェア動向調査のオープンデータを集計した図。公開2025年11月25日・最終更新2026年5月13日、2026年2月9日時点の回答は362件、Q2-4とQ2-5とQ12-1はいずれも回答条件が付いておらず母数は362社で共通であること、この調査は退職や引き取りを聞いておらず読めるのは整備の段階だけであること、件数と割合は公開されている調査結果CSVから集計したこと、Q2-4のデータ利活用の状況は事業部門や部署ごとに利活用が141件39.0パーセント・全社で利活用が127件35.1パーセントで利活用している計が268件74.0パーセントであること、Q2-5のデータ基盤の整備状況は全社レベルで整備し活用が127件35.1パーセント・一部の部門で整備し活用が107件29.6パーセントで整備し活用している計が234件64.6パーセントであり整備中96件と予定なし21件とわからない11件があること、Q12-1のデータマネジメント9施策の整備済みの計はデータセキュリティ管理136件37.6パーセント・経営ダッシュボード128件35.4パーセント・データガバナンス114件31.5パーセント・マスターデータ管理111件30.7パーセント・データ品質管理96件26.5パーセント・データアーキテクチャ90件24.9パーセント・データカタログとメタデータ管理75件20.7パーセント・デジタルアセットマネジメント60件16.6パーセント・DataOps52件14.4パーセントであること、整備中はデータカタログが96件26.5パーセントで9施策の上端であること、予定なしはDataOps146件40.3パーセント・デジタルアセットマネジメント138件38.1パーセント・データカタログ109件30.1パーセントであること、わからないは経営ダッシュボード64件17.7パーセントからDataOps92件25.4パーセントまでで整備の有無そのものを答えられない状態が2割前後あること、引き取れる形に整える順番は使えなくなると困るデータを洗い出し置き場所と更新の担当を書き項目の意味を1行ずつ残して書き出しが残るデータに担当者を決める4段であること、この集計から読めないのは退職や引き取りの発生率・カタログの粒度や項目数・整備にかかった期間や費用・設問をまたいだかけ合わせであることをまとめた図

データ利活用の状況を尋ねた設問では、「事業部門・部署ごとに利活用している」が141件(39.0%)、「全社で利活用している」が127件(35.1%)でした。*2 合わせると268件で、362社の74.0%、およそ4分の3の企業がデータを利活用していることになります。「利用に向けて検討を進めている」は37件(10.2%)、「現在実証実験を行っている」は19件(5.2%)で、今後も取り組む予定がない企業は1件だけです。

データ基盤の整備状況も見てみます。データ基盤は、設問文ではデータの蓄積、統合、分析を行うためのシステムや仕組みとされています。*3 全社レベルで整備して活用しているのが127件(35.1%)、一部の部門で整備して活用しているのが107件(29.6%)で、合わせて234件、64.6%でした。*2 整備を進めている途中の企業も96件(26.5%)あり、データを使う環境づくりは多くの企業で進んでいます。

データ基盤そのものの構築を外部に委託する場合の費用の考え方は、「データ基盤構築を外注する費用と進め方」で扱っています。

データマネジメント9施策の整備状況

では、データの管理はどうでしょうか。調査では、データマネジメント(データを使える状態に保つための管理)の9つの施策それぞれについて、整備の状況を尋ねています。*3 次の表は、全社レベルと一部の部門を合わせた「整備済み」と、「整備中」「予定なし」の件数と割合を並べたものです。

Q12-1 データマネジメント9施策の状況(IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」の公開データから集計。母数は362社)
施策 整備済みの計 整備中 予定なし
データセキュリティ管理 136件 37.6% 81件 22.4% 79件 21.8%
経営ダッシュボード(BIツール) 128件 35.4% 87件 24.0% 83件 22.9%
データガバナンス 114件 31.5% 82件 22.7% 94件 26.0%
マスターデータ管理(MDM) 111件 30.7% 89件 24.6% 89件 24.6%
データ品質管理 96件 26.5% 82件 22.7% 108件 29.8%
データアーキテクチャ 90件 24.9% 82件 22.7% 105件 29.0%
データカタログ、メタデータ管理 75件 20.7% 96件 26.5% 109件 30.1%
デジタルアセットマネジメント(DAM) 60件 16.6% 77件 21.3% 138件 38.1%
DataOps 52件 14.4% 72件 19.9% 146件 40.3%

整備済みが最も多いのはデータセキュリティ管理の136件(37.6%)で、経営ダッシュボード(経営の数値を一覧で見る画面)の128件(35.4%)が続きます。*2 データを守ることと、経営層に数値を見せることは、整えている企業が比較的多い施策です。一方、データカタログとメタデータ管理の整備済みは75件(20.7%)で、9施策のうち7番目でした。内訳は、全社レベルが20件、一部の部門・プロジェクトが55件です。*2

データを利活用している企業が74.0%あるのに対して、どこに何があり、何を意味するかを書き残す仕組みを整え終えた企業は2割ほどです。データを使い始めることに比べて、使い続けるための記録は後回しにされやすいことがうかがえます。

整備中と予定なしの内訳

同じ設問の「整備中」を見ると、並び方が変わります。データカタログとメタデータ管理の整備中は96件(26.5%)で、9施策の中で最も多くなりました。*2 整備済みと合わせると171件、47.2%で、半数近くの企業が取りかかってはいるものの、整え終えた企業はまだ少ない段階にあります。

「予定なし」では、DataOps(データ処理の運用を自動化する取り組み)が146件(40.3%)、デジタルアセットマネジメント(画像や動画などの管理)が138件(38.1%)と多く、データカタログとメタデータ管理は109件(30.1%)で3番目でした。*2 整備中の企業が多い一方で、3割の企業は整備の予定を持っていません。

もう一つ見ておきたいのが、「わからない」と答えた企業の数です。9施策の「わからない」は、経営ダッシュボードの64件(17.7%)からDataOpsの92件(25.4%)まででした。*2 どの施策でも2割前後の回答者が、自社で整備されているかどうかを答えられていません。在り処の管理に取りかかる前に、社内の誰が現状を把握しているのかを確かめておくと進めやすくなります。

在り処をどう書き残すのか

担当者が替わっても引き継げる形に整えるなら、次の4つの順番で進めるのがおすすめです。

1つ目は、対象を絞ることです。使えなくなると業務が止まるデータ、たとえば毎月の売上集計や請求に使うデータだけを先に洗い出します。すべてのデータを対象にすると、書き出す作業がいつまでも終わりません。2つ目は、置き場所と更新の担当を書くことです。どのシステムのどこにあり、誰がどの間隔で更新しているかを、データ1つにつき1行で書き出します。

3つ目は、項目の意味を残すことです。項目名だけでは、別の人が同じ値を同じ意味で使えないことがあります。何を指す値なのか、どんな単位か、どこから取り込んだ値かを、項目ごとに1行ずつ書きます。4つ目は、書き出しを担当する人を決めることです。社内の担当者だけでは書き終えられないデータが残ったら、そのデータについてだけ、期間を決めて書き出しを担当する人を置きます。

順番を逆にすると進みにくくなります。先に人を決めてから対象を考えると、どこまで書けば終わりなのかが決まらないためです。データカタログを整える進め方や、データガバナンス(データの扱い方のルール)とあわせた整備については、「データカタログ・データガバナンス整備の外注支援と選び方」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、書き出した記録を更新しないことです。置き場所や担当は、システムの入れ替えや異動で変わります。更新の担当を決めずに一度書いただけで終えると、しばらくすると記録と実際が食い違い、かえって迷う原因になります。記録を更新する人と、見直す時期を最初に決めておきます。

二つ目は、調査の数値を読み違えることです。今回使った3つの設問は別々に尋ねたもので、同じ企業の回答を質問どうしで組み合わせた集計はしていません。データ利活用の「全社で利活用している」と、データ基盤の「全社レベルで整備し活用」はどちらも127件ですが、同じ企業が答えたかどうかはこのデータからは読み取れません。また、この調査は担当者の退職やデータの引き継ぎについては尋ねていません。業界の中で自社がどの段階にいるかを比べる材料として使うのが向いています。

三つ目は、書き出しを社員だけで抱え込むことです。記録を書き出す作業は、日々の運用と並行して進めることになります。運用の判断ができる社員が書き出しにかかりきりになると、本来の仕事が止まってしまいます。開発の工程ごとに、社内で行う作業と外部に任せる作業の割合は「工程別の内製化の状況」で扱っています。

外部に委託するときに確認しておきたい点

書き出しの作業を外部の専門人材に任せるなら、依頼する前に3つを決めておくと進めやすくなります。まず、対象のデータと期間です。「売上集計と請求に使うデータについて、置き場所・更新の担当・項目の意味を書き出す」のように作業の中身を書き、終える時期も決めます。

次に、判断を社内に残す部分です。どのデータを対象にするか、項目の意味が2通りに読めるときにどちらの意味で扱うかは、業務を知っている社員が決めます。委託先には、記録の書き出しと、記録と実際のデータを見比べる作業を任せます。最後に、書き終えた記録を誰が引き継いで更新するかです。委託の期間が終わった後に記録を更新する社員を決めておかないと、せっかくの記録が古くなります。

期間を決めて人に加わってもらう方法としては、フリーランスを含む業務委託が合います。書き出しが終わるまでの数か月だけ専門人材に加わってもらい、記録が整ったら社員による運用に戻す形が取れます。

まとめ:在り処の管理で確かめたい3つの点

データ利活用を続けるうえで、在り処の管理について確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、使えなくなると業務が止まるデータに対象を絞ること。第二に、置き場所、更新の担当、項目の意味を、データごとに書き残すこと。第三に、書き出しを誰が担い、書き終えた記録を誰が更新し続けるかを先に決めることです。この3点を踏まえておけば、「担当者が異動したら、集計に使っていたデータがどこにあるのか誰も分からない」という事態を避けやすくなります。書き出しを担う人の確保に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

書き出しを任せる作業と期間が決まったら、次はその作業を担当する人をどこで探すかを決めることになります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

データカタログは専用のツールがないと作れませんか

必ずしも専用のツールは要りません。対象を絞った段階なら、表計算ソフトで置き場所・更新の担当・項目の意味を1行ずつ書く形から始められます。対象のデータが増えて探すのや更新するのが追いつかなくなったら、専用のツールを検討するとよいでしょう。

書き出しにはどのくらいの期間を見込めばよいですか

対象のデータの数や項目の多さで変わるため、一律には決められません。IPAの調査も、整備にかかった期間や費用は尋ねていません。まず使えなくなると困るデータを洗い出し、1つ書き出すのにかかった時間から全体を見積もると、委託する期間も決めやすくなります。

在り処の管理はどの部署が担当するのがよいですか

業務の部署とシステムの部署のどちらか一方に任せきりにしないのがおすすめです。項目の意味は業務の部署が、置き場所と更新の仕組みはシステムの部署が知っていることが多いためです。書き出しは両者で分担し、全体の取りまとめ役を1人決めておくと進めやすくなります。

この調査は毎年行われていますか

IPAは、ソフトウェアを取り巻く国内の動向を調べる目的で、前年度から引き続きこの調査を実施したとしており、2025年度の調査はその続きにあたります。*1 本記事で使った2025年度の調査ページは、2026年5月13日が最終更新日です。*1 新しい年度の結果を使うときは、調査ページで公開日と更新日を確かめてから使うとよいでしょう。

データ管理の体制を相談したいとき

どのデータから書き出すか、その決め方から担当者が一緒に検討します。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/software2025.html)。公開日・最終更新日・回答362件・オープンデータ公開の方針の一次情報として(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-result-data-str.csv)。Q2-4・Q2-5・Q12-1の回答を集計した元データとして(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「2025年度ソフトウェア動向調査 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/j5u9nn000000hkhs-att/software2025-c-questions.xlsx)。データ基盤の定義・9施策の名称・各設問の回答条件と選択肢の確認として(2026年9月確認)
  4. *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と公開範囲の記述として(2026年9月確認)




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