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2026.10.02 採用支援コラム

外部人材活用を兼務で進める要件整理、社内と外部の役割の違い




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 東京商工会議所の調査では、情報システム担当者を兼任で置く中小企業が43.9%と最も多くなっています。
  • 兼務の担当者は、頼む目的・仕事の型・社内の窓口・連絡の頻度を先に決め、実現方法は外部の人に案を出してもらいます。
  • 決めきれない点は一覧にして「いつまでに誰が決めるか」を添え、最初の契約期間の区切りで見直します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

システムや業務改善を受け持つ社員が、本来の仕事と掛け持ちで外部人材の活用まで任される。中小企業ではよくある形です。外部人材活用を兼務で進めるときの要件整理とは、限られた時間のなかで、頼む仕事の目的・範囲・成果を言葉にし、社内で決めることと外部の人に確かめてもらうことを分けておく作業を指します。

すべてを一人で決めきろうとすると、整理が終わらないまま時間だけが過ぎます。反対に、何も決めずに相談すると、相手は自社の事情が分からず、提案もぼやけます。本記事では、東京商工会議所の調査と近畿経済産業局のガイドブックをもとに、兼務の担当者がまず決めること、外部の人に確かめてもらうこと、決めきれない点の残し方を整理します。

木の箱に並んだ木製の糸巻きの接写。橙・薄紫・青・水色・赤の糸が巻かれ、手前の橙の糸巻きにピントが合っている。人も文字も写っていない

兼務の担当者が多いという現状

東京商工会議所が2024年10月から11月にかけて行った「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」は、主に東京23区内の中小企業10,000社に調査票を送り、1,218社から回答を得ています。このうち情報システム担当者の置き方を聞いた設問(1,002社)では、「兼任の担当者がいる」が43.9%で最も多く、「専任の担当者がいる」は11.7%でした。「外部委託している」は15.0%、「担当者はいない」は28.9%です。*1

従業員の規模別に見ると、兼任の割合は6人以上20人以下で47.8%、21人以上50人以下で51.2%、51人以上100人以下で61.8%と、規模が大きくなるほど高くなります。101人以上になると専任が56.7%となり、兼任の30.0%を上回ります。*1 100人以下の会社では、システムのことを本来の仕事と掛け持ちで受け持つ人がいる形が、むしろふつうだといえます。

同じ調査の自由回答には、社員は通常業務が忙しく、デジタルシフトの活動に「専任できない」ため進みが遅くなりがちだという声も載っています。*1 外部人材の活用を任される人も、多くはこうした掛け持ちの立場にいるはずです。要件整理の進め方も、使える時間が限られていることを前提に組み立てたほうが現実的です。

社内に残る担当者の役割

この調査は「デジタル人材」を、IT・デジタルの基本的な知識を備えつつ、自社の業務を把握し、ITベンダーなどの外部リソースを活用しながら自社のデジタルシフトを主導できる社内人材としています。*1 外部の力を借りる場面でも、自社の業務を分かっている人が社内にいて、全体を引っ張ることを前提にした定義です。

社内のデジタル人材に求める能力として最も多く挙がったのも、「自社の経営課題・業務課題に対する理解」の59.6%でした。一方で、「必要な能力の定義ができていない」と答えた企業も15.0%あります。*1 自社に要る力をまだ言葉にできていない会社が一定数あり、外部の人に頼む仕事の要件もあいまいになりやすいと考えられます。

兼務の担当者が、すべての技術に詳しくなる必要はありません。社内に残すべき役割は、自社の業務と課題を説明できること、頼む仕事の目的を決めること、外部の人が出した提案や成果を自社の事情に照らして判断することの3つです。技術の細かな選び方は、外部の人に確かめてもらう側に回せます。

頼む仕事の型を先に選ぶ

要件整理の最初の分かれ道は、頼む仕事の型です。近畿経済産業局が令和5年度の調査事業でまとめた副業人材活用のガイドブックは、関東経済産業局の事例集をもとに、外部の人との関わり方をタスク型・プロジェクト型・ミッション型の3つに分けています。*2

タスク型は、作業期間や納期、納品物が始めから明確な業務で、小規模なWebサイト構築やマニュアル作成、手順書作成が例に挙がっています。プロジェクト型は、当初定めたゴールを達成するためにプロジェクトを設定し、外部の人にチームの一員として加わってもらう形で、社内システムの導入・開発や顧客管理のDX化が例です。ミッション型は、期間や最終的なゴールをはっきり区切らず、与えた役割を継続して果たしてもらう形で、Webメディアの継続的な運営などが挙がっています。*2

外部の人に頼む仕事の3つの型と、社内の担当者が先に書いておくことを、3つの箱で並べた図。タスク型は納期と納品物が始めから明確な業務で期間の目安は1〜3か月、先に書くことは納品物の中身と受け取るときの基準。プロジェクト型は決めたゴールに向けてチームに加わってもらう形で期間の目安は3か月〜半年、先に書くことはゴールと終わりの目安、社内の体制と窓口。ミッション型は与えた役割を継続して果たしてもらう形で期間の目安は無期限、先に書くことは任せる役割の範囲と見直しの時期。下の帯には、どの型でも決めきれない点は一覧にして、いつまでに誰が決めるかを添えて残すと書かれている。型と期間の目安は近畿経済産業局の副業人材活用ガイドブック(令和5年度)により、先に書くことは本記事の整理。

型によって、担当者が事前に書いておくことは変わります。タスク型なら納品物と受け取るときの基準を細かく書けますが、プロジェクト型ではゴールと社内の体制、ミッション型では任せる役割の範囲と見直しの時期が中心になります。ガイドブックは期間の目安として、タスク型を短期間(1〜3か月)、プロジェクト型を中期間(3か月〜半年)、ミッション型を長期間(無期限)と並べています。*2 型を一つ選ぶだけで、兼務の担当者が決めることの量はかなり絞られます。

担当者が先に決める4つのこと

型を選んだら、社内でしか決められないことを先に固めます。兼務の担当者が限られた時間で決めておきたいのは、次の4つです。

  • 頼む目的:何に困っていて、仕事が終わったときに何が変わっていればよいか
  • 仕事の型と期間:タスク型・プロジェクト型・ミッション型のどれで、いつまで続けるか
  • 社内の窓口:誰が質問に答え、誰が成果を受け取って判断するか
  • 連絡の頻度と方法:定例の打ち合わせの間隔と、それ以外の連絡の手段

4つ目の連絡の決め方は、兼務の担当者ほど効いてきます。ガイドブックは、副業人材は稼働時間に制限があるため、コミュニケーションが十分にとれない恐れがあると指摘し、事前に相談してミーティングなどの頻度や方法を決めておくことを勧めています。例として挙がっているのは、週1回や月1回といった定例会の設定や、面談する時間帯の取り決めです。*2 社内の担当者も掛け持ちなら、時間の制約は両側にあるものとして決めておくほうが無理がありません。

社内の窓口も、担当者一人で抱え込まないようにします。ガイドブックは、外部の人が社内のスタッフと頻繁に顔を合わせる場合には、事前に社内の関係者へ説明しておく必要があるとしています。質問に答える人と成果を判断する人を分けておけば、担当者が本業で手を離せない日にも、外部の人の作業が止まりにくくなります。

業務の流れは社内で書き出す

東京商工会議所の調査では、ITベンダーを選ぶときに重視することとして「自社の業務フロー・業務課題の正確な把握」を挙げた企業が54.5%ありました。導入コストの58.0%、運用コストの57.6%に次ぐ高さです。*1 費用と並んで、自社の業務を正しくつかんでくれるかどうかが相手選びの物差しになっています。

ただ、相手が業務を正しくつかめるかどうかは、社内から渡す材料にも左右されます。担当者が用意しておきたいのは、今の業務の流れ(誰が、いつ、何を受け取り、何を渡しているか)、困っている箇所とその起きる頻度、使っている仕組みや帳票の一覧の3つです。きれいな図にする必要はありません。箇条書きのメモでも、外部の人が質問を返す手がかりになります。

要件そのものの書き方は、外部人材活用の失敗を招く要件不足の記事で、頼む作業・求めるスキル・成果の基準の3つに分けて整理しています。兼務の担当者がこの段階で全部を書き切る必要はありません。業務の流れの材料がそろっていれば、残りは外部の人とのやり取りのなかで詰めていけます。

外部の人に確かめてもらうこと

社内で決めることとは別に、外部の人に確かめてもらうほうがよいこともあります。目的に合う実現方法の候補、作業の分け方と順番、必要な期間の見立て、事前に用意しておくべき環境やデータなどです。兼務の担当者が調べて決めるより、経験のある人に案を出してもらい、社内の事情に合うかを判断するほうが早く進みます。

ガイドブックは選考の方法として、答えが決まっていない課題には「提案型選考」も有効だとしています。*2 自社の課題を示してどう進めるかを提案してもらい、その中身で相手を選ぶやり方です。要件が固まりきっていない段階でも、提案を見比べるうちに、自社が何を求めているのかが担当者の側でもはっきりしてきます。

相談先について、ガイドブックは各地のプロフェッショナル人材戦略拠点や取引のある金融機関などに相談すると、依頼する内容や方向性を一緒に検討してもらえることもあるとしています。外部の人や支援機関に確かめてもらう前提で要件整理を進めれば、担当者が一人で結論を出さなければならない範囲は小さくなります。

決めきれない点の残し方

ガイドブックが紹介する受け入れ企業の声には、依頼する業務の切り出しや期待する成果を当初からすべて設定するのは難しい、というものがあります。同時に、最初は漠然と始めても、いずれかのタイミングで成果物を決めることが必要になるという声も載っています。*2 決めきれない点が残るのは自然なことで、困るのはそれを残したまま放っておくことです。

残し方として勧めたいのは、決めきれない点を一覧にし、それぞれに「いつまでに、誰が決めるか」を添えておくことです。初回の打ち合わせで決める、1か月後の振り返りで決める、といった書き方で足ります。ガイドブックには、何をどこまで依頼するかが明確でない時期は、「こうしてほしい」と思っても強くは言えず難しかったという声もあります。*2 期限がついていれば、言いにくさを担当者の気配りだけで乗り切らずに済みます。

期間の区切り方も一つの手です。ガイドブックは、双方が互いを分かり合う時間が要るため、まずは3か月といった短期の契約も可能だとし、延長が必要なら都度協議することが有効だとしています。*2 最初の区切りの終わりを、決めきれなかった点を見直す時期に重ねておくと、兼務の担当者でも整理を先送りにしにくくなります。契約の期間や更新の扱いは、契約の内容と相手の条件を確かめて決めてください。

つまずきやすい点

1つ目は、技術の選び方まで社内で決めてしまうことです。担当者が調べた範囲で方法を決めてから依頼すると、外部の人の知見を使う余地が狭くなります。社内で決めるのは目的と業務の事情までにとどめ、方法は案を出してもらうほうが、兼務の時間も節約できます。

2つ目は、窓口が担当者一人に集まることです。質問への回答も成果の確認も一人で受けていると、本業が立て込んだ時期に外部の人の手が止まります。3つ目は、型を決めないまま始めることです。タスク型のつもりで頼んだ仕事が、途中からプロジェクト型の進め方を求めるものに変わると、成果の基準も連絡の頻度も合わなくなります。始める前に型を一つ選び、中身が変わったら選び直すと決めておくと防ぎやすくなります。

まとめ:兼務で進める要件整理の3つの点

外部人材活用を兼務の担当者が進めるとき、要件整理で押さえておきたい点は3つに整理できます。第一に、頼む仕事をタスク型・プロジェクト型・ミッション型のどれで進めるかを先に選ぶこと。第二に、頼む目的・期間・社内の窓口・連絡の頻度は社内で決め、実現方法や作業の分け方は外部の人に案を出してもらうこと。第三に、決めきれない点は一覧にして期限と決める人を添え、最初の契約期間の区切りで見直すことです。この3点を踏まえておけば、担当者の時間が足りないまま要件整理が止まってしまう事態を避けやすくなります。頼む仕事に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

頼む目的と仕事の型、社内の窓口が決まれば、次はその仕事を担う人を探す段階です。業務の流れの材料がそろっていれば、求める経験がはっきりし、候補者に仕事の中身を伝えやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

兼務で要件整理に使える時間がほとんどないときは、何から始めればよいですか

頼む目的と仕事の型の2つから始めます。何に困っていて、終わったときに何が変わっていればよいかを書き、タスク型・プロジェクト型・ミッション型のどれに近いかを選ぶだけでも、相談の出発点になります。社内の窓口と連絡の頻度は、初回の打ち合わせまでに決めておけば間に合います。

要件整理そのものを外部の人に手伝ってもらうことはできますか

できます。近畿経済産業局のガイドブックは、答えが決まっていない課題には提案型選考も有効だとし、支援機関に相談すると依頼する内容や方向性を一緒に検討してもらえることもあるとしています。どこまでを手伝ってもらう範囲に含めるかは、契約の内容で確かめておきます。

社内に情報システムの担当者がいない場合はどうすればよいですか

東京商工会議所の調査では、情報システムの担当者がいない企業が28.9%ありました。*1 その場合も、システムに詳しい人である必要はなく、頼む仕事に関わる業務をいちばんよく知っている人を窓口に決めます。技術の判断が要る場面は、外部の人に案を出してもらい、業務に合うかどうかをその窓口が判断する形にします。

頼む仕事の目的が決まったら相談

頼む目的と仕事の型が決まっていれば、そのままご相談いただけます。要件を書き切れていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果(詳細版)」(PDF)(https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1205203)。出典:東京商工会議所 中小企業のデジタルシフト・DX推進委員会(2025年1月10日)。0.調査概要、6.デジタル人材について(デジタル人材の確保状況と定義、情報システム担当者の設置状況・従業員規模別、社内デジタル人材に求める能力)、7.外部人材・リソースの活用状況(ITベンダーの選定にあたって重視すること)、11.企業の声を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:近畿経済産業局「『共感』からはじめる新しい副業人材活用」(PDF)(https://www.kansai.meti.go.jp/2sangyokikaku/hukugyou_guidebook.pdf)。出典:近畿経済産業局 令和5年度「副業人材の活用促進に向けた知的財産課題等調査事業」。Ⅰ.新しい副業とは(タスク型・プロジェクト型・ミッション型。関東経済産業局の兼業・副業人材活用事例集をもとにした整理)、Ⅱ-2 一緒になって成果を生み出す関係づくり、Ⅳ-2 成功する副業人材活用のポイント、Ⅳ-3 副業人材活用に向けた準備を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




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